【弔辞】アイキャッチ

弔辞とは「故人に手向ける言葉」

弔辞とは、故人に手向ける言葉をいいます。
「死者へ送る最後の言葉である」という観点から、通夜で読まれる可能性は0に近く、告別式や葬儀で読まれるのが一般的です。

なお、告別式は「宗教的儀式を含まないお別れの儀式」、葬式は「宗教的儀式を含むお別れの儀式」とされています。

告別式は葬式の後に来るものなので、「最後の言葉であること」を重んじるのであれば弔辞は告別式に読まれることになります。しかし現在は告別式と葬式を一連の流れのなかで行うことが多いため、特に区別して論じられることはありません。

弔辞の内容は「故人への語り掛け」

弔辞の非常に大きな特徴は、「語り掛ける相手は、あくまで故人である」というところにあります。

葬儀においてなされる挨拶の多くは、「喪主(喪家)側から参列者へ」「僧侶から参列者へ」「葬儀会社のスタッフから参列者へ(案内)」「参列者側から喪主(喪家)側へ」などのように、「故人その人」よりも「その周りの人」に対して行われます。
しかし弔事は、故人に対して行われる挨拶なのです。

このため、呼びかけは「○○さん(故人の名前。友人代表の場合は、呼び捨てにすることもある)」「○○先生」などのようになります。
葬儀の挨拶文は多くの場合堅苦しい口調をとりますが、弔辞の場合は口語調となります。

また、故人との思い出をふんだんに盛り込んだ文章になるのも特徴で、生前の故人との関わりを強く打ち出した内容を読み上げることになります。最後はお別れの言葉で結びますが、自然な口調で書くようにします。

弔事は「必要不可欠なもの」ではない

芸能人や著名人の葬儀の際に、弔辞を読む業界人がクローズアップされるのをテレビなどで見たことのある人も多いかと思われます。そのため、「弔辞=葬儀のときに必ず読まれるもの」と考えている人もいるかもしれません。

しかし弔辞の読み上げがなされる葬儀というのは意外なほど少ないのが実情です。
弔辞は「必ず読まれるもの」ではなく、「読まれる式もあるもの」程度に考えておいた方がよいでしょう。

「弔辞が読まれる葬儀がどのようなものか」に関しては、一概にはいえません。
「葬儀が小さければ、絶対に弔辞は読まれない」「葬儀が大きければ、絶対に弔辞が捧げられる」というものではないからです。

ただ、あくまで一個人的な体験談ではありますが、葬儀の規模が大きくなれば弔辞が読まれる可能性が高くなると感じました。特に、非常に大規模な葬儀の場合は弔辞を読む人が複数人いるということもありえました。
また、若い方、たとえばまだ学校に通っている人が亡くなり、かつクラスメイトなどが多く参列する葬儀では、クラスの代表者などが弔辞を捧げるケースも見られました。

他にも、会社組織が中心となって行う「社葬」の場合は、弔辞が捧げられる確率はぐんと高くなります。社葬の場合は公的性格が極めて強くなるため、複数人の弔辞の読み上げが行われるケースが非常に多いといえます。代表取締役だけでなく、友人や同業者などからの弔辞も送られるケースが多く、個人の葬儀とはまた異なる意味合いを持つようになります。

弔辞のある・なしで、葬儀の荘厳さや質が変わってくるわけではありません。ただ、弔辞が読まれることで、より一層故人を身近に感じることができたり、故人の成し得てきた功績を知ることができたりするのは、大きな魅力だといえるでしょう。

弔辞を頼むのは、友人・同僚・上司など

弔辞を読む人は、あらかじめ遺族から依頼します。
故人と親しかった友人や勤務先の同僚、直属の上司などに頼みます。
およそ3~5分で読める程度が適切な長さとされますが、依頼する際には、弔辞の長さもあわせて伝えるようにしましょう。

また、式の進行によっては、時間の都合で弔辞を割愛する場合があるということも、事前に知らせておきます。

弔辞を頼まれたときの対応と立場について

弔辞を読む人は、「故人と特に親しかった人」「故人をよく知っていた人」です。
まだ学校に通っている年齢であるならば、クラスメイトの代表者や先生が読み上げることもあります。

社会人が亡くなった場合は、友人や会社の上司などが読み上げるケースが多いかと思われます。ただ、「社葬」の場合はまた別です。

社葬の場合、故人の葬儀というよりも

  • 会社がこれからも盤石であること(故人が会社の代表者)
  • 故人が会社に対してなし得た功績を評価すること
  • 故人が職務に対して忠実であったこと(特に、故人が殉職した場合)

