法事のお供え物は必要?適した品物や金額、マナーを分かりやすく解説

【法事 お供え物】アイキャッチ画像

「お供え物」とは、ごく簡単に言えば、「神様や仏様に捧げるもの」をいいます。
ただ、葬儀や追悼供養に使われる言葉としての「お供え物」は、「仏壇や故人、ご家族にお渡しするもの」という意味が強いといえます。

かつては物品として持っていくことの多かったこの「お供え物」ですが、現在は「現金」を持っていくことも多くなりました。

この記事ではこのような疑問の解消!

  • お供え物はそもそも持っていくべきかどうか
  • 金額の目安はどれくらい? サイトによってお供え物の金額に差があるのはなぜ?
  • お供え物として持っていってはいけないものは? 渡すときのマナーは?

などについて、どこよりも詳しく解説していきます。

特に記載しないかぎりは、仏式でお見送りをし、仏式で追悼供養を行うことを想定しています。

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この記事の目次

  1. 法事に供え物は必要?判断の仕方や迷った時の対応
  2. 法事のお供えには「品物」と「現金」がある
  3. 法事のお供え物の金額目安は3,000円(物品のみ)~4万円(お金を含む)
  4. 法事のお供え物に適した品物・タブーな品物
  5. 法事のお供え物の「掛け紙」「表書き」マナーについて
  6. 法事当日にお供え物をお渡し・お供えするタイミングと方法
  7. 法事が終わった後の「お供え物」の取り扱い
  8. まとめ
  9. 監修者コメント

法事に供え物は必要?判断の仕方や迷った時の対応

御仏前の熨斗のお菓子

「お供え物」は、「絶対に持っていかなければならない」という性質のものではありません。このため、持っていかない=マナー違反とはいえません。実際に、お供え物を持参せずに法事に参加される人も多くいます。

ただ、お供え物は持っていった方がより丁寧でしょう。お供え物は、仏壇や故人に捧げるものではありますが、いろいろと法事・法要の手配をしてくれ、場所を整え、故人の思い出話ができる環境を整えてくれたご家族へのお礼としての側面も持ちます。このため、「手土産」に代わるものとして、「お供え物」を用意する人も数多くみられます。

ケースによっては、「お供え物として頂いたものを、ほかの親族へのお土産に持たせる」「その場で開封してお茶請けに使う」というやり方を取ることもあるので、特段の事情がない限りは持参したスマートでしょう。

今回は、親族の法事に参列する場合と、親戚以外の法事に参列する場合で分けてご紹介します。

親戚の法事に参列する場合

親戚の法事に呼ばれた場合はお供え物を持っていくことをおすすめします。特にご自身が家庭持ち(お子さんがいてもいなくても)の場合で、ご家族と一緒に参列する場合は持っていった方がベターです。

ただ「親族のいずれの葬儀・法要であっても、だれも持っていかないのが一般的になっている」「慣習としてではなく、みんなで『そういうことはやめておきましょう』としている」「ご家族からお供え物辞退のご連絡があった」という場合は持参する必要はありません。

「持っていった方がいいかどうか迷っている」のならとりあえず持参しましょう。「持っていったこと」が問題視されることはほとんどないからです。
また親族同士で事前に話し合いができるのであれば、足並みをそろえるのも良いでしょう。

なお親族間の仲が非常に良い場合は事前に話をして、持っていくものが被らないように(Aさんは果物、Bさんは和菓子、Cさんは洋菓子、など)するケースもあります。

親戚ではないけれども法事に招かれて参列する場合

親戚ではなくても、基本的には法事に招かれたのであればお供え物を持っていった方が無難でしょう。これもまた、「お供え物を頂いて嫌な気持ちになる人はいない」という観点からです。

ただ、まだ若く学生の立場であれば、お供え物を持っていく必要はないとする説もあります。このあたりはなかなか判断が難しいところです。その場合は自分の親などに話して、判断を仰ぐとよいでしょう。

