葬儀の世話役とはどんなもの?だれに頼むべきか、その役割とは

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「葬儀」のかたちは一つだけではありません。
「ある葬儀には見られたけれど、別の葬儀には見られなかった役割」も登場することもあります。

そのうちの一つが、「世話役」なのではないでしょうか。
世話役とは、葬儀の際に喪主をサポートして、葬儀全般の進行が円滑になるようにとりはからう役目をいいます。

今回は、この「世話役」について取り上げます。

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この記事の目次

  1. 葬儀の世話役は喪主をサポートする人
  2. 葬儀の世話役は身近な人に頼む
  3. 葬儀の世話役が行う仕事
  4. 世話役の代表以外が行うべき仕事
  5. 社葬における「世話役」について
  6. 世話役の人へのお礼をするタイミングと内容
  7. この記事のまとめ
  8. 監修者コメント

葬儀の世話役は喪主をサポートする人

「世話役」とは、簡単にいえば、「葬儀のときに、喪主をサポートして、葬儀全般を取り仕切る人」のことを指します。

葬儀は、決めなければ行わないこと、やらなければならないことがとてもたくさんあります。

  • 葬儀の規模を決める
  • 食事の内容を決める
  • 香典返しや供物・供花の手配をする
  • 遠方から来る人のためにホテルをとるのかどうかを検討する
  • 取る場合はその手配をだれがするのかを決める
  • 受付をだれに頼むかを考える
  • 僧侶への連絡はどうするのかなどを決める

ここで挙げたのはほんの一部であり、実際にはもっとたくさんのことを決めていかなければなりません。
また、食事をする場合は、席次なども決めていかなければなりませんし、参列してくださる方の接待も行わなければなりませんし、通夜や葬式・告別式での挨拶文も考えなければなりません。

葬儀に慣れている人は、決して多くはありません。
加えて、これらを決めるために確保できる時間は決して多くなく、一般的にはご逝去の翌日には通夜を、そしてその翌日には葬式・告別式が行われます。

心痛のなかでこれらのことを喪主だけで決めていくのは、とても大変です。
そこで登場するのが、「世話役」という役目です。

世話役というのは、さまざまなことを決めていかなければならない喪主をサポートします。
葬儀全体に関わる役目であり、喪主の負担を軽減する役割を担います。

「世話役がどこまで行うか」は葬儀ごとによって異なります。
場合によっては、葬儀会社とご遺族(喪主)の間を取り持ち、金銭面での交渉を行うことすらあります。

また、世話役が指揮をとって、会計係や設営係、受付係に仕事を頼むこともあります。
なお、会計係や設営係、受付係も、広い意味では「世話役」といえますが、ここではわかりやすくするために、「世話役=葬儀全体を取り仕切る代表者」という意味合いで使っていきます。

大きな葬儀の場合は、喪主や遺族だけでは手が回りきらないことも多くなってきます。
そのため、世話役を立てるケースもあります。

このような場合、世話役も1人ではなく、複数人任命されることもあります。
ただその場合でも、最終的な決定をする「代表者」を決めておいた方がよいでしょう。

なお、この「世話役」ですが、現在では「社葬以外のときには見たことがほとんどない」という声もあります。

あくまで推測にすぎませんが、家族葬などのように小規模な葬儀が増えたため、遺族だけで十分手が回りきるようになったことなどが関係しているのかもしれません。

また、葬儀会社に葬儀の手配を依頼することが非常に多くなったので、ご遺族やその周りの人に対して負担をかけない葬儀を行いやすくなったことも関係しているのかもしれません。

ただ、自分が頼まれたときのために、世話役の仕事をしっかりと学んでおくことは重要です。

葬儀の世話役は身近な人に頼む

「世話役を立てたい」と考えた場合は、だれに頼めばよいのでしょうか。

世話役をお願いする相手は、まずは「喪主や遺族の意見を伝えやすい、勤め先の人」「日ごろ親しくしてもらっている近所の方」が選択肢として挙がってきます。

勤め先の場合は同僚に頼むのが一番気安いかもしれませんが、上司や部下にお願いしても問題ありません。
また、近所の方に頼む場合は、町内会などで決められている人にお願いする必要がある場合もあります。

