【墓石の基礎知識】価格・種類・選び方から見積り方法まで徹底解説
墓石とは、墓地の中に作られる石製の供養碑のことを言います。亡くなった人の遺骨を埋蔵する機能があり、骨壺を埋蔵した後、私たちは墓石に向かって供養を行います。お墓といえば、「墓石」のことを指すといってもいいでしょう。
お墓は、家族ごとに先祖代々を供養する墓石をつくることが主流でしたが、近年では様々な墓石の選択肢が増えています。これは、核家族化が進んだことで個人や夫婦単位で墓石をつくる方が多くなったためです。個性的なデザインで墓石を作ったり、彫刻文字を刻んだり、生き様を表現した墓石も多くみれるようになりました。
どんな墓石を選んだらいいのか、初めは全く分からないと思います。納得できるお墓を建てるためには、まずどんな墓石があるのか、墓石のことを詳しく知ることが大切です。
墓石について、このような疑問が解消します!
- 「墓石を買うには、いくら費用が必要なの?」
- 「墓石の種類ってどのくらいあるの?」
- 「どんなことに注意して墓石を選んだらいいの?」
お墓を建てる時にかかる総額費用(永代使用料+墓石代)の大半が墓石代にあたります。せっかく費用をかけて墓石を購入するのですから、納得のいくものをつくりたいですよね。
この記事では、実際に石材店で働く筆者が墓石の基礎情報をまとめて紹介していきます。ぜひ、納得感のあるお墓を建てるのにお役立てください。
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後悔しないお墓のために今から準備してみませんか?
「お墓」は一生に一度あるかないかの大きな買い物。
後悔のないお墓を建てるためには、パートナーとなる石材店選びがとても重要です。
- お墓を建てるのにかかる費用・相場が知りたい
- 自分の希望するお墓を建てられるかどうか知りたい
- お墓を建てるまでの流れを知りたい
など、数々の不安を抱えている方が多いのではないでしょうか。
お墓の購入に関しては、初めての方が多いため、不安や疑問を持つことは仕方のないことでしょう。
しかし、お墓購入後に後悔することだけは避けたいですよね。
お墓について詳しく知るには実際に複数の石材店の話を聞き、しっかりと情報収集することをオススメします。
まずは気になる墓石の資料を請求してみましょう。
この記事の目次
墓石の価格費用の相場
墓地を取得して、「さあ!お墓を建てよう」とした時に気になるのが、やはり価格ですよね。
石材店に依頼してお墓を建てる時の費用は、
- 石塔・外柵など、墓石そのものにかかる費用
- オプションパーツや特殊加工の費用
- 工事費用
に分けることができます。
それらを一つ一つ細かく見ていきましょう。
墓石の購入価格の相場は約160万円
お墓の平均購入価格は162.7万円です。
(一般社団法人全国優良石材店の2018年アンケートに調べ)
もちろん、石の種類やデザインによってはさらに高額になることもあり、ピンからキリまで様々です。ひとことに「160万円」と言っても、価格の決定にはさまざまな要素が絡んでくるのです。
墓石価格の内訳・金額を左右する4つの要因
墓石の価格を決める要因は主に下記の4つがあります。一つひとつについて詳しく解説していきます。
1. 墓石のデザイン・加工
お墓にも色々なデザインがあります。一般的なお墓以外にも、昔ながらの五輪塔や宝篋印塔(ほうきょういんとう)など、特徴的な形の墓石もあります。
オプションパーツを付けたり、細かいデザインや加工をプラスすることによっても費用は上がります。立体的な彫刻をしたり、写真を転写したりなど新しい技術も進化しており、墓石でオリジナリティを表現することもできます。
また、デザインによっては石材加工の技術力が問われるものもあります。石材店の展示場に行って、実物を見てみるとよいでしょう。
墓石のデザインや加工は、パーツごとに検討しましょう。
2. 墓石に使用する石材の種類
石材の種類は、日本国内で産出されるもの、中国やインドなどの海外産など様々にあり、その数は300種類にも及ぶと言われています。
安価に手に入るものから高価なものまで、実に多種多様なのです。
