この記事では以下のような疑問を解消!   

  • 会社への香典返しは必要?
  • 会社への香典返しは特別なマナーがある?   
  • 会社への香典返しの費用や品物は何がいい?
  • 会社で香典返しを渡すときの挨拶はどうすればいい?


「香典返し」とは、頂いた不祝儀に対するお返しのことをいいます。

香典返しをお渡しするタイミングとして、「不祝儀を頂いたときに渡す即日返し」と「金額に応じて後日に香典返しを行う方法」の2つがあります。現在は前者のやり方が主流ですが、会社から出される香典返しはまた違う性質を持つこともあります。香典返しを返すタイミングや何を返すべきか、返さなくても良いケースもあると聞いたがそれはどのような状況か……など、「個人からもらう不祝儀」以上にわからないことも多いことでしょう。

会社からの不祝儀に対する香典返しの基本と、そのマナーについてみていきます。

※なお、「香典」は本来は仏教用語です。ただし、ほかの宗教において代わりとなる言葉があまりないため、宗教に問わず、ここでは「香典返し」という表現を使っています。
また、ここでは基本的なマナーについて解説していますが、会社によってやり方やマナー、慣習がある場合はそれに従うのが安心です。

葬儀の費用でお困りではありませんか?

  • 葬儀をしたいがお金がない
  • 葬儀の費用はどのくらい準備するべきか悩む
  • 葬儀費用の補助について知りたい

葬儀は突然やってくるため、お金の準備や知識を持っていると安心です。

ライフドットでは、葬儀費用の相談ができる、日本ライフマイスター協会の「賢約サポート診断」をご紹介!
葬儀に関するお金でお悩みの方は、まず一度相談してみてはいかがでしょうか。

まずは会社への香典返しが必要か不要かを判断する

風呂敷に包まれている香典返しと礼状

まず、「会社及び会社関係の人からもらう不祝儀には、香典返しが必要かどうか」を解説します。

  • 会社の福利厚生の一環としての不祝儀の場合、香典返しは「不要」
  • 同僚や上司が自主的に不祝儀を用意してくれた場合、「必要」

詳しく解説します。

福利厚生の一環としての不祝儀の場合、香典返しは「不要」

福利厚生の一環(多くの場合、社内の「慶弔規定」によって定められています)として、会社の名義で不祝儀を渡された場合、香典返しを渡す必要はありません。

「不祝儀」は、税金・税理上の区分で「福利厚生」として認められているものです。これは、

「不祝儀」は、税金・税理上の区分で「福利厚生」として認められているものです。これは、“従業員等(従業員等であった者を含みます。)又はその親族等のお祝いやご不幸などに際して、一定の基準に従って支給される金品に要する費用

国税庁「No.5261 交際費等と福利厚生費との区分 から引用

であり、会社側が従業員に対して行うものとして認められていますし、経費計上できるものです。

ただし、会社の名義になっていたとしても、実際には代表者(社長など)が個人的に出していた場合は、香典返しを送る必要があります。

同僚や上司が自主的に不祝儀を用意してくれた場合は「必要」

同僚や上司が自主的に不祝儀を渡してくれた場合は、香典返しを渡す必要があります。

福利厚生の一環として会社から不祝儀を渡されることもありますが、それとは別に、親しくしている同僚や上司が葬儀に参列し、ポケットマネーから一個人として不祝儀を包んでくれることは決して珍しい話ではありません。

この場合、当然彼らの持ってくる不祝儀は「経費」としては計上できません。このようなこともあり、香典返しをお渡しする必要があります。現役世代だけでなく、「故人が会社勤めをしているときにお世話になった人」「喪主の引退前にお世話になった部下」などからの不祝儀に対しても、同じように香典返しを用意します。

あくまで「一般的な話」ではありますが、このようなことを踏まえれば、「会社関係の人から頂く不祝儀」に関しては即日に返してしまうのが適しているといえるでしょう。即日の香典返しならば、受付でお渡しするだけで済みます(ただし、非常に大きい金額を渡してくれた人には後日改めてお返しします)。

