「形見分け」とは何のこと?故人との思い出に「物」を通して向き合おう

【形見分け】アイキャッチ

人が亡くなった後には、特段の事情を除き通夜や葬儀が行われることになります。
そしてその後火葬をし、必要に応じて亡き人をしのぶ儀式(法要やミサなど)が行われます。

これらの儀式には数多くのマナーがあり、また考えなければならないこと、やらなければならないことがたくさんあるため、忙殺されてしまうこともあるでしょう。

ただ、「人が亡くなり、それを見送ること」は「儀式」だけによって行われるわけではありません。それ以外にもさまざまな作業を行う必要があります。そのうちのひとつが、「形見分け」です。

この記事ではこのような疑問を解消!

  • 「形見分けという単語自体は知っているけれど、結局どういうことをすればいいのか分からない」
  • 「形見分けと遺品整理、財産分与の違いが分からない」
  • 「形見分けのマナーがよく分からない」
  • 「形見分けはそもそも何のために行うものなの?」

こんな疑問を抱えている人に、形見分けで行うこと、形見分けの持つ意味、形見分けとほかの作業との違いを解説していきます。

形見分けで起こりうるトラブル、形見分けの歴史、形見分けと「遺産」の関係など、「知らなかった!」を解消するためにお役立てください。

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この記事の目次

  1. 形見分けとは故人の思い出の品を分けて供養すること
  2. 形見分けは必ず行わなければならない訳ではない
  3. すっきり整理!形見分け・遺品整理・遺産分割(相続)の違い
  4. 宗教別で異なる!形見分けを行うのにふさわしい時期
  5. 形見分けを行うときのマナー
  6. 形見分けを行うときに気をつけるポイント
  7. 形見分けで起こりがちなトラブルとは
  8. 形見分けの持つ、もう1つの大きな意味
  9. まとめ 
  10. 監修者コメント

形見分けとは故人の思い出の品を分けて供養すること

古い骨董品

形見分けとは、一言で言うのであれば、「亡くなった人が遺していった思い出の品物を、故人が愛し故人を愛した人たちの手で分けること」を言います。
地域によっては「ショウブワケ」「ソデワケ」「スソワケ」ということもあるそうです。

それぞれの宗教によって「形見分けを行うのにふさわしい時期」はありますが、法要やミサのような宗教的な儀式は伴いません。

形見分けの歴史は、非常に古いとされています。

平安時代の書物であり、全40巻からなる「栄華物語」に形見分けの記述があります。そこには、”あはれなる御形見の衣は” 引用「栄花物語」という一節があります。
これは、「悲しみを誘うお形見の衣は」と訳されるものであり、亡くなった人の衣類を分けたことを記す一文です。

※「栄華物語」は「栄花物語」と記す場合もあります。また、「世継」「世継物語」とする場合もあります。「栄華物語」とは、藤原道長一族のことを記したもので、女性にも焦点を当てています。

現在でも衣服を形見分けとしてもらうことがありますが、平安時代は今よりもずっと衣服は貴重なものでした。そのため、「形見分け」の対象となったのだと考えられます。

形見分けは、時に「スソワケ」とも呼ばれます。この「スソワケ」も、衣類を分けることからきたのではないかと推測されています。

形見分けは、故人の使っていたもの、愛していたもの、遺したいと思ったもの、を分けていく作業です。このため、形見を受け取ることになるのは、故人の家族や親族、親友、恋人などです。

冠婚葬祭の「葬」の場面においては、さまざまな物品のやりとりが行われます。不祝儀がその代表例でしょう。また、お供え物としてお菓子などを持っていくこともあるでしょう。これらはすべて、水引やのし紙をつけて贈ることになります。

また、不祝儀には香典返しというかたちでお返しするのが普通です。(「香典」は本来仏教用語ですが、代わる言葉がないので広くほかの宗教でも使われているため、ここではこの表現を使います。)

しかし形見分けの場合は、水引とのし紙をかけることはせずに、物品をそのままお渡しすることになります。もし包むことになった場合でも、軽く半紙などで包んで渡すようにします。その際に言葉を書き添えるのならば、「遺品(仏式)」「偲ぶ草(神式)」という言葉を選びます。