を強く打ち出すことになりますから、直属の上司だけでなく、その会社の代表者などが弔辞を読み上げるケースが多くなります。また、同業他社の人に弔辞をお願いする場合もあります。

一般的に、社葬の場合は弔辞を読み上げる人の数も多くなります。
なお、弔辞を複数人に頼む場合は、それぞれ立場の違う人にお願いするのが通例です。たとえば、1人目は友人代表、2人目は会社の先輩、3人目は会社代表、4人目は業界の著名人……などのようなかたちです。
なお、弔辞をお願いする葬儀の場合は「ただ1人にだけ頼む」というやり方よりも、「3人~5人程度にお願いするやり方」の方が多いようです。

また、弔辞はご遺族あるいは会社側(社葬の場合)から頼まれる場合と、自分から立候補する場合があります。

頼まれた場合は、特別の事情がない限りはお引き受けするようにしましょう。
弔辞の読み上げを頼まれるということは、故人やご遺族、あるいは会社にとって、あなたが非常に大切な人であることの証です。

故人を偲び、ご遺族のお心の慰めを行うことにもつながるので、原則としてお引き受けします。特に社葬の場合は、単純に「個人」として依頼されているのではなく、「その会社あるいは業界の代表者」の立場で頼まれているので、断ると後々の関係にまで亀裂を生じさせかねません。

ただ、「大病を患って入院しているので、どうしても出られないし弔辞も読める状況にない」という場合は、断っても構いません。その場合は、打診があった時点ですぐにお断りするようにします。ご遺族や会社は、また新しくほかに弔辞を読み上げてくれる人を探さなければならなくなることもあるからです。

また、「弔意は表したいが、療養中ゆえ病院から出られない」という場合は、弔辞を読み上げてそれを録音する方法もあります。録音したテープを代理の者に託し、ご遺族に届けてもらうのです。そして葬儀会場で再生してもらうようにします。
もっともこのような方法はイレギュラーな方法ではあります。そのため、このかたちを希望するのであれば、電話の段階で丁寧に弔意を述べた後に、「どうしても参列できないが、テープに吹き込んででも弔意を伝えたいこと」をしっかりと伝えることが大切です。

弔辞の読み上げは、自分から立候補することも可能です。
たとえば、

  • 「10代のころから50年以上にわたって仲良く付き合っていた友人が亡くなった」
  • 「自分の進路を決定づけるキーパーソンとなった恩師が亡くなった」

などのようなケースでは、故人に対して気持ちを伝えたくなるでしょう。その場合は、訃報を受けた時点で、弔辞を捧げたい旨を告げるようにしてください。

弔辞を読み上げる時間やタイミングを調整しなければいけませんから、式のギリギリになってから切り出すのはよろしくありません。弔辞を読み上げる立場に選ばれるかどうかは先着順ではありませんし、ご遺族や故人の希望する葬儀のかたちには弔辞は相応しくないと判断された場合は弔辞を断られるケースもあります。

ただ、「弔意を表したい」という気持ちをご遺族に伝えることは大切です。もちろん、断られた場合は心のなかだけで語り掛けるようにしましょう。
なお、現在では「弔辞の代行・代筆作成サービス」も提供されています。エピソードをまとめて送れば、ライターなどが弔辞を作成してくれるものです。

「弔辞を頼まれたけれど、気持ちが落ち着かなくてとても作れない」「社葬の弔辞なので絶対に失敗できない」というときはこれらのサービスを使っても良いかもしれませんが、基本は自分の頭で考え、自分の手でしたためることです。

弔事のあいさつの文例

弔辞のあいさつの文例を3パターン紹介します。

友人への弔辞

友人の場合は、生前呼び慣れた愛称などで呼んでも構いません。

故人の生前の様子がわかるように、具体的なエピソードとともに述べます。なかには、笑いがあっても問題ありません。
ユーモラスな故人の人柄を語る上では、むしろ効果的です。

友人への弔辞の例1

○○君のご霊前に、慎んで哀悼の辞を捧げます。

○○君とは、高校時代に知り合ってから、もう40年以上になります。
一緒に甲子園を目指して真っ暗になるまで白球を追いかけていた頃が、ついこの間のことのように思い出されます。
ひょうきんで誰からも愛されていた君のまわりは、いつも笑いが絶えませんでした。

