墓石に刻む文字は自由!彫刻する場所や言葉の意味について解説

心と刻まれている墓石

墓石の文字とは?徹底解説

  • お墓の文字は家名や戒名を自由に彫り、一般的です。
  • 墓石の文字彫りには様々な技法があり、見た目が異なります。
  • 文字色は地域や宗派により変わり、色褪せは補修が可能です。
  • 墓石の文字は正字が多く、宗派ごとに好まれる書体が存在します。

費用や作成期間、一般的によく使われている言葉など一覧でご紹介します。

今後お墓を購入されるときに、どのような言葉を刻んだら良いのかを決める判断材料にしてください。

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墓石に彫る文字はさまざまあります。
しかし、霊園や寺院によっては墓石の文字を自由に彫れない場合もあります。

  • 自分たちが納得した形で墓石に文字を彫りたい
  • 自分の希望するお墓を建てられるかどうか知りたい

お墓の購入に関しては、初めての方が多いため、不安や疑問を持つことは仕方のないことでしょう。
お墓について詳しく知るには実際に複数の石材店の資料をもらったり話を聞いたりすることをオススメします。

まずは気になる墓石の資料を請求してみましょう。

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この記事の目次

  1. 墓石に彫る文字や位置は自由!
  2. どのような文字を入れるの?墓石で使われる文字例をご紹介
  3. 文字の彫り方で印象も変わる
  4. 墓石に彫られた文字の色を補修する方法
  5. まとめ
  6. お墓をこれから建てる方へ

墓石に彫る文字や位置は自由!

墓石パーツ説明

墓石に彫る文字や位置に、決まりはありません。 どの位置にどのような文字を入れても自由です。

ただ、それぞれの面に入れる文字として、標準的な傾向はあります。 以下が、各面に刻む言葉の標準的な傾向です。

  • 棹石の正面……家名や題目、好きな言葉
  • 棹石の右側面……戒名、没年月日
  • 台石の左側面……建立年月日、建立者名
  • 裏面……建立者名

文字や位置は自由といっても、多くの人が「しっくりなじむ」と考える傾向はあるということです。 それでは、どのような文字を入れるのがいいのでしょうか。 次章では、どのような文字を入れるかを紹介します。

家名を刻む

現在、一般的に多く見られるお墓は、家名を刻んだ墓石です。家名の刻み方にもいくつかあります。

どのような文字を入れるの?墓石で使われる文字例をご紹介

墓石の正面に入れる文字には、「絶対にこの文字を入れるべき」という決まりはありません。

しかし、宗派による傾向や、標準的なものはあります。 標準的な文字と、個性的な文字において、よく使われる文字を解説します。

和型墓石への宗派による一般的な文字

和型墓石に刻まれる文字として、最も一般的なものが、「○○家乃墓」というものです。 これは宗派に限らず、広く使われます。

ただ、宗派によって使われやすい文字の傾向はあります。 それぞれの宗派について詳しく解説しましょう。

浄土真宗は「南無阿弥陀佛」「倶会一処」

「南無阿弥陀佛」(なむあみだぶつ)は、阿弥陀仏に帰依するという意味の、浄土真宗にとって一番大事な言葉です。

帰依とは、仏さまなどの力にすがるという意味です。 「倶会一処」は、「くえいっしょ」と読み、亡くなった人は全て菩薩さまと1つの浄土で会うことができるという意味です。

天台宗は「南無阿弥陀佛」、あるいは梵字(ぼんじ)を入れた後に「○○家先祖代々」などと入れる

天台宗では、本尊の阿弥陀如来に帰依することをあらわす「南無阿弥陀佛」と入れたり、 梵字を入れた後に「○○家先祖代々」などと入れたりするのが一般的です。

梵字とは、仏教の原始経典に使われた言葉であるサンスクリット文字を指します。 梵字を入れる場合は、阿弥陀如来を表す「キリーク」、または大日如来を表す「ア」を入れます。