3. 墓地の大きさ
同じ石材でも、小さいお墓だと使用する石の量が少なく済みます。大きいお墓だと石をたくさん使用するため、墓石工事代の総額はかさみます。墓地の大きさや面積も、墓石の価格を決める大きな要因なのです。
4. 墓石を設置する工事費用
墓石を墓地へ設置するための工事費は、墓地の状況によって異なります。特殊な基礎工事が必要な場合や、重機が入らないような場所では別途費用が計上されることもあるでしょう。まずは石材店の担当者に墓地の下見を依頼して、見積もりをもらってください。
お墓の価格についてしわしく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
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【墓石の形は3つ】和型・洋型・デザイン型それぞれの特徴
墓石の価格を左右する要因のひとつである「墓石のデザイン」。墓石の形状は、主に和型、洋型、デザイン墓石の3種類があります。墓石を作る時は、この3つの中から大まかなデザインを決めます。その後に、細部の仕様を検討する流れになります。
それぞれの特徴について詳しくご紹介いたします。
伝統的な和型のお墓(和型墓石)
日本人にとってなじみのあるお墓の形が和型墓石です。和型墓石とは、竿石(さおいし)と呼ばれる縦長の石塔を中心に据えたお墓のことです。和型墓石は江戸時代頃に一般化された伝統的なお墓です。
和型墓石には、主に下記3つの種類があります。
- 石塔タイプのお墓
- 五輪塔
- 宝篋印塔
「お墓」と聞いて、多くの人が思い浮かべる形はこの和型墓石ではないでしょうか。
和型墓石についてさらに詳しく知りたい人は下記の記事もご覧ください。
近年人気の高い横型のお墓(洋型墓石)
洋型墓石は和型墓石に比べて、横長で背が低くどっしりとした形状のお墓です。その形状からもモダンな雰囲気があり、人気です。重心が低いため、和型墓石と比較して地震にも強いといった利点もあります。
洋型種類にもいくつか種類があり、主なのは下記3種です。
- 洋一段ストレート型
- 洋二段ストレート型
- 洋一段オルガン型
墓石の彫刻文字に自分の好きな文字を入れるなど、自由に彫刻をする方が多く見られます。
洋型墓石についてさらに詳しく知りたい人下記の記事もご覧ください。
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個性を表現できるデザイン墓石
デザイン墓石とは、和型でも洋型でもない、オリジナリティあるデザインの墓石のことです。オーダーメイドで一からデザインを作ってくれる石材店もあり、故人の人となりを表す記念碑として建てる人もいます。
墓石への彫刻において文字だけでなく、イラストを彫刻する場合もあります。イラスト彫刻に色を付けることで、よりリアルで美しい個性のある墓石になるでしょう。
一方、デザインや彫刻内容について注意したい点もあります。デザインばかりに気を取られて、耐久性を損なうような加工をしないよう気を付けてください。また、デザインにこだわりすぎて予算オーバーしないように注意しましょう。
どのようにデザイン墓石を注文するのか、詳しく知りたい人は下記の記事もぜひご覧ください。
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墓石の加工・彫刻
お墓の加工や彫刻にもさまざまな仕様があります。細部の意匠にこだわることで、一見同じにみえるお墓に奥行きが増すことでしょう。石材への手間をかけてた加工の一つひとつが、墓石の美しさを作り上げていきます。
また、墓石に刻む彫刻文字でも墓石の美しさを表現することができます。墓石の中心である竿石に「〇〇家之墓」といった家名や「先祖代々之墓」といった文言が一般的ですが、「南無妙法蓮華経」「南無阿弥陀仏」といった宗派ごとのお題目を彫刻する場合もあります。また、「ありがとう」「想」「心」など、好きな言葉を刻むお墓も増えてきています。文字の意味と、書体のデザイン、文字のサイズを組み合わせてバランスを取りながら墓石が彫られます。
