樹木葬で“桜”が人気な理由は3つ!桜を使ったおすすめ霊園も紹介
墓石の代わりに樹木を目印にしてお参りを行う樹木葬は、最近注目を浴びているお墓の形です。
とくに桜の木で行う樹木葬に憧れるという人も、いることでしょう。
春、満開の桜を見ながら自分のお墓参りをしてもらえるなんて、素敵ですよね。
この記事ではこのような疑問を解消!
- 「桜の木で行う樹木葬の、費用や申し込みの流れを知りたい」
- 「桜の木で行う樹木葬のメリットやデメリットは?」
- 「そういえば、どうして樹木葬といえば桜の木が多いの?」
この記事では、桜で行う樹木葬が気になっている人の、上記のような疑問に答えます。
最後には桜以外の選択肢などもご紹介するので、納得して桜やその他の木を選び、樹木葬を選べるようになりますよ。
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この記事の目次
樹木葬に使われる木は桜が多数派
樹木葬に使われる木は、桜が多数派です。
まずは、樹木葬に桜を使っている霊園や、桜の木で行う樹木葬の埋葬方法、そして樹木葬に桜が選ばれる理由を解説します。
樹木葬に桜を使っている霊園例
樹木葬に桜を使っている霊園は、全国各地にたくさんあります。
ここでは、東京・京都・千葉にある、桜を使った樹木葬例をご紹介します。
エンディングセンター「桜葬」
認定NPO法人エンディングセンターが展開する樹木葬墓地が、「桜葬」です。
2000年代初頭に、日本で初めて市民がプロデュースしたお墓として話題になりました。
霊園内には桜の木がたくさん立ち並び、遺骨はシンボルツリーの周りを囲むように埋葬されます。
エンディングセンター「桜葬」
[所在地]東京都町田市真光寺町338-12
[価格帯]20万円~100万円 区画・埋葬人数により変動あり
[HP]https://www.endingcenter.com/
京都天ヶ瀬メモリアル公園「桜下庭苑樹木葬」
「桜下庭苑樹木葬」は、京都天ヶ瀬メモリアル公園内にあります。
樹木葬を含め、和墓地や芝生墓地など6つのタイプのお墓があり、
いずれも①管理費不要・②後継者不要・③宗教不問・④年3回の総供養会と、4つの「永久墓地システム」を展開しています。
京都天ヶ瀬メモリアル公園「桜下庭苑樹木葬」
[所在地]京都府宇治市宇治金井戸8-1
[価格帯]25万円~100万円以上 区画・埋葬人数により変動あり
[HP]http://www.kyoto-amagase.jp/
天徳寺「桜葬」
天徳寺は、樹木葬を中心にした墓地を提供しているお寺です。
なかでも桜葬と呼ばれる区画には、3本の山桜の下に共同式の樹木葬墓地があります。
区画は一人あたり30センチ四方と決まっています。
天徳寺「桜葬」
[所在地]千葉県いすみ市山田1886
[価格帯]30万円 生前予約の場合は会員費年間5000円が必要
[HP]https://tentokuji.jimdo.com/
以上のように、一口に樹木葬といっても価格帯はさまざまで、区画や埋葬人数によっても変わってきます。
桜の木で行う樹木葬の埋葬方法
桜の木で行う樹木葬の埋葬方法として考えられるのは、以下の2つです。
- 集合墓タイプ
- 個別墓タイプ
それぞれ説明します。
桜の木で行う樹木葬の多くが集合墓タイプ
桜は非常に大きい樹木なので、桜の木で行う樹木葬の多くが、集合墓タイプです。
一本もしくは複数本の桜の木を、みんながお参りするためのシンボルツリーとして、
桜の木の周りにたくさんの遺骨を埋葬するのです。
多くは骨壺から遺骨を取り出し、土のなかへそのまま埋葬しますが、
一般のお墓と同じように、コンクリートで固められたカロート(納骨室)をつくり、
骨壺のまま納める方法もあります。
個別墓タイプも可能性としてはありうる
桜の木で行う樹木葬ではなかなか見られませんが、一本の桜を一つのお墓で使う個別墓タイプも、可能性としてはあり得ます。
ただ、桜の木はどんどん幹を大きく、根も太く広く張っていく樹木です。
あまり木に近い場所へ埋葬してしまうと、木の根によって埋葬場所が破壊される危険性もあります。
よって、個別墓タイプは可能性としてあり得ますが、なかなか見当たらないといっていいでしょう。
樹木葬に桜の木が使われる理由