真言宗は「南無大師遍照金剛」(なむだいしへんじょうこんごう)、あるいは梵字を入れた後に「○○家先祖代々」などと入れる

真言宗では、宗祖の空海に帰依するという意味の「南無大師遍照金剛」を入れたり、 大日如来を表す「ア」の梵字を入れた後に「○○家先祖代々」などと入れたりするのが一般的です。

浄土宗は「南無阿弥陀佛」、あるいは梵字を入れた後に「○○家先祖代々」などと入れる

浄土宗では、本尊の阿弥陀如来に帰依することをあらわす「南無阿弥陀佛」と入れたり、 阿弥陀如来を表す「キリーク」の梵字を入れた後に「○○家先祖代々」などと入れたりするのが一般的です。

臨済宗、曹洞宗は「南無釈迦牟尼佛」、あるいは○を入れた後に「○○家先祖代々」などと入れる

臨済宗、曹洞宗では、本尊であるお釈迦様に帰依するという意味の「南無釈迦牟尼佛」と入れたり、 円相を表す「○」を入れた後に「○○家先祖代々」などと入れたりするのが一般的です。

円相とは、悟りや宇宙などこの世の心理と呼ばれるものを端的に円で象徴させたものです。

日蓮宗では「南無妙法蓮華経」をひげ文字で入れるか、「妙法」と入れた後に「○○家先祖代々」などと入れる

日蓮宗では、信仰対象の経典である法華経に帰依するという意味の「南無妙法蓮華経」を入れます。

ひげ文字と呼ばれる、独特な書体を使うのが一般的です。 たんに「妙法」とひげ文字で入れた後に、「○○家先祖代々」などと入れることもあります。

書体に決まりはない

お墓に刻むときの書体に決まりはありません。

私たちが日常で使うような「楷書(かいしょ)体」、崩し文字の「行書(ぎょうしょ)体」、行書よりももっと崩した「草書(そうしょ)体」、中国由来の「隷書(れいしょ)体」などさまざまあり、自由に選べます。

