【家族葬 挨拶】アイキャッチ画像

「葬儀の席に挨拶はつきものである」と多くの人が認識していると思われます。しかし葬儀の形態は時代とともに変化し、「親しい人しか呼ばない(一般の参列者を招かない)家族葬」も一般化してきました。このような家族葬においては、「挨拶」はどのように扱われるのでしょうか。

この記事ではこのような疑問の解消!

  • 「家族葬で挨拶は必要なのか」
  • 「家族葬で挨拶をするとしたらどのようなタイミングで行うのか」
  • 「具体的にはどのような挨拶をしたら良いのか」
  • 「招かれた場合はどういった挨拶をすれば良いのか」

本記事では「家族葬における挨拶」について、挨拶をするタイミング・挨拶でそのまま使える例文をご紹介します。また家族葬では挨拶が必要か?ということについても丁寧に解説していきます。

自分が喪主・遺族として、家族葬の挨拶について悩みを持っている方は、この記事で解消してください。

※なおここで取り上げる葬儀は、仏式の葬儀であるとします。

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家族葬で喪主が参列者にする挨拶は必要か?

家族葬においても、挨拶は基本的には必要です。ただし、葬儀の規模や葬儀の進め方によっては挨拶が省略されることもあります。

そもそも家族葬とは「訃報などを出すことなく、一般の参列者を受け入れず、招待した(お声かけをした)少人数だけで行う葬儀」を指す言葉です。しかしこれには大きく分けて2つの形態があります。

  • 1つ目:「家族のみで行う葬儀」
  • 2つ目:「親しい友人までを招いて行う葬儀」

家族葬の挨拶は、1つ目「家族のみで行う葬儀」の場合は省略されることがあります。しかし、2つ目「親しい友人までを招いて行う葬儀」では来てくれた人に対する挨拶を行うのが一般的です。

ここでは、「親しい友人までを招いて行う葬儀=家族葬」としてお話をしていきます。

家族葬での挨拶はだれがする?

家族葬で挨拶を行うのは、「喪主」です。一般葬(ほかの参列者を招いて行う葬儀)の場合は、葬儀の規模によって葬儀委員長などが挨拶を行う場合もあります。しかし家族葬の場合は喪主以外の人が挨拶を担当することはほとんどありません。

ただし、「喪主が意気消沈をしており、とても挨拶できる状態ではない」「人前で挨拶することが非常に苦手であり、それが強いストレスになる」「ほかに挨拶をしたいと強く願っている人がいる」という場合は、喪主の代わりにほかの人が挨拶を行うケースもあります。また、喪主だけでなく、ほかの人も「故人への言葉」として挨拶をすることもあります。もっともこれはかなりイレギュラーなものではありますから、ここでは特段の記載がない限り挨拶は喪主が務めるものとして解説をしていきます。

【喪主】家族葬で挨拶するタイミングは4回

葬儀社の役割と今流行りのプランについて

喪主が挨拶を行うことになるタイミングは、以下の4つです。
※なおここでは、通夜・葬儀(告別式)を行う家族葬を前提としてご紹介します。

  1. 通夜の最後
  2. 通夜振る舞い前後
  3. 告別式の最後
  4. 精進落とし前後

それぞれの内容は以下の通りです。

1:通夜の最後

通夜の最後に、参列者に対して挨拶を行います。このときに通夜振る舞いや翌日の葬式・告別式の案内を行うこともあります。しかし通夜振る舞いの案内は葬儀会社のスタッフ(あるいは葬儀会社から依頼されたアナウンサー)が行うこともあります。

2:通夜振る舞い前後

通夜振る舞いは、親族の控室で行われることが多いといえます。喪主は、開式のタイミングで挨拶を行います。また、閉式の挨拶も行われますが、家族葬の場合は参列者が少なく、「友人以外はそのまま親族控室にとどまり、宿泊をする」というケースも多くみられます。このため、閉式の挨拶は省略されることもあります。

3:告別式の最後

告別式の後に、参列に対しての感謝と故人を悼む挨拶を行います。
また、出棺のときに挨拶を行うこともありますが、家族葬の場合は「参列してくれた人全員で火葬場に行く」というケースも多いため、これも省略されやすい傾向にあります。ただ参列してくれた友人たちが帰る場合は挨拶をすることもあるので、「絶対に行わない」というわけではありません。

