生活者とお寺をつなぐ『まいてら』のご紹介

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ライフエンディングジャーナル第9弾。今回は、生活者とお寺のご縁を育むポータルサイト『まいてら』をご紹介します。

『まいてら』とは?

安心のお寺の10ヶ条一般社団法人 お寺の未来が運営する、お寺紹介のポータルサイト。日本全国の数百を超えるお寺への運営支援を通じ、良きお寺に備わっている『安心のお寺10ヶ条』を独自で見出している。『まいてら』に掲載されるお寺は、厳正な登録審査プロセスを経た総合判断に基づいて登録が承認された、「安心のお寺」のみ。また個別のお寺紹介ページでは、住職のコメントだけではなく顔写真も掲載されており、より安心感が伝わる内容となっている。

今回インタビューに応じてくださったのは、『まいてら』を運営する社団法人の代表である井出氏。なぜお寺に特化した会社を立ち上げたのか、今後のメディアが目指す未来とは?などたくさん語っていただきました。

井出様と成田住職

井出 悦郎氏 プロフィール

人間形成に資する思想・哲学に関心があり、大学では中国哲学を専攻。銀行、ITベンチャー、経営コンサルティングを経て、「これからの人づくりのヒント」と直感した仏教との出会いを機縁に、『まいてら』を運営する一般社団法人お寺の未来を創業。同社代表理事を務める。

また、今回取材場所としてご協力いただいたのは、東京都世田谷区にある『感応寺』。感応寺の成田住職にもお話をお聞きし、まいてらに期待されていることを教えていただきました。

お寺を支えるパートナーを目指す『まいてら』と、『まいてら』に期待をする寺院側。どのような関係なのか、この記事を読んでいただくとご理解いただけることでしょう。

 取材・文/Life.編集部

この記事の目次

  1. 『まいてら』を立ち上げた背景
  2. 『まいてら』が果たす役割と運営で心がけていること
  3. 『まいてら』のオススメ活用法
  4. 今後の『まいてら』について
  5. 寺院側が『まいてら』に期待すること
  6. 『まいてら』の概要

『まいてら』を立ち上げた背景

編集部ロゴLife.編集部

まず初めに、『まいてら』を運営される一般社団法人お寺の未来の立ち上げに至った経緯をお聞きしたいです。井出さんはこれまでに、経営コンサルタントや金融業界などさまざまな業界をご経験されているそうですが、なぜ寺院発展のパートナーという立場で創業されることになったのでしょうか?

井出さん:経営コンサルをしていた時に、仏教系大学の経営改革に取り組んだことが大きなきっかけです。

訪問した際に、寺院出身の教職員の人たちが全体的にゆったりとした癒される人柄ばかりだなと感じて…。その雰囲気は、私が勤めていたコンサル業界の厳しい雰囲気とは真逆でした。コンプライアンスや四半期決算の波の中で、大きな懐で人を包み込むという、企業が失ってしまった大切なものを仏教やお寺は持っているのではないかと。

また、企業とお寺の時間軸の違いにも驚きました。

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時間軸の違いですか…。具体的にはどのような事でしょう?

井出さん:「ゴーイングコンサーン」という考え方があります。企業経営は、企業が継続することを前提に物事を計画します。しかし、ゴーイングコンサーンはあくまでも結果であり、短期的に収益を積み重ねていかない限り、企業は存続できません。コンサルティングとして外部から関わる際も、クライアントからの要請もあり、短期的な課題解決に傾きがちです。

一方で寺院のお話を聞いていると、短期的な浮き沈みよりも、次世代に継承することを重要視しており、寺院のその長期的な目線に感化されました。まさにゴーイングコンサーンだなと。ちょうどその時に私自身子供が生まれたばかりだったという事もあり、次世代にどう繋げるかという長期目線で物事を考えるようになり始めたタイミングとも重なりました。

そして、同時期に友人と始めた寺院向け経営塾に発展の可能性が見え始め、寺院の経営支援を本格的に行っていこうと独立して立ち上げたのが「一般社団法人 お寺の未来」です。一緒に次の世代へ繋がる経営に携わっていこうと。

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長いところですと、寺院自体が何百年と歴史を重ねていらっしゃいますもんね…。過去からこれまで、未来へと長期的な目線という部分に非常に納得がいきました。その点で言うと、寺院の存在というのが過去と現在では変わってきていると思いますがいかがでしょうか。

井出さん:もちろん檀家制度が国として行われていた江戸時代から考えると、現在の寺院の存在は大きく異なります。昔の寺院は、地域のコミュニティの中心地でした。しかし現在は、生まれた地域にとどまらず人は人生に応じて移動します。移動という流動性によってコミュニティも変動し、昔のように地域の中心的な存在ではなくなっているのが今のお寺です。

