通夜見舞いって何のこと? 現在の通夜見舞いとその意味について

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冠婚葬祭のなかでもマナーが問われる「葬」ですが、これには実は地域性や時代による違いがみられます。

もちろん全国的によく知られたマナーや風習もありますが、マナー本がたくさん出版されインターネットで手軽に情報を手に入れられるようになった現在でも、ある地方には見られてほかの地方には見られない風習やマナーがたくさんあります。

基本的には「その地域に根付いた風習・マナー」に従えば良いのですが、「遠方から引っ越してきたので、そのような風習は知らなかった」「自分の地元では当たり前のようにあった風習だが、引っ越した先にはなくて驚かれた」などのような状況になるのはできるだけ避けたいものです。

今回は、そのような風習のなかから、「通夜見舞い」を取り上げます。

通夜見舞いとは遺族を労うこと

「通夜見舞い(「通夜見舞」とすることもありますが、ここでは「通夜見舞い」と統一します)」という言葉は、まったく聞いたことのない人もいるでしょう。

専門職に就いていた人間であってさえ、地域が違えばまったく耳にしたことがない……ということもあります。

通夜見舞いとは、関東地方や新潟県、そして九州の一部で見られる風習であり、ほかのところではあまり見られません。

この「通夜見舞い」は、入院のときにする「入院見舞い」と深く関係があります(なお、入院時に行われるお見舞いは、特に「入院見舞い」と書かず「お見舞い」とだけ表記されることが多いのですが、ここでは区別をするために特に「入院見舞い」とします)。

入院見舞いとは、名前からも分かる通り、病院に入院している人にお渡しするものです。

ご病気である人を労わり、快癒を願って送るものであり、お花(ただし鉢植えのものは「病気が根付く」という意味になるので避ける。また、菊などのように、葬儀と結びつきやすいものは避ける)や現金、本人の退屈を紛らわせられるものを選んでお送りします。

本人の心の慰めにもなりますし、「人にお見舞いに来てもらえた」ということで嬉しくも思うでしょう。

ただ、入院して1か月と経たずに亡くなってしまったり、遠方に住んでいたりしてなかなか入院見舞いに行けないこともあります。

入院の報を受け取って休みの算段をつけようとしているうちに訃報を受け取ることになったという場合もあるでしょう。

とてもお世話になった人であったのなら、「入院見舞いをできなかった」ということが心残りになることもあります。

これをフォローするために、通夜に持っていく「通夜見舞い」という風習が使われていると言われています。もっとも、これは一つの解釈にすぎません。

通夜見舞いと同じように通夜に持っていくものとして、よく「伽見舞い(とぎみまい)」「お淋し見舞い(おさみしみまい)」というものが挙げられます。

これらは、「通夜の長い時間、ご家族の方でお召し上がりください」「ご家族の方が味わっておられる寂しさの慰めになるように」といった思いを込めて送られるものです。

そのため、上で述べた「入院中にお見舞いに行けなかったときの代わりとして送る通夜見舞い」とは区別されるように思われます。

しかし現在、これらの違いはあいまいになりつつあります。もちろん「これらは違うものだ」という意見もありますが、通夜見舞いも伽見舞いもお淋し見舞いも一緒なものとして取り上げられることも増えています。

その意味はどうあれ、「ご家族や故人の慰めとなるものであり、通夜のときにお持ちするもの」ということは共通しているからだと推察されます。

なお、非常に重要な点なのですが、「通夜見舞い」と「通夜で渡す不祝儀(香典)」はまったく別のものです。通夜見舞いで「通夜で渡す不祝儀(香典)」に代えることはできません。

