【法事 服装】アイキャッチ画像

法事・法要は、故人を悼むための追悼行事です。冠婚葬祭のなかでも「葬」はマナーがとても重要視されるものです。

この記事ではこのような疑問の解消!

  • 三回忌までの親族の格好
  • 三回忌を過ぎた後の親族の格好及び参列者の格好
  • 子どもや妊娠している人、足を悪くしている人などの服装
  • 法事のときの服装で、よくあるQ&A
  • 持ち物や小物

全般について解説していきます。

なお、「法事・法要」はもともとは仏教用語です。しかし、服装に関しては、「数珠」以外の項目はほかの宗教であってもあまり変わりありません。どちらかというと、ご家族の考え方の方が大きく反映されるものだと考えてください。

法事・法要の服装は立場や年数によって異なる

喪服を選ぶ女性

法事・法要に着ていく服は、自分自身の立場や、「何年目の法事・法要か」によって異なります。なお、十三回忌以降も法事を行うケースもありますが、その場合は略喪服(平服)となります。また、特に亡くなってから時間が経つと完全な「普段着」で出ることが許容される場合もあります。

親族 親族以外
四十九日 準喪服
(男性の準喪服リンク)
(女性の準喪服リンク)
略喪服(平服)
(男性の略喪服リンク)
(女性の略喪服リンク)
一周忌(満1年)
三回忌(満2年)
七回忌(満6年) 略喪服(平服) 略喪服(平服)
十三回忌(満12年)

法事の基本として、「家族(親族)は、参列者よりも格が上の格好をする」というマナーがあります。ただし、「血のつながりはあるものの、非常に遠い親戚である」「一応声がかかったから行くが、故人ともご家族ともほとんど関わりがない」という場合は、人によっては「親族以外」の服装を選ぶこともあります。

ただ、迷ったのであれば、血のつながりがある場合は「親族」の格好をしていった方が無難です。

ただこれはあくまで「基本の考え方」です。このため、実際には「家族(特に遺族)や故人が、弔いについてどのように考えているか」などによって少し変わってきます。

では男性の服装から見ていきましょう。

法事・法要に適した服装 ~男性~

数珠を持って拝んでいる喪服姿の男性

ここでは男性の服装について

  • 親族が着用する「準喪服」
  • 親族以外、又は三回忌以降に親族が着用する「略喪服」

を取りあげます。

なお、「正喪服」「準喪服」「略喪服」といった違いについてより詳しく知りたい方は「正喪服/準喪服/略喪服の違い」をご覧ください。

親族側:男性の「準喪服」

家族(親族)は、一般的に、三回忌までの法要の場合は「準喪服」を着用するのが一般的です。

準喪服はもっとも一般的な喪服で、単純に「喪服」というとこの準喪服を指すことが多いといえます。葬儀の席では、家族(親族)も参列者も着用できます。

スーツ

スーツは、ブラックスーツ(ブラックフォーマル)を選びます。これは、光沢のない漆黒の生地で作られているものです。シングルとダブルがありますが、指定はありません。ただし、パンツの裾上げがダブルになっているものは選ばないようにしてください。

裾上げをダブルにしてしまうと、どうしてもカジュアルな印象になってしまいます。葬儀や法事・法要というあらたまった場所では、オフィシャルな雰囲気を出せるシングルの裾上げの方が望ましいといえます(もっとも、準喪服で裾がダブルになっているものはほとんど目にしません)。

ワイシャツ

法事・法要に着ていくワイシャツは、白い無地のものが一番適しているといえます。色のついていない真っ白なものを選びましょう。

襟も、華美な装飾が施されていたり、ドレッシーな加工がされていたりするものは適していません。「レギュラーカラー」と呼ばれるもの、もしくは「ワイドカラー」と呼ばれているものが望ましいでしょう。

レギュラーカラーとは、その名前の通りもっとも一般的な襟の形です。開きが70~90度程度で、落ち着いた印象を与えます。ワイドカラーは100~120度程度の開きになっています。

また、襟元にボタンが付いているものや、ピンホールカラー(カラーピンを通して、その上からネクタイを結ぶかたち)のものなどは選ばないようにします。

カフスは、シングルでもダブルでも構いません。シングルの方は汎用性が高いので、新しく買うのであれば、シングルのものを選ぶと良いでしょう。またカフスボタンに関しても、つけない選択が安心ですが、どうしても付けたい場合は目立たない色を選びましょう。