会社から「香典返し辞退」と言われた場合の対応

「福利厚生の一環であるから、香典返しは必要ない」あるいは「大黒柱が亡くなられたのだから、お子さんの養育費にしてほしい」ということで、「香典返し辞退」とされることもあります。このような場合は、「感謝の気持ちを伝えること」で香典返しに代えるやり方が問われます。

物品のお返しは不要だがお礼状を出す必要がある

基本的には「香典返し」として物品を渡す必要はありません。

ただしお礼状を出す必要はあるので注意してください。お礼状の文面としては、

  • 弔意と厚志に対するお礼
  • 頂いた不祝儀の使い道(遺児の養育に役立てる、など)
  • 四十九日法要(仏教の場合。キリスト教は1か月もしくは30日、神式の場合は50日)が滞りなく済んだことのお礼
  • これからもご指導ご鞭撻をお願いします
  • 喪主名
を記します。

「会社名」で香典返し不要の不祝儀を受けとった場合お菓子を要する傾向にある

会社名などで、香典返し不要の不祝儀を頂いた場合は、社内にいきわたる程度のお菓子などを用意して渡すのも良いでしょう。
このときには、

  • 個別包装のもの
  • 賞味期限の長いもの
  • 食べやすいもの(スプーンやフォークを必要としない等)

また、香典返しのお菓子に関しては、洋菓子でも和菓子でも構いません。アソートタイプになっており、さまざまな味わいが詰めあわされたものを選ぶのもおすすめです。

「個人名」で香典返し不要の不祝儀を受けとった場合はお礼状のみ

会社からもらったときとは異なり、個人名で出された香典返し不要の不祝儀については、お菓子などは送らないのが一般的です。
まれに金額があまりにも大きい場合は別途葬儀とは関係ないかたちで物を送ることもあります。ただ基本的に、会社関係の人から渡される不祝儀の場合はそれほど多額ではないでしょう。

もっとも、「会社の名前で出された香典返し不要の不祝儀にはお菓子をお持ちし、個人から出された香典返し不要の不祝儀にはお礼状のみで済ませる」は、あくまで「そのようにしている人が比較的多くみられる」という話です。これが「絶対的なマナー」というわけではありません。会社名でもらった場合でも、お菓子まではいらないのではないかと考える向きもあります。周りの人に相談して決めるとよいでしょう。

ただ、「香典返し不要とした人に対しては、お礼状を出す」に関しては全国で共通したマナーです。きちんとしたためましょう。

ここでは「香典返し不要のときの対応」について取り上げましたが、次の項目では「香典返しを必要とするときに、それを送るタイミング・時期」について解説していきます。

会社への香典返しを送る時期は3つのパターンがある

時計とカレンダー

会社の人からもらった不祝儀に対して香典返しを渡す場合は、「いつ渡すか」が重要になってきます。

職場の人からもらった不祝儀に対してお返しを渡す場合の時期は、下記の3パターンに分かれます。

  1.  即日返し(通夜や葬式・告別式のときに渡す)
  2.  忌引き休暇(10日ほど)後に職場に復帰した際に、直接渡す
  3. 49日後に、職場で直接渡す

即日返しとは葬儀の当日に渡すこと

即日返しとは、葬儀当日に渡す香典返しのことです。
香典をくれた相手が葬儀に出席しているのであれば、即日返しだけで済ませることが一般的でしょう。

直接渡す場合は「忌引き休暇後」が一般的

後日直接香典返しを渡す場合は、忌引き休暇(10日ほど)が明けた時に渡すことが多いでしょう。

これは、即日返しを渡していない場合、又は即日返しをしたが、香典の金額が多額であったため追加で香典返しをする場合も含まれます。

香典返しを郵送で送る場合は「忌明け(四十九日)から1か月ほどの間」が一般的

会社ということもあり香典返しを直接渡せる場合もあるかと思われますが、そうではない場合は郵送で対応します。

香典返しを郵送で送るタイミングは、「忌明けから1か月ほどの間」です。仏教の場合は49日~80日くらいまでの間に送ると良いでしょう。なお、正月に届くことや、3月またぎになってしまう場合は調整します。