文字のほかに、家紋やイラストを彫刻することもできます。家紋は、花立や水鉢などのパーツや、外柵の柱にあたる部分などに彫刻されます。
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墓石に使用される主な石材の種類と産地
墓石にどんな石材を使うか、ということは墓石の価格に大きく影響する要因です。
お墓に使われる石材の種類は、国内外に300種類以上もあると言われています。「どの石を選べばいいの?」と戸惑うと思いますが、石のプロである石材店に尋ねてみるとよいでしょう。300種の中でもよく選ばれている石材、また石の産地について詳しくご紹介いたします。
墓石向け石材の主な産地
石材は世界中で採ることができます。ここでは日本の墓石によく用いられる石材の産地を国別にご紹介します。
日本
日本の代表的な石の産地をまとめました。
- 福島県(浮金石、滝根石、紀州石など)
- 茨城県(羽黒青糠目石、真壁石、稲田石など)
- 瀬戸内沿岸(庵治石、大島石、万成石、北木石、青木石、犬島石など)
日本を代表する石材には、白御影石が多く見られます。白御影石は主に、灰色をした石英(せきえい)、白い色の長石(ちょうせき)、黒雲母(くろうんも)などの成分が混ざり合って複雑な模様がつくりあげられています。
石材の費用は産地ではなく、その石材ごとの性質、産出量、人気などで決まります。一概に「この産地は高い」などとは言いがたい面があります。
また、国産石材だから耐久性がよい、とは限りません。外国産にもいい石があれば、国内産でも劣悪な石材もあります。それでも国内石材の方が比較的高価であることが多いのは、採石や加工などの人件費が高くつくのが理由です。それに伴って、市場に出回るお墓の価格も外国産よりも高価になる傾向にあるのです。
中国
中国では、その広大な国土から、中国全土で石材が産出されています。特によく選ばれているのが福建省産のものと黒竜江省産のものです。
福建省は、海に近い山から膨大な岩石が採れます。輸出しやすい立地に加工工場が乱立し、一大石材産地となっています。採石、加工、出荷のすべてが同じエリアで完結させることができるのです。
一方、人気のある「K-12」や「17」などの産出地として知られるのが黒竜江省です。黒竜江省の石は濃いめの石目が特徴で、石も硬く、ここ10年のトレンドとなっています。全体的に中国産の石材は安く、特に福建省のものが安価に流通しています。
インド
黒御影石と言えばインドが評判が高いことで有名です。「クンナム」「M-1-H」「インド牡丹」などは上質な黒御影として知られています。また、ここ10年で人気のある「アーバングレー」もインドの代表的な石材です。「M-1-H」は少し緑がかったクセのある石材ですが、圧倒的な低吸水率や硬度が人気の秘訣です。
インドの石材は中国産よりも若干高価でしょう。
その他
その他、石材はヨーロッパやアフリカ、北中米など、世界中で産出されています。スウェーデンの黒やマホガニー、庵治石に似たポルトガルの「SPI」なども人気です。
石材の種類についてさらに詳しい情報は、下記のページをご覧ください。
墓石の石種は自分の目で確かめよう
墓石の石種には、さまざまなタイプがあります。カタログを見ただけや、石材店に勧められたまま決めてしまわないようにしましょう。どの石種がいいのか、自分の目でしっかりと確かめながら決めることが大切です。実物を見て、触れて、色や艶、強度など、それぞれの石種の特徴を確かめてみましょう。自分の思う墓石を妥協することなく選ぶことが大切です。
墓石を建てる環境によって石を選ぶ
確かに墓石は価格によって、見た目の美しさや強度に大きな違いがあります。しかしその特徴を生かすには、墓石を建てる地域の環境による場合もあります。
例えば、塩を多く含んだ海辺の町に墓地がある場合と、山奥で湿気の多い村にある場合。はたまた、乾燥した都会の町では、それぞれ石に与える影響もずいぶんと違います。
墓石を長持ちさせるためには、環境による外因を考慮することも大事です。
墓石を選ぶときに考えたほうがいいポイント4つ
