長い人生のなかでは、自分や家族のお墓について考える機会が訪れるかもしれません。

そうなったとき、どのような方法で情報を集めますか。家族や知り合いにアドバイスを求めつつ、お墓のプロからも意見を聞きたいと考える人は多いはずです。

しかし、何の情報もないまま、いきなり石材店に足を運ぶのは少しハードルが高いもの。

そのような人におすすめしたいのが、ブログやYouTubeを通じてお墓の情報発信をしている“YouTuber・なかのさん”です。

今回のライフエンディングジャーナルは、石材店に勤務しながらYouTubeやSNSで情報発信を行う“なかのさん”こと中野良一さんにインタビューを行いました。お墓について考えている人はぜひ参考にしてください。

『おはかのなかの』を運営する中野良一さんのプロフィール

まずは、中野さんのプロフィールをご紹介します。

中野良一さん
  • 氏名:中野 良一
  • 勤務先:羽黒石材工業株式会社(茨城県)
  • 大切にしている3つのこと
    家族:家族との時間は尊いものであって、かけがえのない存在です。
    祈り:Quality of life 祈りを日常に取り入れて生活の質を高めています。
    マインドフルネス:しっかりと両足で地面に立っている感覚、ものごとをありのままに受け止め、今この時点に心があることを意識しています。

中野さんは、1級お墓ディレクターをはじめ、建築石材アドバイザーなど、さまざまな資格を取得しています。

「多角的にお墓を学びたい」という考えから、お墓の基礎を作るために必要な土木知識から石材学、心理学、仏教・神道、マーケティングまで幅広い分野に知見があります。

その博学ぶりは、映画評論家の有村崑さんに「お墓のアインシュタイン」と名付けられたほどです。

「お墓を通じて人々に豊かな幸せを提供したい」と願う中野さんは、人間が成長するためには「つながり」と「感謝の心を豊かにすること」のふたつが重要と考え、ご先祖様とのつながりを感じ、感謝の心を育めるお墓の提供を目指しています。

中野さんの経歴

お墓のアインシュタインと呼ばれるまでになった、中野さんの経歴を紹介します。

1976年 茨城県桜川市に誕生
2002年 茨城県桜川市にある羽黒石材工業株式会社に入社・土木監督として活動
2009年 羽黒石材工業のWebマーケティングを担当
2017年 クラウドファンディングにて「ご先祖さまの大切さ」を伝えるマンガを制作
2018年 いのちの積み木プロジェクトの設立
2018年 いのちの積み木ワークショップファシリテーター制度の開始

中野さんが手がけるメディア・プロジェクト

多種多様な分野で活躍される中野さんが携わっているメディアやプロジェクトのなかから、代表的な3つを紹介します。

ブログ『おはかのなかの』

おはかのなかのブログ

中野さんは『おはかのなかの』ブログで、墓石の種類や掃除方法から供養・納骨のかたち、茨城・栃木県の観光情報まで、さまざまなジャンルの記事を投稿しています。画像や動画を交えた読みやすい構成になっていて、お墓に関する幅広い知識を身につけられます。

YouTubeチャンネル『おはかのなかのch』

なかのさんの公式YouTubeチャンネルでは、お墓掃除の方法や意外と知られていない墓石業界の事情、またお墓の種類などが説明されています。なかのさんのわかりやすい説明と編集で見やすい作りになっています。

いのちの積み木プロジェクト

いのちの積み木

いのちの積み木とは、ご先祖様を「見える化」した積み木であり、宇都宮市にある浄土宗光琳寺の井上広法住職が考案したものです。いのちの積み木プロジェクトではセミナーやイベントを全国各地で開催して、ご先祖様に感謝を伝える習慣の大切さを伝え、心のしなやかさを育んでいます。

石材店に勤務するかたわらで、YouTuberやブロガーとしても活躍する中野さんの人物像が気になりますね。

そこで、ここでは中野さんに行ったインタビューをもとに、中野さんの取り組みと、思いをまとめました。※Zoomにて取材を行いました。

中野さん

お墓について悩んでいる人は、きっとヒントを見つけられるのではないでしょうか。

中野良一さんへのインタビュー

編集部ロゴLife.編集部

ブログからYouTubeまで、中野さんのご活動を一通り拝見しました。質問はたくさんあるのですが、まずは中野さんがお墓の業界に入ることになった経緯を教えていただけますか。

中野さん:大学は経営学部だったこともあり、まったくお墓を意識したことはありませんでした。

卒業後は自分の親せきが経営している、今の石材店に就職しましたが、土木工事も請け負っている会社で、私自身も土木の現場監督を務めていました。

墓石販売を始めたのは30代に入ってからで、そのときになって初めてお墓の勉強を始めたのです。

編集部ロゴLife.編集部

30代から始めて、今や「お墓のアインシュタイン」とまで呼ばれているのだからすごいですよね。ここまでたくさんの勉強をされてきたかと思いますが、その熱意の源を教えていただけますか。

中野さん:日本には国内で作られた良質な墓石がたくさんあります。

しかし、残念ながら近年中国産が増えてきたことで、国産の墓石が売れなくなってきているのです。

その現状を憂いて、日本の石材の良さを知ってもらいたいという気持ちでブログを立ち上げました。ただ書くのではなくオンラインのスキルも必要だと考え、プログラミングも勉強しましたね。