香典返しを郵送で送るタイミングは、会社関係であれ親族関係であれ友人関係であれ変わりありません。また、香典返しの物品を送らない場合の「お礼状」の送付も、忌明けから1か月までの間に送ります。

香典返しを出す時期・タイミングの詳細は、「香典返しの時期やタイミング」をご覧ください。

会社への香典返しは何を渡せばよいか?~金額目安も解説~

お墓について悩んでいる老夫婦

会社関係の人から頂く不祝儀は、金額的に見て「即日返し」で終わらせられることが多いので、この前提でお話をしていきます(例外の場合は別途記載します)。

会社関係の人から頂く不祝儀は、個人から頂く不祝儀と違い迷うことが多いものです。なぜなら、会社関係の人から頂く不祝儀は、

  • 部署やチーム「●●課一同」などの名前になっているケース
  • 連名が記されているケース
  • 個人の名義で頂くケース

の3パターンがあるからです。用意する即日の香典返しの数は、それぞれのケースによって異なります。

部署・チーム「●●課一同」など複数人から一つの不祝儀を受け取った場合

表書きの名前:「●●課一同」「●●部一同」など

まず見ていきたいのが、部署・チーム「●●課一同」などで複数人から不祝儀を受け取った場合です。

このようなケースでは、「表書きとしては個人名が記されておらず」「封筒の中にも、個人名を書いた紙などが入っていない」「部署のうちの1人が代表者として参列する」というやり方がよくとられます。また、不祝儀の額に関しても、部署の一人ひとりから1,000円程度を集めて、少し足してキリの良い金額にして出すことが多いかと思われます。

このようなケースの場合、一人ひとりに対して個別に香典返しを用意する必要はありません。部署の人数分の香典返しを用意するのは大変ですし、場合によっては香典返しの金額の方が大きくなります。不祝儀には相互扶助の考え方もあるからです。ただし、「不祝儀を持ってきてくれた1人に対して、1つだけ香典返しを渡す」とするやり方をとることはあります。

皆で分けられる個包装のお菓子がふさわしい

●●課一同などの名前で出された場合は、個別の香典返しの代わりにお菓子を用意します。お菓子は課全員にいきわたる程度の数で、個別包装のものが望ましいといえます。人数がわからなければ、多めに用意しましょう。

金額は気にしなくて良い

「●●課一同」などのようなかたちで不祝儀を受け取った場合、課の人数が多いと不祝儀の額も大きくなりがちです。ただ、この場合も一人ひとりの負担はそれほど大きくないことが予想されますから、「2分の1~3分の1返し」はあまり意識しなくても良いとされています。30,000円の不祝儀を受け取ったからといって10,000円のお菓子を選ばなければならない……ということはありません。

●●課一同としてもらったときに選ぶべき香典返しとしてのお菓子の価格の相場は、3,000円前後が多いとされています。ただし、人数分に足りないお菓子は選ぶべきではありませんから、人数によっては少し高い価格帯のものを選ぶ必要も出てくるかもしれません。

連名でもらった場合は人数分用意することもある

「連名で不祝儀を頂く場合」と、「●●課一同の名前で不祝儀を頂く場合」の対処は、似ているようで異なります。「●●課一同」のときには個人名は記されていませんが、「連名」の場合は「山田太郎 鈴木一郎 川口花子」などのように複数の個人名が記されています。また、表書きで書ききれないときは、中に名前の書かれた紙などが同封されているときもあります。

この「連名」で不祝儀を頂いた場合の不祝儀に関しては、「以下のような方法がとられます。

  1. 書かれている名前の分だけ香典返しを渡す
  2. 香典返しは1つだけでいい
  3. お菓子などを持参すれば良い

1.書かれている名前の分だけ香典返しを渡す

書かれている人数分の香典返しをお渡しします。基本的には即日返しで終わらせられるものですが、「表書きは2人の名前だったが、不祝儀袋を開いたら中からほかの人の名前が書かれた紙が出てきた」という場合は、後日、忌引き後に出社した日にその人たちにもお返しをすると良いかもしれません。このときには、最初に香典返しをお渡しした人と同じ物を用意して渡すようにしましょう。