4:精進落とし前後

精進落としの席を設けた場合、始まる前に挨拶を行います。また、終わるタイミングでも挨拶を行います。この「精進落としの後の挨拶」は、事実上の「解散の挨拶」となります。そのため、締めの挨拶としての性質も持ちます。

「それぞれ、式のどのあたりで挨拶をするのか?」については、下記を参考としてください。★印がついているのが、喪主の挨拶を行うタイミングです。なお「流れ」は、葬儀会社や地域によって多少異なりますが、ここでは一般的なものを紹介しています。

【通夜~通夜振る舞い】

  1. 受付
  2. 僧侶入場
  3. 読経~焼香
  4. 僧侶による説法(法話)
  5. 僧侶退場
  6. ★喪主挨拶。葬儀会社による案内もしくは喪主自身による挨拶によって、通夜振る舞いの用意があることを案内します。★
  7. 通夜振る舞いの席に移動
  8. ★通夜振る舞いの開式の挨拶★
  9. 必要に応じて閉式の挨拶(★)

【葬式・告別式】

  1. 受付
  2. 僧侶入場
  3. 読経~焼香
  4. 弔電や弔辞の紹介(3と前後する場合もあります。また家族葬の場合は省略されることもあります)。
  5. 僧侶退場
  6. 棺への花入れ
  7. ★喪主の挨拶(6と前後する場合もあります)
  8. 出棺
  9. 必要に応じて、出棺直前に挨拶(★)
  10. 棺を積み込んだ霊きゅう車と、マイクロバスなどで火葬場へ

【火葬~法要~精進落とし】

  1. 火葬炉前に到着
  2. 火葬
  3. お骨上げ
  4. バスなどで法要会場~食事の会場へ移動
  5. 還骨法要と繰り上げ初七日法要
  6. ★精進落としの席の開始の挨拶★
  7. 食事
  8. ★精進落としの席の閉式の挨拶(解散の挨拶)★

このようなやり方とタイミングで挨拶をしていくのが一般的ですが、ケースバイケースで、「それ以外のタイミング」で挨拶を行うこともあります。
それについてみていきましょう。

その他挨拶が必要になることがあるタイミング

  1. 受付での挨拶
    参列者に受付で挨拶を行うこともあります。参列者側も簡単な挨拶をしてきますから、喪主側も簡単に挨拶を返すとよいでしょう。
  2. 出棺の挨拶
    車に棺が積み込まれて火葬場に出発する前に、簡単に挨拶を行うこともあります。
  3. 火葬場での挨拶
    火葬場で挨拶をする場合もあります。火葬場で炉に棺が入れられてしまえば、「肉体を持った故人」とはもう二度と会えなくなります。このため、火葬を行う前に、参列者に対して挨拶を行うこともあります。

ここまでは、「家族葬において、喪主が挨拶するときのタイミング」について述べてきました。次の項目からは、「実際にはどのように挨拶をすれば良いのか」「どのような点に注意して話していけばいいのか」を、例文を交えて解説していきましょう。

【喪主】家族葬の挨拶を構成する4つの要素

喪主の札をつけた男性

家族葬の挨拶を構成するのは、以下の4つです。

  1. 故人と喪主の関係
  2. 通夜や葬式・告別式参列の感謝
  3. 参列者に対して、故人が生前お世話になった感謝(場合によっては、喪主や家族と故人との思い出)
  4. 今後とも、参列者―家族で良好な関係を築きたいということ

少し詳しく解説していきます。

  1. 故人と喪主の関係
    「挨拶している喪主が、故人とどのような関係にあったか」を言います。簡単な紹介のようなものですから、詳細は述べません。
    「父〇〇の葬儀にご参列いただき」「故人の妻であった〇〇です」などのような言い方にとどめ、生前の故人との仲(仲が悪かったけれどこのために帰ってきた、など)については原則として言及しません。
    ※ただし、「言及してはならない」というものではありません。

  2. 通夜や葬式・告別式参列の感謝
    参列してくれた人へのお礼を述べます。日本において葬儀の役割は、「故人に対するいたわり」とともに、「来てくれた人への感謝」を述べるものと考えています。
    家族葬は一般葬に比べると参列者は少なくなる傾向にありますが、親族のみの場合も遠方から来る人もいると思われますから、この部分は非常に重要です。