また親戚でない場合でも、事前に「お供え物やお土産は不要です」と遺族から聞いていた場合は、準備する必要はありません。

法事の回数によってお供え物を持参する・しないの傾向があるか

法事の回数によってお供え物を持参する・しないの傾向が変わるかどうかですが、これはなかなか一概に言い切ることはできません。

あくまで筆者の感覚的な話ではありますが、回数うんぬんよりも「ご家族の考え方」によるものが大きいと思います。ただし傾向としては、

  • 七周忌くらいまでなら持っていく人が多いように思われる
  • 五十周忌などの場合は持っていかない人も多くなっていくように思われる

といえます。

法事のお供えには「品物」と「現金」がある

「お供え物」という言葉には、2通りの意味があります。
1つは、「仏壇や故人、あるいはご家族に渡す『物品』そのもの」という意味です。
そしてもう1つは、「不祝儀袋に『供物料』などと書いて、その中に入れて渡すもの」という意味です。

1つめはあくまで「物品(お菓子や果物など)」を差し、2つめは「お渡しする現金(を含んだ金額)」を指すと考えてください。

物品を持っていく場合でも、物品にプラスして現金を持っていきます

法事のお供え物の金額目安は3,000円(物品のみ)~4万円(お金を含む)

お金のことを考える老人

「物品と現金は、どちらも『お供え物』と呼ばれることがある。ただし、分けて語られることもある」ということが分かったので、ここからはより具体的に「お供え物にふさわしい金額」について取り上げていきましょう。

その相場は、立場などによっても異なりますが、3,000円~4万円が相場だと言われていますまた、法事の後に食事をとる予定があるのかどうかによっても変わります。ここでは、ひとつの目安となる数字をお伝えします。

「品物」に限らず「お供え料」とすると高い金額になることがある

「物品としてのお供え物」の費用の相場は、3,000円~5,000円程度です。やや費用を抑えるのであれば、2,000円程度でもあまり問題になりません。上限も人によって異なり、なかには1万円を超えるものもありますが、基本的には高くても8,000円程度に収めるのが一般的です。

「現金としてのお供え物(供物料)」の場合は、物品としてのお供え物よりも相場が読みにくくなります。
金額には大きくばらつきがあり、「5,000円程度で良い」とされることもある一方で、「近しい関係であり、自分と縁が深い人ならば3万円程度を包む必要がある」とされることもあります。

また供物料の金額の多い・少ないは、以下のような傾向があります。

  • 法要後に食事がある場合は、法要のみのときよりも高い
  • 自分と(血縁的に)近しい立場にある人ほど、高くなる
  • 自分の年齢があがってくると、包むべき金額もあがる

なお、「供物料」と「香典」は別のものとしてとらえる説と、分けて考える説もあります。ただここでは、「法事のときに持っていくお金」という意味で使っています。

また、「お付き合いに応じて異なる」は、「以前自分がほかの人の執り行った出たときには1万円を包んだけれど、自分が執り行った法事のときには3,000円しか返ってこなかった……」などのような状況を避けるための考えだとする専門家もいます。
このあたりの考え方は、地域性や家族間で見解にも違いがみられるので、年長者に聞くのが無難です。

血縁関係にある場合は高い金額を渡す傾向にある

「現金としての『お供え物(供物料)』は、金額にばらつきが大きい」としました。

この「現金としてのお供え物(供物料)」は、自分自身と故人との関係によって相場が大きく異なります。

たとえば亡くなったのが自分の両親の場合、一周忌に包む金額の相場は1万円~3万円程度となります。「別所帯だが、まだ20代で稼ぎも多くない」という場合は1万円程度で構いませんが、自分が40代~ならば3万円程度の金額を包んだ方が良いと判断されることもあります。

逆に、「故人の友人。食事の席には出ない。弔意を示すために、線香だけあげさせてほしい」などの場合は、5,000円程度の供物料で構わないと考えられています。
※ただし、金額にはさまざまな考え方があります。

迷った場合は少し多めに包むことを意識してください。

※ここまでは「現金としてのお供え物(供物料)」のことも触れてきました。しかしこれ以降は、特段の表記がない限り、「お供え物=物品(果物やお菓子)」のことを指すと考えてください。

法事のお供え物に適した品物・タブーな品物

ここからは、法事のお供え物に適したものを取り上げます。

仏教においては、「ご仏飯」「花」「香」「灯明」「ご仏飯(ごぶっぱん)」「水」が重要視されます。これは「五供(ごくう)」と呼ばれるもので、仏壇に捧げる基本となるものです。

ただ、一般的に、「ご仏飯」というと、「仏壇に捧げる白米」を指すことが多いといえます。そのため、法事で持っていくお供え物としての「ご仏飯」の場合、白米ではなく、お菓子などが選ばれることになります。また、「水」も、毎日のお供えでは水もしくはお茶が用いられますが、お供え物として持っていく場合は「お酒」がよく選ばれます(なお、「水菓子」も「水」となじみ深いものといえるかもしれません)。