また、昔は寺院が担っていた社会福祉機能が行政に吸収されていったことも一つの要因です。寺子屋に代表されるように、昔は教育も寺院が担う部分もありました。

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そうですね。昔の寺院は、困ったことがあればとりあえず相談しに行く場所というイメージもあります。

井出さん:それは檀家制度のイメージからきているのかもしれないですね。家と寺院は必ず結びつきを持つことを義務付けられていましたから。

檀家制度が廃止された後も、その影響は残り、寺院と家の繋がりは続きました。しかし檀家制度が終わってから150年以上経つ現在においては、家(イエ)とお寺の繋がりだけではなく、個人と寺院の繋がりという側面が強くなっています。

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個人と寺院の付き合いですか…。確かに現在は、イエと寺院の繋がりは希薄になりつつありますね。

井出さん:そうです。以前はイエと寺院の付き合いはあるのが普通でしたが、現在は、昔のように寺院とお付き合いがある人が少なくなってきています。だから供養で困ったときに、どのような寺院や住職に頼っていいのかわからない人が増えています。

このように供養で困っている人に対して、安心してお付き合いができる寺院との出会いの場を提供することができればと始めたのが、寺院紹介ポータルサイトの『まいてら』です。

インターネット上にある寺院の情報は、歴史的な文化財などのハード面に関する情報がほとんどです。しかし、安心して頼ることができる寺院を見つけるためには、住職の人柄や想い、そしてお寺ではどのような営みがあるのかといったソフト面を伝えることが必要だと思いました。私が惹かれた温かな人柄や雰囲気は、まさに寺院ならではのソフト面の魅力です。

編集部ロゴLife.編集部

『まいてら』では、寺院が持つ独特な温かさを伝えることを、重要とされているのですね。だからご住職の顔写真やコメントが、コンテンツのメインになっているのですね。

『まいてら』が果たす役割と運営で心がけていること

井出さん

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『まいてら』を運営するうえで、大切にされているポリシーを教えてください。

井出さん:掲載している寺院に関しては、全て現地訪問して経営や運営状況を確認します。そのうえで、全寺院の住職をはじめとしたお寺のみなさんとは、人と人との信頼関係を築き上げることを大切にしています。

寺院の魅力というソフト面を伝えるには、信頼関係があってこそ聞き出せる情報が大切だからです。

編集部ロゴLife.編集部

では実際にコンテンツとして情報を発信する際に、どのようなことを意識されていらっしゃいますか?

井出さん:私たち『まいてら』が、寺院のみなさんの翻訳者であるという事を意識しています。

住職とお話をしていると、専門用語がたくさん出てきます。しかしそのまま掲載すると、供養で困っている方々に内容が伝わりづらくなります。したがって、寺院に取材をする際には、住職が何をおっしゃろうとしているのか、話の根底を理解するために耳を澄まします。そうしてヒアリングした情報を一般のみなさんに伝わる言葉に整え、寺院からのメッセージとして分かりやすく情報発信をするようにしています。

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寺院や供養に関する言葉って、普段の生活では聞き馴染みのない言葉ばかりですもんね。それらを伝わりやすい言葉で情報発信されているということですね。

井出さん:そうですね。そして、もう一つ大切にしていることとして、寺院と『まいてら』の運営側が、一緒に『まいてら』を発展させるというコミュニティ意識を大切にしています。コミュニティを通じて寺院との信頼関係を育むことで、さまざまな取り組みが可能になってくると考えています。

『まいてら』のオススメ活用法

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『まいてら』の利用方法として、おすすめの方法や機能を教えてください。

井出さん:『まいてら』では、3つの観点で寺院の情報を探すことができるようになっています。それは、「探す」「体験する」「知る」という3つの機能です。

「探す」に関しては、仏事で困ったときの寺院検索として活用していただけるものです。また、問合せフォームや電話などで実際に寺院へ相談をしていただくことが可能です。相談をすると依頼しなければいけないのでは?と思われるかもしれませんが、そういった心配は無用です。まいてらに登録された寺院は安心してご相談できる寺院ばかりですので、ご相談だけでも可能です。お布施をいくら包めばいいのか?といった気になるご質問も、基本的にはお気持ちですが、寺院によっては目安となる水準をある程度は教えていただけることもあるでしょう。

また「体験する」ですが、カレンダーに掲載している寺院のイベント情報を活用し、気軽に寺院を訪れていただけます。法話を聞いたり、YOGAをしたりとさまざまなイベントを寺院で行っているので、普段入りづらい寺院にもイベントを通じて接点を持っていただけます。

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相談や訪問が『まいてら』の情報を通して気軽にできるのは、とても良いですね!ぐっと寺院との距離が近づいた気がします。

