ペットを家族の一員としてかわいがる人が増えています。しかしその分、亡くなったときの悲しみは計り知れず、実際にペットロスに陥る人も少なくありません。人によっては10年以上も悲しみを引きずる人もいると聞きます。

そのような人の心に少しでも寄り添えるようにと、ウービィー株式会社が提案しているのが『真珠葬』です。

虹の守珠
今回はアコヤガイにペットのご遺骨を託して真珠をつくる新しい供養方法『真珠葬』を、ウービィー株式会社代表・増田様のインタビューを交えながら紹介します。

ペットの供養方法を考えている人や、ペットロスから立ち直れていないという人はぜひ参考にしてください。世界に一つだけの真珠を、大好きなペットのご遺骨から作ることができるのって素敵ですよね。

『真珠葬』とは、ペットのご遺骨から真珠をつくる供養方法

ディディエ君の位牌と虹の守珠

真珠葬とは亡くなったペットのご遺骨を核としてアコヤガイに入れ、約1年かけて真珠へと変えていく供養の方法。ウービィー株式会社が2019年に立ち上げた事業です。

長崎県五島列島に浮かぶ小さな島・奈留島の美しい海に抱かれて、虹色の真珠に生まれ変わったご遺骨は『虹の守珠(にじのもりだま)』と呼ばれます。

オリジナルの『虹の守珠(にじのもりだま)』が出来上がるまで

匠の手仕事と先端技術で作られるオーダーメイドの真珠・虹の守珠は、以下のような数々の工程を経て丁寧に作られます。

    1. 遺骨が埋められている真珠の核
      虹守核の作成
      :ご遺骨を樹脂でコーティングした核、通称『虹守核(にじもりかく)』を作成します。
    2. アコヤガイへの核入れ
      核入れ
      :真珠養殖職人の高度な技で虹守核をアコヤガイに託します。
    3. アコヤガイの入ったネット
      養生
      :虹守核が入ったアコヤガイ(=母貝)を静かな海で3~4週間、安静に休ませます。この間に母貝から核が吐き出されてしまうこともありますが、真珠葬では虹守核が海のなかに落ちないように特殊な保護ケースで母貝を守ります。
    4. 沖だしネット
      沖出し
      :母貝を育成用ネットに移して、栄養豊富な沖合いの海へ移動させます。
    5. アコヤガイの掃除
      お手入れ
      :虹の守珠の生育を助けるために、定期的に母貝の表面を掃除します。
    6. 浜揚げ
      浜揚げ
      :核入れから約1年後、母貝から虹の守珠を取り出し、お客様にお渡しします。

このような工程を経て、虹の守珠が完成します。季節にもよりますが、約1年~1年半ほどの期間がかかります。

『真珠葬』の特徴

亡くなったペットのご遺骨を美しい真珠に生まれ変わらせる真珠葬。工程には通常の真珠養殖とは異なるさまざまな工夫が取り入れられています。

<特徴>

  • 長崎県の奈留島で作る
  • 自然の力で作るため世界に一つしかないものが出来上がる
  • ICチップで確かめられる

それぞれの特徴を詳しく紹介します。

長崎県の奈留島で作る

奈留島の風景

虹の守珠を育むのは長崎県五島列島奈留島の澄み切った海。対馬暖流が流れる海には天然のアコヤガイが生息しています。

この天然種苗を使って広々とした海面で育てられた健康なアコヤガイは大きな虹の守珠を作りだしてくれます。

自然の力で作るため世界に一つしかないものが出来上がる

取り出されたばかりの真珠

宝石店などで販売されている真珠はさまざまな加工がされているため、真っ白に見えています。

しかし虹の守珠は、これらの加工をすることなく、母貝から生まれたままの姿でお客様にお渡ししています。

その大きさ、かたち、色合いは千差万別、すべて違います。世界にひとつだけの真珠は、きっとペットの在りし日の姿を感じられるはずです。

ICチップで確かめられる

ICリーダー

虹守核には、ご遺骨とともに耐久性と安全性を併せ持つ極小サイズのICチップを封入しています。

ICチップには世界でただひとつの個体認識番号が記録されているため、他の虹守核と間違えることがありません。この番号は、いつでも確認することができます。


真珠葬という新しい供養方法を生み出したウービィー株式会社。

今回は真珠葬の誕生秘話を、開発者のお一人である代表の増田さんにたっぷりと伺いました。

真珠葬を販売するウービィー株式会社の増田さんにインタビュー

編集部ロゴLife.編集部

真珠葬という存在を今回私は初めて知ったのですが、とてもロマンティックな供養方法ですね。誕生のきっかけは長崎大学水産学部の松下教授との出会いと伺っていますが、このときのエピソードを教えていただけますか。