果物・お菓子 ~五供:ご仏飯~

果物やお菓子はお供え物の定番といえるものです。迷ったのならば果物やお菓子を持っていくとよいでしょう。

果物を持っていく場合は、季節の果物が喜ばれます。また土地の名産品(山形県ならばさくらんぼ、青森県ならばりんごなど)の果物を持っていくのも良いでしょう。果物は旬があるものですから、季節の移り変わりを故人に伝えることができるものであるともいわれています。

お菓子は日持ちのするものを選びます。洋菓子・和菓子のどちらかが良いというような縛りはなく、どちらを選んでも構いません。

和菓子ならば最中やようかんが喜ばれます。比較的歯が強い人が多いようならば、せんべいでもよいでしょう。
洋菓子ならば、焼き菓子が最適品です。クッキーやフィナンシェ、マドレーヌなどがおすすめです。いろいろな種類が入っている詰め合わせを選んでも構いません。

お菓子は個別包装のされているものを選ぶのが基本です。出しやすく配りやすいので重宝されます。

【注意】肉や魚といった殺生を連想されるものは避ける

お供えに食べ物を持っていく場合、肉や魚は避けましょう。「精進料理」という考え方があるように、仏教では本来殺生を禁じています。
肉や魚はこの「殺生」に通じるため、避けるべきです。「加工品ならば良いのではないか?」と考える人もいるかもしれませんが、加工品もNGです。

もし許可される場合があるとすれば、「故人が肉や魚を好んでいた。生前、自分が死んだらこれらをお供えしてほしいと言っていた」などの特殊なケースでしょう。ただこのような場合でも、参列者という立場ならば避けた方が安全です。

また、ニンニクやニラなどの、強い香りのする食べ物も避けます。これらも仏壇へのお供えとしてはふさわしくないからです。

花 ~五供:花~

「花」も、お菓子や果物と並んで、よく選ばれるお供え物のうちのひとつです。お菓子や果物にプラスして花を持っていくという人もいます。「供花(くげ・きょうか)」の考え方もあるように、花は、どんな宗教でも愛されるお供え物といえます。消費することも考えなくてよいのがメリットです。

仏教の花としては、菊がもっとも一般的で有名です。ただ、胡蝶蘭や百合などもよく選ばれます。基本的には白い花を選ぶ(菊は黄色もよく使われます)のが基本ですが、四十九日が過ぎた後の法要ならば多少色が入っているものでも構いません。

参列者として持っていく場合、花束で持っていくよりもアレンジメントの方が望ましいとされています。喪家でも花束を用意して仏壇にお供えしているため、新しく花瓶を用意しなければならない花束よりもアレンジメントの方が使いやすいからです。ただ、あまり神経質になりすぎる必要はありません。

【注意】トゲのある花は避ける・ただし故人が愛したものならばOK

花は、基本的にはトゲのあるものや香りが強すぎるもの、また色が鮮やかすぎるもの(真っ赤な花弁など)は避けます。この3要素を満たすものとして「真っ赤なばら」などがありますが、これはお供え物としてはふさわしくありません。このため、基本的には持っていくべきではありません。

ただ、花はとても個人の好みが大きいものです。故人がばらを愛していたり、ご家族から故人の好きだった花をお供えしたいと希望が寄せられたりした場合は、ばらなどを持っていっても構わないとされています。

「トゲのあるもの・香りが強すぎるもの・色が鮮やかすぎるものは避けるべき」というのはあくまで基本のマナーであって、「故人の気持ち(や好み)・ご家族のご意向」はそれよりも優先されるべきものだからです。

実際、法事だけでなく葬儀においても、「故人が好きだったから」ということでばら祭壇を作るケースもあります。

線香 ~五供:香~

「お香(線香)」は、故人が召し上がる食べ物だと考える説があります。四十九日までの間、お香(線香)を食べて故人は旅をしていく……と考えるのです。

このため、「お香(線香)」はお供え物の最適品といえます。使ってしまえばなくなる消耗品でもありますし、仏事においてはほぼ確実に利用されるものである点もまた魅力です。お菓子と違って賞味期限もありません。