  3. 参列者に対して、故人が生前お世話になった感謝
    故人が生前お世話になったことへのお礼をいいます。人によって、この部分をどれほどの厚さにするかは異なります。「一方ならぬご厚情をいただき」などのように定型文でとどめる人もいれば、「故人は生前〇〇に取り組み、周りにもご迷惑をおかけしたかと思いますが、周りからよく親切にされてうれしがっていたものです」などのようにかなり踏み込んだ挨拶をする人もいます。もっとも多岐に及ぶ表現がとられやすい部分であり、人によって内容やボリュームが大きく変わる部分でもあります。

  4. 今後とも、参列者―家族で良好な関係を築きたいということ
    故人が亡くなった後も、参列してくれた人と家族の間で良好な関係を築いていきたい、と告げます。多くの場合、これが結びの文章となります。

次からは、実際の挨拶文を紹介していきます。

【喪主】そのまま使える家族葬での「挨拶例文」と解説

喪主側から、家族葬に際して行う挨拶の例文を述べていきます。
まずは、通夜の時に行う挨拶を紹介します。

通夜が終わった時の挨拶例文と解説

通夜の席では、足を運んでくれたことへのお礼と故人の思い出などについて触れます。
※なお例文中にある①~④の数字は、以下の「要点」の数字を示しています。

① 故人と喪主の関係
② 通夜や葬式・告別式参列の感謝
③ 参列者に対して、故人が生前お世話になった感謝
④ 今後とも、参列者―家族で良好な関係を築きたいということ

また、故人と喪主は以下のようなプロフィールだと想定します。

  • 【故人】
    • 年齢:83歳
    • 命日:2020年の2月20日通夜は2月21日(雨の日)、葬式・告別式は2月22日
    • 高齢者施設のデイサービスに通っていて、胃がんで病院で亡くなる
    • 趣味:将棋
  • 【喪主】
    • 故人は父にあたり、故人の長男
    • 同居はしていなかったが、折に触れて病院にお見舞いに行っていた

挨拶例文1

本日はお忙しいなか、通夜へのご参列を賜りまして、誠にありがとうございました(②)。父〇〇も喜んでいることと存じます(①)。
生前は父が大変お世話になりました(③)。遺されました家族に対しましても、故人の生前同様、変わらぬご指導ご鞭撻をいただければ幸いです(④)。
本日は誠にありがとうございました。

挨拶例文2

本日はお足元の悪いなか、通夜へのご参列を賜りまして誠にありがとうございました(②)。〇〇の長男の××と申します(①)。父は1年前に胃がんを患いましたが、余命半年と告げられたにも関わらず病とよく戦い、私どもの息子にも暖かな愛情を注いでくれました。生前通っていたデイサービス施設の▽▽では大勢の人と知り合い、一緒に将棋を指すのが楽しいのだと申しておりました。父に良くしてくださり、本当にありがとうございました(③)。父は安らかに旅立ちました。今頃は、先に旅立った母と会っていることと思います。父亡き後も、父の生前と変らぬご指導をいただければ幸いです(④)。なお、別室にて、心ばかりの粗宴をご用意しております。故人の思い出話など、もうしばらくお付き合いいただければ幸いです。また、葬式・告別式は、翌2月22日、〇時より当会館で行います。本日はありがとうございました。

解説

例文1は非常に簡単にまとめたものです。「長い挨拶は好きではない」「故人が『簡単にしてくれ』と言っていた」などのような場合は、このようにするとよいでしょう。特に、「簡単に終わらせるために家族葬にした」というケースでは好まれる挨拶です。

対して例文2は、故人とのかかわり方や故人の人となり、思い出話などにかなり踏み込んだ挨拶です。故人のことを身近に感じられる挨拶だといえるでしょう。また、追加で通夜振る舞い・葬儀・告別式の案内をしています。

どちらが良い・悪いといえるものではありませんから、故人の希望や故人との関係性などを考えて作っていくことをおすすめします。
 
続いて通夜振る舞いの前後の挨拶について紹介していきます。

通夜振る舞い前後の挨拶例文と解説

家族葬の通夜振る舞い

「通夜振る舞いの前(開式)」と「通夜振る舞いの後(閉会)」の挨拶にまとめます。

通夜振る舞い前の挨拶例文

「ささやかですがお召し上がりください」

などのように、ごく簡単に挨拶を行います。通夜の席で通夜振る舞いの案内をしているので、長く述べる必要はないでしょう。

通夜振る舞い後の挨拶例文

「夜も更けてまいりましたので、本日はお開きとさせてください。翌2/22の〇時より当会館にて葬式・告別式を行う予定でございます。お時間がございましたら、お見送りをいただけると幸いです」