また、受け取った人もお返しをすることはありません。このため、「形見分け」は少し特別な意味を持つことになります。

形見分けは本来立場の下の人に贈るもの

また、形見分けの場合、「立場の上の人間から、立場の下の人間に」という考え方をとるのも、他の贈り物とは異なる点です。つまり、「子どもの遺したものを、親が形見分けというかたちでもらうこと」は原則としてないのです。
ただこれはあくまで「基本の話」です。現在は上下関係に囚われず、形見分けを行う場合もあります。

「子どもが早くに亡くなった。子どもが敬愛していた上司の方に、子どもが使っていた万年筆を受け取ってほしい」などのような場合は、一言断りを入れて礼を失することをわびた後に、お渡しすれば問題はありません。また、上司側から要望があった場合も、渡してしまって構いません。

現在は不祝儀も郵送で送っても構わない、とされているように、形見分けの品物も郵送で送ってしまって構いません。ただし、不祝儀にしろ形見分けの品物にしろ、直接お渡しすることがその方が望ましいです。

郵便で送るときには、故人の名前とともに、「形見分けの品物だから受け取ってほしい」と書き添えるようにしましょう。

形見分け、どんな物品を分けるのか

形見分けで分けることになる品物は、だいた以下のようなものです。

  • 故人が使っていた日用品
  • 故人の衣服、服飾雑貨
  • コレクション
  • 数珠など

故人が使っていた日用品

万年筆などの筆記用具、時計などがこれにあたります。これらは最後まで故人によって使われていることが多く、故人の思い出がしみ込んでいるものでもあります。

人にも渡しやすいものであり、形見分けの基本ともいえるでしょう。

故人の衣服、服飾雑貨

着物や髪飾り、鞄などがこれにあたります。女性の場合はこれらをたくさん持っていることも多いといえます。「形見分け」の歴史の中でも、「衣服を分けること」は取り上げられていました。

衣服を渡す場合は、必ずクリーニングをしてから渡します。また、特段の事情がない限り、汚れた物などは形見分けの対象とはしないようにしてください。

ただし、「子どもの頃、この服を着ている母親と一緒に写真を撮った」「母の手作りのエプロンだ」など思い出の服の場合は、これを形見分けの品物としても構いません。

コレクション

故人が集めていたコレクションも、形見分けの対象となります。たとえば鉄道模型や食器類などです。ただしこれらは、他のものに比べて財産的価値を持つ可能性が比較的高いと思われます。迷ったなら必ず鑑定に出して価値をはかる必要があります。

また、コレクションを渡すのであれば、そのコレクションに興味のある人に渡すのが一番良いでしょう。形見分けは多くの場合血のつながった親族を対象としますが、「故人と共通の趣味を持っていた友人に譲る」などのようにしても良いでしょう。

数珠など

仏教において、「数珠」はもっとも身近な仏具といえます。故人が生前使っていた数珠は、葬儀のときに故人の棺に入れるのが基本です。

しかし複数本の数珠を持っていた場合、残った数珠を「形見」として子どもが受け継ぐこともあります。先祖代々の数珠を使っているという家庭もあります。

形見分けは必ず行わなければならない訳ではない

お墓について考える夫婦

自分がお渡しする側になる場合は、「受け取った人が使えるものかどうか」「受け取った人の好みから大きくずれていないものかどうか」を考えて贈る必要があります。また贈られた側は、基本的には受け取りを拒絶することなく、故人やご家族の気持ちとして、形見を引き受けることになるでしょう。

ただ、形見分けは、「絶対に行わなければならない」というものではありません。
「遺産相続・遺産分割」とは異なり、形見分けは遺されたご家族の判断によって行うかどうかを決めることができます。

「値打ちのあるものはないので、処分してしまいたい」
「故人の要望で、『自分が死んだ後には全て廃棄性分にしてほしい』と言われている」
「いろいろな鬱屈もあり、故人周りの人と連絡をとるのがおっくうである」
ということならば、形見分けをせずにすべて処分してしまうことも可能です。