ネクタイ

ネクタイは、黒い無地のものを着用します。また、素材は光沢のないものを選びましょう。インターネット通販やお店で、「ネクタイ 喪服」などのように検索して出てきたものを選ぶのがもっとも安全です。自分の目で見ただけでは、「色は黒っぽく見えるけれど、本当は法事・法要の場にはふさわしくないネクタイだった」ということもあるからです。

ネクタイの結び方に、「ディンプル(くぼみ)をつける」というものがあります。これは一種の「こなれ感」を与えてくれるものであり、デートの時などに作っていくとさりげないおしゃれさを演出できます。

しかし法事・法要の場ではふさわしくありません。一般的な結び方をし、くぼみを作らないようにしてください。

ネクタイピンは、不安ならばつけない方が良いでしょう。どうしても「装飾品」という印象が強くなるからです。つけるのならば、落ち着いた目立たない黒色のものを選びます。宝石がついているものを選びたいのなら、真珠やブラックオニキスなどのついたものにします。

靴・靴下

靴下は黒色を選びます。灰色や紺色も、避けた方が安心です。また、きらきらした繊維や光沢の入った生地を使ったものは選びません。ワンポイントは、入っていてもあまり目につくことはありませんが、マナーとしては避けるべきです。

靴は、黒一色のものを履いてください。金具のついていないものを選ぶのが正式なマナーです。大人の男性ならが1足は持っているかと思いますが、なければ購入しましょう。茶色や灰色の靴は、色味としては落ち着いていますが、法事・法要に履いていくにはふさわしくない靴といえます。

また、「素材」にも配慮してください。男性のビジネスシューズの場合、エナメルなどで光沢を出しているものもあります。しかしこれは法事・法要の場面ではNGとされます。スエードや蛇皮などの殺生をイメージさせるものも避けるようにしてください。

紐がついた靴やローファーもふさわしくありません。特に紐のついた靴は、「ちょうちょ結びになること」が良くないと考えられています。慶事の際の祝儀に、ちょうちょ結びにした祝儀袋(水引)が利用されるからです。

どうしても紐のついた靴しか用意できないときは、結び目が目立たないように隠すようにするといいでしょう。またその際、紐は必ず黒色のものを選びます。

以上、準喪服についてご紹介しました。なお、カバン・時計・アクセサリーなどについては、章の後半に紹介しています。

次からは、「親族以外の人が着ていく男性の服装」と「三回忌以降の親族の男性の服装」を取り上げます。

親族以外&三回忌以降の親族:男性の「略喪服(平服)」

親族以外が法事・法要に参加する場合は、ご家族のご意向が示されない限りは、何回目の法事・法要であっても「略喪服」を着用します。また、家族(親族)の場合も、七回忌以降は、準喪服よりも格が下の略喪服を着用するのが一般的です。

なお、「略喪服」は「平服」とも書かれます。ただしこの「平服」は「まったくの普段着」という意味ではありません。このため、Tシャツやジーンズなどで行くことはバッドマナーとされます。なおこれは、法事・法要のときの男性の服装だけでなく、葬儀全般や女性の服装についても同じことがいえます。

これを踏まえて、親族以外の人と、七回忌以降の親族がするべき「略喪服(平服)」の格好について解説していきます。

スーツ

スーツは、黒色が望ましいとされています。同じ「黒色」であっても、略喪服と準喪服では大きな違いがあります。略喪服の場合は一般的なブラックスーツでもよく、「黒い色をしたビジネススーツ(日常使い)」でも構わないのです。対して準喪服では、「喪服」として作られた深くて透け感と光沢のない、重い印象の黒い生地が選ばれます。

もっとも大きな違いは、「略喪服の場合、黒以外の色も許容される」という点です。黒いスーツが基本とはなりますが、紺色やグレーなどもマナー違反とされません。落ち着いた黒系統の色であれば失礼にならないのです。

また、柄についても違いがみられます。準喪服の場合、一切柄の入っていないものを選ばなければなりません。しかし略喪服の場合は、織柄程度ならばOKとされます。また、よく見ないと分からない程度ならば、ストライプなどが入っていても構わないとされています。

ワイシャツ

略喪服のワイシャツは、準喪服のワイシャツと同じです。白いものを選び、襟に飾りがないものを選びます。

ネクタイ

略喪服の場合も、準喪服同様、ネクタイは黒一色のものを選ぶようにします。これが一番無難な選択肢です。ただし、略喪服の場合は薄く柄が入ったものや、深い紺色などの地味な色ならば許容されます。意識してみなければわからない程度ならば、ストライプなどの模様が入っているものでも構いません。

