お寺で樹木葬をしたい!檀家は必須?押さえておきたい注意点を解説

【樹木葬 寺】アイキャッチ

お寺の樹木葬とは?徹底解説

  • 樹木葬は墓石の代わりに木を使い、お寺でも選べる墓形式。
  • 宗教を問わず、多くが永代供養で檀家になる必要が少ない。
  • お寺の樹木葬は生前契約や法要の内容を事前に確認が必要。
  • メリットは自然の中で安価に眠れること、管理の手間がないこと。デメリットは遺骨回収が難しく、家族の同意や樹木の枯死がリスク。

最近「樹木葬」という言葉をよく耳にする、という方は多いのではないでしょうか。

この記事では、樹木葬と一般的なお墓との違いや、樹木葬のメリット・デメリット、樹木葬のできるお寺やその費用について詳しく解説します。

寺院墓地の樹木葬を、自分や家族のお墓の一つの選択肢として考えることができるようになりますよ。

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この記事の目次

  1. 樹木葬とは墓石の代わりに樹木を目印にしたお墓のこと
  2. お寺でも樹木葬はできる
  3. お寺での樹木葬の特徴
  4. 樹木葬と一般のお墓との違い
  5. お寺で樹木葬をするときの注意点
  6. 樹木葬ができるお寺の例
  7. 樹木葬のメリット3つ
  8. 樹木葬のデメリット3つ
  9. まとめ
  10. 監修者コメント

樹木葬とは墓石の代わりに樹木を目印にしたお墓のこと

樹木葬とは、墓石のかわりに樹木を目印にしたお墓のことです。
お寺の中の樹木葬をご案内する前に、樹木葬の基本を確認しておきましょう。
樹木葬の特徴は、大別して以下の2つです。

  • お墓の形態には、個別墓タイプと集合墓タイプがある
  • 霊園が作られる場所には、公園型と里山型がある

順に詳しく説明します。

個別墓タイプと集合墓タイプがある

樹木葬のお墓の形態には、個別型タイプと集合型タイプがあります。

樹木葬の埋葬方法

個別型タイプ

一般的なお墓と同じように、個別に区画が割り当てられているのが個別型タイプです。
1つの区画に、一本のシンボルツリーを植樹するのが一般的です。
また、樹木の種類を選べるケースもあります。

集合墓タイプ

樹木の周りを取り囲むように、たくさんの遺骨が埋蔵されるのが、集合墓タイプです。
桜の木など大樹をシンボルツリーとし、一人ひとりに樹木が割り当てられるわけではありません。
個別のスペースは小さく、遺骨を埋蔵するスペースがあるだけで、その上に名前を刻んだプレートを載せるのが一般的です。

公園型と里山型がある

樹木葬の霊園が作られる場所には、公園型と里山型があります。

公園型

樹木葬霊園

一般的な霊園と同じように、霊園としての設備が整っているのが公園型の樹木葬です。
霊園内の道はコンクリートで舗装され、トイレや休憩所があり、お花や線香を売る売店がある場合も多いでしょう。
また、アクセス面が良好なのも特徴です。

里山型

里山型の樹木葬

自然保護の観点から、山になるべく手を入れない状態を維持しているところに埋葬されるのが、里山型の樹木葬です。
道路が舗装されていないことが多く、またトイレや休憩所が完備されているとはいえません。
山道を登っていかなければならないケースもあります。
お参りは多少不便ですが、エコロジー志向の強い人にはぴったりです。

