一人になった親を援助、意思を尊重した支援のしかたを解説

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三世代、親子、車椅子

残された親の様子をうかがう

ポイント:残された親のショックを理解し、長引かないように親身になって手助けする。

親の変化を理解する

長年連れ添った配偶者を失った親は、想像以上のショックを受けます。無気力や絶望感、怒りといった心の変化だけでなく、不眠、食欲不振、疲労などの症状が出る場合があります。

親の変化を死別の悲しみによるものだと理解したうえで、残りの人生をサポートしましょう。

親が立ち直るために子どもができること

変化は人それぞれなので、わかりにくい場合もあります。親の変化を注意深く観察しましょう。親が悲しみから立ち直るために、子どもが簡単にできることを3つ紹介します。

①親の話に耳を傾ける

まずは親の話をじっくり聞くことが大切です。親は子どもと話すことで、気持ちが整理され、楽になるかもしれません。直接会えなくても、電話やメールで密に連絡をとるようにしましょう。

②食生活のケア

親が1人暮らしの場合、食事をつくる気力をなくすことがあります。特に父親の場合、家事の経験がないため、偏った食生活になりがちです。

一緒に買い物に行ったり、大勢で楽しみながら食事をする機会をつくりましょう。

③税金、保険などの各種手続きの手伝い

公的機関などへの各種手続きや届け出なども、ときには手助けしましょう。配偶者と死別直後の親にとって、高齢になるほどこうした事務処理はストレスになるものです。

相手に先立たれた親が困るのはこんなこと

①相談相手がいない

①相談相手がいない

  • 同居家族がいない
  • 友だちもいない

②住まいの手入れ

②住まいの手入れ

  • 庭の手入れ ・ペンキ塗り
  • 高いところの電球の交換

③食生活

③食生活

  • つくる気力がない
  • 料理の経験がない

④収入が少ない

④収入が少ない

  • 働き手が亡くなった
  • 遺族年金では生活できない

⑤健康状態の悪化

⑤健康状態の悪化

  • 睡眠障害
  • 疲労感
  • 食欲不振
  • 便秘

⑥心の変化

⑥心の変化

  • 無気力
  • 生活のリズムが狂う
  • 怒り
  • 絶望感
  • 後悔
  • 罪悪感

残された親の意思を尊重する

ポイント:葬儀の後始末を済ませたころから、1人になった親をどう援助するか、子どもたちで話し合う必要が出てくる。

これまでの暮らし方を続けたい親が多い

配偶者が亡くなっても、健康面で問題がなければ、いままでの生活スタイルを続ける高齢者が多いようです。

子どもも、親が元気ならあえて同居を申し出ずに、別に住んでときどき顔を見せたり、困ったとき手助けに行くくらいが一般的です。

ただし、要介護状態だったり、とても1人で生活できない経済状態だったときは、親任せにはできません。
子どもが複数いる場合は、どのように支援していくか、話し合いを持つ必要があります。

将来の介護のことも考えておく

親をどう世話していくか、子どもたちによる話し合いは、スムーズに行かないケースも少なくありません。

以前は財産の継承の関係から長男が世話をするもの、というルールがありました。しかし、現行の法律では遺言がない限り、子どもはみんな平等、当然、親への扶養義務も平等ということになります。

ここでの話し合いは、「残された親をだれが世話をするか」「だれがお金を出すか」ということになりますが、現在の考え方の基本は平等です。

ただし、「①年長」「②近くに住んでいる」「③経済的なゆとりがある」などを考慮して、世話をするキーパーソンを決めるのが一般的です。将来、介護が必要になったとき、このキーパーソンを中心に、子どもが平等に労力や費用を負担すると、親が望む質の高い介護ができます。

親の意思を最優先する

親をどう世話するか決めるとき、子どもはつい自分たちの思い込みや都合を優先しがちです。

例えば、母親が亡くなって父親が残されたケースでは、娘はとかく家事が心配だからと、同居や近隣に住むことを勧めがちです。しかし、家事に慣れていない男親だからできないと決めつけるのは早計です。

本人が1人暮らしを希望するなら、父親のやる気を遠くから応援する方法もあります。なんでも、子どもの価値観や常識で決めつけず、まず親の意思を聞いて、どう実現できるかサポートするようにしましょう。