なお、このかたちを採用する場合であっても、例外が生じます。それが、「会社関係の人が、夫婦で連名で不祝儀を出してくれた」という場合です。家族ぐるみでお付き合いのある同僚や取引先の場合はこのようなやり方をとってくることもありますが、夫婦での連名の不祝儀は基本的には「一つ」としてカウントされます。このため、このときには香典返しは1つだけで構いません。

2.香典返しは1つだけでいい

「連名であっても、香典返しは1つだけしか渡さない」という考え方です。会社関係の不祝儀の場合、金額がそれほど多くないこともあり、喪家側の経済的な負担を考慮した場合はこの方法が良いでしょう。渡した香典返しは、「不祝儀を代表で持ってきてくれた人」が受け取るかたちが主流となります。

3.お菓子などを持参すれば良い

会社から寄せられる不祝儀は、「1人から1,000円~3,000円程度を集めて、区切りの良い金額にして不祝儀袋に入れる」というやり方がよくとられます。即日の香典返しの場合、金額の相場は3,000円程度ですから、連名の人に1人ずつ香典返しを渡していたら喪家側の負担が大きくなってしまいます。
このため、連名で不祝儀を出してくれた人に対しては個別に即日の香典返しをお渡しするのではなく、1,000円程度の香典返しをするという考え方もあります。

この場合はお菓子がよくお返しの品物として用いられますが、会葬御礼にお渡しするような洗剤やタオル、ハンカチなどを用意して渡すこともあります。

このやり方を取る場合、「人数の把握」が必須となりますし、金額の確認も必要となります。このため即日の香典返しは基本的には行わず、後日お返しすることになります。会社関係から頂く不祝儀ですから、忌明けに会社に持参してお渡しするかたちが一般的でしょう。

個人の名義で受け取った場合

表書きの名前:「山田太郎」など。個人名のみで、1人の名前のみ。

この場合は、1つの不祝儀につき1つの香典返しを返すだけで構いません。個人名で出される場合でも金額が10,000円程度であれば、即日返しで十分です。

なお、会社関係の場合は、「行きたかったけれどどうしても都合がつかない」ということで代理の人が不祝儀を持ってきてくれることもあります。そのような場合でも即日の香典返しをお渡しして問題ありません。地域によっては、「持ってきてくれた人(代理)と、不祝儀を出してくれた人の2人に対して、2つ香典返しを用意する」とするところもあるようです。事前に葬儀会社に確認しておくと安心です。

香典返しは、食べ物や石けんなど「消えもの」がふさわしい

基本的には、香典返しに選ぶべきものは以下のポイントのいずれか(あるいは複数)クリアするものとします。

  1. キエモノ・・・使い切ってしまえば終わってしまうもの。
    (例)コーヒーやお茶など
  2. 好みが出にくいもの・・・人の好みが反映されにくいもの。または香典返しを受け取った人が自分で選べるもの。
    (例)カタログギフトなど
  3. いくつあっても困らないもの・・・複数持っていても困らないもの
    (例)ハンカチやタオルなど
  4. 「悲しみを洗い流す」などの意味合いを持つもの
    (例)せっけんや洗剤など
  5. 物理的に重くないもの・・・軽くて持ち運びのしやすいもの。
    (例)お茶やハンカチなど

※「キエモノで好みが出にくく、いくつあっても困らず、重くないもの」として、商品券やビール券があげられます。ただしこれらはあまりにも直接的に「お金」をイメージさせるため、特段の事情がない限りは選ばない方が安心です。