ある程度長く言う場合のご挨拶

本日はご会葬いただきありがとうございました。私どもが知らなかった父の新しい一面をお話しいただき、お礼申し上げます。まだまだ父を偲びお話しさせていただきたいのですが夜も更けてまいりましたので、本日はお開きとさせてください。~以下同文~足元にお気をつけてお帰りください。

解説

通夜振る舞いの前の開式の挨拶は、ごく簡単で構いません(場合によっては省略することもあります)。

通夜振る舞いの後の挨拶は、「すでに会場に泊まる親族しか残っていない」などの場合は省略することもありますが、長引きそうならば喪主が案内をしてお開きとしましょう。

通夜振る舞いに「時間制限」はありませんが、スタッフが片付ける時間などもありますから、長くても2時間程度が限度と考えてください。

次に、翌日の、葬式・告別式の挨拶についても見ていきましょう。これも、家族葬の挨拶を構成する4つの要素を取り入れて話をしていきます。

告別式の挨拶例文と解説

百合を棺に入れる家族

簡単にまとめるパターンと、故人について深く触れるパターンの2つの例文を用意しました。

挨拶例文1

父〇〇の葬式ならびに告別式にご参列くださり、誠にありがとうございます。故人の生前は大変お世話になりました。遺された家族に対しましても、故人の生前同様、変わらぬご厚誼を賜れますと幸いです。本日は誠にありがとうございました。

挨拶例文2

本日はお寒い中、葬式ならびに告別式にご参列賜りまして、誠にありがとうございます。父〇〇も大変喜んでいることと思います。おかげ様で、つつがなく式を済ませることができました。働きづめの父で私たち家族は子どものころは少し寂しい思いをしたものです。また頑固な人であったため、周囲の方々にもご迷惑をおかけしたと思います。しかし父は、その背中で、私たちに多くのことを教えてくれました。病の床にあっても決して弱音を吐かずに旅立ちました。父が私たちにそそいでくれた無口な愛情と、父に向けていただいた温かいご厚誼に、心から感謝いたします。父亡き後も、まだまだ未熟な私たちに、ご指導ご鞭撻賜れますと幸いです。本日は誠にありがとうございました。

解説

通常、葬儀のときには故人のことは悪く言わないのが基本です。

しかし家族葬などのように親しい人しかいない場面においては、「父は頑固で決して美点ばかりの人間ではなかったけれど、自分たちに多くのことを教えてくれた」「父を尊敬していた」などのように、故人を偲べる思い出話を「家族」の視点で語ることは決して非難されるべきことではありません。

もちろん、「簡潔に簡単にやってほしい」ということであれば、例文1のように、非常に簡潔にまとめるのもひとつのやり方です。「例文2の方が例文1よりも優れている」「例文1では心が伝わない」ということはありません。

次は精進落としの前後の挨拶例文について解説していきます。

精進落とし前後の挨拶例文と解説

和食の懐石料理

「精進落とし前」と「精進落とし後」の挨拶例文は以下の通りです。

精進落とし前の挨拶例文

本日は誠にありがとうございました。おかげ様で滞りなく葬儀を終わらせることができました。皆様のご厚情に深く感謝いたします。
誠にささやかではございますが、皆様への感謝の思いを込めて料理をご用意いたしました。故人のことを偲びながら、短い時間ではございますが、ゆっくりとお過ごしいただきますようお願いいたします。

精進落とし後の挨拶例文

本日はお忙しいなか、最後までお付き合いいただき誠にありがとうございました。故人の思い出話を伺いたく思いますが、本日はこの辺で終了とさせていただきます。いろいろと至らぬところもあったかと存じますが、皆様のご厚意に心より感謝申し上げます。本日はありがとうございました。