靴・靴下

靴と靴下も、黒色の靴と黒い靴下を選びます。

金具のついた靴は、どうしても華やかな印象になってしまうので避けるようにしてください。また、ひものついた靴も避けます。ひものついた靴は、「ちょうちょ結びになること」が良くないと考えられています。

なお、あまり大きく取り上げられることはありませんが、先の尖った靴(ポインテッドトゥ)は、法事・法要や葬儀の場にはふさわしくありません。これらは華美でおしゃれな印象を与えてしまうため、弔事には選ばれないようにします。また、足の甲~つま先がハート型のように切り替えられている形(ウィングチップ)や足の甲~つま先がUのラインで区切られている形(Uチップ)も避けるようにします。

その他持ち物 ~準喪服・略喪服共通~

  • カバン…黒くて光沢のないものを選びます。チャックはついていても構いませんが、チャックの色も黒のものを選びましょう。
  • 腕時計…ベルトは黒もしくはシルバーのものを選びます。
    文字盤は派手さを抑えたものが好ましく、華美なものは避けるようにしましょう。
  • アクセサリー…結婚指輪以外のアクセサリーは原則として避けます。
    ただ結婚指輪だけはつけていてもかまいません。
  • ハンカチ…白色もしくは黒色が望ましい。
    ただし、深い紺色や灰色など華美ではない色ならば許されるでしょう。マナー違反とは言いませんが、タオルハンカチよりも、一般的なハンカチの方が好ましいです。

男性の装いについて紹介したので、次は女性の装いを取り上げます。

法事・法要に適した服装 ~女性~

喪服姿で合掌する女性

ここでは女性の服装について

  • 親族が着用する「準喪服」
  • 親族以外、又は三回忌以降に親族が着用する「略喪服」

を取りあげます。

女性の服装にも、男性の服装同様のマナーがあります。女性の場合、アクセサリーなどをつける機会が男性よりも多くなるため、そのあたりにも注意が必要です。また、ストッキングなど、女性独特のアイテムもあります。服装のバリエーションも男性に比べて豊富な傾向にありますが、間違いのない服装を選んでいきましょう。

まずは、親族側で、かつ三回忌までの装いを紹介します。

親族側:女性の「準喪服」

まずは、親族が法事で身に着ける「準喪服」について解説します。

なお、「正喪服」「準喪服」「略喪服」といった違いについてより詳しく知りたい方は「正喪服/準喪服/略喪服の違い」をご覧ください。

喪服

女性の場合の準喪服は、ブラックフォーマルのスーツがよく選ばれます。パンツスーツでもバッドマナーとまではいわれませんが、一般的に、法事・法要や葬儀の席ではパンツスーツよりもスカートの方が正式なものとして扱われやすい傾向にあります。そのため、特段の事情がないのであれば、スカートを選ぶとよいでしょう。

スーツの形は、ワンピースやアンサンブルを選びます。夏場であっても五分袖~七分袖以上のもの(七分袖以上の長さが推奨)を選び、肌の露出を抑えるようにします。

靴・ストッキング

黒いストッキングを選ぶのが無難です。30デニール以下が望ましいとされています。また、網タイツや柄物はすべてマナー違反とされます。

意外に思われるかもしれませんが、ストッキングよりも透け感のない「タイツ」は、基本的にはNGです。カジュアルな印象になりすぎてしまうからです。ただし、「非常に寒い地域であり、ストッキングでは耐えられそうにない」というような場合は、許容されることもあります。

この場合でもできるかぎり透け感のあるものを選ぶようにすると目立ちません。

靴は、飾り気のないパンプスが望ましいといえます。金具がついておらず、光沢のない素材で作られた靴を選びます。ピンヒールやミュール、ブーツなどは避けます。また、法事・法要にはヒールのある靴を履いていくのが原則ですが、ヒールが高すぎるものは場にふさわしくありません。また、音が出るものも避けるべきですから、3センチ~5センチ程度のものがよいでしょう。

以上、女性の準喪服についてご紹介しました。なお、カバン・時計・アクセサリーなどについては、章の後半に紹介しています。

親族以外&三回忌以降の親族:女性の「略喪服(平服)」

親族以外の女性、あるいは三回忌以降の親族の女性の装いについて取り上げていきましょう。この場合は、準喪服よりも格が落ちる「略喪服」で出ることになります。

男性の場合同様、「略喪服」は「平服」ともいわれます。

喪服

女性の略喪服は、ワンピースやアンサンブル、セットアップスーツなどです。準喪服とは異なり、略喪服の場合は、「光沢のない黒い生地を使った洋服」ではなく、灰色や紺色などの色の服もOKとされています(もちろん、黒色の服でも構いません)。