お墓は一度購入すると、気に入らないからといって簡単に買い替えることはできません。墓石づくりは、後悔のないように慎重に選ぶことが大切です。
とはいえ、お墓について不慣れな私たちは、何を基準に購入すればいいのか分からないですよね。
初めての墓石づくりで必ず押さえてほしいポイント4つをまとめました。墓石を選ぶ際に、前もって考え、準備しておくことで、多くの問題を回避することができます。こちらを参考に墓石づくりを進めてみてください。
<墓石を選ぶときに注意すべきポイント>
- 自分と家族で墓づくりの共有をする
- 自分のニーズに対応してくれる石材業者を探す
- 墓石の石種は自分の目で確かめて
- 墓石を建てる環境によって石の特徴を合わせる
- 地震対策がされているか
それぞれ詳しく解説しますので、みていきましょう。
家族としっかり相談をする
墓石を購入してからよく問題になるのが、家族とのトラブルです。家族との話し合いをせず自分で勝手に決めてしまうことで大きな問題となります。
まずは自分がいったいどんな墓づくりをしたいのか、しっかりと方向を決めます。その考えを家族と共有できるようにしっかりと話し合っておくことが大切です。
信頼できる石材店を選ぶ
複数の石材店に問い合わせして、一番信頼のおける石材店を選ぶことをお薦めします。見積りが安いだけで業者を決めるのではなく、信頼できるか、品質がよいかなど、総合的に判断しましょう。
また、石材店にはさまざまな特徴があります。扱っている石材や、何を得意としているかなどをよく見極めて選んでください。
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見積もりは複数社からとる
石材店が指定されていない場合は、見積もりを複数社からとることをおすすめします。値段を比較できるだけでなく、誠意のある石材店を見つけることができるでしょう。
石材業者としっかり打合せをする
きちんと時間をかけて石材店と打ち合わせをしましょう。
私たちはお墓のこと、石のことは全くの不慣れです。だからといってすべて石材店の言う通りに任せっぱなしはいけません。分からないことは納得するまできちんと訊ねることが大切です。
墓石の購入方法と流れ
墓石は、石材店に注文して購入することになります。墓地に据え付ける前の墓石はただの石碑であり、お墓として遺骨を納骨することができません。墓石づくりと据付工事を合わせて石材店に依頼する必要があります。
お墓を建てる霊園が決まったら、石材店と相談しながら墓石デザインを決めていきます。以下では実際に墓石購入の手続きの流れを紹介します。
墓石購入の流れ
- 石材店に希望を伝える
- 石材やデザイン、費用を打合せする
- 見積り
- 契約
- 墓石の完成
それぞれの項目について、詳しく説明します。参考にしてみてください。
1.石材店に希望を伝える
パンフレットや展示場に足を運んで、信頼のおける石材店が決めましょう。自分がどのようなお墓を建てたいのか、明確に希望を伝えてください。予算やデザインなど、家族と相談して意見を一致させてから石材店と話をするとスムーズに進むでしょう。
2.石材やデザイン、費用を打ち合わせする
墓石の形状の細かい部分について決めていきます。石材店の建墓例や施工事例を見ながら、どのようなお墓にしたいか詳細を詰めていってください。
ここでは絶対に妥協はしないようにしましょう。墓石は大きな買い物になりますので、しっかりと希望条件を担当者に伝えてください。
そして費用については、シビアに考えることが大切です。デザイン墓など、特殊な墓石には思いもよらない費用がかかる場合があります。また、こだわりすぎて予算オーバーになってしまった、なんてことのないように注意してください。
3.見積り
担当者とよく相談した上で、具体的な見積りを出してもらいます。何にどれくらいの費用がかかるのか、見積書をしっかりとチェックしてください。気を付けないと、曖昧な表現で記されている場合があります。
4.契約
しっかりと見積りの確認をし、内容に納得ができたら、契約を交わします。このときに工事の着手金を支払うのが一般的な流れです。前もってどのくらいの金額を用意すべきかを確認しておきましょう。