世話役をお願いする場合、「どのような立場の人に頼むか」も重要ですが、「人柄」も重要です。

世話役は、その名前の通り、周りの人や葬儀全般のお世話係です。
そのため、当然高いコミュニケーション能力が求められます。

また、世話役はあくまで「葬儀のお世話をし、喪主や遺族を助ける立場の人間」であるため、喪主や遺族の気持ちや意向をきちんと汲める人でなければなりません。葬儀は、世話役のものではなく、故人や喪主、ご遺族のものだからです。

また、さまざまな人に指示を飛ばす必要もあるため、統率能力も求められます。
葬儀は、100回あれば100通りのやり方があります。

また、葬儀会社や葬儀会場によってやり方も異なってきます。
そのため、「前に経験した葬儀とまったく違う葬儀」にぶつかり困惑することも珍しくありません。これは葬儀会社に勤めていた人間であっても同じです。

ただそれでも、「まったく葬儀の経験がない」「葬儀に対しての知識がまったくない」という人は世話役に適しません。ある程度葬儀の経験があり、葬儀についての相応の知識を持っている人を選ぶべきです。

なぜなら受付係や会計係、また参列者から、「この場合はどのように処理をしたらいいのか」「このようなことで困っているのだけれど、どうしたらいいのか」などと尋ねられることが非常に多いからです。

また、世話役でも判断できないこと、世話役が判断すべきではないことを尋ねられた場合は、葬儀会社のスタッフや喪主(ご遺族)に判断を仰げる柔軟さも求められます。

ちなみに、世話役を決めるのは喪主です。喪主の方から、世話役になってほしい人に丁寧にお願いしましょう。
「それ以外の受付係などの専任については、世話役にお任せする」という場合は、そのことについてもきちんとお願いするようにしてください。

葬儀の世話役が行う仕事

世話役がどのような仕事をするべきかは、葬儀ごとによって異なります。
ただここでは、世話役が行う可能性のある仕事全般について触れていきます。

なお、ここでは、以下の条件で行う葬儀を想定しています。
それ以外のケースの場合は、特記しています。

  • 葬儀会社を利用する
  • 葬儀の規模はとても大きいが、社葬ではない
  • 家族葬ではなく、一般葬である
  • 葬儀は仏式で行われる
  • 会場は葬儀会場の持っている会館
  • 火葬の後は一度会館に戻り、繰り上げ初七日法要と繰り上げ精進落としを行う

葬儀前

  1. 葬儀会社との打ち合わせに立ちあい、規模を決めていく
  2. 必要な場合は道路使用許可の申請を行う
  3. 供花や供物の手続き
  4. 弔辞の読み上げを希望する場合は、お願いする人を選定する
  5. 必要な場合は進行の打ち合わせを行う
  6. 必要な場合は会葬礼状の手配を行う

1.葬儀会社との打ち合わせに立ちあい、規模を決めていく

最初に、「葬儀の規模」を決める打ち合わせを行います。
このときにも世話役が参加します。
打ち合わせは、「通夜について」「葬儀について」「火葬について」「その後の精進落とし(現在は葬式・告別式の日に初七日法要と精進落としを繰り上げで行うケースがとても多いといえます)」についてなどの多岐に及びます。精進落としの席の席次などについても取り決めが必要です。

以下でも、特に記していないことでも、小さな打ち合わせなどは段階に応じてしていく必要があります。

2.必要な場合は道路使用許可の申請を行う

道路使用許可は、道路を本来の目的以外で使うときに必要となるものです。
自宅葬儀などの場合、どうしても道路に人が広がるなどしてしまうケースもあるので、これをとる必要があります。近くの警察署で出してもらうことができます。

もっとも、現在は道路使用許可の申請を必要とするケースはほとんどないでしょう。
自宅葬儀を行うケースも少ないですし、場合によっては葬儀会社で相談にのってもらうこともできるからです。
当然のことながら、葬儀会館などで葬儀を行う場合は、道路使用許可は必要ありません。