お供え物として持っていく場合は、スタンダードなものを選ぶこともあれば、少し珍しい香りのものを選ぶこともあるといわれています。ただ、「どちらにしようか迷っている」ということであれば、スタンダードな香りのものの方が無難でしょう。珍しい香りのものはどうしても好き嫌いがありますし、人によっては「華やかすぎる」と感じることもあるからです。

ロウソク ~五供:灯明~

「ロウソク」は、「灯明(とうみょう。神さまや仏さまに捧げるともしびのこと)」に通じるものです。故人の冥福を祈るためのものでもあるため、法事のときに持っていくお供え物としてふさわしいといえます

ただ、ロウソクやお香(線香)は、「香典」という言葉が象徴する通り、現在では「現金」でお出しするものともなりつつあります。そのため、あくまで筆者の体験談ではありますが、お供え物として、ロウソクやお香(線香)の現物を持参してくる人の数はそう多くはありませんでした。「現金としてのお供え物」+お菓子・果物の組み合わせが多かったように思われます。

もちろん、ロウソクやお香(線香)はお供え物(物品)の基本となるものです。そのためロウソクやお香(線香)の現物をお供え物として持っていってもまったく問題はありませんが、一応留意してください。

飲み物 ~五供:水~

お供え物として、よく「飲み物」が捧げられます。一般的にはお茶やお水をお供えすることになりますが、「お供え物」として持っていく場合に、水やお茶が選ばれることはほとんどありません。お供え物として飲料を持っていく場合は、日本酒が基本となります。

ただ、故人がビール好きだったのであれば、それらを持参してもよいでしょう。もっとも、「お酒」は宗派やご家族のご意向、地域性がよくあらわれるものでもありますから、「葬儀のときにもお酒は見たことがない」「ご家族がお酒をあまり飲まない(あるいは良く思っていない)ようだ」といった不安要素があるのならば、ほかのものを選んだ方がよいでしょう。

なお今回は仏式の法要を基本としています。仏式や神式では「お酒は場を清めるもの」として受け取られることが多いものですが、キリスト教の葬儀や追悼儀式ではお酒は出されないのが普通です。キリスト教の場合は少し注意をしてください。

なお、お花やお菓子・果物類は、宗教を問わず、よくお供え物として出されます。このあたりは、葬儀のときと同じだといえます。

【注意】4(死)9(苦)といった個数は避ける

なお、お酒に限ったことではなく、お供え物全般について言えることですが、お供え物の数としては、「4」や「9」のつくもの及び個数は避けます。これは、「4(死)」「9(苦しむ)」に繋がるからです。葬儀のときに忌み言葉を避けることと、理屈は同じです。

「呼ばれている親族の数が9人である」ということであれば、18個入りもしくは27個入りなどにして調整をすると良いでしょう。また、花やロウソク、お香(線香)などは区切りの良い数字で選ぶようにするのもおすすめです。

次の項目からは、お供え物の「掛け紙」「表書き」について取り上げます。

法事のお供え物の「掛け紙」「表書き」マナーについて

香典袋を差し出す両手

ここからは、法事のお供え物の掛け紙や表書きのマナーについてみていきます。
葬儀のときに持参する不祝儀同様、お供え物の掛け紙や表書きにも、守るべきルールやマナーがあります。

なおこのマナーは、宗教ごとの違いや地域性、また何回忌法要かによって少しずつ異なってくるものです。ここでは、仏教を中心として紹介していきます。

掛け紙:無地・仏教の場合「蓮の花」が描かれているもの

お供え物につける掛け紙は、基本的には「無地で、かつ水引が印刷されているもの」を使うのが一般的です。
また、仏教の場合は、お釈迦様と関連の深い「蓮の花」を印刷した掛け紙を使うこともできます。蓮の花は仏教の花ですから、ほかの宗教ではこれを印刷した掛け紙は使うことができません。

ただ、地域やお店によっては、特に指定しなければ、蓮の花を印刷した掛け紙を巻いてくることもあります。このため、ほかの宗教を信じている場合は、最初に、「蓮の花が印刷されていない、無地の掛け紙にしてください」と伝えるようにしてください。

相手の宗教がわからない場合は、無地の掛け紙を選ぶのが正解です。

水引:白黒・双銀・黄色白・双白の結び切り

お供え物の水引の色は、地域によって異なります。東日本では黒白、西日本では黄白が多いとされています。ただこれも絶対的なものではありません。これ以外にも、双銀や双白、青色×白の水引を使うこともあるからです。このあたりは、「どれが正しい」といえるものではありません。