露出を避けた格好をするのは準喪服と同じです。膝丈~それよりも長め(ふくらはぎあたり)までのスカート丈のものを選びましょう。なお、「お手伝いすることが前提となる」という場合は、動きやすいパンツスーツでも構わないとされています。

模様に関しては、目立たないストライプなどならば入っていても構いません。ただ、無地の方が迷わずに選べるでしょう。

靴・ストッキング

「略喪服の場合、どのようなストッキングを履いていくか」についてですが、これは見解が分かれます。「黒しかダメ」とする意見もあれば、「ベージュも許容される」とする意見もあります。

もしも迷った際は黒色を選ぶと良いでしょう。また準喪服の時と同じく、30デニール以下が望ましいとされます。

更に詳しく解説すると、略喪服を着て参加する人も多い通夜においては、ベージュのストッキングでも良いとされています。それもあり同じ略喪服であり、かつ「故人が亡くなった直後」ではない法事・法要ならばベージュのストッキングでも良いような気がするかもしれません。

しかし通夜の場合は『取り急ぎ駆け付けた』という性質もあるのでベージュのストッキングでも問題はない。法事・法要の場合は準備ができるのだから、黒色でとする考えもあります。それを踏まえると、「黒しか認められない」とする説も説得力があるように思われます。

結論、迷った際は、黒色を選ぶと良いでしょう。

靴は準喪服の場合と同じです。

飾りや光沢のないパンプスを選びましょう。またヒールが高すぎたり、音が出たりする靴は避けましょう。

アクセサリー~準喪服・略喪服共通~

  • アクセサリー…結婚指輪以外はつけていかないのが原則です。婚約指輪に関しては、「許容される」とする意見と「していくべきではない」とする意見があります。このように意見が分かれる場合は、「つけていかない」という選択肢を選ぶのが無難です。

女性の場合、真珠のアクセサリーはつけていっても構わないといわれています。特に真珠のネックレスは、法事・法要や葬儀において比較的メジャーなものです。二連は「悲しみが重なる、悲しみが再び起こること」を連想させるため避けるべきです。なお、真珠は白でも黒色でも構いません。ブラックオニキスも使えます。

ただし、ピアスやイヤリングは避けた方が賢明です。

なお、髪の毛に付けるヘアアクセサリーにもマナーがあります。これに関しては、髪型マナーの章ご覧ください。

その他持ち物~準喪服・略喪服共通~

  • 腕時計…シルバーや黒色、落ち着いた茶色のものを選びます。
    なお、「時計も、特段の理由がなければしない方が良いのではないか」と考える向きもあります。ただ、自分が遺族側で、レストランの予定などのために時間を管理しなければならないのであれば、時計はしておいた方が良いでしょう。携帯電話を何度も見るのは失礼にあたるからです。
  • カバン…黒い布製のハンドバッグを選ぶとよいでしょう。
    マグネット式になっていて、金具などが(少なくとも表面には)つけられていないカバンを選ぶのが正解です。黒いカバンでも光沢のあるものやビジューのついたものは避けます。また、ファーなどがつけられたもの、ワニ革などを使ったカバンは持っていかないようにします。
  • ハンカチ…黒もしくは白のものを選びます。女性のハンカチとしては、レースのハンカチなどもよく選ばれています。

お手伝いをする場合はエプロンを持参することがある

また、服装とは少し異なりますが、法事のお手伝いをする時にエプロンを持参することがあります。

最近は少なくなりましたが、自宅で「お茶出しをする」「料理をお出しする」という場合は、法事・法要用のエプロンがあった方がよいでしょう。その場合のエプロンの色は、白もしくは黒です。