また、「形見分けということで故人の思い出の品物を受け取ってほしいと言われたが、故人を思い出すだけで千々に心が乱れるのでとても平静な心ではいられない」などのような事情があるのであれば、形見分けを打診されても断ってしまっても構いません。

形見分けはあくまで「故人の思い出を、遺された人々で分け合うためのもの」ですから、遺族が形見分けに対して熱心でなかったり故人がそれを希望していなかったり、渡される側が迷いを覚えるようならば行わなくてもよいものなのです。

ちなみに、「形見分けに適さない品物」もあります。汚れた衣服などがそれにあたりますが、それ以外に気を付けてほしいのが「日記や手紙」です。これらは故人の手で書かれているものですから故人を偲ぶためのものとして最適ではありますが、できれば2~3年は手元に残しておきましょう。

亡くなってから2~3年はばたつくことが多く、さまざまなところに連絡をする必要も出てきます。そんなとき、この「手紙」「日記」は、故人の交友関係を知る手がかりとなります。

すっきり整理!形見分け・遺品整理・遺産分割(相続)の違い

相続税

「形見分け」「遺品整理」「財産分与」は、似ているようで違うものです。

一つずつ見ていきましょう。

「遺品整理」とは故人の残した物品を整理すること

遺品整理とは、名前の通り、故人の遺した物を整理していくことをいいます。このときは、「遺品の取捨選択」が重要なキーワードとなります。

「一軒家に最後まで一人で住んでいた」という人の場合などは、生前整理をしていない人の場合、トラック何台分にもなるゴミが出ることも珍しくありません。

※「生前整理」とは生きているうちに、死んだ後のことを考えて自分の身の周りのものを整理していくことを指します。

ちなみに遺品整理には、「捨てる」「残す」のほかに、「買い取ってもらう」という選択肢もあります。

なお、遺品を引き取って処分できるのは「一般廃棄物収集運搬許可証」を持っている業者だけです。また、家電製品などを買いとることができるのは「古物商許可証」を持っている業者だけです。

しばしば、「うちは産業廃棄物収集運搬許可証を持っているから」として遺品回収の作業を行おうとする業者もいますが、産業廃棄物収集運搬許可証では家庭用の廃棄物の取り扱いはできません。このようないい加減な業者を選ぶと、不法投棄などが行われる可能性が高くなるので、必ず資格を確かめるようにしてください。

遺産分割(相続)とは残された財産を受け継ぎ分けること

「遺産分割(相続)」とは、遺された財産を受け継いだり分割して相続したりすることをいいます。「遺産」というと、家などの不動産や現金などを思い浮かべるかもしれませんが、宝石や着物、家財道具も遺産に含まれます。

形見分けのときに注意すべきなのはこの点です。
故人の思い入れのあるものであっても、それ自体が財産的な価値を持つ場合、これは遺産として扱われます。このため、相続人全員による合意がとれないと自分の物にすることはできません。

ただ、宝石や着物、食器類、絵画やさまざまなコレクションなどは価値が非常に分かりにくいものです。鑑定士を挟まなければ正しい評価が出ないこともあるので、この点も押さえておきましょう。

形見分けとは故人が使っていた品物を家族・知人で分けること

形見分けは、故人が使っていた品物を親族や友人に渡すものです。ただ、当然直系の家族(子どもや孫など)もこれを受け取ることはできます。

遺品整理と形見分けを明確に区別する法律はありません。ただ、一般的な流れとしては、遺品整理がまず先にあって、その後に遺産分割(相続)があり、そして形見分けがあると考えるとよいでしょう。

遺品整理は物品を仕分けするもの、遺産分割(相続)は財産を正しく分配するもの、そして形見分けは心情的な面を重視して故人の思い出の品物を分けるためのもの、と考えておくとわかりやすいと思われます。