1人になった親の暮らし方

1人になった親の暮らし方

老人性うつ病にならないように援助する

ポイント:配偶者に先立たれた親は、老人性うつ病の心配が出てくる。

配偶者の死が「うつ病」のきっかけになる

高齢者がうつ病になるきっかけで一番多いのは、配偶者の死です。大きな喪失体験によって孤独感が強まり、自己評価が低下するにしたがってうつ傾向が強まります。

葬儀の後始末を済ませて、緊張が解けてくると、この先の不安から、落ち込むのがふつうです。声をかけても生返事、暗い表情を見せることもあるでしょう。

しかし、ほとんどの人は日常生活のこまごまとしたことをこなしているうちに元気を取り戻し、いつしか、大きな喪失感を埋めていきます。しかし、いつまでも元気にならず、日常生活がふつうに送れなくなってきたら、「うつ病」が疑われます。

こんな症状が出たら受診を

うつ病は何の理由もないのに2週間以上にわたって気分が落ち込み、やる気がなくなって、日常生活がふつうに送れなくなった状態をいいます。

配偶者の死は大きな理由なので、2週間と限らず、死から時間がいくら経過しても、いっこうにやる気が見えない状態の親も少なくないでしょう。

親の生活を見て、こんな状態が長く続いていたら心配です。

  1. 意欲が減退して見える
  2. 食欲がないように見える
  3. 睡眠が思うようでない
  4. 「死にたい」と口にする

このような症状が見えたら、「しっかりして」などと励ましたりせず、受診するようにすすめましょう。

老人性うつ病の予防と改善

①孤立させない

①孤立させない
同居でも別居でも、親を部屋などに孤立させず、声をかけ、いっしょに食事をしたりして楽しい時間をつくる。

②気持ちをゆったりさせる

②気持ちをゆったりさせる
時間をつくってゆっくり側にいてあげるようにする。気持ちがゆったりすれば、つらい気持ちが少しずつやわらぐ。

③サインを見逃さない

③サインを見逃さない
意欲の減退などのほか、高齢者のうつ病は体に出やすいので、動悸、しびれ、胃の痛みなどを訴えたらうつ病を疑ってみる。

④外出や人との交流を促す適度な運動が必要なので外出を促すとよい。

④外出や人との交流を促す適度な運動が必要なので外出を促すとよい。
できるだけ人と交流するように勧め、デイサービスなどを利用する方法もある。

配偶者に死なれた親の気持ちを理解する

ポイント:配偶者を失った親は悲しみと不安でいっぱい。子どもは精神的な支えになれるように支援する。

高齢者には強気な面と弱気な面がある

配偶者を失った悲しみから立ち直ったように見えても、「以前とは少し違う」という印象を持たれる親が多くいます。
自分の言い分を頑固に主張したり、別の場所では急に弱気な面を見せたりします。

これは、いままで生きてきた自分の価値感を、守らなくてはいけないという強気と、守れるだろうかという弱気が交錯するからで、ごく自然な加齢による変化の1つです。

この変化が、配偶者の死をきっかけに加速したため、子どもたちは「あんなにしっかりしていた親なのに、どうしちゃったのか?」と戸惑い、必要以上に心配してしまうことが多いのです。

親の老いを正しく理解し、適切に接する

親は老いていきます。頑固になるのも、必要以上に甘えるのも老いが原因です。この「老い」を理解し、適切に接することが大事です。

1人暮らしの母親を訪ねると、「もう来なくていい」「1人で不自由していない」と頑固な態度で迎えられることがよくあります。

せっかく忙しい中、あるいは遠くから来たのにと、悲しい気持ちになり、これを真に受けて、 「そんなに元気ならもう来ない」と言葉を返したら、関係は悪くなるばかりです。

頑固な態度は「また来て欲しいけれど、子どもに負担をかけている負い目の裏返し」と察すれば、「今度はみんなで来ますよ」と温かい言葉をかけてあげられます。

親の言葉や行動の表面だけで右往左往するのではなく、そこに隠されたほんとうの気持ちを理解し、適切な対応をしていくことがとても重要です。

前向きな気持ちを支援していく

高齢者の言動で目立ってくるのがマイナス志向です。「どうせ、何をやってもつまらない」といったたぐいのことです。これは「何か楽しいことはないかな?」という気持ちの裏返しです。子どもはこの裏の気持ちを後押しして、前向きな行動を支援すると、老化予防に役立ちます。