また、五十回忌などのように、「亡くなってから長い時間が経っている人の法事」のみ例外的に、赤と白の水引を使うことがあります。紅白の水引は基本的には慶事に使うものですが、「早くに大切な人(特に親)を亡くしたが、その愛によって立派に育つことができました」の意味が込められているといわれています。

水引の色には地域性による違いがありますが、水引の形は決まっています。お供え物に使われる水引の形は、「結び切り」です。結び切りは、「これっきりであること(結婚など)」に使われる結び方です。「繰り返してもよいこと」を表す蝶結びの水引は避けます(黒白の場合は、基本的には水引は結び切りになっています)。

水引の数は、5本です。なおお供え物の場合は、香典とは異なり、水引が印刷されているものを使うのが一般的です。お店に頼めば掛けてもらえます。

表書き:「御供」「御供物」

お供え物をお渡しする掛け紙には、表書きを入れる必要があります。水引に区切られた上半分に印刷するものです。

これにもいくつかのバリエーションがあるのですが、仏式の場合は、「御供」「御仏前(御佛前)」、あるいは「御供物」とするのがもっとも一般的です。
なお神式の場合も、「御供」「御供物」が使えます。これにプラスして、「奉納」「奉献」の言い回しをとることもできます。
キリスト教の場合は、そもそも祭壇にお供えをするという考え方が原則としてありません。ただし、花は供えます。このため、「御花料」などとするとよいでしょう。

水引で区切られた上部分には表書きを書きますが、下には差出人の名前を書きます。この場合は、フルネームが基本です。夫婦の場合は、「山田〇〇(夫の名前)」の横に、妻の名前を添えるのが一般的です。3人以上が連名で出す場合は、向かって右から、立場の上の人の名前を記していくことになります。これはどの宗教でも一緒です。

法要を行うタイミングや頻度は、ご家庭によって異なります。四十九日よりも前ならば、「悲しみで墨をすれない」といういわれを持つ「薄墨」で記します。それ以降の法要ならば、一般的な墨で記します。

法事当日にお供え物をお渡し・お供えするタイミングと方法

ポイントを示す女性

「法事の当日、いつお供え物をお渡しするか?」は、なかなか迷うところだと思います。これには決まったタイミングがあるわけではありませんし、正解があるわけでもありません。ただここでは、ごく一般的なタイミングとその渡し方について解説していきます。

「親族の場合」と「親族ではない場合」に分けて考えていきましょう。

親族でない場合、渡すタイミングと方法

親族ではない立場で法事に呼ばれ、お供え物をお供えする場合のマナーについて考えていきましょう。なおここでは、「法事に呼ばれるくらい親しい間柄」という立場だと想定してください。

渡すタイミングは「入口で施主に挨拶をするとき」

葬儀会場などで法事を営む場合、ホールにご家族がいることもあれば親族控室にいる場合もあります。また、自宅で行う場合もあるでしょう。

  • 葬儀会場で行う場合で、早くについた…葬儀会社のスタッフに聞けば、多くの場合親族控室に案内してくれます。もしくは、声を掛ければご家族に取り次いでくれます。
  • 自宅で行う場合…呼び鈴を鳴らせば、ご家族が出迎えてくれます。

葬儀会場で行う場合は親族控室に伺ったときに、自宅で行う場合はご家族が玄関に出迎えてくれたときにお供え物を渡すのが一般的でしょう。ただ、「故人の遺影やご親族・ご家族にしっかり挨拶をした後にお渡ししたい」「葬儀会場のホールにご家族がいらした」という場合は、少し落ち着いてからお渡ししても問題はないでしょう。

渡し方マナー

お供え物は、袋に入れて持っていくのが普通です。電車で現地に向かう場合はもちろん、自家用車で伺う場合でも、掛け紙が汚れないように袋に入れて持っていくのが一般的です(外の袋は、お店のロゴが入ったものや白無地のものがよく選ばれます)。

ご家族にお渡しする場合は、袋ごと渡すのではなく、袋から出してお渡しするのが基本です。ただ、果物(特にブドウなどのように、粒がとれやすいもの)に関しては少し調整が必要かもしれません。