5.墓石の完成
墓石の契約を行ってから完成までに約2~3か月程度かかります。完成した実物を確認した段階で、残りの費用を支払うという流れが一般的です。
墓石が完成したら、ご遺骨を納骨できるようになります。墓石へ初めて納骨をする際には、「開眼供養(かいげんくよう)と呼ばれる法要を執り行います。詳しくは下記の記事も参考にしてください。
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墓石購入時に確認しておくこと
建墓するにはかなりまとまった費用が必要です。特に現金払いの場合には、いつどのくらいの金額を用意するべきなのかを確認してください。お金の準備していなくて慌ててしまったということのないよう、事前確認が大事です。
また、工事が始まったあとでも、工事の経過を把握しておく必要があります。石材店の担当者と電話やメールなどで連絡を取り合うことも大切です。自分が納得して満足できる墓石を建てるためにはとても重要なことだといえるでしょう。
墓石費用を支払うタイミング
墓石費用の支払い方法は、墓石店によって違います。
通常は契約をする際に、手付金として一部費用を納めます。そしてお墓が完成したら、残りの全額を支払うというのが、一般的な支払い方法です。
お墓の工事を二つに分けて、その一期工事が終わった時に、中間金を支払う方法もあります。その場合は、すべての工事が終了したあとに残金を支払います。着手金、中間金、完成後の残金支払いで、合計3回に分けて支払う方法かたちになります。
墓石の地震対策がされているか
震災級の大地震があったとき、たくさんの墓石が被害を受けたことは記憶に新しいことです。
最近では耐震や免震構造になったお墓が多く取り扱われるようになりました。耐震施工は、日本の墓地では必須条件だと考えておくべきです。
耐震・免震の対策を講じた墓石は、その分料金も高くなります。墓石の見積り額を出してもらう際に石材店から説明してもらいましょう。石材店によって耐震施工の内容は様々ですので、よく確認をしておきましょう。
せっかく建てたお墓が地震で崩れてしまっては泣くに泣けません。東日本大震災のあとから耐震や免震が施された墓石が多く建てられるようになりました。耐震や免震をしていることで、その後の地震では被害がかなり減少したとのことです。
墓石費用が多少高くついたとしても、後々のことを考えると耐震施工を行うかどうかは、検討すべき大切なことです。
墓石費用のローンの取り扱い
お墓を契約した際、永代使用料については一括で支払うのが一般的です。
お墓の費用については通常2~3回程度に分割して支払うことになりますが、手持ちが少なくすぐにお金の都合がつかない場合、墓石工事代をローンにすることもできます。「建墓ローン」の取り扱いについては取り扱いをしていないところもあります。ローンを利用したい場合は前もって石材店に相談しておくようにしましょう。
さて、ここまで墓石の価格や、具体的な購入方法について詳しく解説しました。次に、「墓石」そのものの知識や歴史をご紹介します。そもそも「なぜ墓石を建てるのか?」ということを詳しく解説いたします。
お墓が石で作られる理由には長い歴史がある
墓石は、亡くなった人の遺骨を埋葬する場所に建てる祈りの対象となるものです。
お墓とは石だけではなく、木のお墓(塔婆、樹木葬)や土のお墓(土饅頭)などもあります。しかし、「お墓」というと一般的には石を用いた供養塔のことを指します。私たちも石でできた墓石をまずイメージしますよね。
墓石がなぜ石で作られているのか?その理由はあまり世間一般には知られていません。しかし、お墓が石でつくられることには、ちゃんとした理由があるのです。
墓石の由来は「神を封じた石」
墓石がなぜ石で作られているのか。その由来は日本神話にまで遡ります。
日本の国土を作ったとされるイザナギの命(みこと)とイザナミの命という夫婦の神がいました。イザナミが亡くなった後、恋しがったイザナギは黄泉の国まで会いに行きます。ところが腐敗し蛆の湧いたイザナミの姿に驚いて、イザナギは逃げ出してしまいます。追いかけてきたイザナミを止めるために、イザナギは「千引岩(ちびきいわ)」という巨大な岩で道を塞ぎました。日本神話に登場する「千引岩」が墓石のルーツだと言われています。