なぜ樹木葬に桜の木が使われるか、それには2つの理由があります。
- 日本人は桜が好きだから
- 梶井基次郎の短編小説の影響
それぞれ説明します。
日本人は桜が好きだから
日本人が好きな花といって思い浮かぶのは、やはり桜でしょう。
NHKの文化放送研究所が2007年に行った調査でも、日本人の好きな花として桜が堂々の一位を獲得しました。
シンボルツリーとして、多くの人の好みにマッチする桜を選ぶことで、高い集客力が期待できるのです。
梶井基次郎の短編小説「櫻の樹の下には」の影響
梶井基次郎に「櫻の樹の下には」という小説があり、
「櫻の樹の下には屍体が埋まっている」という書き出しが有名です。
この小説が影響している面も、多々あるようです。
実際に樹木葬を行っている長慶寺のご住職も、「この小説を意識している」とお話しされていました。
HPにも、「櫻の樹の下には」に関する記述が見られますね。
https://choukeiji.jimdo.com/
以上、桜の木で行う樹木葬について概要を紹介しました。
続いて、気になる費用や申し込みの流れなど、詳細をお伝えします。
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桜の木で行う樹木葬の費用と申し込みの流れ
桜の木で行う樹木葬の費用は、形式や人数によって変動します。
また、申し込みから納骨までの流れは、一般的なお墓ととくに変わりはありません。
それぞれ詳しく説明します。
桜の木で行う樹木葬の費用は10万円から70万円程度
桜の木で行う樹木葬の費用は、一人だけの埋葬であれば10万円から70万円ほどが相場です。
専有面積が大きくなれば、費用は高くなる傾向にあります。
なお、夫婦用、ファミリー用など複数人用の樹木葬を検討しているなら、追加の埋葬一体ごとに手数料がとられるのが一般的です。
一体ごとの手数料は、数万円から10万円ほどです。
また、加えて毎年の維持費がかかる可能性があります。
維持費の相場は5000円から1万5000円ほどで、木の手入れなど樹木葬霊園を美しく整備するために使われます。
維持費は、納骨までの間だけかかる場合と、納骨後も継承者が維持費を支払う場合とがあります。
申し込みから納骨までの流れ
桜の木で行う樹木葬の申し込みから納骨までの流れは、以下の通りです。
- 見学
- 契約
- 入金
- 使用許可証の受領
- 埋葬許可証と遺骨の持ち込み
順を追ってご案内します。
1. 見学
現地見学を行い、アクセスの良さや設備、対応の良さ、費用の詳細について確認します。
2. 契約
見学を行うことで、費用面や実際の外観、アクセスの良さなどに納得したら、契約となります。
3. 入金
霊園側が指定する口座へ契約金を入金します。
4. 使用許可証の受領
墓地の使用を認める書類が送付されてきます。
5. 埋葬許可証と遺骨の持ち込み
すでに遺骨があれば、死亡届を出すときに自治体から交付された埋葬許可証とともに、遺骨を霊園へ持ち込みます。
以上が、桜で行う樹木葬の費用と流れの全体像です。
費用面にしても申し込みの流れにしても、桜以外の樹木葬とあまり変わりはありません。
では、桜の木で行う樹木葬のメリットは、どんなところにあるのでしょうか。
次章で説明します。
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桜の木で行う樹木葬のメリット4つ
桜の木で行う樹木葬のメリットは、以下の4つです。
メリットポイント
- 専有面積が小さいので少ない費用でお墓を持てる
- 毎年、春のお墓参りが楽しみになる
- ほかの花よりも家族が気に入る可能性が高い
- 木の寿命が長い
それぞれ詳しく説明します。
専有面積が小さいので少ない費用でお墓を持てる
桜の木で行う樹木葬なら、専有面積が小さいので、少ない費用でお墓を持つことができます。
例えば、一般的なお墓であれば、1区画1㎡以上の専有面積がある場合が多いものです。
対して桜の樹木葬は、集合墓タイプがほとんどなので、専有面積は30センチ四方ということも珍しくありません。
すると、その区画を永代に使用する権利である永代使用料が、一般的なお墓より安くなります。
また、一本の木に対して一つのお墓をつくる、個別墓タイプの樹木葬よりも安くなります。