樹木葬の霊園がどんな場所にあり、どのようなお墓となるのか、イメージできたでしょうか。また樹木葬についてより詳しく知りたいという方は、以下の記事をご覧ください。

次章では、樹木葬ができるお寺について、具体的にご案内します。

お寺でも樹木葬はできる

結論から言えば、お寺でも樹木葬は可能です。

寺院墓地全てが樹木葬用の墓地であるというケースよりも、どちらかといえば、寺院墓地の中に樹木葬エリアがあるというケースが一般的です。

地域を問わず、寺院墓地の中に樹木葬用の区画がある場合が増えています。

寺院墓地の中にある樹木葬エリアは、自然に囲まれながらも仏教的な雰囲気を感じることができるので「お寺の墓地に眠っている」という安心感を得られるでしょう。

お寺での樹木葬には、どんな特徴があるのでしょうか。次章で説明します。

お寺での樹木葬の特徴

お寺での樹木葬の特徴は、以下の通りです。

  • 樹木葬では檀家にならなくてよい
  • 預けている宗派での手厚い供養が受けられる

詳しく説明します。

樹木葬では檀家にならなくてよい

お寺での樹木葬では、檀家にならなくてよいケースが一般的です。

1つの寺院墓地内に、一般的なお墓のエリアと樹木葬用エリアがある場合でも、「一般的なお墓であれば檀家になってもらい、樹木葬であれば檀家にならなくてよい」と、契約を分けている寺院が大部分です。

預けている宗派での手厚い供養が受けられる

お寺での樹木葬では、たとえ檀家にならなくても、預けている宗派での手厚い供養が受けられます。

永代供養を希望すれば、お彼岸やお盆には、合同で住職自ら供養祭を行ってもらえます。
また、寺院によりますが、相談すれば個々で年忌法要を行ってもらうことも可能です。

檀家にならなくても、そのお寺での供養が受けられるなんて嬉しい話ですね。では、樹木葬と一般的なお墓との違いは、具体的にはどんな所にあるのでしょうか。次章で詳しく説明します。

樹木葬と一般のお墓との違い

樹木葬の霊園内

樹木葬と一般のお墓との違いは、以下の4つです。

  • 費用面は樹木葬のほうが一般のお墓よりも安め
  • 樹木葬は遺骨を土中へじかに埋蔵する(一部骨壺に入れて埋蔵)
  • 樹木葬は基本的に宗教不問で、檀家になるべきケースは少ない
  • 樹木葬は永代供養型であることが多い

詳しく説明します。

費用面は樹木葬のほうが一般のお墓よりも安め

樹木葬は、墓石をたくさん使わないので、一般のお墓よりも安価に利用できます。

お墓の費用は、土地を使用するための「永代使用料」と「墓石料」に大別されますが、樹木葬は、このうち「墓石料」が少なめなので、費用が安く上がるのです。

一般的なお墓の価格相場は150万円から250万円ほどです。しかし樹木葬は集合型なら30万円程度から見つかります。個別型も50万円~100万円ほどが相場です。

樹木葬の費用について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

樹木葬は遺骨を土中へじかに埋蔵する

一般的なお墓はカロートと呼ばれるコンクリートの納骨スペースに骨壺を収蔵します。しかし樹木葬は遺骨を土中へじかに埋蔵するケースが一般的です。

これは「自然に還る」というコンセプトから来ています。

ただ、まれに骨壺のまま埋蔵する樹木葬も存在します。個別墓で公園型(霊園型)であれば、骨壺のまま埋葬するケースも多いでしょう。

樹木葬は【宗教不問】檀家になるべきケースは少ない

一般的なお墓は、寺院の檀家になることを求められるため、仏教徒であることが必須になります。しかし樹木葬は、基本的に宗教不問であることが多いのが特徴です。

寺院の敷地内にある寺院墓地であっても、樹木葬エリアは宗教を問わず誰でも受け入れ可能であることがほとんどです。よって檀家になる必要も、ほとんどありません。

樹木葬は永代供養型であることが多い

一般的なお墓は、一年ごとに年間管理料を支払う必要があります。しかし樹木葬は永代供養型であることが多く、契約時に支払いをすればあとは年間管理料が発生しないところもあります。

永代供養型であれば、お墓の管理や供養を霊園側が行ってくれるので後継者を用意する必要もありません。

以上のような樹木葬の特徴は、民営霊園であっても、公営霊園であっても、そして寺院墓地であっても同じです。

ただ、お寺で樹木葬をするときは、少し注意したい点があります。

次章でご案内しましょう。

お寺で樹木葬をするときの注意点

お寺で樹木葬をするときの注意点は、以下の3つです。

  • 生前契約の場合は遺骨が入るまでに檀家料が発生することもある
  • 年忌法要がしっかり行われるかどうかは契約による
  • 民間(営)霊園でも僧侶が来て供養してくれるところは多い