3.供花や供物の手続き

供花や供物を希望する場合も、世話役がその手配をすることがあります。
親族などからという木札を立てて出すことになる供花や供物は、喪家側が一括して依頼するという場合も多いからです。
なお、ほかの参列者からの供花や供物を受け取るのかどうかも、喪主に確認しておきましょう。

4.弔辞の読み上げを希望する場合は、お願いする人を選定する

弔辞の読み上げを希望する場合は、お願いする人を選定し、連絡します。
弔辞は、お願いする人に「準備」を要求するものでもありますから、できるだけ早めにお願いするようにしてください。また、断られた時のことを考えて、少し多めの人数をピックアップしておくようにします。

5.必要な場合は進行の打ち合わせを行う

必要に応じて、僧侶や遺族と、進行についての打ち合わせを行います。
ただ、僧侶の方は慣れていますから、一般的な葬儀の場合は葬儀のスケジュールを決めるための打ち合わせは必要になっても、葬儀の進行自体の打ち合わせは必要としないこともあります。

遺族や喪主、故人の希望で「このようにしてほしい」「特別な希望がある」という場合は、しっかり相談をしましょう。

6.必要な場合は会葬礼状の手配を行う

必要に応じて、会葬礼状の手配を行います。
香典返しも即日返しとして受付でお渡しするかたちをとることが多くなった今、会葬礼状もこのタイミングで渡してしまう葬儀もよく見られるようになりました。

そのため、基本的には葬儀会社が手配してくれるので、「世話役が会葬礼状の手配をしていなかったから、会葬礼状がない」などのようになるケースはそれほど多くはないかと思います(確認はしてください)。

ただ、「オリジナルの文面の会葬礼状を作りたい」などのように特別な希望がある場合は、やはり打ち合わせが必要になってきます。

葬儀中

通夜~葬儀のときに世話役がやらなければならないことについても見ていきましょう。

  <通夜が終わるまで>

  1. 僧侶に挨拶をする
  2. 通夜の開始や通夜ぶるまいの開始を告げる挨拶を行う
  3. 必要に応じて翌日の葬式・告別式の軽い打ち合わせを行う

    <葬式・告別式>
  4. 僧侶などに挨拶
  5. 火葬場に同行する参列者の確認を行う
  6. 式前必要に応じて式中に挨拶を行う
  7. 火葬場に行く人を誘導する

<通夜が終わるまで>

1.僧侶に挨拶をする

僧侶に挨拶に伺います。
侶は多くの場合、葬儀会場の一室に設けられた「ご僧侶様(寺院)控え室」にいます。もちろん、喪主からも挨拶をします。

2.通夜の開始や通夜ぶるまいの開始を告げる挨拶を行う

通夜の開始や、通夜ぶるまいの案内を行います。
ただ、葬儀会社を使う場合はこのような挨拶は葬儀会社のスタッフが担当するのが一般的です。
また、葬儀会社のスタッフが行わない場合でも、喪主が行うこと(特に通夜ぶるまいの案内は、「喪主の挨拶」に続いて行われるケースがしばしばみられます)もあります。

3.必要に応じて翌日の葬式・告別式の軽い打ち合わせを行う

必要に応じて、翌日の葬式・告別式の打ち合わせを行います。
ただこの段階ならばすでに段取りは決まっていることが多いため、忘れていたこと・希望したいことを今思いついた……などのような場合以外は、簡単に流れなどを確認するだけに留まることが多いのではないでしょうか。

<葬式・告別式>

4.僧侶に挨拶をする

通夜のときと同じです

5.火葬場に同行する参列者の確認を行う

火葬場に同行する人の確認を行います。お顔も確認しておきましょう。
全員が来ているかなどをチェックします。
事前に、親戚関係などをまとめたメモを喪主からもらっておくと安心です。
火葬場には、特殊な例を除き、事前に打診があった人だけが付き添うことになります。

6.式前、必要に応じて式中に挨拶を行う

参列者に対して挨拶や誘導を行います。
また、式の最中に、世話役(代表)として挨拶することを求められることもあります。

7.火葬場に行く人を誘導する

火葬場に行く人を誘導します。
遺族は霊柩車に、親族はマイクロバスなどで移動するケースが比較的多いでしょう。
なお、世話役も当然同行します。

葬儀後

葬式・告別式が終わった後に世話役がやらなければならないことについて解説していきます。
主に、「火葬場に行って、そこから戻ってきた後にとるべき行動・果たすべき役割」を解説しています。

