元気なうちから人生の最期や死後について考える「終活」が人気ですが、その入り口とも言えるのがエンディングノートです。

書店やインターネットにはさまざまなエンディングノートが並ぶだけでなく、自治体や企業が配布するもの、さらにはインターネット上では無料ダウンロードできるものもあり、その種類はさまざま。

エンディングノートをうまく活用することで、お金やモノを整理でき、大切な人に情報や想いを伝えることができます。

エンディングノートの2つの役割 整理と伝達

エンディングノートとペン

エンディングノートには、「整理」と「伝達」の2つの役割があります。

エンディングノートで向き合う項目には、

  • 自分自身の基本情報
  • 預貯金や借入金などの資産
  • 親戚や友人などの交友関係
  • 医療
  • 介護
  • 葬儀
  • 供養

などがありますが、これらをいったんノートに書き出すことで、ひとつひとつの事柄について落ち着いて整理できます。

そしてエンディングノートそれ自体が家族への伝達ツールになるため、万が一の時には周囲の人たちの支えになってくれるでしょう。親子が離れて暮らす世帯や一人暮らし世帯が当たり前の時代だからこそ、エンディングノートが注目を集めているのです。

大切だとは分かっているけど… エンディングノートを書けない理由

後悔している老夫婦

 「大切だ」「有用だ」とは分かっているものの、なかなか書けないというのがエンディングノートの実態です。

2018年に楽天インサイトが行った「終活に関するアンケート調査」では、8割以上の人がエンディングノートを認知しているにも関わらず、9割弱の人がエンディングノートを用意していないという結果が出ました。

体が元気なうちは毎日の生活や仕事や趣味に忙しく死のことを現実的に考えられないものです。逆に病にかかったり年を重ねすぎてしまうとノートを書くこと自体が億劫になる。エンディングノートはその本質的な性格上、書くタイミングを捉えづらいという側面があります。

まずは現状の記録だけでOK! すべて書こうとしないこと

未来がどうなるかなんて誰にも分かりません。だからこそまずはすべてを書こうとせずに、書けるところだけを書くことをおすすめします。現状の記録でも構いませんし、むしろそれだけでもエンディングノートは充分に役目を果たしています。

たとえば、お金のことであれば、財産分与をどうしたいのかまでを書かなくても、どの金融機関に口座があるか記録しておくことです。医療のことであれば、延命治療の希望は分からなくてもかかりつけの病院の名前や連絡先を記しておく。

また、お墓のことも、納骨堂がいい、樹木葬にしてほしいなどの具体的な希望がない場合。そういったケースでは、「先祖の遺骨はどこに埋葬されているか」など、不確定な未来を思い描く前に、現在の事実について書き記しておくだけで残された人にとっては大変貴重な情報となります。

一度ノートを手にしてしまったら「項目を埋めてすべて完成させなきゃ」と考えてしまいがちですが、これがエンディングノートの一番の挫折の理由だと言われています。いざ書こうとして自分の理想の最後を考えてみても、なかなか考えというのはまとまらないものです。未来は大きく変わるかもしれませんし、また潜在的に「いまは考えたくない」という心理が働くことだってあるでしょう。

大切なのは、書くことよりも知ってもらうこと

事実婚 相続

エンディングノートはあくまで整理と伝達のための道具のひとつに過ぎません。大切なのは、ノートを書くことではなく、そこに書かれている内容について周りの人たちに知ってもらうことです。

よくある悲しい話に、エンディングノートを遺していたもののその存在に誰も気づかずに葬儀を済ませてしまったというのがあります。せっかくがんばって書いたノートでも、それを誰かに託さなければ意味をなしません。葬儀や死後の処理は必ず誰かの力を借りなければならない、そのことを忘れないようにしましょう。

自分の最期を見てくれるであろう人に、「エンディングノート書いたよ。本棚に入れているよ」と伝えるだけでも構いません。また、ノートとペンを使わなくても、普段の会話の中で自分の最期についての考えを伝えておく、病院の診察券やお薬手帳、さらには預金口座や保険証書のコピーを1箇所にまとめておくのでもよいのです。大切なのは、あなたの伝えておくべき情報や思いを周囲の人が知っておくことなのですから。 

まとめ

エンディングノートを書くことは、「これからをより充実させる」ことです。

自分の最期を見つめるために、まずは現状を整理する、それを誰かに伝えておく。それだけも、未来の不安や悩みはわずかでも軽くなり、これからの毎日がより充実してくるものになるはずです。

まずは今の自分を振り返るための道具として、気軽にエンディングノートを活用してみましょう。