お渡しするときは、法事に招いてくれたことのお礼を伝えます。このときのお礼は簡潔なものでよく、「本日はご丁寧なご案内をいただき、ありがとうございます。ご供養にご一緒させていただきます」「こちら、御仏前にお供えくださいませ」などのようにまとめましょう。言葉と一緒にお供え物をお渡しするとスマートです。

親族の場合、お供えするタイミングと方法

親族の立場でお供え物をお渡しする(あるいはお供えをする)場合のタイミングも、「親族以外の立場でお供え物をお渡しするとき」と同様、厳密な決まりがあるわけではありません。

親族といっても、「故人の子どもであり、喪主を務めるのは自分の兄姉」という場合はほとんど喪主と同じような立場で振る舞うことになるでしょう。また、逆に「非常に遠い親戚であり、故人とも喪主(喪家)ともほとんど関わりがない」という立場の場合は「親族以外の立場」のときとほとんど変わらない振る舞い方をすることが無難でしょう。

このように、「親族でも、喪主(故人)とどのような関わり方があったか」によって、お供え物をお渡しするタイミングも渡し方も多少変わってきます。

絶対的な「正解」があるわけではありませんが、「このような傾向が比較的よくみられる」というものを紹介します(ご家庭や、喪家との関わり方によっても多少変わります)。

お供えのタイミングは「法事が始まる前」

お供え物をお渡しするタイミングは、「法事が始まる前」が正解です。何度か述べている通り、お供え物の渡し方には厳密な決まりがあるわけではありません。ただ、「法事が終わってからお供え物をお渡しすること」はほぼなく、「会場に到着後、すぐにお供え物をお渡しする」というかたちがよくとられます。これは、お供え物が「お供え物」であるのと同時に、「手土産」としての性質も持っているからかもしれません。

渡す場所はさまざまです。玄関先でお渡しする場合もありますが、親族の場合はほぼ確実に親族控室(自宅の場合は親族が集まっている応接間など)に入ることになりますから、そこでお渡しすることもあります。また、仏間で法事を営む場合は、仏壇に軽く挨拶をした後にお供え物をご家族にお渡しすることもあります。

このあたりは、ご家族の状況をみてから判断するとよいでしょう。
「法事が始まる前に渡すこと」だけを把握しておけば問題ありません。

お供え仏前に直接お供えする

「故人は自分の親であり、喪主は自分の兄姉である」「故人や喪主(喪家)と非常に親しく付き合っている」という場合、かなり自由に振る舞うことができます。礼を欠いてはいけませんが、仏壇に手を合わせた後に喪主(喪家の家族)にお供え物を持ってきた旨を伝えながら直接仏壇にお供え物を置くこともあります。
気心が知れた相手の場合、この行動も見とがめられることはほとんどないでしょう。

ただこれは基本的には「喪主もしくは故人と非常に親しく付き合っていた関係」のときの話です。迷ったのならご家族にお渡しする方が良いでしょう。

このようなマナーは、「絶対に守らなければ失礼になるマナー」というわけではありません。ただ「どうすれば良いかわからない」と迷うのであれば、ひとつの指針とはなるでしょう。

次の項目からは、なかなか触れられることのない、「法事のときに持っていった・法事が終わった後のお供え物の処遇」について記載していきます。

法事が終わった後の「お供え物」の取り扱い

自分が喪主(喪家)側でお供え物を頂いたときに、そのお供え物をどうすればよいのか? と迷う場合もあるでしょう。
頂いたお供え物は、基本的には以下の3つのパターンのうちのいずれかの方法で利用することになります。

  1. その場(法事の場)で頂く
  2. 喪主(喪家)側が受け取り、喪主(喪家)側で適切に処理する
  3. 集まってくれた参列者に対して配る

「もらったものが何か」「家族・親族間の考え方」「地域性」「頂いたお供え物の数および参列した人の数」によって多少異なります。

また、これについても、「これだけが正解だ」というものはありません。同じ物を頂いても、喪主(喪家)側が処理することもあれば、人に配ることもあります。ただ、「傾向として、このように利用されることが多い」と知ることは、自分が喪主・喪家側になったときに役立つでしょう。

お供え物は基本的に持ち帰る

頂いたお供え物のなかで、「その場ですぐに使う(飾る)」という方法を選ばれるのは「花」です。頂いた花は、花束ならば花瓶にフラワーアレンジメントならば仏壇に置かれます。