  1. 必要に応じて、火葬許可証~埋葬許可書の授受を行う
  2. 収骨に立ち会う
  3. 必要に応じて、精進落としの席の案内などを行う

1.必要に応じて、火葬許可証~埋葬許可証の授受を行う

火葬許可証がなければ火葬することができませんし、埋葬許可証がなければお骨を納めることができません。ただ、これらも葬儀会社のスタッフや火葬場のスタッフ主導で授受が行われることが多いかと思われます。

なお、火葬場で、火葬場のスタッフや案内をしてくれた運転手に心づけを渡すのも世話役の役目だとされています。しかし公営の火葬場の場合、「心づけは受け取ってはならない」としていることが大半であるため、心づけを渡そうとしても断られることでしょう。

場合によっては、受け取った相手が処罰対象となることすらあります。
また、運転手に渡そうとしても、葬儀会社と契約を結んでいる運転手などの場合は、会社の指導によって、心づけをお断りすることもとても多いといえます。
昔と今では、状況が大きく変わってきていることをまずは知っておきましょう。

2.収骨に立ち会う

収骨に立ち会います。収骨は、故人との関係が深かった人から行っていきます。

3.必要に応じて、精進落としの席の案内などを行う

火葬が終わり、会館に戻ってきたら、繰り上げ初七日法要と繰り上げ精進落としが行われます。
精進落としは席次が決まっていますが、必要に応じて案内をして差し上げるとよいでしょう。
なお、精進落としの席次では、僧侶に次ぐ上座に座ることになります。僧侶の両脇の席に座るのがしきたりです。なお、喪主は一番末席に座ります。世話役だから……と上座を固辞することはやめ、素直に座るようにしましょう。

世話役の代表以外が行うべき仕事

ここでは「世話役=葬儀の全体をとりしきり、喪主や遺族を助ける人」という意味で解説していきました。
しかし、広義の意味での「世話役」は、受付の人や会計係、台所係なども含みます。
簡単ではありますが、彼らのやるべき仕事についても紹介していきます。

会計・受付係

もっとも重要な仕事のうちの一つです。
不祝儀を受け取り、即日返しの場合は香典返しもお返しします。
大規模な葬儀の場合は複数人で行い、芳名帳をパソコンなどに移して管理しやすいようにすることもあります。
会計係の場合はお金を扱うことになりますから、身内が担当することもあります。

なお、かつては会計・受付係が、急な出費などのお金をお支払したり、テントを用意したり、供花や供物の整理をしたりしていたと言われています。

しかし葬儀会社を介して葬儀を行う場合は、これらの作業のほとんどは葬儀会社が担当します。
出費に関しても、後払いなどができるようになっているため、基本的には「受付での不祝儀の受け取りと香典返しを渡す(即日返しの場合)こと、芳名帳の管理」が主な仕事となってくるでしょう。

ただ、非常によくいろいろなことを聞かれるポジションであるため、葬儀会社や喪主(遺族)との連絡は密にとっておきたいものです。また、筆記用具などは基本的には葬儀会社が用意してくれますが、自分たちでも少し持っておくと安心です。

台所を受け持つ人

葬儀には多くの人が参列します。
そのため、彼らにお出しする通夜ぶるまいの料理などを用意するのが台所係の役目でした。喪主や遺族にはそのような暇はありませんでしたし、昔はコンビニなどもなかったからです。

しかし現在は、この「台所係」の役割はほとんどなくなっています。
通夜ぶるまいの食事や精進落としの食事は、葬儀会社と提携している料理屋や仕出し屋に頼むことが基本となっており、特別なこだわりがない限りは自分たちで用意するようなことはありません。