通夜見舞いの場合は地域性のあるものですから、「持って行かなければ絶対にダメなもの」ではありません。

しかし不祝儀の場合は、喪家側が「不祝儀辞退」の意向を示していない限りは持って行かなければならないものです。

「通夜見舞いを持って行ったから、不祝儀は持って行かなくていい」という勘違いをしないように注意してください。

不祝儀だけを渡すお通夜はあっても、通夜見舞いだけを渡して不祝儀を渡さないお通夜は原則としてありえないのです。

また、通夜見舞いと「供物」も区別されます。供物は祭壇に捧げられるものですが、「通夜見舞いはご遺族が夜につまむもの」という性格を強く持つからです。

だれかに託す場合は、供物と混同されないように、「(供物ではなく)通夜見舞いです」などのように明確にお伝えするとよいでしょう。

ちなみに、「家族葬なので不祝儀はすべてお断りしたけれど、通夜見舞いはお金ではなくてお菓子だったので受け取ることにした」というケースもあります。

これももちろん問題にはなりませんが、「ある人の通夜見舞いは受け取ってある人の通夜見舞いは受け取らなかった」となると少し面倒なことになりかねません。

通夜見舞いのある地域で、かつ喪家の立場であるのならば、家族全員で意識を共有しておくとよいでしょう。

昔と今の通夜見舞いの違い

葬儀のかたちが時代とともに変わっていくように、通夜見舞いのあり方もまた変わっていっています。

かつて、通夜見舞いには飲食物を持っていくことが多かったとされています。その名前の通り夜通し見守りが行われていた昔は、その時間を過ごすための食べ物が必要だったのでしょう。

お菓子(特にお饅頭)やお寿司、また仏教では特にお酒類が通夜見舞いとして寄せられていたとされています。

また、時代の移り変わりを表すような話ではありますが、サンドイッチなどを持ち込む場合もあります。

親戚の人数が多く、かつそのほとんどが通夜見舞いを持ってくることが予想される場合などは、 日持ちのするものを持っていくと喜ばれるかもしれません。このあたりは少し調整が必要です。

ただ、現在ではお金を持っていくことも増えています。

なお、この「みんなで多くの食べ物を持ちより、通夜の時間を過ごす」というかたちでの通夜見舞いは、時代が経つに従い、通夜振る舞いに変化していったのではないかとみる向きもあります。

このあたりについては解釈が分かれるところもありますが、「次代による葬送儀礼の変化」を感じられる解釈だといえるでしょう。

通夜見舞いに行くときの持ち物と服装

通夜見舞いを届けるときは、地味な平服が良いとされています。

通夜が始まる前にお渡しすることが基本であるため、黒や紺色などの地味な服装で伺うようにします。

ただ、このあたりは「自分がどのような立場か」によっても多少異なるでしょう。親族の立場であり、通夜の後にその場でご遺族と一緒に宿泊するのであれば、当然通夜に着ていく服も持って行かなければなりません。

周りの人に確認しながら決めていくのが良いかと思われます。

なお、「通夜の席でお手伝いをすることになりそうだ」ということであれば、エプロンなども持っていきましょう。エプロンは、黒くて飾り気のないものを選ぶのが基本です。手持ちにないのであれば、葬儀会社のスタッフに相談するようにしてください。

通夜見舞いは不祝儀とは異なりますので、不祝儀も袱紗(ふくさ)に包んで用意するようにしてください。

袱紗は寒色系の色を使うのが基本ですが、紫色のものならば慶事でも使うことができます。新しく買うのであれば、紫色が便利でしょう。

「親族の立場なので、通夜見舞いを渡した後にも泊りがけで一緒に過ごす」という場合は、お数珠なども持参しておくとよいでしょう。

通夜見舞いでお金を渡すときの表書き

通夜見舞いを送る際の表書きや水引について見ていきましょう。

通夜見舞いの性格の一つとして、「入院見舞いの代わり」というものがあります。

入院見舞いを送る場合は、赤白の水引を使います。赤白の水引を結び切りもしくは蝶結びにしたものを利用します(どちらにするかは地方によって異なります)。

このときの水引の本数は5本です。そして表書きには、「御見舞」などとします。

しかし、「通夜見舞い」の場合は、性格は似ているものの「弔事であること」を優先します。そのため、香典などと同じく、使うのは黒白の水引です。

加えて、入院見舞いの場合は「結び切りか蝶結びは地方によって異なる」となっていますが、通夜見舞いの場合は結び切りのみです。もっとも、弔事の場合は「繰り返したくない」という思いがあるため、黒白の水引のものを選べば必然的に結び切りになります。