香典返しとしてお菓子を送る場合は

  • 個別包装のもの
  • フォークやスプーンは用いずに食べられるもの
  • 賞味期限が長いもの
  • 粉などが舞うことのないもの

という、「職場で食べやすいもの、分けやすいもの」を選んでください。和菓子でも洋菓子でも問題ありません。

金額は不祝儀の3分の1から半額程度

香典返しの相場は、3分の1から半額程度です。ただし、即日返しの場合は3,000円程度の金額のものを用意します。
しかし香典返しには「上限」が決められています。50,000円(あるいはそれ以上)を頂いた場合でも、香典返しの上限額は15,000円程度で良いとされています。このため、「絶対に半返し(3分の1返し)をしなければならない」というものでもありません。

頂いた金額に差がある場合の注意点

会社関係の人から頂く不祝儀の額は、基本的には10,000円程度ですから即日返しの香典返しを個数分お渡しすれば問題ありません。ただし、代表者(社長など)の場合は大きい金額を包んでくる場合もあります。そのような場合は、金額に応じた不祝儀を用意します。

特に個人名で出される人というのは、故人や喪主・喪主の家族との付き合いが深い立場にある人であったり、社長などの代表者であったりする場合もあります。そのような場合は不祝儀の額が大きくなる可能性もあります。即日返しをしたけれど頂いた金額が多かった場合は、後日に改めて頂いた金額にふさわしい分の香典返しを送るようにしてください(上限は15,000円)。

ここまでは、「ケースによる香典返しの作法と金額」について述べてきました。次の項目からは、「香典返しにつける水引や表書き」について取り上げていきます。

香典返しの金額が気になる方は、「香典返しの費用について」をご覧ください。

会社への香典返しの熨斗(のし)について~水引や表書き~

「熨斗(のし。以下ひらがな表記)」とは、本来ならばお祝いの贈り物につけるべきものです。日本語的な意味では、「六角形に折った色紙の上に、アワビに見立てたオレンジ色の紙を差しはさんだもの」を言い、これを張り付けた紙を「のし紙」といいます。
ここでは、「弔事用の物品(香典返し)にかける掛け紙及びそこにかける水引や表書きなど全体」のことを「のし紙」と呼び、解説していきます。

なお、本来の意味での「熨斗」は、どのような宗教・どのような葬儀であれ、つけません。

水引は黒白の結び切りに「志」の表書き

まずは、基本となる「香典返しの水引」「表書き」について解説していきます。

水引は黒白・双銀・黄白の結び切りが選ばれる

のし紙には、水引をつけることになります。香典返しにつける水引は、双銀あるいは黒白のものが一般的です。ただし、これは地域性が表れるものです。東日本では特に好んで黒白の水引が使われますが、西日本では黄色と白の水引がよく使われます。なお、水引の数は5本になっているものがよく選ばれます。現在はのし紙にすでに水引が印刷されたものを利用するのが一般的です。

香典返しの手配をするときに、注文する会社に対して「香典返し用です」とお願いすれば、その地域に応じたものを用意してくれることでしょう。

なお、キリスト教や神式の場合は、この「水引」を用いない場合もあります。白い無地の紙を利用することもあるのです。ただ、この2つの宗教に関しても、「水引を付けてはならない」という決まりがあるわけではありません。このため、仏教以外の宗派の場合は、双銀もしくは黒白、あるいは黄白の水引のものを選んでも構いません。

水引は、いずれの場合も結び切りのものを利用します。結び切りの水引には、「悲しみが繰り返されないように」という願いが込められています。

表書きは多種多様

「表書き」とは、水引で区切られた上半分の中央に書かれる文字です。不祝儀の場合は「御佛前(仏教)」「御霊前(神式)」「御花料(キリスト教)」などが記されますが、書き方にはいくつかの候補があります。

  1. 志(こころざし)・・・もっとも一般的な表記であり、広く使われています。ただし、特に多くみられるのは東日本においてです。宗教を問わずに使える言い回しであり、仏教・神道・キリスト教、いずれの宗教であっても香典返しのときに使える表現です。
  2. 粗供養(そくよう)・・・神道のときによく使われる表現ですが、仏教の香典返しのときにも使われます。
  3. 満中陰志(まんちゅういんし)・・・仏教の葬儀のときによく使われる表現です。また、35日を忌明けとする場合は「繰上満中陰志(くりあげまんちゅういんし)」とする場合もあります。「
  4. 偲び草・・・キリスト教や神式のときによく用いられます。
  5. 忌明志(きあけこころざし)・七七日忌明志(なななのかきあけこころざし)など・・・名古屋や岐阜県などで使われる言い回しです。それ以外にも、地域や家庭によってさまざまな言い方があります。