法事・法要の場合は白もよく使われますが、葬儀や通夜では黒色のエプロンの方が適しているとされています。そのため、新しく買うのであれば黒色を選ぶと良いでしょう。

次の項目からは、法事・法要に適した子どもの服装を紹介します。

法事・法要に適した服装~子ども~

子どもの服装は、大きく3つに分けられます。

  1. 学童期前の子ども
  2. 小学校~高校生で、かつ制服がある学校の子ども
  3. 小学校~高校生で、かつ制服がない学校の子ども

なお、大学生の場合は大人の服装に準じます。特に、「大学生だが20歳を超えている」という場合は、きちんとした準喪服・略喪服を購入した方がよいでしょう。

これを踏まえて、「子どもはどのような服を着ていけばいいのか」を取り上げていきます。

小学生以下の子どもに適した洋服

乳幼児~幼稚園(保育園)までの年齢の子どもの場合、服装には厳密な決まりはありません。黒や紺色などをベースにした、派手ではない服を選べばよいでしょう。

なお、まだ赤ちゃんの場合は黒い服がなかなか探せないこともあります。この場合は、バステルカラーなどの優しい色合いの服ならばOKとされています。

ただ、原色や、キャラクター物は避けた方がよいでしょう。

小学校にあがっており、制服があるのであれば制服を着用します。

制服がない学校ならば、ブレザーやワンピースなど、「制服に似た上品なデザインの洋服」を選ぶようにしてください。

靴下は、黒色もしくは紺色が望ましいといえます。なお、「大人ならば避けるべき」とされているタイツも、子どもならば問題ありません。この場合も、色は黒色もしくは紺色が無難です。

中学生・高校生に適した洋服

中学・高校生の場合も、制服があれば制服を着ていきます。制服は学齢期の子どもにとって、もっとも格が高い服装だからです。

なお、制服の場合は、「夏服なので袖が短い」「スカートがチェックやストライプ」「非常に明るい色」「赤いリボンがついている」などのように、「通常ならばバッドマナーとなるデザイン」であっても問題はありません。それよりも、着崩さないことの方が大事です。

大人ならばNGとされるローファーは、子どもにとっては「法事・法要に適した靴」になります。黒色や紺色のローファーを用意しましょう。また、派手な色ではない(特に黒色系統ならばより望ましい)ものならば、スニーカーでも構いません。

次の項目からは、「法要の後の会食のときの服装」を取り上げます。

法要の後、会食をする場合は「普段着」に着替えることもある

現在は、法事・法要の後に会食の場を設けることが多いかと思われます。

多くのケースでは、法要→お墓参り→会食となるため、基本的には「法要に着てきた服装(準喪服もしくは略喪服)」の服装で過ごすことになります。

ただ、「身内だけで行う法事・法要」「会食が終わったらみんなで家でくつろぐ」「堅苦しい席にはしたくないというのが、故人や家族の意向」という場合は、食事をする前に普段着に着替えることがあります。これは、「普段着に着替えて、ゆっくりくつろぎながら故人の思い出話をしましょう」という意味合いを持つことが多いといえます。

ただ、この場合の「普段着」は、いつもの「普段着」とは異なります。派手すぎるデザインやダメージジーンズ、原色を組み込んだ服装、ドクロなどが描かれた衣服は避けましょう。基本的には、「黒色や紺色、灰色の落ち着いたワンピース」「シャツとパンツ」などのように、慎みを持った服装を選ぶ必要があります。

あくまで法要の延長であることを意識して、「過ごしやすいけれども、失礼ではない格好」「派手ではなく、地味な格好」を作ることのできる普段着を選ぶべきです。

次の項目からは、法事における髪形や身だしなみのマナーについて解説していきます。

法事・法要における「髪型」や「身だしなみ」のマナー

葬儀受付の女性

法事のときに問われるのは、着ていく服だけではありません。髪形や身だしなみについても問われます。特に女性の場合は、男性に比べて髪形に個人差が現れやすいものですし、ネイルアートをしている人もいるでしょう。

ひとつずつ解説していきます。

明るい髪色は避け、暗い色にする

法事・法要に参加するときの髪の毛の色は、基本的には茶色~黒色であるべきです。また、明るすぎる茶色は避けるようにしてください。ダークブラウン程度の色にしておき、金髪に近いような明るい色にはしないようにします。また、緑やピンク、紫、青色などの華美な色は、法事・法要の席にはふさわしくありません。

「この間新しく染めたばかりなので、法事・法要のために色を変えることはしたくない」ということであれば、黒いスプレー(髪の毛用)をかけて、1日だけ黒髪にしましょう。

なお、これは「マナー」ではないのですが、一般的に、女性よりも男性の方が「暗い色の髪の毛が望ましい」とされることが多いように感じます。女性よりも男性の茶髪の方が目立つ傾向にあります。

髪型は無難に・華美な髪飾りはつけない

髪形は無難な髪形にします。長い場合は結ぶのが原則ですが、その場合は耳よりも下の位置でくくってください。耳よりも上の位置で結ぶと、慶事の印象が非常に強くなるからです。そのうえで、サイドをピンで押さえるのが良いでしょう。