編集部ロゴLife.編集部

ブログやSNSをしている業者さんは少なくありませんが、プログラミングまで学習する方は珍しいですよね。実際にブログを立ち上げてみてどう感じましたか。

中野さん:自分の言葉で伝えることの大切さを、より深く理解しました。

今でも外注することなく、すべて自分で記事を執筆・発信しています。

さまざまな分野を学習して、そこで得た知識をブログで発信するのはおもしろく、お墓ディレクターの資格を取得していくなかでどんどんハマっていきました。

編集部ロゴLife.編集部

確かに人に書いてもらった文章と、自分が書いた文章では伝わる熱量が違いますよね。ブログが中野さんに合っていたのかもしれませんが、お墓の情報発信に使命感を覚える出来事がなにかあったのでしょうか。

中野さん:ブログを開始してからファンが増え、多くの方々からお声を掛けていただけるようになりました。

そのブログで培った信用をもとにクラウドファンディングに挑戦して漫画を制作しましたが、その過程で井上広法先生との出会いによって環境が一変しました。

広法先生は、TVなどのメディアでも活躍され、心理学も大学で学ばれています。師が仏教や心理学をわかりやすく教えてくださったことが刺激になり、もっといろいろなことを知りたい、広めたいと思うようになりました。

今までの情報発信を通じて一番強く感じていることは、結局は人と人とのつながりなんだということです。ブログやSNSも突き詰めるとアナログなもので、地道な関係性の構築の上に成り立っています。

編集部ロゴLife.編集部

SNSがアナログというのは、おもしろい着眼点ですね。ブログを拝見したとき「祈りの意味を伝えていきたい」という言葉が印象に残りましたが、ここでいう「祈り」の意味と、その大切さを教えていただけますか。

中野さん:「コロコロするのが心」と、井上先生はおっしゃっています。

心が不安定だから人は悩むのですね。ご先祖様への感謝や神仏への祈りの心を身につけると、迷いやすい心を定めることができ、心もラクになります。

感謝や祈りの気持ちを増やしたほうがポジティブになり、日常生活や仕事、そして人間関係がうまくいくそうです。心理学的にも良いと証明されているので、ぜひみなさんの日常にも取り入れていただきたいですね。

編集部ロゴLife.編集部

そう考えると、感謝の祈りをささげる場所となるお墓はとても大切な存在なのですね。ここからは「いのちの積み木」の活動についてお聞かせいただきたいのですが、講演やワークショップを通じて印象に残った受講者のお言葉などはありますか。

中野さん:講話を聞いて涙を流す方もいらっしゃる一方で、「ピンとこない。よくわからなかった」とおっしゃる方もいました。

ご先祖様が心の中にどれぐらいいられるのかは、その人によって変わります。

だけど、しばらくたってから「講話を聴いて良かった」というメールをいただきました。心に植え付けられた種がぽっと芽吹いたのだと思いますが、そういうのが嬉しいですね。

編集部ロゴLife.編集部

精力的な活動を展開していくなかで、一般の人の意識も変わっていくかもしれませんね。今後、ブログやYouTube、プロジェクトの活動で何か計画していることがあれば教えてください。

中野さん:「お墓に親しんでもらう」を人生のミッションとして掲げ、TwitterやYouTube、ブログなど、それぞれの媒体を使い分けていきたいと考えています。そのなかでもYouTubeをメインにしていく予定です。

編集部ロゴLife.編集部

これからのご活躍を楽しみにしています。話は少し変わりますが、近年墓じまいを選択する人が増えていると耳にしています。そのような方には、どのような声掛けをされていますか。

中野さん:長年続いたお墓を閉じてしまうのは悲しさもありますが、まずはそれぞれの家庭の事情を聞き、心の中をくみ取ることが大切です。

悩みを聞いてあげることです。その上で、墓じまいとはお墓の引っ越しのことですので、どのように引っ越すのかについて具体的に相談をしていきます。

編集部ロゴLife.編集部

なかには「お墓はいらない」と言って、散骨や手元供養を選択する方が増えてきていますよね。このような供養に対する社会的価値観の変化についてはどのようにお考えですか。

中野さん:医療、介護、福祉に続いて供養は必要となるもので、お坊さんや私たち供養に携わる者の仕事は重要な役割を担っています。カタチは変わっても、亡くなった人への供養の心が無くなったわけではありません。

鬼滅の刃が大ヒットしたのは、主人公である竈門炭治郎がとことんまで優しいからだとう話があります。

誰にでも分け隔てなく優しく、鬼にまでも優しい。Compassionコンパッション(思いやり・慈悲)が心理学の分野で重視されていますが、人々の心が先の見えない厳しい時代に癒し系の優しいヒーロー像を求めているのかもしれません。

その鬼滅の刃では、映画の冒頭や漫画の最終巻などで、お墓参りのシーンが印象的に描かれています。

人の命、人生は決して軽くはありません。辛い心を癒し、そして生きる意味を教えてくれるのがお墓なのです。

編集部ロゴLife.編集部

斬新な着眼点ですね!最後にライフドットの読者向けにメッセージをお願いいたします。


中野さん
:YouTubeではお墓に関するさまざまな知識を披露しています。興味のある方はぜひ一度ご覧ください。

編集部ロゴLife.編集部

供養の変化に柔軟な考えを持ちながらも、お墓を大切にする中野さんの姿が印象的です。貴重なお話をありがとうございます!


編集後記

インタビューからは中野さんのお墓に対する熱い考え方が伝わってきました。YouTuberが一般に浸透した今、ますます中野さんの知名度が上がっていきそうです。時代にうまく合わせられる柔軟性こそが中野さんの魅力だと感じました。

ライフエンディングジャーナルは、「Life.(ライフドット)」が企画・発信する特別インタビュー企画です。ライフエンディング業界のイマを取り上げ直接取材し、業界全体をライフドットからも盛り上げて行きます。業界に関わるサービスや商品、そして第一線で活躍する人々にフォーカスし、ライフエンディング業界に対する想いやこれからの展望をお届けいたします。