増田さん:きっかけは本当に偶然、すべてがご縁だったと思います。

松下教授と多賀真珠の清水社長、そして私の3人が奈留島で偶然ご一緒することがあり、その時に「どんなものでもアコヤガイが受け入れれば真珠になる」と清水社長が話され、松下教授は「犬の遺骨も(真珠に)できますか」と尋ねていました。

当時松下教授は愛犬を亡くされていて、深い悲しみを抱いていたようなのです。

「(犬のご遺骨から真珠が)できるのではないか」と清水社長がお答えし、「愛犬の形見がきれいな真珠だったらどんなに良いだろう」と松下教授が思われたことが出発点です。

だから、きっかけは本当に偶然ですね。始めはビジネスを目的にしていたわけではありません。

島の皆さまと五島市さまからこのアイデアにご支援いただき、2年後に奈留島オフィスを構えて真珠葬としてリリースすることができました。

編集部ロゴLife.編集部

なるほど、松下教授の個人的な思いから生まれたものだったのですね。ペットが家族の一員と感じる人が多い昨今、ペットの供養方法も多様化していますが、そのなかで真珠葬が良いと思う理由を教えていただけますか。

増田さん美しく、世界にたったひとつの真珠ができあがるという点がまずひとつ。

そして、1年という長い期間をかけて虹の守珠となることが、真珠葬ならではの魅力と捉えています。

常に寄り添ってくれていた大切な家族がいなくなって強い喪失感を覚えるのは無理のないことだと思います。

ゆっくりとご遺骨を真珠に変えていく1年という期間は飼い主様のさまざまな感情を整理できる、癒しの期間になるのではないでしょうか。そうなってくれたらとてもうれしいです。

編集部ロゴLife.編集部

おっしゃる通りですね。虹の守珠がゆっくりと作られていくように、飼い主さんの心もゆっくりと癒されていくといいですよね。この真珠葬を行うためには真珠を養殖する職人さんによる高い技術が欠かせないと思いますが、開発時は苦労された点も多かったのではないでしょうか。

増田さん:そうですね、ご遺骨をアコヤガイが受け入れやすい形状にするのは本当に大変で、長い時間を費やしました。

虹守核は一般的な真珠核とは違って真球ではないため、真珠養殖用の核入れ器具が使えず、自分たちで開発したほどです。

あとは個体識別管理方法についてもかなり研究を重ねましたね。

アコヤガイに入った虹守核がどなたのものか、また生まれた虹の守珠がどなたのものなのかを間違いなく判別するために、虹守核のひとつひとつに水生生物用世界最小のICチップを挿入しています。

核に入れられるICチップ

プロジェクトの始動からリリースまでの約2年間は本当に大変なことばかりでしたが、松下教授も清水社長もすごく楽しそうでした。

誕生時に松下教授が海から戻った愛犬ランちゃんの真珠を手のひらに乗せて微笑みながら涙を浮かべたことが今でも忘れられません。

編集部ロゴLife.編集部

とても感動的なエピソードですね、ありがとうございます。真珠葬には夏葬と秋葬があるそうですが、虹の守珠の誕生時期に差が出るそうですね。これはなぜなのでしょうか。

増田さん:一般的に真珠の核入れは水温が20℃前後になる初夏と晩秋に行われます。夏の暖かい海で真珠が育ち、冷たい海水で真珠の光に磨きがかかります。

初夏に核入れできた虹の守珠の誕生は翌年の3月、晩秋に核入れできた虹の守珠の誕生は翌年の12月が誕生予定となるのはこのためです。

編集部ロゴLife.編集部

時季に合わせて丁寧な心配りがされているのですね。心配りと言えば、浜揚げまでの1年間、お客様に進捗報告を行っていると伺いましたが、この内容について詳しく教えていただけますか。