なお男性の長髪も同じようにします。

髪の毛は、単純にゴムでくくるだけで構いません。この場合、ゴムは茶色・黒・紺色などを使いますが、黒色がもっとも望ましいでしょう。ハーフアップやお団子にしても構いません。

使うヘアアクセサリーは、リボン・バレッタ・シュシュ・シニヨンネット/シニヨンバレッタ(お団子を網などで包み込むヘアアクセサリー)などがよいといえます。これらはすべて黒色のものを選びます。ビジューなどはついていないものが望ましく、黒一色のヘアアクセサリーがよく使われます。

大振りの花や、明るい色のヘアアクセサリーを選ぶのはマナー違反です。

ネイルは落とす方が好ましい

ネイルアートは、法事・法要においては基本的には禁止です。「フレンチネイルはOK、ベージュ系なら……」とする意見もありますが、あえて「マナー違反か、違反ではないか」のギリギリを攻める必要はありません。

もちろん、「爪が非常に割れやすく、弱い。爪を保護していないと日常生活が営めないほど弱い」という場合は爪を保護するためとして許容されます。しかし、おしゃれ目的のネイルアートは避けるべきです。

特に、長い爪やストーンが入ったもの、華美なデザイン、華やかすぎる色などのネイルアートは嫌われます。

自分で作ったネイルアートで、簡単に落とせるものならば落とします。

「ジェルネイルなので、自分で落とすことができない」
「この間ネイルサロンに行ったばかりなので、さすがに落とすのはもったいない……」

という場合は、上からベージュのマニュキアを塗ったり、黒い手袋をつけたりしてください。

黒い手袋は、レースで作られたものや、まったく透けない素材で作られたものなど、そのバリエーションさまざまです。焼香のときだけ手袋を外し、それ以外のときにはつけっぱなしにしておけば、ネイルも目立ちません。

法事・法要に参列する時の「お化粧」はナチュラルに

大人の女性ならば、法事・法要のときにはメイクをすべきです。「極端に肌が弱く、医者にもメイクは止められている」などの場合を除き、ノーメイクはマナー違反になると心掛けてください。

法事・法要のときのメイクは、おしゃれではなくマナーです。そのため、派手な化粧は避けましょう。下地にファンデーションを合わせますが、基本的にはチークは入れません(入れないと非常に顔色が悪くなるようならば、薄くつけるのはありです)。

アイシャドウはつけても問題ありませんが、その場合はブラウンなどの落ち着いた色を選びます。ラメとパールは厳禁です。アイラインは引いても構いませんが、しっかり引いてしまうと派手な印象になるので入れ方に注意をしましょう。マスカラとつけまつげは、法事・法要の場にはふさわしくありませんからつけないようにします。

口紅については、考え方が分かれます。もともと葬儀においては、「片化粧」という考え方があります。これは「薄化粧にして、紅を引かない」とする考え方です。

口紅を引かない理由としては、「悲しみのあまり紅も引けません」「派手な印象にならないように」というものがあったとされています。そのため、口紅は引かないのが原則です。

ただ、現在では、薄く、目立たない色の口紅ならば引いても良いとされています。引いた後に一度ティッシュで押さえましょう。ラメ・パールが入ったものやグロスは禁止です。

法事・法要の服装・身だしなみで迷った時は「親戚に相談」を

法事・法要の服装には「原則」がありますが、ご家庭ごとの違いがあるのも事実です。たとえば、「母方の親族は比較的ゆったりとしていてくだけている。父方の親族は真面目でマナーも重視する」などのように、同じ家庭内であっても考え方が異なる場合もあります。
また、ご家族によっては、「一周忌で法事・法要はたしかに行うが、仏事というよりも、みんなで集まって気楽に故人の思い出話をしたい」と考える場合もあるでしょう。

このような場合は、「どのような服装をしていけばいいのか」でとても迷うことになります。お世話になった葬儀会社のスタッフやマナー本を読むのももちろん重要なのですが、このような「家族間での考え方」にまでは対応しきれないことが多いといえます。

このため、可能ならば親族に相談をして、「どんな格好をしていくべきか」を教えてもらうと良いでしょう。相手もわからない場合でも、親族で同じ格好ができれば、浮くこともありません。

なお、「どんな格好で行けばいいかわからない、略喪服がいいのか、それとも地味だけれど一般的な普段着でいいのか……」となった場合は、まずは略喪服を着ていき、普段着は荷物としてカバンに収めておくなどの方法もとれます。

ちなみに、長旅になる場合は、「地味な普段着」で現地に行き、法事・法要が始まる前に着替えるという方法もあります。これはバッドマナーではありません。

法事・法要の服装についてよくある質問

ここからは、法事・法要の服装についての「よくある質問」に答えていきます。

  • 親密な親族だけの法事・法要でも喪服を着る必要はあるか?
  • ご家族に「普段着にしてくれ」と言われたら?
  • 特別な状況で法事・法要に参加する場合は?
  • 暑い時期と寒い時期の装いはどうすればいいの?