表書きには「御通夜見舞」とします。ただ、通夜見舞いは伽見舞いやお淋し見舞いと同一視されることが多いため、「御淋見舞い」「伽御見舞」としても構いません。

これを、水引の上の部分に記します。そして水引の下の部分には、フルネームで自分の名前を記します。

水引は不祝儀と同じですが、「御香典」「御香料」と区別されるべきものですから、現金を包む場合でも、不祝儀と通夜見舞いは別々に分けて袋に入れます。

「合計した金額を不祝儀袋に入れる」ということはしてはいけませんから、注意をしておきましょう。

飲食物、とりわけお菓子などを渡す場合もこのようにします。現在は購入先で印刷してもらうことも多いので、これを利用するとよいでしょう。

ただし、「通夜見舞いは供物とは異なるため、表紙はつけない」とする説もあります。

どちらが正しいかは判断の分かれるところですから、周りの人にアドバイスを求めることをおすすめします。また、葬儀会社がわかっているのであれば、そこに問い合わせるのもひとつの方法です。

通夜見舞いの相場について

通夜見舞いの相場についても見ていきましょう。

通夜見舞いの場合、現金で出すのならば1,000円~3,000円程度が適当だとされています。

お菓子などで渡すときも3,000円程度で構いませんが、5,000円程度までならば構わないとする説もあります。

ここでも、通夜見舞いと不祝儀(香典)の違いが見て取れます。

不祝儀(香典)の場合、極めて関係性の薄い人であっても、包む金額は3,000円を下回ることはありません(部署内から少しずつ出してまとめて包む場合を除く)。

特に、通夜の前に駆けつけるのは、故人もしくは喪主あるいは遺族と深く関わっていた人に限られるでしょう。

親戚、あるいは極めて親しく付き合っていた人が対象となりますから、最低でも10,000円、年齢や立場によっては10万円以上を包むこともあります。

文字通り「1ケタ違うお金」を包むことになるため、通夜見舞いと不祝儀(香典)の違いが分かりやすいでしょう。

また、通夜見舞いと「供物・供花」もしばしば混同されるものです。
供物は、乾物類やお菓子、果物などを詰め合わせたものであり、祭壇の前などに飾られます。

また供花は、供物のお花バージョンともいえるものであり、スタンドのついたカゴなどに入れられて祭壇の前に飾られるものです(なお、「花輪」も広い意味では供花に含まれます。これは葬儀会場の外に飾るものであり、一種の「目印」としての性格を持ちますが、現在ではやや需要が低くなってきています)。

この供物と供花は、親族や会社側、あるいは故人の同窓生などが出すことの多いものです。

この場合の相場は10,000円~15,000円程度です。このため、これもまた、通夜見舞いと明確に区別されます。

なお、供物や供花は必ず喪家側に確認してから出すことが求められます。喪主に直接確認するのではなく、葬儀会社に問い合わせてから送ります。

しかし通夜見舞いの場合は、あくまで体感的なものですが、特に断りなく持参する人が多いように思われます。

ただ、不安ならば葬儀会社に問い合わせたり、周りの人と足並みをそろえるべく相談しあったりした方がよいでしょう。

通夜見舞いに行くときの注意点

通夜見舞いを持参するのは、通夜に参加する場合のみです。

そのため、葬式・告別式にしか参加しない場合は、通夜見舞いは持参しません。

「葬式・告別式しか参加できないが、それはそうとして、不祝儀をお渡しする以外のかたちでも弔意を示したい」ということならば、お供え物(お菓子やお酒など)や供物・供花の手配を検討するとよいでしょう。

なお、供物・供花は葬儀会社に一括して頼む必要があることも多いため、事前の確認はお忘れなく。

また、通夜見舞いは、基本的には親族や親しい人が持っていくのが一般的です。職場関係の人が通夜見舞いを包むことはあまりありませんが、絶対NGというわけでもありません。

職場関係の付き合いであっても、かなり親密に付き合っていた人の場合などは、包むこともあります。

通夜見舞いは、不祝儀などと同じく、弔意や故人・遺族へのいたわりの気持ちから送られるものです。

そのため、真心がこもっているのであればある程度のことは許容されると思います。

ただ、「せっかくいただいたけれど、たくさんの方からサンドイッチやおにぎりをいただいたため、処分せざるを得なくなった。心苦しい」ということがないように、ある程度日持ちのするものなどを選んだ方がより良いこともあります。

通夜見舞いに対するお返し

通夜見舞いをいただいた場合の、喪家の立場についても考えていきましょう。

不祝儀をいただいた際には、香典返し(※「香典」は本来仏教用語ですが、代わる言葉が一般化していないため、どの宗教の葬儀でもこの表現が広く用いられます)を行う必要があります。