また、後片付けなども葬儀会社のスタッフなどが担当してくれることが大半です。少し残ったものなどは、遺族や親族が片付けるケースが多いと思われます。

ロビーなどでコーヒーを振る舞う場合も、葬儀会社のスタッフがいれば彼らが対応してくれるケースが多いかと思われます。

ただ、簡単なお茶出しが必要になったり、ちょっとつまめるようなお菓子を用意したりする可能性はあります。

「自宅葬だ」
「葬儀会社を介さない」
「親族のなかに料理人がいて、彼がほとんどの料理を作るのでその手助けをしてほしい」

などのような特別な状況でないのであれば、人員を割かないもしくは1~2人程度で事足りるかと思われます。

それ以外の役割について

葬儀会社を介して行う葬儀の場合は、駐車場の誘導なども基本的には葬儀会社のスタッフが行ってくれます。
また、現在の葬儀会館の場合は靴のまま入ることができるところが大半であるため、いわゆる「下足番」も必要ありません。

ただ、
「非常に大規模な葬儀になるため、駐車場が足りなくなる」
「自宅で葬儀を行う」
「葬儀会社は使わない」
などのような場合は、下足番や交通誘導員が必要になってくる可能性も0ではありません。

社葬における「世話役」について

現在は、一般的な葬儀の場合は「世話役」を特にお願いしないこともよくあります。
大きな葬儀の場合は世話役を立てることもありますが、小規模な場合は葬儀スタッフや遺族・親族で十分事足りることが多いからです。

しかし、「社葬」の場合は意味合いがまったく異なってきます。

社葬とは、その会社の設立・発展に尽力した人や名誉ある役職についていた人、仕事中の事故などで殉職した人の功績をたたえて行われるものです。
会社側が施主となって行うのが一般的であり、大規模な葬儀となります。

非常に多くの人が参列することになる公的な性格の極めて高い葬儀であるため、故人の配偶者(一般的な葬儀の場合においては、「喪主」の立場になることの多い人)や遺族だけでは対応が難しくなります。

このような社葬の場合は、確実に「世話役」が立てられることになります。ただし、ここでいう「世話役」は、一般葬における世話役とは少し異なった性格を持ちます。

一般葬の場合は、世話役とは、あくまで「喪主のお手伝いをし、サポートをする役目」にすぎません。しかし社葬の場合は、喪主(施主)となるのが、会社組織です。
世話役も会社組織のなかから選ばれて行うため、社葬における世話役は、「喪主」の役目も担うことになります。

このため、社葬における世話役の権限ややるべき仕事は、一般葬の場合の世話役よりもずっと重くなりますし、仕事も増えます。また、この場合は、「世話役」という名称ではなく、「葬儀委員長(代表者)」と呼ばれることが多いかと思われます。

人を選ぶ基準にも違いがみられます。
一般的な葬儀の場合は、「遺族との関わりが深い人」「コミュニケーション能力が高い人」「知識がある人」が選ばれます。これらは社葬における葬儀委員長の選出基準にもなりますが、社葬の場合は、ある程度立場のある人が務めることも多い役目です。

たとえば、社長自らが葬儀委員長を務めることもあります。
社会的地位のある人にお願いをするという場合は、会社外から選ばれることもあります。

もちろん、立場がそれほど高くはない人であっても、故人と極めて親しかった間柄ならば選ばれることもありますが、一般的な葬儀とは選出条件がまったく異なってくるのです。場合によっては、株主などの意見が反映されることもあります。

もっとも、葬儀委員長自身だけで葬儀を組み立てていくわけではありません。
実務部分を担うのは、葬儀実行委員に任命された人であることも多いでしょう。総務部の部長などから選ばれることが多く、社葬を滞りなく遂行する役目を担います。

どの程度の規模になるのかなどの、葬儀の根幹からを決めていく立場になるため、非常に責任が重いのが特徴です。
社葬という特性上失敗も許されませんから、もし自分が社葬の世話役に選ばれた場合はしっかりと勉強をして臨まなければなりません。

世話役の人へのお礼をするタイミングと内容

世話役をしてくれた人に対しては、喪主から御礼をする必要があります。

「世話役にどこまで御礼をするか」については判断が分かれるところではありますが、世話役というのはなかなか大変ですし、気苦労の多いものです。
また、多く包まれたことに対して文句を言う人はいませんし、故人と親しく付きあっていたりお世話になったりしたりした人でもあります。