趣味、ボランティア、サークル活動、地域活動などにどんどん参加するように促しましょう。

一般的なお年寄りの心の変化

頑固な自分

頑固な自分

  • 昔はよかった
  • 昔の流儀が正しいに決まっている
  • いまの若い人は……
  • 私は常識的な人間だ
  • 新しいやり方はよくわからないから、受け入れたくない
  • 子や孫に何かしてあげなくちゃ
  • 私がしてあげているのに、周囲は感謝しない

弱気な自分

弱気な自分

  • 最近、自信がない
  • 記憶力が衰えた
  • 不安感が強い
  • 心配性になった
  • ぐちっぽくなった
  • 人を頼る気持ちが強くなった
  • 何をやるのもおっくうだ
  • 悪いのはいつも私だ

自立を促す支援を行う

ポイント:同居でも別居でも、1人になった親への支援は「面倒をみる」ではなく「自立を促す」が基本。

「なんでも助けてあげる」は危険

配偶者を亡くし1人になった親に子どもがかかわっていくことは大事ですが、家事全般から届出の手続きなど、すべてにかかわって「面倒をみる」のは親の老化を助長させ、自立を妨げる危険があります。

「年だから、外出するのも大変だ」という言葉を鵜呑みにして、代わって買い物などの手助けをしたら、足の筋力が低下し、よけいに歩行困難になってしまうケースもあります。

足の筋力が低下し歩行が困難だった90歳の女性でも、医師のアドバイスでトレーニングに励んだら、自力で歩行できるようになった例もあります。

なんでも助けてあげると、その人が持っている、まだまだ元気な能力を衰えさせてしまうことになります。手を差し出すとき、ほんとうに必要なことなのかよく考えることが大切です。

できることは自分でしてもらう

年老いた親の気持ちは複雑です。「子どもに頼りたい」と思う反面、自分のことは自分でしたいとも思っています。こうした親の気持ちを察し、自分でできることは自分でしてもらうのが、自立を促す支援となります。

ただし、高齢者は孤立しがちなので、話し相手になったり、定期的にようすを見に行ったりすることは必要です。

また、年齢を重ねると認知症などさまざまな病気も心配されますから、そのときは早めに手を差し伸べましょう。

住まい方による支援のしかた

住まい方による支援のしかた

[コラム]ひとり親を訪問するときに気にかけたいこと

ときどき訪れて家の中に変化がないかチェックする

ひとりで暮らす親がまだ自立した状態であれば、ときどき訪問して不自由がないかを確認しながら世話を続ける子は多いでしょう。そのとき、家の中で大きな変化はないか気を配ることが大事です。

とくに、配偶者を亡くしたばかりの親は気力を失い、日常のこまごまとした仕事を怠りがちです。そのまま放置すると、家の中に汚れがたまり、さらに生活への意欲が減退することになります。

家の中は安全かチェックする

さらに、片づけを怠ると散らかした新聞紙にのって滑ったり、床に置いた荷物につまずいて転んだり、転倒事故につながることも少なくありません。

転倒による骨折は要介護になる原因の1つですから、実家を訪問する際は「家の中は安全か」「転倒につながる心配はないか」といった目でいつも気にかけることが大切です。

ひとり親はここをチェック!!

①家の中に転倒の原因となるものはないか?
小さな段差、床の荷物、滑る床などをチェックし、段差解消、手すり設置、滑り止め対策、整理整とんなどを行う。

②冷蔵庫の中に賞味期限切れの食品はないか?
食中毒の原因となる傷んだ肉や野菜はないか、賞味期限の切れた食品はないかチェックする。

③部屋は暗くないか?
部屋が暗いと転倒事故などの原因になる。切れた電灯はないかチェックする。

④家の中はある程度、清潔が保たれているか?
ゴミが積まれていないか、部屋の隅々にほこりがたまっていないかなどをチェックしたい。

■参照元
改訂増補 親の葬儀とその後事典
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平成20年9月30日 旧版第1刷発行 
平成29年5月26日 改訂版第1刷発行

著 者:黒澤計男 溝口博敬
発行者:東島俊一
発行所:株式会社法研

一口にお墓・霊園と言っても、豊かな自然を背景にしたり、規模や宗派だけではない様々な特色があります。
お住まいの地域・ご実家の近隣などで、どんな霊園があるかご覧になってはいかがでしょうか?

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