「特にこだわりはない」「宗教などによって分ける必要性を感じない」ということであれば、「志」を用いるとよいでしょう。

名前の部分は「空欄」または「個人名」、あるいは「喪家名」

名前の欄は、空欄とします。もしくは個人名(喪主の名前。「川口一郎」など)、あるいは喪家名(「川口家」もしくは「川口」など)を入れるようにします。
会社に持っていく香典返しであっても、部署名などを入れる必要はありません。また、送り相手によって書き方を変更する必要もありません。

包装は内掛け(内のし)を選ぶが対面の場合は外のしを選ぶこともある

香典返しにかける掛け紙は、「内側(箱の上。さらにその上から包装紙で包む)」か「外側(商品を包装紙で包み、その上から掛け紙を掛ける)」のどちらにするかという問題があります。

これに関しては、絶対的な決まりがあるわけではありません。しかし、一般的には「内側(内のし)にするのが良い」とされています。

これにはいくつかの理由があります。
まず一つ目に、「弔事のような場面では、控えめに見えるように内のしにした方が良い」とする説です。このため、慶事においては積極的に外のしが使われます(ただし内祝いのときは内のしです)。
またもう一つの理由として、「香典返しは郵送で送ることも多いため、のし紙が傷つかないようにするため」という理由もあります。

ただし、対面で香典返しを渡す場合は、「どんなものかわかりやすいように」「郵送で傷つくこともないから」ということで、外のしが選ばれることもあります。

このことを踏まえると、以下のようになります。

  • 後日に、多額の不祝儀を寄せてくれた会社関係の人に香典返しを送る場合は内のしにしましょう。
  • しかし後日にお菓子などを直接職場に持っていくときは、直接持参することになるので外のしが選ばれることが多いといえます。

なお、即日の香典返しに関しては、表書き・名前・のしの掛け方に関しても、すべて葬儀会社が手配してくれます。このため、喪家側が「即日の香典返し」においてやらなければならないことはほとんどありません。また、このときの香典返しは家にいくらか持ち帰ることができるため、「後日自宅に弔問に訪れる会社関係の人」に対しても、これを渡せば問題ありません。

表書きや名前、水引や掛け紙に関しては、後日に自分で香典返しを用意するときのマナーとして覚えておいてください(※即日の香典返しでも、「このようにしてほしい」などの明確な希望があるのであれば、葬儀会社のスタッフに事前に相談してください)。

次の項目からは、「香典返しを渡すときの挨拶の例」について紹介していきます。

会社にて香典返しを渡すときの挨拶例



香典返しを渡すときには、「挨拶」が必要になってきます。
この「挨拶」は、直接行う場合と郵送のときに挨拶状として済ませるやり方の2通りがあります。
会社関係の場合は、直接挨拶をすることが多いかと思われます。このためここでは、「忌引き休暇をもらった。忌引き後の初めての出社で、香典返しを渡すとき」を想定して、挨拶の例文を取り上げていきます。

なお、挨拶状として香典返しの挨拶をする場合は独特の言い回しや表現がとられることが多いのですが、直接香典返しをお渡しする場合はこのような言い回しは用いません。ごく日常的な言葉遣いでの挨拶で問題ありません。

