「樹林墓地」とは合葬型の樹木葬のこと!都立小平霊園の例を元に違い・メリット・デメリットを解説

【樹林墓地】アイキャッチ

樹林墓地とは?徹底解説

  • 樹林墓地とは、樹木葬の一種
  • 樹林墓地のメリットは、承継者不要で利用可能、費用が安いこと
  • 樹林墓地のデメリットは、遺骨が他の人とひとまとめになること
  • 樹林墓地の費用目安は10〜50万円

「樹林墓地」は一つの樹木の下に複数人の遺骨が埋葬されるお墓のことで、都立小平霊園などの公営墓地で用いられている、樹木葬の一種です。
お墓の承継者がいない人や維持管理の負担を軽減したい人におすすめのお墓です。

樹林墓地の特徴や費用、申し込み方法、注意点などを詳しく解説します。

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この記事の目次

  1. 樹林墓地とは承継者不在でも利用できる樹木葬
  2. 樹林墓地と樹木葬の違い
  3. 樹林墓地のメリット・デメリットまとめ
  4. 樹林墓地が選ばれている背景
  5. 樹林墓地の費用相場は10万円〜50万円程度
  6. 樹林墓地の注意点
  7. 自宅近くの樹林墓地を探す方法

樹林墓地とは承継者不在でも利用できる樹木葬

【樹木葬 シンボルツリー】アイキャッチ画像

樹林墓地とは、複数人の遺骨が埋葬される合葬式の樹木葬です。
樹林墓地では遺骨を合葬にするため、樹木葬版の永代供養墓集合墓として捉えられています。

樹林と呼ばれているけれど林の中に埋葬するわけではない

「樹林」という名称を聞くと林の中に分け入って埋葬するイメージがありますが、実際にはそうではありません。

たとえば、小平霊園の樹林墓地では、霊園内の一角に樹木葬エリアがあります。
決して林に囲まれているわけではありませんが、小高い盛り土の周囲には、コブシ、ヤマボウシ、ナツツバキ、ネムノキ、イロモミジなどの木が植えられています。

土中には共同埋蔵施設(直径約1.5m、高さ約2mで筒状のコンクリート製のカロート)があり、その中に合葬します。

定期的な合同法要や慰霊祭が執り行われる

樹林墓地は、身寄りのない人や跡継ぎのいない人たちに利用されています。
お墓の管理や、故人を供養をしてくれる人がいないと、ただの遺骨の置き場所になってしまいますが、そうならないように霊園主催による定期的な合同法要や慰霊祭が執り行われます。

ただし、その宗教性は運営母体によって異なります。
寺院が運営する樹林墓地であればその宗旨に則った形で法要が行われますが、特定の宗教性に偏らない「慰霊祭」や「献花祭」という形で執り行うところもあります。

供養の方法や解釈は霊園や寺院によって異なります。
あらかじめ確認しておきましょう。

樹林墓地と樹木葬の違い

「樹林墓地」とは、複数人の遺骨が埋葬される樹木葬のことです。
おおまかに「樹林墓地」とは樹木葬のことだと捉えて問題ありませんが、「樹木墓地」と「樹林墓地」を細かく区別している霊園では、意味が異なります。
それぞれの名称の違いを整理して、あなたにとってどの樹木葬が向いているのかを考えていきましょう。

樹木葬・樹木墓地・樹林墓地 呼び方の違いの整理

樹木葬や樹木墓地、樹林墓地など樹木葬をくくる言葉もさまざまに呼ばれているため意味を混同しがちです。

  • 樹木葬:樹木や草花を墓標としたお墓の総称
  • 樹木墓地:遺骨を個別埋葬する樹木葬
  • 樹林墓地:遺骨を合葬する樹木葬

樹木墓地は遺骨を個別に埋葬する、樹林墓地は遺骨を共同埋葬(=合葬)するところに違いがあります。

ただし、こうした用語の分類は統一規格として用いられているわけではありません。
あなたが検討している霊園の樹木葬が、どのような礼拝施設でどのような埋葬方法なのかは、その都度確認が必要です。

「樹林墓地」という呼び名の発祥は公営墓地

「樹林墓地」という呼び名が一般的になったのは、東京都立小平霊園の「樹林型合葬埋蔵施設」がきっかけです。

小平霊園の樹林墓地よりも前から樹木葬の集合墓は存在していました。
たとえば、2006年に日本で初めて自治体の公共墓地で樹木葬を取り入れた、横浜市営メモリアルグリーンにも「合葬式樹木型墓地」があります。