解説

精進落としの席では、長くなりすぎない挨拶を心掛けるとよいでしょう。また、「ささやかな」「至らぬところがあった」などのように、謙遜の言葉を入れるのもポイントです。

なお、精進落としの席では「乾杯」は行いません。するべきは「献杯(けんぱい)」です。献杯の音頭をとる場合もあります。

【喪主】家族葬での挨拶で注意するべき点

家族葬での挨拶で注意するべき点として

  • カンペについて
  • 挨拶の長さについて

を解説します。

「カンペ」は読んでも構わない

「挨拶」は、慣れている人と慣れていない人で大きな違いがみられるものです。葬儀のときでも事前準備なしに滞りなくすらすらと美しく心がこもった挨拶をできる人もいますが、慣れていない人にとってはかなり厳しいものでしょう。また、非常に動揺していて、頭が真っ白になってしまう人もいるかと思います。

そのような場合は、カンニングペーパー(以下「カンペ」)を持っていても問題ありません。カンペをそのまま読み上げる人もいれば、要点だけをまとめたカンペを手にして挨拶を行う人もいます。どちらでも問題ありません。「弔辞」とは異なるので、使う紙も和紙などではなくメモ帳程度のもので問題ありません。ただし、スマートフォンなどをカンペ代わりにすることはやめておいた方がよいでしょう。

ただ一つお伝えしたいのは、「挨拶は『完璧に』行わなければならないものではない」ということです。
「カンペを持っていてもいい」ということで、逆に「滞りなく挨拶をしなければならない」と考える人もいるかもしれませんが、涙で喉が詰まったり、動揺でうまく挨拶ができなかったりしても、それはそれで批判されるべきものではありません。たしかに葬儀の挨拶は参列者の弔意への感謝を述べるためのものでもありますが、故人へのつきせぬ気持ちに整理をつけるための手段となる場所でもあります。
「うまくできなかった挨拶」も、心からのものであるならば、まったく問題はありません。

拶の長さは場面によって短縮の意識をする

家族葬の挨拶では、「〇〇をしなければならない」「〇〇でなければならない」という決まりはありません。ただ、「挨拶の長さ」は気に掛けるべきでしょう。

短くまとめた方がよい場面

  • 通夜振る舞いの前後
  • 精進落としの前後

の挨拶はある程度短くまとめた方がよいでしょう。また、火葬炉の前で挨拶をする場合も、ある程度短くまとめた方が良いと言えます。

多少長くなっても良い場面

対して、通夜や葬式・告別式の挨拶に関しては、「故人の具体的な思い出やエピソードを入れる」ということで、多少長くなっても問題はないでしょう。

大切なのは「挨拶の長さ」ではなく、「挨拶の内容」の方です。
葬儀においては「参列への感謝」「生前いただいた厚意への感謝」「故人の思い出」などがメインとなりますが、家族葬ということで、多少砕けた表現を用いてもよいでしょう。ただし、極端なマイナスのエピソードなどは入れないようにし、フォローもしっかり行うようにしてください。

【コラム】喪主からの挨拶は「心」が大切

「挨拶をすること」は、多くの人にとって慣れないものです。葬儀のように、動揺した状態で行うのですからなおさらです。「参列してくれた人にきちんと伝えたい」「常識外れだと思われたくない」と緊張する人もいるでしょう。

しかし葬儀での挨拶は、参列者や生前の厚意に感謝するものであると同時に、故人に対しての語りかけでもあります。多少どもったり、涙ぐんだり、うまくまとめられなかったりしても、何の問題もありません。また、「長く言わなければならない」などのような決まりもありません。すなおな気持ちで、心からの気持ちを伝えればそれで良いのです。

【喪主】僧侶・葬儀会社への挨拶はどうしたらいい?

祭壇前で読経する僧侶

「葬儀の挨拶」というと、「参列者への挨拶」ばかりが注目されますが、葬儀に協力してくれる人への挨拶も必要です。

僧侶への挨拶

僧侶への挨拶は、僧侶控室(「寺院様控室」など、名称は葬儀会社によって多少異なります)に伺って行います。

無宗教での葬儀でない限り、宗教者への挨拶は必要となります。僧侶への挨拶は、

  • 枕経を行う場合はそのときに
  • 通夜~告別式のときに

の2場面です。
開式の前に挨拶に伺うのが普通で、このときにお布施を渡すことになります。「本日はお忙しいなか、ありがとうございます。よろしくご指導をお願いいたします」のように挨拶をして、お布施を渡すとよいでしょう。