について、ひとつずつ丁寧に解説していきます。

親密な家族だけでの法事でも喪服を着なければいけない?

「略喪服で、あるいは普段着で」という認識を家族全員が共有しているのであれば、七周忌より前であっても略喪服でも構いませんし、普段着にしても良いでしょう。

「法事・法要」は僧侶を呼んで行うこともあります。この場合はやはり略喪服や準喪服を着た方がベターではあります。ただ「法事・法要」としていても実際には「家族だけで集まって、故人を悼むだけ。僧侶は呼ばない」とする場合もあります。僧侶を呼ばない場合は、「家族だけで集まって故人の思い出話をすること」が目的となるため、過ごしやすい恰好にしても問題はないかと思われます。

ただこれはあくまで「ごく近しい家族(故人の配偶者とその子ども、あるいは孫など)で集まる場合で、かつ家族全員の認識が一致している」という状況での話です。だれか1人でも、「きちんとした服装で法事・法要を営みたい」と考えているのであれば、無理強いはしない方が良いでしょう。

ご家族・故人の希望で「普段着にしてくれ」と言われたら?

法事・法要の基本は準喪服もしくは略喪服ですが、自分が参列者の立場でご家族から「いつも通りの普段着で参加してほしい」と希望を出されたのならばその要望に従っても良いでしょう。

葬儀のかたちが多様化していっている現在、「自分が死んだら、いつも通りの服装で見送ってほしい」「とても若いときに不慮の事故や病気で亡くなった。学校に行くような気持ちで送り出したい」として、あえてまったくの普段着(略喪服ではなく、日常的に着るような服装)で送ってほしいと考える人もいます。

法事・法要や葬儀においてマナーを守ることはとても大切です。しかし、法事・法要や葬儀の一番の目的は、「故人を悼み、ご家族を労わり、彼らの望んだかたちでお見送りをし、追悼すること」です。そのため、ご家族や故人が「普段着での法事・法要」を希望されるのであれば、それに従えば良いでしょう。

なお自分が家族の立場になった場合で、かつ普段着での法事・法要を希望するのであれば、参列してくれる人に丁寧に説明してください。事情を説明して、服装の具体例(たとえば、「Tシャツジーンズなどのラフな格好で参加してほしい」など)を挙げると、相手も戸惑わなくてすむでしょう。

足が悪い・妊娠しているなどの特別な状況での服装はどうすれば良い?

法事・法要に参加する人の立場や状況は、ケースごとで異なるものです。足が悪い人や妊娠している人、歩き回る小さなお子さんを抱えている人などもいることでしょう。この場合は体の状況を一番に考えて服装を選んでも構いません。

足を悪くしている人の場合は、準喪服を着る立場の人であってもパンツで構いません。またスーツにこだわる必要もなく、黒のトップスにカーディガン、歩きやすい伸縮性のある黒いパンツなどを組み合わせても構わないのです。また、畳の部屋での法事・法要であっても、小さな腰掛ける用の椅子などを持ち込んでも問題ありません。

妊婦さんの場合は、マタニティフォーマル(マタニティ喪服)を選ぶとよいでしょう。腹部の生地がゆったりとした服であり、無理なく着ることができます。マタニティ喪服は着る機会もそれほど多くはないので、レンタルで済ませるのも良いでしょう。なお、出欠も、体調を一番に考えて判断してください。

走り回るような小さなお子さんがいたり、面倒を見なければならない学齢の子がいたりする場合は、パンツスーツを選んでも問題はありません。

法事・法要は大切なものですが、「生きている人の体調」を一番に考えてよいのです。

夏の暑い時期・冬の寒い時期の服装はどう対策すればよい?