詳しく説明します。

生前契約の場合は遺骨が入るまでに檀家料が発生することもある

樹木葬の場合は檀家にならなくてもよいケースが大半です。
しかし、生前契約の場合は、遺骨が入るまでの間、檀家料が発生することがあります。

多くは「契約者存命の間は、花木の管理をするための費用を持ってほしい」という意味で、管理のための檀家料です。

こちらは契約書をよく確認しなければならない、複雑なケースです。

年忌法要がしっかり行われるかどうかは契約による

樹木葬では、永代供養型を選べば、お盆やお彼岸に合同供養をしてもらえるのが一般的です。
しかし、年忌法要を行ってもらえるかどうかは、契約によります。
なかには、年忌法要を行いたい場合は個別に申し出と見積もりが必要になるお寺もありますから、よく確認しましょう。

民間(営)霊園でも僧侶が来て供養してくれるところは多い

お寺の樹木葬は、いつもご住職が近くにいて、直接管理や供養をしてくれる点が魅力です。
ただ寺院墓地ではなく民間(営)霊園であっても、お彼岸ごとに僧侶が来て供養してくれるところは多いものです。

もし、希望するエリアに樹木葬をやっているお寺が見当たらなければ、民間(営)霊園も候補に入れてみましょう。

お寺の樹木葬と変わらない、ていねいな供養を行っている民間(営)霊園を、見つけられるかもしれません。

この章では、樹木葬をやっているお寺を探す際に、どんなことに注意すべきかが理解できたのではないでしょうか。

「樹木葬ができるお寺の具体的な例を知りたい」という人のために、次章では、樹木葬のできるお寺をご紹介します。

樹木葬ができるお寺の例

樹木葬ができるお寺は、探せばけっこう見つかります。
具体例をご紹介しましょう。

福厳寺

福厳寺は、愛知県小牧市にある、樹木葬のできるお寺です。
霊園内のシンボルとして大きな観音像が設置されているため、お寺へのお墓参りに慣れている人も安心感がありますね。
宗旨、宗派、国籍を問わず利用でき、またお寺の年中行事にも自由に参加できます。

【福厳寺の樹木葬(福泉苑 緑樹) 基本情報】

所在地:愛知県小牧市大草5229
費 用:1名80万円、2名120万円、3名160万円(管理費、年会費、納骨式の法要料、カロート・プレート代などを含む)追加料金は基本的に不要(特別法要に参加する場合は別途費用が必要)
HP:http://eitaikuyou.fukugonji.com/jumoku/

正受院

正受院は、京都にある禅宗寺院、大徳寺の塔頭(たっちゅう)です。

塔頭とは、大きなお寺の境内にある小寺のことで、正受院は大徳寺の敷地内に建てられています。大徳寺は、京都の中でも大きな寺院の中の1つですから、そんなお寺の近くで眠れるなんて、信心深い人にはとくにうれしいことですね。

正受院では、さらし木綿に包んだ遺骨を、杉苔に覆われた場所へ埋めるスタイルです。

宗旨・宗派・国籍問わず利用できますが、納骨後の供養は臨済宗の教義にのっとって行われます。

【正受院の樹木葬 基本情報】

所在地:京都府京都市北区紫野大徳寺町78-1
費 用:1人利用50万円、2人利用70万円(毎年春秋の合同法要祭含む)
    埋葬手数料 3万円
    墓碑彫刻料 1万5,000円
    管理費年間 お問い合わせください
HP:https://shojuin-jumokusou.jp/

谷中浄苑樹木葬墓地

谷中浄苑樹木葬墓地は、台東区の蓮華寺内にある樹木葬霊園です。

根津駅から徒歩8分とアクセス良好なので、都心でお墓を探している人には嬉しい情報ですね。

宗教・宗派を問わず利用でき、年に3回の合同供養を行ってくれるため、後継者の必要もありません。

50年は個別の区画を利用でき、50年を過ぎると他の人の遺骨と一緒に合祀となるスタイルです。

【谷中浄苑樹木葬墓地 基本情報】

所在地:東京都台東区谷中4-3-1
費 用:38万円~(区画により異なる)(年3回の合同法要、区画の使用料含む)
    埋葬手数料 2万2,000円(税込み)
    墓碑彫刻料 1万1,000円(税込み)
    年間護持費 4,000円
HP:http://jyumokusou-yanaka.com/