葬儀会社のスタッフへの挨拶

葬儀会社のスタッフへの挨拶は、必須ではありません。ただ、挨拶をしておくと、いろいろと話がしやすいでしょう。基本的には担当者への挨拶だけで十分ですが、気になるようならばスタッフルームに行き、「本日お世話になる〇〇家の者です。よろしくお願いいたします」と言うとよいでしょう。
なお、お菓子や現金の差し入れは厳禁です。多くの葬儀会社では、これらは受け取らないように指導されています。逆にいえば、お菓子はともかく、現金を受け取ってしまう葬儀会社は、対応と信頼性に疑問が生じます。そのため、「心づけは受け付けていない」としている葬儀会社に頼む方が安心です。

家族葬では省かれることも多いですが、受付で挨拶をするときの話も簡単にしておきましょう。

【遺族】家族葬の受付での挨拶例文

受付で遺族が参列者にする挨拶は以下の通りです。

親戚への挨拶例文

「遠いところからお越しくださり、ありがとうございました」などでよいでしょう。ただ、非常に近しい親族などは、受付ではなくて控室にそのまま足を運んでくれる場合もあります。

故人の友人への挨拶例文

「この度はご参列くださり、ありがとうございした」などでよいでしょう。参列のお礼などを簡潔に述べるだけで十分です。一般の参列者の場合は親族とは異なり、通夜や葬式・告別式に合わせて足を運ぶので、話し込む時間はそれほどないでしょう。

ここまでは、「家族側からの挨拶の例文」についてとりあげてきました。それでは、自分が参列者となったときにはどのようなご挨拶をすればよいのでしょうか?

【参列者】家族葬のお悔み例文

家族葬に呼ばれた場合、参列者は受付もしくは受付から少し離れたところで故人のご家族と挨拶・お話をすることになるかと思われます。
受付での挨拶は非常に簡単に行われるべきですが、家族葬の場合はそもそも受付を設けていないこともあります。この場合はご家族と顔を合わせてお悔みの言葉を述べることになるので、比較的長めにご挨拶をする必要も出てくるかもしれません。

参列者として参加する場合の挨拶のポイントは、「短く」ですが、ご家族が「故人の思い出話をしたい」などのように希望され、引き留められた場合は、時間が許す限り付き合いましょう。

【参列者】家族葬の受付でのお悔み例文

例1:受付があり、ごく簡単にご挨拶をする場合
「この度はご愁傷様でございます」「心からお悔やみ申し上げます」

例2:少しご家族と挨拶をする必要がある場合、またご家族とも仲良く付き合っていた場合
「お父様には生前大変お世話になりました。ご恩返しもできないままのお知らせで、悲しみに耐えません」
「この度は誠にご愁傷様でございました。心からご冥福をお祈り申し上げます」
「突然のお話でびっくりしています。お力添えできることがあったら何でもお手伝いしますので、お声をかけてくださいね(喪主の友人ポジションのとき)」

例3:受付近くで引き留められ、故人の思い出話を求められた場合
「〇〇様には生前大変お世話になりました。私は、将棋はまさに『下手の横好き』だったのですが、お父様が丁寧に教えてくださって……。将棋を指しながら、お孫さんのことをよくお話ししてくれました」

挨拶を構成する要素

通夜振る舞いの席などに呼ばれた場合は、

  • 声をかけてくれたことに対するお礼
  • 故人の思い出話
  • 故人への弔意
  • ご家族もお体に気を付けてくださいなどのいたわり

で構成した挨拶をするとよいでしょう。

なお、家族葬の場合はあまり例はありませんが、「家族葬だからこそ親しかった人に弔辞を読んでほしい」と頼まれることもあるかもしれません。その場合は故人の思い出話を基本とした挨拶をしましょう。詳しくはこちらからどうぞ。

【コラム】参列者から遺族への言葉も「誠意」が一番大切

「家族葬に招かれる人」は、「故人やご家族と非常に親しく付き合っており、またご家族もそれを知っていた人」ともいえます。そのため、やはり非常に強いショックを受けていることでしょう。「ご家族に配慮した言葉を言おう、故人への弔意を示そう」と思っても、なかなかうまく言葉にはできないかもしれません。