なお、これは樹木葬全般にいえることではありますが
一般的なお墓と比べると墓石の使用量が少なくなるため、建設費用もぐっと抑えられます。
毎年、春のお墓参りが楽しみになる
桜といえばお花見ですから、桜の樹木葬なら、毎年春のお墓参りが楽しみになります。
春が来れば「もうすぐ桜が咲くから、そうしたら家族みんなでお墓参りに行こう」と思ってもらえるのは、素敵なことではないでしょうか。
残された家族も、毎年明るい気持ちでお墓参りに行くことができるのは嬉しいでしょう。
家族みんなが、年に一回楽しく集まるきっかけを、あなたが作るのです。
ほかの花よりも家族が気に入る可能性が高い
先に示した通り、桜は日本人に一番好まれている花ですから、ほかの花よりも家族が気に入る可能性が高くなります。
ほかの花の樹木葬はピンと来なくても、桜と聞けば「それ、いいね!」と思ってくれる家族は、多いのではないでしょうか。
木の寿命が長い
桜は木の寿命が長いため、枯れてしまってシンボルツリーとしての役目を果たさなくなるリスクが低いといえます。
ソメイヨシノの寿命は約60年とされていますが、
ヤマザクラであれば300年、エドヒガンであれば約500年が寿命とされています。
ずっと桜の木が見守っていてくれると思うと、安心できますね。
シンボルツリーが枯れてしまうと、残された家族は大変寂しい思いをするので、その面でも安心です。
桜の木ならではのメリットは、以上の4つです。では、デメリットはないのでしょうか。
次章で説明します。
桜の木で行う樹木葬のデメリット3つ
桜の木で行う樹木葬のデメリットは、以下の3つです。
デメリットポイント
- 埋蔵できる遺骨は多くても4体ほどまで
- 残された家族が来やすいとは限らない
- 春以外は見どころがあるとはいえない
順に説明します。
埋蔵できる遺骨は多くても4体ほどまで
桜の木で行う樹木葬は、専有面積が少ないため、埋蔵できる遺骨は多くても4体ほどまでです。
1人用、夫婦用、家族用と用意されているのが一般的ですが、家族用でも4体までということが多いのです。
これまで一般的なお墓に納めていた先祖の遺骨を移したいといった希望のある人は、注意が必要となります。
残された家族が来やすいとは限らない
樹木葬には公園型と里山型の2タイプがあり、
このうち里山型の樹木葬霊園は、残された家族が来やすいとは限りません。
里山型は、山林や里山の自然をそのまま活かして遺骨を埋葬するためです。
駅からのアクセスが良いとはいえず、道は舗装されておらず、トイレや休憩所といった設備のない場所も多いでしょう。
公園型の霊園は駅からのアクセスも良く、コンクリートで舗装整備され休憩所が完備されているのが一般的です。
しかし、とくに桜の木は大樹のため、公園型であっても都心の駅近に植樹するのはなかなか難しく、アクセス重視、家族のお参りのしやすさ重視でお墓を探している人は要注意です。
春以外は見どころがあるとはいえない
桜の木の樹木葬は、春一斉に花を咲かせるため、春以外は見どころがあるとはいえません。
もちろん、夏の生い茂った草や、秋の紅葉も見事なものですが、やはり桜の見どころといえば春です。
肝心のお彼岸やお盆は「あんまりお墓参りをする気になれない」と、家族が感じるかもしれません。
桜以外にも、四季折々の花を楽しめる樹木葬霊園を意識して探すのがいいでしょう。
桜の樹木葬のデメリットを知って、「桜以外の選択肢も知っておきたい」と感じた人もいるのではないでしょうか。
次章では、桜以外の選択肢についてご案内します。
桜以外の選択肢
樹木葬を行うとして、桜以外の選択肢には、次の3つがあります。
- ヤマツツジなどの低木
- くすのきなど大樹
- 自分で樹木を選ぶ
それぞれご案内します。
桜以外で人気があるのがヤマツツジなどの低木
桜以外で人気があるのが、ヤマツツジなどの低木です。
バラや、ハナミズキを使った例も見られます。
低木であれば、一区画に一本ずつ樹木を植えることができるので
自分だけのシンボルツリーを持ちたい人にはおすすめです。
くすのきを使った樹木葬もある
桜や低木に比べて少数派ですが、くすのきなど、大樹を使った樹木葬も見られます。
桜と同じように大きな木なので、周りを取り囲むように遺骨を埋葬する集合型がほとんどです。