上司・同僚への挨拶例

香典返しの挨拶でもっとも多いのは、「上司・同僚に、香典返しを渡しながら挨拶をする」というシーンでしょう。
そのようなときには、以下の要点を抑えた挨拶を行います。

  1. 忌引きを頂いたことへのお詫び
  2. 葬儀に参列してくれたこと及び不祝儀を頂いたことへのお礼
  3. 職場に復帰することへの挨拶

「お詫びをする」ということに違和感を覚える人もいるかもしれませんが、これはごく慣習的なことですので抑えておいた方がよいでしょう。

上司・同僚など個別に香典返しを渡すときの挨拶

個別に渡すときの挨拶の例文は、以下の通りです。

葬儀に際しましては、ご臨席とご厚志のお心づかいをありがとうございました。おかげ様で、無事に母(続柄)を見送ることができました。忌引き中はご迷惑をおかけしまして、申し訳ございませんでした。本日から業務に復帰いたしますので、よろしくお願いいたします。また、ささやかながら供養のしるしをお持ちしましたので、お納めください

「母を見送る」は、直接的に「葬儀が終わりまして」などのように変えても構いません。
なお、四十九日の法要が終わってから香典返しを持っていく場合に関しては、「母を見送る」を「四十九日法要も滞りなく営みまして」などのように変更してください。

複数人へ香典返しの旨を伝える場合の挨拶

職場への香典返しは、お菓子などを持っていく場合もあります。このような場合は、複数人に対して挨拶をすることになるでしょう。そんなときの挨拶の例文を1つ紹介します。

葬儀に際しましては、お心づかいをいただき誠にありがとうございました。おかげ様をもちまして、葬儀を無事に営むことができました。急なお休みを頂くことになってしまい、大変ご迷惑をおかけしました。本日より業務に戻りますので、今後ともよろしくお願いします。また、ささやかながら供養のしるしをお持ちしましたので、皆様で召し上がってください。この度はありがとうございました

と述べるとよいでしょう。

挨拶は業務のさなかにすることになる場合も多いかと思いますので、要点を抑えつつ簡潔にまとめるようにしてください。挨拶状とは異なり口頭での挨拶となりますから、少し柔らかい言葉で行うのがポイントです。

香典返しの挨拶状は必要ない

「香典返しには挨拶状が必要」と考えている人もいるかもしれません。しかし後日直接香典返しを持っていく場合には、香典返しの挨拶状は不要です。
もともと、香典返しの挨拶状は「本来ならば直接会ってお礼を申し上げお返しを渡すべきだが、それが難しいので郵送と書面で失礼する」という性格を持っているものです。そのため、挨拶状には「拝眉の上御礼を申し上げるべきところ失礼ではございますが書面を持ちまして御挨拶とさせていただきます」などのような文章が入れられるわけです。

メールでの香典返しの挨拶はOK? それともNG?

現在はインターネットの発達により、「メールやほかのSNSでのやりとり」が盛んに行われるようになりました。では、香典返しの挨拶をメールなどで行っても良いのでしょうか?

基本的には、メールでの香典返しの挨拶はバッドマナーとされています。特に目上の方(上司など)や年配の方に対しては、基本的にはこのようなやり方は避けるべきでしょう。また、多額の不祝儀を包んでくれた人に対しても、メールで香典返しの挨拶をすることは避けた方がいいといえます。

ただ、状況によっては、直接挨拶ができない、でも堅苦しい挨拶状を送るのはためらわれる…ということがあるかもしれません。

会社関係から不祝儀を頂く場合、

  • 1人あたり1,000円~3,000円程度の金額で収まることが多く、一人ひとりに対して個別の香典返しを必要としないことが多い
  • 年代が近い人や部下、あるいは同僚からもらうケースも多い
  • 「個別の住所は知らないが、メールアドレスは知っている」という状況が頻繁にある
  • お互い仕事が忙しく、すれ違いが多いため直接お礼を言う機会がない。もしくは機会を持つのが難しい

という状況に陥ることが多いかと思われます。

このような条件を網羅した場合、挨拶状では堅苦しすぎるあるいは挨拶状を送れない……という状況に陥り勝ちです。そのため、こんな状況のやむおえない場合は特例的にメールで香典返しの挨拶をしても良いとされています。

ただ、このときにしたためるメールは、砕けすぎていたり、口調が軽すぎたりしてはいけません。むしろ、「挨拶状の代わり」となるものであるため、口頭で挨拶をするよりもずっと文面は硬くなります。