しかしそれでもかまいません。

タブーな言葉など、ご家族も非常にデリケートな状態にありますから、たしかに言葉遣いには気を付けるべきです。しかしそればかりにとらわれて素直な弔意を示せなくなるということでは本末転倒です。
「うまく言わなければならない」「気の利いた言葉を言わなければならない」と気負いすぎる必要はないので、「とても悲しんでいる」「故人の安らかな旅路を祈っている」「ご家族も体に気を配って過ごしてほしい」と自分の言葉で伝えてください。

家族葬で使ったらいけないタブーな言葉

葬儀においては、「使ってはいけない言葉」もあります。これにばかりとらわれる必要はありませんが、できれば避けられるように気を付けましょう。

  1. 常識的に考えて聞くべきではないこと、言うべきではないこと
    死因を聞いたり、「早く死ぬなんてバチがあたった」などのように故人を冒涜したり言葉は絶対に言ってはいけません。家族葬の場合、家族(喪主)が「故人はなかなか気難しい人だったが、故人を愛してくれて感謝している」などのように故人のマイナス点を言うこともありますが、参列者の立場では原則として控えるべきです。

  2. 重ね言葉
    「重ね重ね」「たびたび」「ますます」などのように、重ね言葉・繰り返す言葉は避けます。実はこれはかなり「言ってしまいやすい言葉」です。「重ね重ねお世話になりました」「たびたび足を運んでくださって」「お孫さんのご成長がますます楽しみですね、とお話ししていたのに」などの会話は、葬儀のときによくなされるものです。これも、「言った瞬間に『常識知らず』と言われる言葉」とまではいえませんが、使ってしまいやすいフレーズなだけに、注意をしておきたいものです。

  3. 宗教的なタブー用語
    今回は「仏教の葬儀」として取り上げていますが、仏教の葬儀においては「天国」などの言葉は使いません。

    神式やキリスト教では「ご冥福をお祈りする」という言葉は使いませんし、キリスト教では「お悔み申し上げる」も避けた方がよいでしょう。これはそれぞれの宗教における死生観と関係しています。
    ただ、仏教でも宗派によって死生観は異なるので、あまり神経質になりすぎる必要はありません(実際、ご家族からの挨拶でも、仏教の葬儀で「天国に行く」などのような表現がなされた実例もあります)。

  4. 「死」「生」を直接表すような言葉
    葬儀の場面においては、「死」「生」を直接的に表現する言葉は避けた方が良いとされています。「死んだとき」「生きているとき」などのような言い方です。「生前」などのような言い回しを使いましょう。

    「悲しみのあまり、言葉遣いにまで細かい配慮ができず、『重ね重ねお悔み申し上げます』と言ってしまった」などの場合は、あまり気に病みすぎない方がよいでしょう。しかしこれらを意識して避けることができれば、よりご家族の気持ちによりそった挨拶ができるはずです。

「家族の言葉」「参列者の言葉」を例文を交えてお伝えしてきました。
最後に、「葬儀が終わった後に、家族からほかの人へとお送りする挨拶状」について取り上げます。
これは今まで紹介してきた「亡くなってすぐにする挨拶」ではありませんが、家族葬においては非常に重要になるものです。

家族葬の挨拶状はいつ・誰に・どのようなものを送る?

家族葬の場合、「家族が声をかけた相手しか招かないで葬儀を行う」というスタイルをとることになります。このため、それ以外の人には、「父が亡くなったこと」を知らせるハガキ(挨拶状)を出すことになります。

ハガキ(挨拶状)を出す対象の人は、「家族葬に呼ぶほどの関係ではなかったけれど、親しくしてくれていた人」が基本となります。「何年もあってはいなかったけれど、年賀状を交換していた人」「職場の人」「遠い親戚」などです。明確に「ここまで知らせなければならない」などの基準はありませんが、出すべきかどうか迷ったのならば出しておいた方が無難です。

挨拶状は、亡くなった直後ではなく、四十九日あたりを目安としてお送りします。ただ、10月などに亡くなった場合は、喪中はがき(喪中欠礼はがき・年賀欠礼状)として出すこともあります。

この挨拶状は、以下の要素で構成されます。

  1. 故人の名前と、何歳で、いつ亡くなったかを記す言葉(また、「父〇〇」のように、喪主との関係を示す言葉も入れる)
  2. 葬儀は故人の希望により家族葬にした(すでに近親者で葬儀を執り行った)
  3. 生前に良くしてくれたことのお礼
  4. 連絡が遅くなったことのお詫び
  5. 喪主(差出人)の氏名住所