現在は即日返しをすることもありますが、多額の不祝儀をいただいた場合は後日改めてお返しをします。

また、供物や供花をいただいた場合は、返礼品を送るのが基本とされています。

では、通夜見舞いはどうなのでしょうか。

通夜見舞いの場合は、特にお返しは必要とされません。通夜見舞いだけをいただいた場合は、御礼状などをしたためて送るのが良いとされています。品物で返す方法はあまり一般的ではありません。

もっとも、通夜見舞いを持参する方は、そのまま通夜や葬式・告別式(通夜だけの場合もある)にも参加することになります。必然的に不祝儀もいただくことになるため、こちらには「香典返し」というかたちでお返しをする必要があります。

このため、「通夜見舞いをいただいたが、まったくお返しをせずにお手紙だけで済ます」というのは、「家族葬であるため、不祝儀はすべて辞退した。しかし、お饅頭などを通夜見舞いのかたちでいただき、それを受け取った」といった、かなり限定的なシチュエーションに限られるでしょう。

通夜見舞いは一部の地域の慣習

通夜見舞いは、一部の地域でのみ見られる慣習です。

特に、千葉県や新潟県、関東でも東の方などで見られる風習であり、それ以外のところではあまり見られません。

ただ、通夜見舞いとお寂し見舞いや伽(とぎ)見舞いはしばしば混同されます。お寂し見舞いの場合は岐阜県や愛知県に見られる風習であり、三重県などでもみられます。

また、表記こそ「お供え」などになっていることもありますが、実質的には通夜見舞いとほとんど同じように使われるものを持参するご家庭もあります。

このようなことを考えると、通夜見舞いとは、「たしかに一部の地域でのみ見られる言い方・風習ではあるが、これと似たような性格を持つ風習は、全国に広く見られるものである」とするのが妥当なのではないでしょうか。

「葬儀」の場においては、マナーや慣習が重要視されます。しかしそのマナーや慣習は決して「全国で共通しているもの」ではありません。

大切なのは弔意を示すことです。ただ、その地方の風習や慣習に合わせた弔意の示し方ができるのであれば、故人や喪家にとってはよりうれしく心強く感じられるのではないでしょうか。

この記事のまとめ

通夜見舞いとは、通夜の前に持っていくものです。

1,000円~3,000円(5,000円まではOKとする説もある)の現金や物品を持っていき、ご家族にお渡しします。

これは「供物」「不祝儀」とはまた異なる性質を持つものです。通夜見舞いは、特に、「入院中に御見舞いに伺えなかったことの代わり」「ご家族が夜通し起きているときに、食べられるものを」ということで送られることが多いものです。

表書きは「御通夜見舞」などと書きます。

通夜見舞いは、関東圏や新潟などで見られる風習です。しかし愛知県などで見られる「お寂し見舞い」や「伽見舞い」と混同されることもよくあります。

このため、名称はどうあれ、日本全国で広く見られる風習だと解釈できます。

通夜見舞いは、親族や友人が送るのが基本です。しかしながら、会社関係であっても深く付き合っていた人などの場合はこれを持参することもあります。

「通夜のときに食べてください」という性質を持つため、通夜見舞いは葬式・告別式のときには持参せず、通夜の前にお渡しします。

供物や不祝儀と間違えないように「御通夜見舞」と記しますが、供物ではないので表紙はつけないとする説もあります。

通夜見舞いでは、不祝儀の代わりにはなりません。不祝儀と通夜見舞いの両方を持参するようにしてください。

物品としては、お酒やお菓子(特に饅頭)などが選ばれます。親戚の間で連携がとれているのであれば、サンドイッチなどの賞味期限の短いものを持って行ってもよいでしょう。

通夜見舞いに対しては、特に返礼品などは必要ありません。お手紙を出せば十分です。

ただ、通夜見舞いを渡してくる人は、遺された家族や故人と極めて親しい関係にある人です。このため、通夜見舞いだけでなく、不祝儀も当然持参しています。

この「不祝儀」に関しては、香典返しが必要です。香典返しは即日返しでも構いませんが、金額が大きいときは後でまた改めてお返しをする必要があります。

このため、「通夜見舞いだけをいただいたので、返礼品などは見繕わず、お手紙をお出しする」というのは、「家族葬などであり、不祝儀は辞退した。しかし、『ご家族で召し上がってください』ということでお饅頭を渡された。これは受け取った」などのような、極めて限定的な状況に限られます。

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