宗教別で異なる!形見分けを行うのにふさわしい時期

時計とカレンダー

形見分けをするタイミングは、それぞれの宗教によって異なります。

仏教の場合は四十九日法要以降が目安

四十九日法要を目安とします。これは仏教における「忌明け」であり、これをもって家族・親族も日常の生活に戻っていきます。この後に形見分けを行うのが基本です。ただし、地域によってはその前の35日目を形見分けのタイミングとする場合もあります。

35日目は「五七日(いつなのか)」と呼ばれる日です。地域やご家庭によってはこのときを忌明けとして法要を行うこともあります。しかし四十九日を区切りとする場合は五七日の法要は営まないことが多いといえます。

神道の場合は三十日祭や五十日祭のときに行う

神道の場合は、葬儀の翌日に行う「翌日祭」があり、その後は10日ごとに法要が営まれます。ただ、10日ごとの儀式をすべて行っていくご家庭はそれほど多くはないでしょう。仏教の初七日に相当する「十日祭」は行い、あとは忌明けの儀式となる「三十日祭」もしくは「五十日祭」を行う……というかたちが一般的かと思われます。

この場合、忌明けにあたる三十日祭もしくは五十日祭のときに形見分けを行うこととなります。

キリスト教の場合は1か月後から

キリスト教の場合、「プロテスタント」と「カトリック」に分けて考える必要があります。ただ、こと形見分けに関しては、「どちらの宗派であっても、亡くなってから1か月後を基本として行われる」としています。

また、そもそもキリスト教の場合、「形見分け」の概念自体が非常に希薄だという特徴があります。
その象徴ともいえるのが、「十字架などの扱い」です。
仏教では、故人が遺した数珠を形見分けとして受け継ぐことがあります。これは、数珠は仏教において非常に重要な仏具だと考えられているからです。

しかしキリスト教の場合は、「十字架そのものは礼拝の対象とはしていない」と考えるため、これを受け継ぐことはそれほど重要視されません。ゴミとして出すことも可能です。

もっとも、キリスト教でもさまざまな解釈があります。「故人の遺したものを丁寧に引き継ぎたい」ということであれば、当然形見分けも意味のある作業といえるでしょう。

なお、ここで挙げた数字はあくまで「目安」です。明確に「この日までにやらなければならない」という決まりがあるわけではありません。ただ、遺産相続は「自身が相続人であると知ってから3か月以内」と決められています。そのため、この期間内にはやっておく必要があるでしょう。

形見分けを行うときのマナー

ポイントを示す女性

形見分けを行うときのマナーについて紹介していきます。

修理やきれいに整えてから渡す

形見分けでお渡しする品物は、必ず修理もしくはきれいに整えてから渡すようにしてください。時計などの機械類は正常に作動するかをチェックして、衣類はクリーニングに出しておきます。

ただし、絵画や食器、あるいは掛け軸などは特別な修復を必要とする場合もあります。そのため、このようなものを修復するのであれば、必ず専門の業者に依頼してください。また家具などを形見分けする場合は、それらの素材に合わせた掃除を行うようにしてください。

プレゼントではないため半紙に包んで渡す

形見分けで渡す品物は、「プレゼント」ではありません。そのため、包装などは必要ありません。裸のままお渡ししても構わないのです。

もし包む場合は、半紙などに包んでお渡しするようにしましょう。水引なども必要ありません。書き添えるのであれば、「偲ぶ草」「遺品」などとします。

形見分けを行うときに気をつけるポイント

宝石を虫眼鏡で拡大している様子

形見分けを行う際には、「贈る側」にも法律的な縛りが出てくる場合があります。それを中心として、形見分けのときに気を付けるべきポイントを取り上げていきます。

市場価値があるものかどうか確認する

故人が遺していったもののなかには、市場価値・資産価値のあるものもあります。故人と家族が、「高額なものかもしれないが、この人に貰ってもらいたい」と考えてお贈りする場合でも、その品物が市場価値・資産価値を持つものであった場合は贈与税が発生する可能性もあります。