もっとも、最近では、誰でも読みやすい「楷書体」や「行書体」を選ぶ人が多いでしょう。

洋型墓石に刻む文字

洋型墓石に刻む文字にも、さまざまなパターンがあります。

象徴的な一文字、意味を込めやすい2文字以上、1つの句になっている言葉などです。 それぞれ例をあげてみましょう。

一文字の場合は「心」「愛」「絆」などが主流

一文字であれば、遺された人への印象的なメッセージとなるような、自分の思いを込めた文字が選ばれるのが特徴です。

「心」「愛」「絆」の他に、「縁」「和」「夢」「空」「願」「幸」などがあります。

2文字以上の場合は「誠実」「希望」「一期一会」などが主流

2文字以上の場合は、一文字よりももっと具体的な意味を込めやすくなります。 故人の人柄を表したり、メッセージを表したりするのが特徴です。

「誠実」「希望」「一期一会」の他に、「ありがとう」「感謝」「悠久」「自然」「洗心」などがあります。

1つの句になっている言葉は「心やすらかに」などが主流

1つの句になっている言葉は、故人からのメッセージか、お墓をつくった家族からのメッセージが選ばれるのが特徴です。

「心やすらかに」の他に、「また会う日まで」「いい人生、いい旅立ち」「会いに来てくれてありがとう」などがあります。

一般的に墓石に刻む文字には「正字」を利用

墓石に刻む文字は、「正字」が使われます。

「正字」とは、「正規文字」のことであり、「略字」や「俗字」に対し、正当に記載される文字という意味を持ちます。

例えば、「灯」は正しい漢字ですが、新字体であり「正字」ではありません。 「灯」の「正字」は、「燈」になります。

このように、自分が普段何気なく使っている字体も「正字」ではない可能性があるため、詳しくは石材業者に相談しましょう。

もっとも、最近では自分の書いた文字をそのままトレースして刻むオリジナルなお墓もあり、その場合は「正字」なのかどうかはそれほど気にする必要はないでしょう。

棹石の側面や裏面に戒名や没年などを刻む

和型の家墓では、埋葬される人の戒名、没年月日、俗名、享年を棹石の側面や裏面に刻んでいきます。
どこにどのような順で刻むかは宗派や地域によっても異なりますが、向かって右側面の右側から順に刻んでいくことが多いようです。
敷地に余裕があれば墓誌を建ててそこに刻むこともあります。
俗名は、生前の姓名で、煩悩に満ちているといった理由から墓石に刻まないという考え方もあります。
個人墓や夫婦墓で、戒名を棹石正面に刻んだ場合も、没年月日や俗名、享年を棹石側面や裏面に刻みます。

棹石の左側面や裏面に建立者名や建立年月日を刻む

墓石には、建立者名や建立年月日も刻みます。刻む場所は、棹石は仏石なので避けて、へりくだって上台石左側面に刻むのが良いとも言われます。
しかし、上台石側面が狭いことから、棹石の左側面や裏面に刻むことも多いようです。
建立年月日は「〇年〇月吉日」としたり、埋葬者の回忌、法要などの年月日にします。
年は、和型は元号で表し、洋型は西暦で表すことが増えています。

文字の間違いには注意しましょう

文字などを石に刻んでしまうと、直すことはほとんど不可能です。石材店とのやりとりの中で、文字や書体に間違いがないかしっかり確認しましょう。
原稿を書くときに、うっかり間違えていることもあります。
元の原稿と照合するだけでなく、戒名や位牌などと確認することも大切です。1人だけでなく、何人かで目を通し確認すると安心です。

個性的なデザイン墓石には、オリジナルのメッセージ

和型でも洋型でもない、個性的なデザイン墓石には、オリジナルのメッセージが彫られることが多いものです。 墓石の形とセットで例をあげてみましょう。

楽器の形をしたお墓に「Harmony」「響」

オーケストラをこよなく愛した故人のために、ピアノやバイオリンの形をしたお墓をつくり、 音楽の象徴的な言葉である「Harmony」や「響」を刻みます。

バイクの形をしたお墓に「風」

バイクが好きだった故人のために、バイクを模したお墓をつくり、 颯爽と走る様子をほうふつさせる「風」を刻みます。

水の流紋をモチーフにしたデザイン墓石に「海」

海をこよなく愛した故人のために、水の流紋をモチーフにしたデザイン墓石を選び、 「海」「流」「自由」など、広大な海を思わせる言葉を刻みます。

他、デザイン墓石に刻まれる文字は「和やか」「偲ぶ」など、直接的な意味を持つものが多いのも特徴です。故人やお墓を建てた人の想いをダイレクトに表す文字にする傾向があるといえるでしょう。

好きな文字や言葉を刻むメリット

こういった文字を刻むことで、子どもが女子だけの家庭で娘が結婚後に姓が変わっても、家名の入っていないお墓であれば、娘が承継しても、違和感がないというメリットがあります。
家名を刻まないことで、承継者の名字が変わっても墓石を刻みなおす必要がありません。

好きな文字や言葉を刻むデメリット

家墓として代々承継していくお墓では、あまり個性的な文字を刻んでしまうと、のちの人に違和感を与えることになるかもしれません。
これから承継していく人やお参りに来てくれる親類などのことも考え、刻む文字を考えましょう。
奇をてらった文字や語句を選ぶことはおすすめできません。

また、宗教的に向かない文字もあったり、自由に文字を刻むことができない墓地もあるので、寺院墓地などでは確認することが大切です。

以上、宗派や形状別に、お墓に刻まれる文字について解説しました。

同じ文字でも、彫り方で印象が変わる場合があります。 次章では、彫刻方法について説明しましょう。

文字の彫り方で印象も変わる

文字を彫刻するためには、さまざまな方法があります。

彫り方の名称と、どのような特徴があるのかを、それぞれ説明します。

彫り方の名称は絶対的なものではなく、石材業者によって違うことがあるため 彫刻方法を決める際には、必ずサンプルを見せてもらいましょう。

彫り込み

彫り込みは、最もスタンダードな彫刻方法です。 ハッキリと文字が浮かび上がるのが特徴で、とくに筆を置く地点を深く彫り込むことでメリハリがつきます。 関西のほうが、関東よりも深い彫りを好みます。