夏場の法事・法要の装いと、冬場の法事・法要の装いについて解説していきます。なお、子どもの場合は制服を着れば問題ありません。これが問われるのは、大人の服装だけです。 

夏の暑い時期にできる対策

夏用の喪服を選びましょう。ある程度風通しの良い生地で作られたブラックフォーマルも販売されています。これらは、見た目は一般的な喪服とあまり変わりませんが、過ごしやすいように工夫されており、快適に着ることができます。

ちなみに、夏場でも法事・法要の場合は五分袖以上の袖丈のものを選ばなければなりません。また、男性はスーツを着用しなければなりません。墓参りで長く外にいるという場合は、オールシーズン用の喪服だと少し厳しいものです。熱中症の心配もありますから、できる限り季節に適した喪服があると良いでしょう。

また、喪服を着る機会があまりないという場合は、レンタルを検討してください。

レンタルの場合は、小物も含めて一式全てを借りられることも多いので、非常に便利です。

冬の寒い時期にできる対策

冬場の法事・法要は、オールシーズン用もしくは秋冬用の喪服を使えば問題ありません。会場において、暖房がついていないところはほぼないのでこれで乗り切れるでしょう。ただ、寒さに弱い場合は、フォーマルの場に使えるひざ掛けを持参すると良いでしょう。黒いものが安心です。

法事・法要に着ていくコートとしては一般的な黒のコートを選ぶと良いとされています。

ただ、「ここまで神経質になる必要はないのではないか」と考える人も多くいます。このため、ベージュや濃紺、灰色などのコートは許容されることが多いといえます。白色は避けた方が良いでしょう。また、ファーのように殺生をイメージさせるものや、華美な飾りがついたもの、赤や黄色などの派手な色のものは避けるようにします。

ブーツや長靴は原則マナー違反です。靴は、金具のついていない黒い靴かパンプスにしましょう。

ただ、豪雪地帯で移動に難が出るような場合は、長靴やブーツで行き、現地で履き替えるなどのやり方は許容されることもあります。

まとめ 

法事・法要の服装について、ここまで解説してきました。最後に要点をまとめてお話しします。

  • 法事の服装は立場や年数によって異なる
    親族の場合は、三回忌までは準喪服、それ以降は略喪服です。
    親族以外の場合は、基本的に略喪服で構わないとされています。
親族 親族以外
四十九日 準喪服
(男性の準喪服リンク)
(女性の準喪服リンク)
略喪服(平服)
(男性の略喪服リンク)
(女性の略喪服リンク)
一周忌(満1年)
三回忌(満2年)
七回忌(満6年) 略喪服(平服) 略喪服(平服)
十三回忌(満12年)
  • 子供の服装は、制服があれば制服で良い。
    ない場合は、制服に似たデザインのものを。乳幼児ならばパステルカラーでもよい。靴下は黒が望ましい。運動靴やローファーも、子どもならばOK。

  • 服装だけでなく「髪型」や「身だしなみ」にも注意する。
    髪の毛は黒色が基本だが、ダークブラウン程度ならばあまり問題にならない。派手な色の場合は、黒のスプレーで染める。長い髪の毛は、バレッタやリボン等でまとめるが、ヘアアクセサリーの色は黒のみが望ましい。

  • 法事・法要のときのメイクはナチュラルに抑える。
    マスカラやつけまつげはつけない。アイシャドウは落ち着いた色のものを選び、チークは原則として避ける。口紅は、つける説とつけない説がある。つける場合は、落ち着いた色のものを。

法事・法要においてはマナーを守ることも重要ですが、ご家族と故人の意向を考えるのも重要です。また、体調の問題で、「基本に従った格好」ができなくても、それはあまり問題にはなりません。

法事・法要のシーンにおいては、マナーを守った装いをすることが求められます。ただあまり杓子定規にとらえすぎる必要はありません。「ご家族や故人に失礼のない恰好とは何か」「ご家族や故人のお心にかなう装いを」を意識して選んでいくとよいでしょう。

監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

葬儀や法要での服装については、悩むことも多いのではないでしょうか。基本的には「服装で弔慰を表す」ことを心掛け、自己主張せず喪服または喪服に準じた服装をします。これまで多くの葬儀の現場を見てきましたが、場違いな服装をしている人はいませんのでご安心を。ヨレヨレでアイロンがかかっていなかったり、靴が磨かれていなかったり、そういった気遣いのほうが大切です。久しぶりに履く靴だと、靴底のゴムの部分が途中で壊れてしまったり、合皮部分が剥がれてしまった、というケースも。女性はヒールが良いと言われていましたが、昨今はKuTooの社会運動の影響力もあってか、ヒールは強制されるべきではないという潮流があります。