植樹直後は細く、頼りない印象ですが、樹齢2000年を超えるくすのきもありますから、ずっと見守ってもらえる安心感があります。
自分で樹木を選べ、植樹できる霊園の例
自分で樹木を選べ、植樹できる霊園もあります。
樹木の種類は、ヤマツツジやシャクナゲ、ウメモドキなど低木が中心です。
実際にどんな樹木を選べるのか、霊園例をご紹介します。
長慶寺
千葉県御宿町にある長慶寺では、ロウバイ、カンボケ、レンギョウなど20種類の花木の中からシンボルツリーを選べます。
その他の花木についても、相談に応じています。
長慶寺
[所在地]千葉県夷隅郡御宿町美谷934-1
[価格帯]50万円 2体以上は1体につき埋葬料10万円
[HP]https://choukeiji.jimdo.com/
市原南霊園
千葉県市原市にある市原南霊園では、ドウダンツツジやムクゲ、ツバキなど
区画により4~10種類ほどの花木の中から、シンボルツリーを選べます。
植樹できる花木は1区画につき1本ですが、草花は自由に植えることができます。
市原南霊園
[所在地]千葉県市原市米原2083
[価格帯]45万円~70万円 2体以上は1体につき埋葬料10万円
[HP]https://ichiharaminami-reien.or.jp/
以上のように、樹木葬には、桜以外にも樹木の選択肢があります。
お気に入りの花木が植樹できるなら、魅力的ですよね。
また、他のお墓の形にも、樹木葬に似た選択肢があります。
次章でご案内しましょう。
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樹木葬に似た選択肢
樹木葬に似た選択肢として、以下のようなものが挙げられます。
- ガーデニング霊園
- 散骨
- 手元供養
順にご紹介します。
ガーデニング霊園
ガーデニング霊園は、まるでヨーロッパの庭苑のように、バラなど華やかな花木で溢れている霊園です。
たくさんの花に囲まれて眠りたいという希望の強い人にはおすすめです。
ただ、樹木をシンボルツリーとするわけではなく、墓石もしっかり建てるため、樹木葬より割高になることに注意しましょう。
散骨
自然に還りたいという願いの強い人には、散骨という選択肢もあります。
散骨は、粉骨した遺骨を海や山へ撒く行為で、お墓は作りません。
散骨業者による散骨の相場は、立ち合いのない委託散骨なら5万円から、立ち合いありであれば15万円ほどからとなります。
手元供養
手元供養とは、家で遺骨を供養することです。
手元供養用の美しい骨壺や、骨壺を内蔵できる仏壇などが売られています。
すでに愛する人の遺骨が手元にあり、毎日、美しい花を遺骨に捧げたいと願う人にはおすすめです。
以上のように、樹木葬以外にも、樹木葬に似たお墓の選択肢はあります。
「これぞ自分の探し求めていたものだ」と、ピンとくるものがあれば、さらに詳しく調べてみましょう。
まとめ
この記事では、桜で行う樹木葬について、実例や費用、申し込みの流れをご案内しました。
また、桜以外の選択肢や、樹木葬以外の選択肢についてもご紹介したので、
より自分の希望に沿った埋葬法が見つかったのではないでしょうか。
桜以外を検討してみて、「やっぱり桜がいい」と気づいた人もいることでしょう。
複数の霊園を見学し、理想のお墓を見つけ出しましょう。
監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
墓石のかわりに樹木を墓標とする樹木葬墓地が注目されるようになって、近年はさまざまなタイプの樹木葬墓地が開発&販売されています。霊園の中央一体が大きく樹木葬墓地エリアになっているものもあれば、霊園の隅っこに位置しているところもあります。納骨方法も、そのまま納骨、布などに納めて納骨、土に還る骨壺で納骨、土に還らない素材の骨壺で納骨などがあり、樹木葬といっても、一様に語れるものではありません。また、埋めた場所が明らかになっている場合と、「だいたいこのあたり」とアバウトなケースがあります。納骨する日も、立ち会い可とする場合と、「不定期なので立ち会い不可」とする場合があり要注意です。
シンボルツリーとして桜は好まれますが、咲く時期が限られているので、周囲に他の樹木を植えている樹木葬墓地もあります。