浮かし彫り

文字部分を彫るのではなく、文字の周囲を削って文字を浮き立たせる彫刻法です。 文字部分にペンキを入れるといった工夫をしなくても、簡単に文字を目立たせることができます。

平彫り

筆を置く地点などで堀の強弱をつけることなく、平らに彫る方法です。 迫力はないものの、スッキリとたおやかな印象があります。

ヤゲン彫り

V字の彫刻刀で彫り込む手法で、文字の中央にスジがつきます。 梵字などに多く用いられます。

線彫り

スジ彫りとも呼ばれ、細く線の部分を彫り込む技法です。 文字よりも、周りの絵などに用いられることが多く、繊細な表現が魅力です。

以上、墓石文字の彫刻方法について紹介しました。好みの文字を使い、好みの彫刻方法を指定すれば、個性をぐっと表すことができるでしょう。

次に彫刻する文字の色について解説します。

刻んだ文字の彩色について

地域によっては、墓石に刻んだ文字に色を塗るところもあります。生きているうちに建てたお墓である寿陵では、文字を朱で塗ります。
故人を祀ったお墓でも、建立者が生存中の場合は、建立者名は朱で塗り、名号など仏を表す文字は金色、その他の文字は濃紺にするのが基本とされています。
ただ、地域による違いもあり、文字を刻んだまま何も塗らないお墓や、好きな色に塗っているものもあります。

最近よくある悩みが、「先祖代々のお墓の文字が色あせてきた」というものです。 文字の色を補修するには、どうすればいいのでしょうか。

次章では、業者にお願いする方法と、自分で補修する方法をお伝えします。

墓石に彫られた文字の色を補修する方法

墓石に彫られた文字の色は、長い年月を経て色あせてきます。 業者にお願いしても、それほどの値段にはなりませんが、自分で補修することもできます。

両方の方法について解説しましょう。

業者にお願いする方法

業者に文字の色の補修をお願いすると、だいたい1万円から3万円程度が費用としてかかります。朱文字を白にする、剥げた部分を塗る、新たに塗るなど、いずれも値段はそれほど変わりません。

「実家のお墓が遠くて、往復だけでも新幹線で3万円はかかってしまう……」 という場合には、自力で補修するより、墓石業者に依頼するのがいいでしょう。

墓石業者は、霊園やお寺の指定店を選ぶとトラブルがありません。 どの業者がよいか、墓地管理者に問い合わせてみましょう。

自力で補修する方法

お墓が近くにある、またはお墓参りのため近々帰郷するなどの用事がある場合は、自分で補修することも考えてみましょう。

補修は市販のペンキでできます。補修の流れは、次の通りです。

  1. ペイント落としなどで文字表面の色を完全に落とす
  2. ペイント落としを水洗いし、乾かす
  3. 文字部分にペンキを塗る
  4. はみ出た部分をカッターなどで削る

肝心なのが、ペイント落としをキレイに落とし、墓石を乾かす作業です。

ここを無視してしまうと、せっかく新しいペンキを入れても、すぐに剥がれてしまうことになります。 作業は天気の良い日を選び、一日乾かして後日ペンキ入れをするなど、日にちに余裕を持って行いましょう。

まとめ

以上、墓石に彫る文字についてお伝えしました。

どのようなお墓に、どんな文字を彫ったらよいか、イメージを膨らませることができたでしょうか。

なお、お墓のメンテナンス法を知っていれば、「ちょっとだけ補修したい」と思ったときにも役立ちます。 ぜひ、参考にしてください。

また墓石の文字以外にも、お墓を建てるにあたって必要な選択は数々あります。墓石全般の基礎知識ついて詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。

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