増田さん:1年間に15~20回ほど、真珠葬の進み具合や島の四季を感じていただくために写真と動画をお送りしています。お手紙も2回ほどお送りしていますね。

お客様からの反応も良く、奈留島へ出発するときには旅立つ家族へのメッセージ、海の中に入るときには「お魚さんに仲良くしてもらってね」といったメッセージ、海の美しい写真には「ここで頑張っているんだな。自分も頑張らないと」というようなメッセージ、誕生間近のご連絡には「ドキドキする!迎えに行きます!」などのメッセージが寄せられます。

最初は愛する家族との別れの悲しみをつづったメッセージが目立ちますが、徐々に再会を期待する、前向きなメッセージが増えていくような印象です。

編集部ロゴLife.編集部

お客様の気持ちが虹の守珠が生まれてくるまでの間に変化しているのですね。そんなお客様との印象的なエピソードがありましたらぜひ教えてください。

増田さん:弊社では浜揚げの時期が決まったらお客様にご案内を差し上げていて、立ち合い希望のご連絡をいただけたら、日程や旅程のご相談をさせていただく流れになっています。

立ち合いではいつも皆さまから感動をいただいていますね。そのなかでも特に印象的だったのが、あるお客様が海から上がってきたアコヤガイをお掃除しながら「1年間、ずっとこうしてお世話をしてあげたかったのよ」と語り掛けていたことです。

虹の守珠に「お帰りなさい。待っていたのよ」と語り掛けたお客様の優しい眼差しと、同日お迎えに来られていたお客様達からの「おめでとう!キレイ!頑張ったね!」というたくさんのお祝いの言葉が印象的でした。

その場にいた人すべての人が一体感のある優しさに包まれて、とても幸せな時間を共有させていただきました。

編集部ロゴLife.編集部

聞いているだけで胸が熱くなってくる、感動的なエピソードですね。自分ご自身でアコヤガイのお掃除をするというところに愛情深さが感じられます。

増田さん:そうなんですよね。アコヤガイには海藻や他の生き物がたくさん付着していたのですが、その方は手袋を外して素手で取り上げられていて…。そういったところからも愛犬への深い愛情が伝わってきました。

編集部ロゴLife.編集部

またお世話できることに喜びを感じていたのかもしれませんね。


増田さん:大切な家族を亡くしたことを自分のせいだと思い後悔されていたお客様も、貝のお掃除をすることで「自分を許せたような気がする」「まだこの子のためにしてあげられることがあった」と口にしていました。

生き物がつくる宝石って真珠ぐらいなのですが、海から命をもらっているというイメージがあって感情移入しやすいのかもしれませんね。

編集部ロゴLife.編集部

とても素敵なエピソードをありがとうございます。最後にこのライフドットの読者に対してメッセージをお願いいたします。

増田さん:いつも一緒に過ごした大切な家族がいなくなった悲しみを、私たちは知っています。

真珠葬ではこの悲しみをゆっくりと癒す「時の流れ」と「Reincarnation(転生)」をお届けしています。

もしも真珠葬を希望されるということであれば、ぜひ思い出を作る気持ちでお立会いください。

きっと虹の守珠とともにひとつの区切りを迎えられると信じています。美しい五島の海で育つ新しい愛のかたち、優しい光に包まれた虹の守珠が皆さまに笑顔を届けられますように。

編集部ロゴLife.編集部

世界に一つだけの真珠へと生まれ変わったペットのご遺骨が、ご家族の気持ちを明るく照らしてくれそうですね。貴重なお話をありがとうございます!

『真珠葬』を提供する企業の概要

企画・販売会社 ウービィー株式会社
代表者 増田 智江
所在地 (東京オフィス)
東京都新宿区四谷坂町2番33号
(奈留島オフィス)
長崎県五島市奈留町浦235-12
真珠葬サイト https://shinjusou.jp/
真珠葬のお客様の声が集まったサイト https://moridama.jp/

編集後記

技術と五島列島奈留島の美しい海など、いくつもの条件が重なって誕生した真珠葬はまさに奇跡のような供養方法だと感じました。宝石店に並ぶ真っ白な真珠ではなく、ひとつひとつ色味が異なるところにも趣が感じられます。まだ立ち上がったばかりの事業ですが、今後の拡大に期待したいです!

ライフエンディングジャーナルは、「Life.(ライフドット)」が企画・発信する特別インタビュー企画です。ライフエンディング業界のイマを取り上げ直接取材し、業界全体をライフドットからも盛り上げて行きます。業界に関わるサービスや商品、そして第一線で活躍する人々にフォーカスし、ライフエンディング業界に対する想いやこれからの展望をお届けいたします。