御礼をすべきかどうか迷ったのであればした方が良いですし、いくらお渡しするかを迷ったのであれば多めの金額をお渡しした方が良いでしょう。

世話役の代表を務めてくれた人には、10,000円~30,000円をお包みします。世話役を複数人にお願いした場合は、代表者以外は5,000円~10,000円程度を包むと良いとされています。
また、それ以外にもこまごまとしたお手伝いをしてくれた人にも、多少お金を包んだ方が良いこともあります。

ただ、葬儀の「常識」というのは、地域によって異なります。現金でお渡しするべきではないと考える地域もあるので、このあたりは葬儀会社に尋ねことをおすすめします。

なお、現金でお渡しする場合は、「志」もしくは「御礼」と書いた封筒を用意します。白無地の封筒がよく選ばれますが、黄色と白の水引が選ばれることもあります。なお、水引は結び切りのものとします。葬儀の世話役であっても、黒白の水引ではない点には注意してください。

御礼は初七日を過ぎるまでに行うのが基本です。

この記事のまとめ

世話役というのは、葬儀全般のサポートをする役目をいいます。
「どこまでお手伝いをするか」「どこまで踏み込むか」は、葬儀や喪主の考え方によっても異なりますが、場合によっては金銭のとりまとめなどを行うこともあります。

葬儀が滞りなく進むように諸々の手配をしていく必要があるため、

  • 遺族や喪主、故人と親しい人
  • コミュニケーション能力が高い人
  • 指導力がある人
  • 知識がある人

に頼む必要があります。

打ち合わせに同席したり、挨拶をしたり、周りの人を誘導したりとさまざまな働き方をする世話役ですが、現在では世話役を立てないで行う葬儀も増えています。

現在は葬儀会社を介して行う葬儀が主流になっているため、かつては世話役がしていた仕事も葬儀会社のスタッフが行ってくれるからです(ただし、不祝儀のとりまとめなどは、お金を扱うことになるので、葬儀会社のスタッフは原則として行いません)。

また、仕出し屋などが料理を出してくれるかたちが主流になってきているので、台所係も重要ではなくなってきました。

ただ、世話役が立てられる葬儀というのは、ある程度大規模なものが多いといえます。そのため、失敗しないためにしっかりと知識をつけておくことは重要です。

なお、社葬の場合はまたまったく異なる意味合いを持ってきます。
社葬の場合は会社が主体となって行ううえ、多くの人の参列が予想されますから、世話役(葬儀委員長や葬儀実行委員)が持つ権限や行う仕事は、ずっと多く、重くなります。社葬の場合は公的な性格が強いので、失敗も許されません。

世話役をお願いした人に対しては、後日御礼をした方がよいでしょう。
初七日が終わるまでにするのが基本です。「志」「御礼」と書いた掛け紙や封筒を選びます。封筒の場合は、無地もしくは黄白の結び切りの水引がついたものを選びます。

金額は、世話役の代表者ならば10,000円~30,000円程度です。
ただ、現金での御礼は失礼にあたると考える地域もあります。
どうすればよいかわからないのであれば、葬儀会社のスタッフに聞いてみるとよいでしょう。


監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

個人葬の場合、「世話役」と改めて役割を決めるケースは少なくなっています。
しかし最近、「喪主が高齢で役割を果たせない」等の理由で、喪主に代わって葬儀の段取りを決めていかなければならない役割の人は増えています。

例えば、子供のいない夫婦のどちらかが亡くなって、残された側が施設に入っているようなケースだと円滑に葬儀やその後の段取りを進めることができませんから、世話役を指定して進めていくことになります。

また喪主が認知症で後見人がついている場合、故人も喪主にも後見人がついている場合など、後見人が世話役として相当の業務をするケースも見受けられますので、今後世話役という立場は注目を集めることでしょう。
しかし喪主が葬儀の打ち合わせに参加できないことで、後に喪主から「こんなはずじゃなかった」と不満を漏らす声もしばしば聞かれます。

高齢だから、耳が遠いから、認知症だからといった理由で喪主をないがしろにして話を進めないようにしましょう。


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