これは「お知らせ」というかたちで送るものですから、返信用のハガキなどは入れません。この挨拶状を受け取った人が、「焼香だけでもさせてほしい」などのように言ってきた場合は、できるかぎり受け入れるようにしたいものです。

挨拶状の詳細に関してはこちらの記事を参考にしてください。

まとめ

家族葬における「挨拶」は、一般葬における「挨拶」と少し違う部分があります。
具体的には、

  • 挨拶が省略される機会が多い
  • 比較的砕けた言い方が選ばれることもある

などの違いがみられます。なかには、一切挨拶をしない家族葬もあるほどです。その反面、「家族葬だから故人の内面や趣味にまで踏み込んだ挨拶をする人もいます。これらは、どちらが良い・悪いといえるものではありませんから、故人やご家族の希望によって決めていくとよいでしょう。

<一般的な家族葬の場合、挨拶を行うことになるタイミング>

  1. 通夜の終わり
  2. 通夜振る舞いの前後
  3. 葬式・告別式の終わり
  4. 精進落としの前後

加えて場合によっては

  • 受付
  • 出棺の前
  • 火葬の前
  • それ以外
  • 僧侶(宗教者)への挨拶

<挨拶を行う人>

特段の理由がない限り「喪主」
しかし喪主が非常に消沈していたり、挨拶が極めて苦手だったりする場合は、ほかの人が担当することもある。

挨拶で重要な4つの要素

  1. 故人と喪主の関係
  2. 通夜や葬式・告別式参列の感謝
  3. 参列者に対して、故人が生前お世話になった感謝(場合によっては、喪主や家族と故人との思い出も入れる)
  4. 今後とも、参列者―家族で良好な関係を築きたいということ
  • 「通夜の終わりの挨拶」「葬式・告別式の終わりの挨拶」は少々長くて良い
  • 反対に「通夜振る舞いの前後の挨拶」「精進落としの前後の挨拶」は簡潔にまとめた方が良い

喪主が必要な準備まとめについては喪主を務めるときにすることリスト~葬儀前から葬儀後の対応について~の記事を参考にしてください。

参列者側として家族葬に招かれた場合は、受付で簡単な挨拶をするにとどまることが多いでしょう。ただしご家族との仲が深かったり、ご家族から故人の思い出話を求められたりした場合は、できる限りご家族に寄り添い、希望を叶えられる挨拶を行うべきです。弔辞を頼まれた場合は、故人の思い出話を中心に構成しましょう。
詳しい参列者のマナーは葬儀に参列した場合の作法と、参列できない場合の対処方法に記してあります。

葬儀のときに行う挨拶は、動揺のなかで行うことになります。また、冠婚葬祭のなかでも「葬」は、そこにいる人全員が非常にデリケートな状態にあるため、できるかぎり適切な言葉選びをしたいと考えることでしょう。

しかし動揺しているなかで、「完璧な挨拶、すばらしい内容」で挨拶をすることはなかなか難しいものです。たしかに「言ってはいけない言葉」はあるのでそれを避けるに越したことはありませんし、カンペを持たないで滞りなく挨拶できればそれが一番良いとはいえます。
ただ、たとえ「完璧な挨拶」でなかったとしても、故人への弔意と参列者への感謝(あるいはご家族へのいたわり)がみてとれる挨拶であるならば、それは「葬儀の場にふさわしい挨拶だ」といえるでしょう。

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監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

家族葬は、参列者が限られていますので、挨拶といっても堅苦しく考える必要はありません。ある方の葬儀のときは、喪主である息子さんが、葬儀社の開式の辞にかわって、このような挨拶で開式となりました。

「皆様、本日はお忙しい中、父○○の通夜にお集まりいただき、ありがとうございました。(中略)本日お勤めいただく寺院は、祖母の代よりお世話になっているお寺様です。では、ご住職、よろしくお願いいたします」という喪主の挨拶で僧侶が入場します。

翌日の葬儀・告別式も同様、喪主が進行を兼ねて挨拶をしていました。葬儀社は表に出ることなく、黒子としてのサポートに徹していました。 このように、挨拶をするのに良いタイミングはありますが、必ずしもその場面でしなければならないという決まりはありません。