贈与税は、預金や現金、車、不動産などさまざまなものにかかります。しかし形見分けのときに問題となるのは、もっぱら、「絵画」「骨董品」の分野でしょう。

故人が愛して買い求めた絵や、好事家であった故人が遺した骨董品などは、ものによっては100万円を超える値段が着けられることも珍しくありません。

ただ、絵画や骨董品の正しい価値を専門的な知識がない人が見抜くのは非常に困難です。不可能と言っても過言ではないでしょう。そのため、必ず事前に専門家に鑑定を依頼するようにしてください。

遺産分割を完了させてから行う

「市場価値・資産価値のあるなし」とも深く関わってくるのですが、形見分けは「遺産相続(分割)」を行った後にやらなければなりません。

非常に高額な形見が遺された場合、その処分は1人の相続人だけの意思では決めることはできないからです。相続人全員で、その遺産をどのように分割するかを決めていかなければなりません。

形見分けは、心情的にはともかく、法律的・財産的な優先度は「遺産分割」に劣ります。

故人の遺志を尊重する

形見分けのときにもっとも重要なのは、「故人の遺志」です。

故人が、「この着物は孫娘に遺したい、このゴルフクラブは孫息子に遺したい、この書物は女学校時代の親友だった子に渡したい」と考えているのであれば、遺された家族は故人の遺志を最大限尊重すべきだといえます。

しかし「故人の遺志」を確認する手立てはそれほど多くはありません。現在は「終活」という言葉が広く知れ渡っていますが、実際にエンディングノートなどをしたためる人はそれほど多くはないのが現状です。

たとえば、楽天インサイト株式会社がとったアンケートでは、「エンディングノートというものは認知しているが、実際には書いていない」とした人が86パーセントという結果になっています。

エンディングノートが用意されていない場合でも、生前に故人が自分の形見分けについて言及する機会はあるかと思われます。そのようなときに故人の気持ちを、家族が書き留めておくのもひとつの手です。

ただ、エンディングノートは法的な拘束力は持っていません。そのため、遺産分割のときなどには強制力は発揮できません。もし「どうしてもこの人に遺したい」というものがあれば、遺言書にしたためておくしかありません。

出典:楽天インサイト株式会社「終活に関する調査」
https://insight.rakuten.co.jp/report/20180215/

形見分けで起こりがちなトラブルとは

意味を考える人

形見分けは故人と向き合う非常に重要な作業ではありますが、このときにさまざまなトラブルが起きることがあります。

まず、「遺産相続」の問題です。市場価値・資産価値のある形見の品を分けてしまったことに関するトラブルです。また、「遺産相続の観点からいえばこれはAさんの物だが、故人はBさんに遺したいと言っていた。2人も譲ろうとしない」などのケースも考えられます。

特に相続税や贈与税が絡む場合は、場合によっては刑事罰が科せられる可能性もあるのでよくよく注意したいものです。

市場価値・資産価値を求める際も、また「だれが受け取るか」でもめた場合は、専門家の手を借りるのが安心です。

形見分けの作業は、多くの場合「家族」でやっていくことになります。そのため、家族が「これは必要がないだろう」と捨ててしまったものも、ある親族にとっては非常に重要な思い出の品物だったということもありえます。

このようなリスクを完全に0にすることは不可能です。ただ、「自分にとっては処分すべきものだが、ほかの人にとっては思い出の品物であるかもしれない」と考えることは非常に重要です。

実際の例では、「遺品を整理するときに、故人の家族親族に電話をして、『遺品を処分するつもりだが、とっておいてほしい物はないか』と聞いた」という家庭もあります。

こうすることで相手にとって重要な物がわかります。またたとえそこで思い浮かばなくて処分されてしまったとしても、「わざわざ電話を掛けてきてくれて、きちんと確認してくれた」という記憶は残るので、悪い印象は抱かないでしょう。

形見分けの持つ、もう1つの大きな意味

「形見分け」のやり方を把握することはとても重要ですが、形見分けは単純に「物を渡す」という行為に留まるものではありません。

これは「遺品整理」のときにも言えることですが、人は故人の遺していったものを見つめ、手に取り、整理することで、故人がたしかにこの世にはもう存在しないのだということを受け入れて受け止めていきます。