井出さん:寺院の翻訳者という立場で情報をお伝えしていますので、そのように思っていただけるのはうれしいです。

また、『まいてら』に寺院の登録がない地域であっても、事務局に問い合わせていただければ『お寺の未来』や『まいてら寺院』のネットワークを駆使して、寺院を紹介することも可能です。頼りにできる寺院の周りには、良い寺院のご縁が広がっていると感じます。

供養で悩まれていて寺院に頼りたいと思われる方は、まずは『まいてら』を活用していただければうれしいです。

今後の『まいてら』について

編集部ロゴLife.編集部

それでは、今後サービスを更に広げていくために寺院の掲載エリアで注力されているエリアはございますか?

井出さん:現在力を入れているエリアとしては、東名阪です。人口が多いエリアですし、寺院とご縁がない方がたくさんいらっしゃいます。東名阪でサービスとして成立していくことが大切だと思っています。そのためにも、早期に登録寺院100ヶ寺を目指しています。

また、仏事・お墓・相続・介護などに関する「おてら終活カフェ」の実施寺院数を増やし、寺院は終活の場であるという事を認知させていきたです。寺院という場で住職をはじめとしたさまざまな人と交流しながら、どう生き、どう人生を終えていくかというとても大切なことを考えていただきたいと思います。何百年も人の生き死にを見つめてきた寺院だからこそ、人生のヒントとなる教えや物語がたくさん詰まっていますし、まいてら寺院の住職はそれをみなさんに伝えられる方々です。

そしてもう一つ大切なこととして、寺院で行う葬儀「お寺葬」をサービスラインとして切り出し、その魅力や情報を発信していきたいと考えています。葬儀が小規模化するなか、お寺葬は時代に合っています。お寺という長年祈り込まれた温かい空間で、ゆっくり時間を過ごしながら、大切な故人を近親者で丁寧に弔うという営みは、ビジネス化しすぎた葬儀を、家族の手に戻していく一つの解決策だと考えています。お寺葬にしっかり取り組むところは真摯なお寺が多いですし、その後の供養を託していくお寺としても最適だと思います。

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個人と寺院とのお付き合いの幅が広がる、とても可能性に秘められた計画ばかりですね。それでは最後に、寺院とのお付き合いで『まいてら』が大切にしていることを教えてください。

井出さん:寺院との間で築き上げてきた「信頼」を棄損しないことです。そのためには、常に真摯で誠実な姿勢で向き合い、その姿勢を「続ける」ことが大事だと思っています。

そして、発展のパートナーとして寺院よりも常に一歩先の社会や寺院の未来を見据えながら、寺院と共に歩み成長することを大切にしています。

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井出さん、インタビュー有難うございました。

成田住職と井出さん

寺院側が『まいてら』に期待すること

編集部ロゴLife.編集部

『まいてら』に登録されている寺院として、サイトに期待されていることは何でしょうか?

成田住職:私は、人々が寺院に求められていることにはしっかり応じていきたいと考えています。お話も何でも聞きますし、困ったときに利用できるコンビニのような近しい存在でありたいです。そのために、頼りにしてくれる人たちの障害になっていることはひとつずつ取り除いていければと思っています。

『まいてら』というサイトを通じて、お寺の考えや魅力に触れ、少しでも私たち寺院を気軽に頼ってくれる人が増えてくれるといいなと期待しています。

『まいてら』の概要

『まいてら』TOPhttps://mytera.jp/
運営法人一般社団法人 お寺の未来
お寺の未来 事業内容寺社の経営・運営に関する人材育成・相談業務、サービス・商品提供
仏教コンテンツの開発・プロデュース
書籍・雑誌・その他各種メディア等を通じた情報発信  等
お寺の未来 所在地〒105-0001
東京都港区虎ノ門3-25-1 光明寺内
お寺の未来 公式サイトhttp://www.oteranomirai.or.jp


編集後記

井出さん、成田住職お話をお聞かせいただき有難うございました。寺院との一般社会との関係性や、これから個人との繋がりが大切になるなかでのサービス展開の予定など、とても勉強になる内容でした。ライフドットも一緒に寺院の未来について何かできれば、と強く思いました。これからのサービス拡大、楽しみにしています!

ライフエンディングジャーナルは、「Life.(ライフドット)」が企画・発信する特別インタビュー企画です。ライフエンディング業界のイマを取り上げ直接取材し、業界全体をライフドットからも盛り上げて行きます。業界に関わるサービスや商品、そして第一線で活躍する人々にフォーカスし、ライフエンディング業界に対する想いやこれからの展望をお届けいたします。

今回取材させていただいた感応寺について、ライフドットで情報を掲載しています。

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