社会人になってからも、なにかと理由をつけては会って、酒を飲んだりしました。
若い頃は熱い議論で取っ組み合いの喧嘩もしましたが、最後はいつも笑って別れましたね。

この5年、苦しい闘病生活だったと思いますが、見舞いに行っても私に冗談を言って笑顔を見せてくれた君。
君の強さを尊敬するとともに、病を克服してくれると信じていました。
今年は母校が甲子園出場を果たしたので、一緒に甲子園へ応援に行こうと思っていたのに残念です。

君のことは忘れません。
これまで本当にありがとう。
どうぞ安らかに眠ってください。

友人への弔辞の例2

○○さんのご霊前に、友人を代表し、謹んでお別れのご挨拶を申し上げます。

あなたとの出会いは県立○○高校でした。
1年の時、同じクラスで席が隣同士になったのがきっかけでしたね。
初対面の時のあなたの笑顔はいまでも覚えています。
それ以来、長い付き合いになりましたが、あなたは何をするにも笑顔で応えてくれました。

そんなあなたは、心も温かく穏やかで、すぐに落ち込みがちな私を幾度となく助けてくれました。
高校2年の時、私が失恋をした時のことです。
人目もはばからず泣いていた私でしたが、あなたにすべてを打ち明けたとたん、不思議と笑顔に戻っていました。
きっとあなたの優しい笑顔が、そうさせてくれたのだと、当時のことを思い出します。

○月○日、私から宝物が1つ消えてしまいました。
しかし、私の心の中に、あなたの笑顔はいつまでも輝き続けています。
私はこのすばらしい贈り物を胸に、これからの人生を歩んでいきます。
そして、あなたのように素敵な笑顔で、私も人に接したいと思います。

これまで本当にありがとう。
心から感謝の気持ちをあなたに捧げ、お別れの言葉といたします。

○○さん、どうか安らかにお眠りください。

上司への弔辞

会社でのエピソードは、遺族でも初耳の場合があるので、できるだけ具体的に述べます。
ただし、あまり専門的にならないように配慮が必要です。
故人の仕事内容やポジションにも軽く触れて、功績なども踏まえて人柄を称えるのがよいでしょう。

○○部長のご霊前に、謹んでお別れの言葉を申し上げます。

こうして祭壇を見上げ、部長の遺影を仰ぐことになろうとは、本当に言葉に尽くしがたい心境です。

○○部長は創業者の現社長に請われて、○○株式会社に入社されて、事業の発展に尽力されました。
社をあげた海外プロジェクトでは、○○部長の新しい商品とマーケット提案により、新規事業が立ち上がりました。
この分野で我が社が業界のトップランナーとして、常にリードし続けることができましたのは、○○部長の先見性と行動力の賜物であったと言えるでしょう。

○○部長、あなたの部下がどれほど部長をお慕いしていたかおわかりでしょうか。
先輩からよく「あの人についていけば一人前になれる」と聞かされたものです。

そして、誰よりも仕事をしっかりと見てくださったのは部長です。
部下の一人ひとりの能力や適正を的確に見極めて指示を出されましたからこそ、皆、それぞれの役割を果たすことができたのです。

部長、どうかご安心ください。
部長の仕事のやり方や情熱を、私たちは決して忘れません。
そして、いただいた教えを活かし、精進することが部長のご恩に報いることと信じて励んで参ります。

本当にありがとうございました。
どうか安らかにお眠りください。
ここにマーケティング部を代表し、弔辞といたします。

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弔辞を読むときの流れ

弔辞を読むときの流れは、主に下記の通りになります。

  1. 祭壇前に進んで一礼する
  2. 弔辞を読む
  3. 祭壇に供える

それぞれ詳しく解説していきます。

祭壇前に進んで一礼する

名前を呼ばれたら、僧侶、遺族、参列者に一例をして、祭壇の前に進む。
遺影に向かって一礼する。

弔辞を読む

左手で弔事の包みを持って開きます。
弔辞を取り出して、上包みをたたんで左手に持ち、右手で弔事を開きます。

弔事を胸の高さで捧げ持ち、はっきりとした声でゆっくり読み上げます。

祭壇に供える

読み終わったら、弔事をたたんで、元のように奉書紙に包んで、表書きを祭壇に向けて供えて、一礼して席に戻ります。

次に、弔辞を読むタイミングについて紹介します。

弔辞を読むタイミングについて「葬式・告別式の流れ」

弔辞を読むことになった人は、「葬式・告別式の流れ」を知っておく必要があります。流れを知っておけば、どのタイミングで弔辞を読むのかがわかります。
葬式と告別式は、宗教儀式の有無で分けられますが(諸説あります)、現在では一緒の流れで行われることが多いため、ここでは一緒に論じていきます。また、一例として仏教の葬式・告別式のやり方をとりあげます。