これは非常に苦しい時間でもありますが、同時に、再び前を向いて「故人がいなくなってしまった世界」を生きていくことのきっかけにもなります。これも喪の作業のうちのひとつだと言えます。

※「喪の作業」とは、「喪の仕事」「喪の儀式」「グリーフワーク」とも言います。大切な人を喪ったことの悲しみを消化し、受け入れていくために行う作業・儀式のことです。

もちろん、「今はあまりにも悲しみが強すぎて、形見分けなどできる気分ではない」という場合は、遺品整理業者の力を借りることもひとつの手です。どのような形にせよ、「遺された物」に真摯に向き合うことは、大切な人の死を自分の心の中で整理していくための方法となりえます。

まとめ 

形見分けとは、故人の遺した物を家族や親族、親しい人で分けていくことを言います。財産を相続人で分ける「遺産分割(相続)」の後には、遺す物と遺さない物を分けていく「遺品整理」が待っていますが、形見分けはその「遺品整理」の後にくるものです。

宗教によって異なりますが、故人が旅立ってから1か月後~50日ごろを目安として行われるものです。明確な決まりはありませんが、遺産の相続に関しては「3か月以内」が基準となるのでそれまでには済ませたいものです。

形見分けの対象となるものは、

  • 故人の日用品
  • 故人の衣服
  • 故人のコレクション

などが挙げられます。人に渡す場合は、きれいにクリーニングしたりお手入れをしたりしてから渡すようにしてください。またこのときは、裸のまま渡すか、もしくは半紙に包んで渡します。プレゼントではないので、包装は必要ありません。

形見分けは、必ず行わなければならないものではありません。形見分けをしないという選択肢をとることができますし、渡された側も受け取らないという選択肢を選ぶことができます。
ただ故人の遺志が反映されたものですから、特段の事情がない限りは受け取るのが基本かと思われます。

形見分けをする場合には、「対象の品物が、市場価値・資産価値を持っていないかどうか」を見ることが重要です。その品物が市場価値・資産価値を持っていた場合、贈与税などが関わってくることもあるからです。

骨董品や絵画のように価値が分かりにくいものに関しては、一度鑑定士を入れて鑑定してもらった方がよいでしょう。また、「故人はAさんにと言っているが、Bさんは譲らない」などのトラブルが起きた場合は、専門家を入れて解決をしましょう。

なお、「遺品整理を担当した息子にとっては思い入れのない服だったが、叔母にとってはお揃いで袖を通した思い出のワンピースだった」などのようなこともありえます。
このため、遺品整理(形見分け)をする前には、一度家族や親族に「気になるものはないか」と確認しておいた方がよいでしょう。

「形見分け」は、単純に「物を分ける」という作業だけを言うのではありません。
故人の遺したものに見、触れ、片付けていくことは、大切な人の死を受け入れることにも繋がります。その意味でも、形見分けは非常に意味のある仕事といえるでしょう。

監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

形見分けとは、所有品を故人にゆかりのある人に分け与えることを言います。地域によっては「ショウブワケ」「ソデワケ」「スソワケ」ということもあるそうです。形見分けで印象的だったエピソードをひとつご紹介したいと思います。

1980年代に活躍した日本のロックバンド「C-C-B」の元メンバーで、渡辺英樹さんが2015年に亡くなった際、後日ファンに向けてライブハウスで「お別れの会」を開催しました。その時、参列したファンに会葬礼状を配ったのですが、その中に愛用していたベースのピックと、衣装の切れ端が忍ばせてありました。いつまでも故人との思いを胸に、かけがえのない宝物となったに違いありません。渡辺さんらしい、素敵な形見分けだと思いました。

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  • 墓じまいはどこに相談するのかわからない
  • 複雑な事務手続きをやりたくない
  • 墓じまいにいくら必要なのか知りたい

親族や知人などに墓じまいを経験した人がおらず、不安に感じる人もいるかと思います。
また、今あるお墓を片付けることに抵抗感がある方もいるかもしれません。
しかし、大切なのはお墓をきちんと片付け、あとの供養に繋げていくことです。

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