小平霊園よりも6年早く樹木葬の集合墓に踏み切りましたが、小平霊園の世間に与えるインパクトが強く、今ではこうした形状の樹木葬のお墓を「樹林墓地」と呼ぶようになっています。

樹木葬が向いている人

樹木葬が向いているのは次のような人たちです。
ここで比較対象となるのは、樹木葬以外のお墓、つまりは墓石、納骨堂、散骨などが挙げられます。

  • 自然豊かな環境で供養されたい人
  • 墓石に比べて費用を安く抑えたい人
  • いまはお参りしてくれる人がいても、やがては承継者がいなくなることが分かっている人

樹木葬の特徴は、大きな墓石を設けない、少人数向けのお墓ということです。
新しい「自然葬」の一環として散骨などと並べて論じられがちですが、むしろ形態としては従来の墓石に近いものがあります。

基本的な供養の方法として「埋葬」と「礼拝」に変わりはないからです。
墓石と違うのは、礼拝の対象が石ではなく樹木や草花である点です。

樹木葬と他の供養法の主な違い

遺骨の処理礼拝方法承継時の特徴
樹木葬土中に埋葬樹木や植栽に向かって礼拝する永代供養に切り替えやすい
墓石土中に埋葬墓石に向かって礼拝する墓じまいの負担が大きい
納骨堂納骨壇に収蔵遺骨に向かって礼拝する永代供養に切り替えやすい
散骨自然に散布個別の礼拝場所はなし承継が不要


さて、この樹木葬は主に樹木墓地(=個別埋葬)と樹林墓地(=共同埋葬)に細分化されます。
それぞれどのような人が向いているのかを考えていきましょう。

樹木墓地が向いている人

樹木墓地とは樹木葬の個別埋葬です。
この「個別埋葬」も霊園によってさまざまです。
1本のシンボルツリーに対して個別のカロートが設けられているタイプや、利用者ごとに割り当てられた区画に埋葬されるタイプなどがあります。

あくまでもそれぞれの霊園のスタイルに沿って、それが自分たちに向いているのかどうかを考えましょう。
樹木葬の中でも樹木墓地が向いているのは次のような人たちです。

  • 個別の区画で手を合わせたい人、お参りされたい人
  • 他の人の遺骨と混ざりたくない人

樹林墓地が向いている人

樹林墓地は、樹木葬型の集合墓です。
他の人と同じお墓に、ひとまとめに合葬されます。
樹木葬の中でも樹林墓地が向いているのは次のような人たちです。

  • 承継者がいないため、将来の遺骨の管理を寺院や霊園に任せたい人
  • 承継者はいるが、供養の負担をかけたくない人
  • 費用を安く抑えたい人

樹林墓地のメリット・デメリットまとめ

樹林墓地のメリット

樹林墓地には次のようなメリットが考えられます。

自宅から近い距離にお墓を持てる

自宅とお墓の距離は人によってさまざまですが、新たにお墓の購入を考えている人、あるいは墓じまいして新たな納骨先を用意しなければならない人は、きっとアクセスの良い場所を選ぶことでしょう。
さまざまな霊園や寺院が樹木葬を展開しているので、行きやすい場所の樹木葬墓地を探してみましょう。

自分が亡くなったあとの供養を誰かにお願いしなくてもよい

自分が亡くなったあとも、霊園やお寺が主体となって合同法要や慰霊祭を行ってくれるので、承継者がいなくても安心です。

生前契約ができる

承継者のいない人が申し込むケースが多いため、多くの樹林墓地では生前契約を受け付けています。
終活への関心が高まっている昨今、自分たちが望むお墓を自分たちで選べることが人気を呼んでいます。

子や孫に負担をかけなくても済む

死後の供養や遺骨の管理は霊園がしてくれて、生前契約もできるため、子や孫に負担をかけずに済みます。

樹林墓地のデメリット

いきなり合葬にされる

樹林墓地では遺骨はいきなり合葬されます。遺骨を納めた後に、もう少し個別に埋葬してあげれば良かったという後悔の声をちらほら耳にします。
一定期間は個別供養の樹木墓地を利用する、あるいは気持ちが落ち着くまでは手元供養にしておけばよいかもしれません。

埋葬場所が選べない

霊園によっては埋葬場所を選べないことがあります。仮に夫婦の遺骨を預けても別々の場所に埋葬されるかもしれません。

手を合わせて供養する場所がない

墓石のようにわかりやすいシンボルがないため、手を合わせる時に戸惑うこともあるでしょう。
霊園によっては個人の名前を刻むプレートや墓誌のないところもあります。

家族に反対される可能性がある

墓石ではなく樹木葬を選択することで親戚など周囲の人から苦言を呈されることがあるかもしれません。
特に墓石へのお参りになれている人は、樹木葬に違和感や物足りなさを感じるかもしれません。