  1. 弔問客着席
  2. 僧侶入場
  3. 読経
  4. 焼香
  5. 弔電と弔辞の紹介・読み上げ
  6. 僧侶退場
  7. 棺への御花入れ
  8. 喪主挨拶
  9. 出棺

1.弔問客着席

受付を済ませたのち、葬儀会社のスタッフの案内を受けて会場に入り着席します。なお、ご遺族は多くの場合、先に着席されています。

2.僧侶入場

僧侶が入場します。参列者は立ち上がってお迎えすることが多いかと思われます。葬儀会社のスタッフから、「一同 ご起立ください」などの案内があります。

3.読経

4.焼香

5.弔電と弔辞の紹介・読み上げ

読経~焼香~弔電と弔辞の紹介・読み上げとなります。

実はこの3つの「順番」に関しては、葬儀会社によって違いが見られます。読経をしている最中に焼香を行うやり方をとるところもありますし、読経をした後に弔電と弔辞の紹介・読み上げを行った後に焼香を行うところもあります。また、弔電のみの場合、読経の最中に紹介するというところもあります。

このため、残念ながら、「弔電を読み上げるタイミングは、ここ」とは言い切れないのです。弔辞を読む場合、葬儀会社のスタッフなどから「○○様より弔辞を賜ります」などのように案内があるのが普通ですから、実際にはそれに従って読み上げることになります。
ただ、慣れていない場合は、一度葬儀会社のスタッフに「どのタイミングで、どのように読み上げたらいいのか」と聞いて確認しておくことをおすすめします。

なお、弔辞を読み上げるのは祭壇の前です。故人の遺影に向かって語りかけるようなイメージで読み上げてください。
弔電は、葬儀会社のスタッフ(提携している別会社のアナウンサーに頼む場合もあります)が読み上げることになります。

6.僧侶退場

僧侶が退場します。入場のときの姿勢と同じ姿勢でお見送りをします(合掌して迎えたのならば合掌、一礼をして迎えたのならば一礼)

7.棺への花入れ

「お別れの儀」などのようにも呼ばれます。これに関しても葬儀会社ごとで考え方に違いがみられます。「ご家族やご親族のみで」とするところもありますが、「参列している人全員にお願いするのが基本」としているところもあります。

また、前者の場合も、「故人と特に親しくしていた人ならば参列してもよい」とされています。弔辞を読み上げるほど親しい間柄であったのならば、お花入れに参加しても問題はないかと思われます。

なお、社葬は火葬後1~2か月してから行われるのが一般的です。そのため、「故人の棺に花を入れる」という工程はありません。

8.喪主挨拶

喪主から、会葬への御礼の挨拶が行われます。社葬の場合は、葬儀委員長が担当する場合もあります。

9.出棺

出棺です。棺を霊柩車に乗せて火葬場に向かいます。親族はマイクロバスで移動することが多いかと思われます。このとき、一般弔問客は合掌して霊柩車をお見送りします。火葬場に行くのは、基本的には遺族・親族だけです。

ただ、「長く付き合った友人であり、家族ぐるみで付き合いがあった。だから弔辞も頼まれた」という人の場合は、ご遺族から「ぜひ火葬にも」と声をかけられることがあるかもしれません。その際には参加しましょう。
社葬の場合は、当然、この「火葬場に行くための出棺」はありません。

弔辞は大判の奉書紙か巻紙に書く

弔辞を書く紙として選ばれるのは、大判の奉書紙か巻紙です。

このうち、「奉書紙」については解説が必要でしょう。
奉書紙は、「ほうしょがみ」もしくは「ほうしょし」と呼ばれるもので、日本に古くからある和紙のうちのひとつです。昔から公用文を記すために使われてきた紙であり、楮(こうぞ)を使って手漉き(てすき)で作られてきました。

もっとも現在では、安く、そして上質な紙が手に入るようになったため、必ずしも手漉きのものを表す言葉ではなくなっています。
奉書紙は、不祝儀袋にも使われています。また、弔辞においては、「弔辞自体を書きつける紙」としても「弔辞を書きつけた紙を包むための紙」としても使われています。