黄泉の国とこの世を区切る楔である「石」。石を挟んで、死者と生者の世界が隔てられているのです。墓石の向こうにいる亡き人の存在を感じながら、お墓に手を合わせてみてください。
現在の墓石になるまでの歴史・成り立ち
お墓や墓石の歴史はとても長いものがあります。
弥生時代頃までは権力者の大きなお墓(前方後円墳や墳丘墓など)が目立っていました。
状況が変わったのは、大化2年(646年)の大化の改新で発令された「薄葬令(はくそうれい)」。この薄葬令によって古墳や大規模なお墓が減少していったと考えられています。
そして江戸時代には、土葬が主流だったものが徐々に火葬へと移行します。明治時代には火葬の臭煙課題から火葬禁止令が発令されることもありました。しかしその後は遺体焼却時の臭煙対策も進み、昨今の火葬文化へと進んでいきました。
「墓石」という観点でみると、土葬の時代から墓の上に石を置く文化がありました。埋葬後に動物が掘り起こしたり、荒らされにくくするといった目的もあったようです。
現在のお墓の成り立ちは、江戸時代から明治時代にかけて
江戸時代になると、庶民もお墓を持つようになりました。幕府による寺請制度や檀家制度の始まり、仏教が広く浸透してきた時期です。
明治時代になると家制度の確立により、お墓は個人墓から家族墓に代わっていきます。現在よく見られる「〇〇家之墓」というかたちが定着していったのです。皆さんが最も見慣れている、家単位でつくられたお墓です。
墓石を永く保つ方法
お墓は、亡くなった人と生きている私たちを繋ぐ大切な場所。建てた後のお墓参りや、先祖との繋がりの気持ちこそが大切です。そのためには墓石を永く保たなければなりません。
どんな高価なお墓でも、放置されていれば劣化は早く進みます。こまめにお墓参りに行き、お掃除など手入れを含めた管理が大事です。お墓参り時には簡単にでも墓石の掃除をされることをおすすめします。墓石の掃除用たわし、草むしり用の軍手など道具を持っていくとよいでしょう。
事情があって気軽にお墓参りに行けない場合は代行サービスの活用も検討してみましょう。墓石掃除については下記の記事もぜひ参考にしてみてください。
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納得のいく墓石づくりのイメージはできましたか?
墓石を選ぶためには、知識をつけることも大事ですが、やはり頼れる石材店のサポートが必須といえるでしょう。時間をかけて、じっくりと検討してみてください。
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「お墓」は一生に一度あるかないかの大きな買い物。
後悔のないお墓を建てるためには、パートナーとなる石材店選びがとても重要です。
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- 自分の希望するお墓を建てられるかどうか知りたい
- お墓を建てるまでの流れを知りたい
など、数々の不安を抱えている方が多いのではないでしょうか。
お墓の購入に関しては、初めての方が多いため、不安や疑問を持つことは仕方のないことでしょう。
しかし、お墓購入後に後悔することだけは避けたいですよね。
お墓について詳しく知るには実際に複数の石材店の話を聞き、しっかりと情報収集することをオススメします。
まずは気になる墓石の資料を請求してみましょう。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
墓石に使用される石材は、時代や地域によって異なり、現代では花崗岩が多く使用されています。国産では庵治石(香川県)などが最高級銘柄として有名、また大島石(愛媛県)、稲田石(茨城県)、北木石(岡山県)、万成石(岡山県)など、高級銘石も定番墓石です。
現在建てられている墓石の多くは輸入に頼り、中国やインド産が多いのですが、スピード採掘によりすでに閉山してしまった産地もあります。