●●様
この度は、亡母の葬儀に際し、ご厚志を賜り誠にありがとうございました。
忌引き休暇中には大変ご迷惑をおかけしましたこと、お詫び申し上げます。
御陰様を持ちまして無事に母を見送ることができました。
本日より業務に復帰いたしますので、よろしくお願い申し上げます。
略儀にて失礼いたしますが、まずはお心遣いへのお礼と、業務復帰のご挨拶を申し上げます。
                                  名前

件名は「お香典のお礼」などとします。なお、葬儀の挨拶状の場合は句読点を入れないかたちが一般的ですが、メールの場合は入れるケースもあるようです(もちろん、挨拶状のマナーにのっとって句読点を入れずに作成しても構いません)。

会社関係の人への香典返しは、今後の社会人人生にも関わってくるものです。マナーをしっかり守って、失礼のないように対応していきたいものですね。

まとめ

会社関係への香典返しのマナーについては、以下の通りです。

  • 香典返しが不要な場合
    • 福利厚生の一環として、会社の名前で不祝儀を受け取っている場合
    • 遺児の養育にあててほしいなどの理由で、「香典返し不要」とされている場合
      しかしその場合でも、不祝儀を頂いたことへの挨拶状をしたためる必要はある
    • 菓子折りなどを用意してもよい
  • 差出人別の香典返しの渡し方(即日返しを基本とする場合)
    • 「●●課一同」→みんなで分けるお菓子を、後日持っていく。即日の香典返しは、不祝儀を持ってきてくれた人1人分だけを用意することもある
    • 連名で出された場合→①人数分渡す②1つだけで構わない③後日、菓子折りなどを用意する の3パターンがある。葬儀会社のスタッフなどに確認すると安心。
    • 個人名で出された場合→そのまま1つの香典返しを渡す。金額が多い場合は、後日改めて香典返しを送る
  • 後日お菓子などを持っていく場合のマナー
    • 水引は黒白あるいは双銀、地方によっては黄白の水引を選ぶ。水引の本数は5本で結び切り
    • 表書きは「志」「偲び草」「満中陰志」など
    • 宗教差や地域差はあるがもっとも一般的なのは、双銀の水引で「志」と書かれたもの
    • 渡す側の名前は、「空欄」もしくは「個人名」、あるいは「●●家」などで、会社に持っていくものでも部署名は不要
    • 香典返しは基本的には内のしだが、直接持参する場合は外のしとすることもある
  • 挨拶の例文について
    • 直接手渡す場合は、挨拶状は不要。口頭で挨拶を行う
    • 挨拶は、「休みをもらったことのお詫び」「参列あるいは不祝儀をくれたことへの御礼」「職場復帰の挨拶」の3要素を押さえて簡潔に行う
    • 後日に個別に香典返しを行うときの挨拶の例文はこちら
    • 後日に菓子折りなどを持っていくときの挨拶の例文はこちら
    • メールでの挨拶は基本的には避けるべきだが、会社関係の場合は「頂く金額が少ない」「相手の住所までは知らない」「なかなか顔を合わせられない」などの状況も考えられるので、場合によっては可。例文はこちら

会社関係の人から頂く不祝儀とそれに対する香典返しは、社会人としてのマナーが問われるものです。
失敗のないようにしましょう。


監修者コメント


監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

香典返しは、忌中明けの際に集まった人で餅やまんじゅうを共に食したことから派生した慣習と言われています。伝染病等が恐れられた時代には、死者を出した家はその家から出ることを禁じられ、別の釜、つまり別火(べっか)の食事をとらなければいけないとされていました。そのため食料香典として米や野菜などを持ち寄ったことが香典のはじまりだとされています。これまで忌み籠っていた家が、忌中明けをもって近隣の人と交流を持つことができ、食料香典に対するお礼がなされたのでしょう。
「粗供養」という言葉は、葬儀・告別式に会葬した人に渡されるお礼の品のことで、死者の供養につながるということに「粗末なものですが」という謙譲語が付いた言葉です。死者の供養を願って行われるお布施のひとつですが、これが香典返しの表書きにも使われるようになりました。