都心でも、地方でも、お寺でできる樹木葬が見つかりそうですね。一安心したところで、次章からは、樹木葬のメリットやデメリットについてお伝えします。

樹木葬のメリット3つ

メリットを考える男性

樹木葬のメリットは、以下の3つです。

  • 自然に囲まれて眠ることができる
  • 比較的費用が安め
  • 永代供養型の場合は継承・管理が不要

順に説明します。

自然に囲まれて眠ることができる

樹木葬のメリットとして最大なのが、自然に囲まれて眠ることができる点です。
墓石のかわりに樹木を植えるので、樹木葬霊園は緑豊かで、従来の墓地のような暗さがありません。
明るく、自然あふれる環境の中で眠れるのが、一番の魅力です。

比較的費用が安め

先述した通り、樹木葬は一般的なお墓に比べて費用が安めです。とくに集合型の場合は30万円ほどでも手が届くものがあるため、「今のお墓も維持しながら、自分用に樹木葬を考えたい」というときにも、じゅうぶん手が届くでしょう。

永代供養型の場合は継承・管理が不要

樹木葬はほとんどが永代供養型で、継承・管理が不要です。
前項のように、「今のお墓も維持しながら、自分のお墓も」と考えている人は、どちらかでも管理がいらないのであれば、かなり心の負担が軽くなるのではないでしょうか。

後の世代に負担をかけることがないのもいい点です。

樹木葬のデメリット3つ

デメリットを考える男性

樹木葬のデメリットは、以下の3つです。

  • 後で遺骨を取り出せない場合が多い
  • 家族の合意を得られない可能性がある
  • シンボルとなる樹木が枯れないとは言いきれない

詳しく説明します。

後で遺骨を取り出せない場合が多い

樹木葬は、土中にじかに遺骨を埋めるスタイルをとるので、後で遺骨を取り出せない場合が多いのが特徴です。例えば、家族があとで「新しくお墓を買ったから、遺骨を移動したい」と考えても、それがかないません。

どうしてもという場合は、遺骨を埋めた周辺の土ごと移動することになるでしょう。

家族の合意を得られない可能性がある

樹木葬は、一般的なお墓とは見た目がだいぶ違うため、家族の合意を得られない可能性があります。「やはり、『●●家之墓』と刻まれた墓石に向かってお参りしないと、お墓参りをした気持ちにならない」などといわれてしまうかもしれません。

樹木葬を希望するなら、お墓参りをしてくれる家族とも十分話し合いを持つことが大事になります。

シンボルとなる樹木が枯れないとは言いきれない

霊園側がどんなに気をつけて管理してくれても、シンボルとなる樹木が枯れないとは言い切れません。

樹木は、お参りの対象となる大事なシンボルツリーですから、枯れてしまうと家族は心に大きなダメージを負います。また、台風や大雪など、予測の難しい自然災害によって倒木する危険性もあります。

以上のように、樹木葬にはメリットもあればデメリットもありますから、
メリットがデメリットを上回るかどうかきちんと考え、納得のうえで樹木葬を選べるようにしましょう。

まとめ

この記事では、お寺での樹木葬について説明しました。

寺院墓地であっても、宗教不問の樹木葬を展開しているところは意外とありますから、さっそく調べてみましょう。

実際に足を運ぶ際には、お寺での樹木葬の注意点を意識しながら、契約形態について尋ね、疑問はすべて解消しておきましょう。お寺にきちんと供養されながら眠ることができる、イメージ通りの樹木葬が実現できるといいですね。


監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

樹木葬といっても墓地ですから、墓地埋葬等に関する法律を根拠法に墓地として認められた場所に造成されています。樹木葬の定義はなく、芝生風墓地やガーデニング墓地を樹木葬とネーミングしている墓地もあります。

樹木葬墓地は区画が小さいため安価なイメージがありますが、家族など複数人入ることを想定している場合、高くなってしまうこともありますのでご注意を。また植物ですからメンテナンスにも実は費用が墓石のお墓以上にかかります。そのため、樹木は最小限に抑え、草花もほとんど無いような樹木葬墓地もあります。霊園全体のコンセプトはもとより、管理方法、納骨方法等、墓地によって異なります。