弔辞を書く際は、薄墨で、かつ楷書(かいしょ。崩さない文字)で、毛筆で書くのが正式です。
薄墨が使われるのは恐らく、不祝儀袋を薄墨で書くのと同じ理由だと推察されます。「悲しみで墨をする力も出ない」「涙で墨が薄まってしまった」などを理由としているのではないでしょうか。

もっとも、現在を生きる日本人にとって、「奉書紙や巻紙で、手書きで、毛筆で、かつ薄墨で、そのうえ字体を崩さずに書くこと」は、かなり難易度の高い作業だと思われます。何度も何度も書き直していると、弔辞を書くこと自体に嫌気がさしてしまうこともあるでしょう。これでは本末転倒です。

そのため現在では、白い便箋にペンで書いても構わないとされています。
また、罫線を引いた弔辞の紙も売られていますから、これを使っても問題がないといわれています、なお、後者は500円以下の値段で売られているため、気軽に買うことができます。

弔辞の畳み方と包み方

弔辞を無事に書き終えて奉書紙に包むことになったのならば、気を付けたいのが「畳み方」と包み方」です。

奉書タイプの場合

  1. 縦に2つに折る
  2. それを3つに折る
  3. 今度は横に2つ折りにする

という手順をとります。

巻紙の場合は、後ろ側から畳んでいきます。こうすることで、手に持って紙を繰りながら自然に読むことができるようになります。

奉書紙にくるむ場合

  1. 大判の奉書紙の真ん中に弔辞を置く
  2. 右→左の順番で折る
  3. 天地を裏側に折る
  4. 表に「弔辞」と書く

なお、非常に重要なことなのですが、弔辞は「書き終わったら終わり」「読み終わったら終わり」という性質のものではありません。

「そのまま持ち帰っても構わない」とされる場合もありますが、基本的には、読み終わった弔辞は、多くの場合そのまま祭壇に捧げられ、後でご遺族の手に渡されることとなります。弔辞を読んだ人間の手元には、弔辞は原則として戻ってこないわけです。

そのため、「内容を暗記するくらい読み込んだから」「あまり字はきれいではないが、自分は読めるので問題はない」と考えて、覚え書き程度しか書き留めていなかったり、乱筆であったりした場合は、大変な失礼を働くことになります。

きちんときれいに、丁寧に清書した弔辞を用意するようにしてください。

弔辞を読み上げるときに気を付けること

弔辞を読み上げるときには、いくつかのポイントがあります。それについて見ていきましょう。

弔辞の長さは約3分程度にまとめる

弔辞は、長ければ良いというものではありません。特に複数人が読み上げる場合は、「長さ」も意識しなければなりません。

弔辞にかける時間は、約3分程度です。
これは、750文字~900文字程度の分量です。「原稿用紙1枚でだいたい1分程度」ともいわれていますし、これもある意味では正しいのですが、「1分に400文字」はかなりのハイスピードでの読み上げとなります。

弔辞のように心を込めて、またある程度抑揚をつけて読むことになる文章の場合は、1分あたり250文字~300文字程度と考えておいた方がよいかと思われます。
特に、弔辞の場合は感極まって声を詰まらせることもありますから、ある程度余裕を持っておきたいものです。もっとも弔辞の場合、発表会とは異なり「○分しか持ち時間がない」というものでもないので、神経質になりすぎる必要もありません。

葬儀の場で使用しないほうがいい言葉に気を付ける

「葬儀の場では、この言葉を使ってはいけない」といわれている言葉はたくさんあります。「忌み言葉」と呼ばれるものであり、ご遺族との挨拶のときに特に意識しなければならないものです。

この「忌み言葉」は、弔辞を読むときにも気を付けなければならないものです。忌み言葉は、いくつかのカテゴリーに分けられます。

1.不幸が重なることを連想させる言葉

「くれぐれも」「たびたび」「重ね重ね」「再び」「繰り返し」などです。

2.直接的に生死を表す言葉

「死んだ」「死ぬ」「生きていたとき」などです。また、死因に触れることも避けます。

3.宗教的にNGの言葉

「ある宗教では使ってもよいが、ほかの宗教で使ってはいけない言葉」が存在します。
たとえば、「冥福」や「成仏」などです。

これらの言葉は、「そんな言葉はわざわざ使わない」と思われがちな言葉です。
しかし、故人のことを偲ぶときの例として、「○○先生にはとてもお世話になりました。重ね重ねお礼を申し上げたい気持ちです。今でも、先生が死んだことなど信じられません。~エピソードの紹介~心からご冥福をお祈りします」という弔辞が読み上げられたとした場合、この違和感に気づけない人もいるのではないでしょうか。