また、お菓子類などもその場で開けてみんなで食べることがあります。喪家側でもお菓子を用意していることも多いのですが、1つの箱に入ったものを開いて食べながら故人の思い出話などに花を咲かせることもあるでしょう。果物も同じように、その場で食べられることもあります。
お菓子や果物は、量がなければ喪主(喪家)側で処理することもあります。

その一方で、「喪主(喪家)側が受け取り、喪主(喪家)側で適切に処理する」以外の処理方法がないものとして、「お金としてのお供え物(御供料)」があります。お金はその場で開封するものではありませんし、ましてや配るものでもありません。これは食事料などのようなかたちで、費用を出した喪主(喪家)側の手元に残ります。

参列者の方に持ち帰っていただくこともある

お供え物が豊富に寄せられた場合は、参列者の人に持って帰ってもらう場合もあります。また、親族間で「ほかのご家族に分けられる分の量を持っていくのが基本となっている」といったケースでは、参列者に持って帰ってもらうことが前提となります。

お供え物を持って帰ってもらう場合、法事のときにお渡しする手土産(引き出物)の袋の中に一緒に入れることもあります。ただ量が多い場合に備えて、無地の紙袋を用意しておくと安心です。

参列者に持って帰ってもらうことが多いものとしては、「果物」「お菓子」があります。また、「喪主(喪家)にはお酒を飲む人がいない」という場合は、非常に近しい家族を選んで持って帰ってもらうこともあります。

なお、これはあくまで体験談にすぎないため、「絶対にこんなことはしない」とまではいえませんが、お花は持って帰ってもらわないケースが多いようです(葬儀のときに出た花は持って帰ってもらうことも多い)。

お供え物、処理の早見表

その場で頂く・使う持って帰ってもらう喪主(喪家)側で処理
お菓子・果物△~〇
×〇(飾りっぱなし)
ロウソク・線香×
お酒×
お金(不祝儀)××

※比較的多いケースが〇、珍しいけれどもないわけではないのは△、まったくといってよいほどないのが×

まとめ

ここまで、「法事に持っていくお供え」について解説してきました。

  • 法事のお供え物の費用相場
    物品の場合は3,000円~5,000円程度が相場。それに加えて、不祝儀を持っていく。不祝儀の相場は、5,000円~10万円と幅広い。
    • 故人と関係が近かった
    • 自分の年齢が若すぎない
    • 食事もとる
    の3つの要点を満たすと、持っていく金額は高くなる。
  • 法事のお供えに適したもの
    • お菓子や果物
    • お香(線香)
    • ロウソク
    • お酒など
  • 法事のお供え物の掛け紙・水引・表書き
    掛け紙は、黒白もしくは双銀、あるいは黄白、双白の結び切りの水引が印刷されたものを使う。表書きは、「御供」「御供物」が一般的。
  • 渡すタイミング
    親族でも親族以外でも、法事が始まる前に渡す。ご家族にお声を掛けてお渡しするのが無難。
  • 法事の時に渡したお供え物と、法事が終わった後のお供え物の処理
    • お菓子や果物…その場で食べるか、配るか、喪家側が処理するかのいずれか
    • 花…その場で飾られるのが基本
    • お香(線香)とロウソク…後日、喪家側で使われるケースが比較的多い
    • お酒など…喪家側で飲まれることもあるが、全員が下戸の場合は近しい人に持って帰ってもらうこともある
    • お金…喪家側が受け取る

法事における「お供え物」は、なかなか明確な正解が出しにくいものでもあります。しかし、故人と喪主(喪家)側のことを考えて選ぶお供え物は、きっと彼らの心を慰めてくれることでしょう。

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監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

先祖や霊、神仏等に対して食物等を供える風習は、日本のみならず世界各地に存在しています。盆と正月だけは遠く離れた家族も一緒に過ごすべきという考えは、神仏や祖先をまつる行事として特別な日として考えられていたからでしょう。
盆と正月には日常とは違う食事を用意し、神仏や御霊にお供えするものとされています。たとえば暮れから正月にかけて「みたまの飯」というお供えをする習俗が宮城、新潟、群馬、茨城、埼玉、長野等の一部でみられます。年神様へお供えという意味のほかに、大晦日の晩に福を持ってくる神へのお供え、また祖先に対してのお供え、さまざまな言われがありますが、思いを供物という形で表現しているのは共通しているような気がします。

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