樹林墓地が選ばれている背景

樹木葬には、樹木墓地と樹林墓地があると説明してきましたが、人気が高いのは樹林墓地です。
都立小平霊園を例にとっても、公募受付の結果、樹木墓地の抽選倍率は令和元年度が1.2倍、令和2年度が1.1倍なのに対し、樹林墓地では令和元年度が15.7倍、令和2年度が14.4倍と大きな開きがあります。
これにはどのような背景があるのでしょうか。

お墓の承継者がいなくなった

社会構造の変化によって、お墓の承継が困難な時代に突入しています。
戦後まもなく、団塊の世代と呼ばれる世代は集団就職のためにこぞって都市部に転居しました。

このため地方部は過疎化に陥るだけでなく、日本全体の都市化が進行し、核家族が増加しました。
承継とは基本的に、親、子、孫へとお墓や仏壇を受け継いでいくものですが、現代のライフスタイルではとても困難です。

このような流れから「家」を象徴するお墓よりも個人単位のお墓が求められるようになったのです。

樹林墓地だけでなく、墓石による永代供養墓、寺院による納骨堂など、承継を不要とする新しい供養の方法が次々と登場しました。

お墓にお金をかけたくない

樹木葬は墓石を用いないため、費用を安く抑えられます。
樹林墓地では複数の人の遺骨をまとめて省スペースでの埋葬が実現できるため、さらに費用を安くできます。

バブルの崩壊は、日本人の経済だけでなく、人生観や死生観までをも変えました。
葬儀は家族葬が主流となり、お墓も墓石以外の樹木葬や散骨などが登場し始めました。
お金をかけずに心のこもった弔いができる方法が選ばれるようになったのです。

樹林墓地の費用相場は10万円〜50万円程度

樹林墓地の費用相場は10万円〜50万円程度です。
公営霊園と民営霊園によって価格に開きがあるようです。

公営霊園の場合

霊園永代使用料管理料備考
小平霊園(東京都)13万4,000円不要粉骨済みだと4万4,000円
メモリアルグリーン(横浜市)14万円6万2,850円/体(永年)
浦安市墓地公園(千葉県)12万円不要
京都市深草墓園(京都府)18万円(市内料金)
36万円(市外料金)
不要墓誌への彫刻は2万円

民営霊園の場合


霊園永代使用料管理料備考
町田いずみ霊園(東京都)50万円含む樹木型永代供養墓「昴」の場合
奥多摩霊園 さくら(東京都)63万円不要
こもれびの里(埼玉県)35万円5,000円(年間)運営母体はNPO法人
北摂池田メモリアルパーク(大阪府)25万円含む永代樹木葬「COCORO」の場合

樹林墓地の注意点

樹林墓地は、世間の注目が高まってきている供養方法です。
「知らなかった」「聞いてなかった」などであとから後悔しないよう、注意しましょう。

埋葬方法を確認しておく

樹木葬や樹林墓地と聞くと自然に囲まれた中での埋葬をイメージしますが、実際には都市型霊園の一角に設けられた墓所です。
遺骨の埋葬も骨壺のまま納めるケース、骨壺から遺骨を出して専用の袋に入れて納めるケース、骨壺から出した遺骨をそのまま納めるケースなどさまざまです。
イメージだけで判断せずに、きちんとどのように埋葬されるのかを確認しておきましょう。

供養方法を確認しておく

樹林墓地は永代供養が基本ですが、霊園による供養は主催者によって内容が異なります。
住職や僧侶などの宗教者をあえて呼ばない霊園もあります。
どのように遺骨が供養されるのかを事前に確認しておきましょう。

お参り時の条件を確認しておく

お参りする際の条件についても確認しておきましょう。公営霊園や民営霊園の多くでは開園や閉園の時間を設けているところもあります。
また、お供え物もお花や線香のお供えはできても食べ物や飲み物のお供えはできない、その他、礼拝ブースで読経してもよいかなど満足のいくお参りのためにはこうした細かいことも大切な事柄です。

大切な親族にはきちんと話をしておく

現在でも、「お墓と言えば墓石」という考えがまだまだ一般的です。
樹木葬にお参りしなければならないことに苦言を呈す親族もいるかもしれません。大切な親族には事前に相談をしておきましょう。

自宅近くの樹林墓地を探す方法

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