良い意味として「重ね重ね」、信じられないものの表現として「死んだこと」、慣用句的に「ご冥福をお祈りする」と言う表現は使ってしまいがちなものです。

なお、上記を言い換えるのであれば、「○○先生にはとてもお世話になりました。心からお礼を申し上げたく思います。今でも、先生が旅立たれたことなど信じられません。~エピソードの紹介~安らかなお旅立ち、安らかなお眠りであることを心からお祈りします」などのようになるでしょう。

ただ、自分で原稿を作っているだけでは、忌み言葉が入っていてもなかなか気づけないものです。そのため、原稿が完成したらだれかにチェックしてもらうようにするとよいでしょう。

弔辞をきちんと読むためには「事前の練習」が重要

弔辞には、「忌み言葉を使わない」など以外の決まりはありませんが、社葬などのように公の性格が強いものでかつ失敗できないものならば、事前に練習をしておいた方がよいかと思います。

弔辞は原稿を持って行うものですが、「ずっと原稿に目を落としっぱなしで、祭壇に目を向けない」となると本末転倒です。理想的なのは、紙に目を落とさなくても内容を諳んじられるようになることでしょう。紙は補佐的な役目をするものというところまで持っていけると理想的です。

また、これは弔辞に限りませんが、参列者は原稿を見ているわけではありません。そのため、原稿とは異なることを言っても、「間違いだ」と気付かれることはありません。少し原稿と違ったことを言ったとしても、堂々と、落ち着いて語れるようにしておけば問題はありません。

複数の人が弔辞を読む場合

複数の人が弔辞を読むケースでは、できれば内容の重複は避けたいものです。
前もって遺族に内容を確認してもらったり、他に読む方と故人の関係を尋ねておいたりするとよいでしょう。
ただし、形式にとらわれずに、心からの言葉を述べれば重複もしにくいのではないでしょうか。

この記事のまとめ

弔辞とは、亡くなった方に捧げる最後の言葉です。

故人と親しかった人のなかから選ばれるのが基本ですが、社葬の場合は会社の代表者や業界人が選ばれることもあります。また、立候補することも可能です。
「弔辞の読み上げを」と頼まれた場合は、特段の事情がない限り引き受けるようにしてください。また「療養中なので葬儀には出られない。しかし弔辞は読みたい」という場合は、許可をとったうえで、テープなどに吹き込んでもよいでしょう。

弔辞は、その性質上、告別式のときに読まれます。しかし現在は、葬式と告別式の違いが明確ではありません。また葬儀会社によって紹介のタイミングが異なりますから、指示を聞き落とさないようにしてください。

弔辞を書きつける紙は、奉書紙もしくは巻紙を選びます。弔辞は、「読み終わったら持ち帰る」というケースばかりではなく、ご遺族に引き取られることもあります。
そのため、乱雑な文字で書いたり走り書きで書き留めたりするとマナー違反となりかねません。必ず丁寧に清書しましょう。

読み上げる時間は3分程度と考えてください。750文字~900文字程度でまとめ、故人に呼びかけることを意識して原稿を作ります。
この際、「忌み言葉」と呼ばれる言葉を使わないように注意したいものです。

また、「ご冥福をお祈りします」などのように、葬儀の席でよく使われる言葉も、宗教によっては使ってはいけない言葉となります。自分で書いた原稿を自分でチェックするのはかなり難しいものです。そのため、出来上がったのならだれかにチェックしてもらうようにしましょう。
また、余裕があれば、弔辞を読み上げる練習をしておきたいものです。こうすることでスムーズに読めるようになりますし、また緊張しにくくなります。


弔辞には、たしかに守るべきマナーがあります。しかしもっとも大切なのは、「親しい人との思い出を述べ、故人その人自身にあてて弔意を綴る気持ち」です。マナーを守ることは大事ですが、それだけに囚われないように注意しましょう。

弔辞のお礼

弔辞を読んでいただいた方へのお礼は、金銭より、お菓子など品物で渡すのが一般的です。
また、直接お礼にうかがうとより丁寧です。
地域により対応が異なるので、親戚とも相談しましょう。


直接お悔やみの言葉を遺族にかけたいという人は、「お悔やみの挨拶マナーや定型文まで!おさえて安心葬祭マナー」の記事を参考にしてください。

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