葬儀の意味と現在の葬儀のかたちについて

葬儀の祭壇前で焼香をする人

「葬儀」は、人生の最後を締めくくる儀式です。
もちろんこの後にも法要などが行われることが多いのですが、それでも、「葬儀」が「大切な人」との最後の別れであることは間違いありません。

だれもが迎えることになる大切な人とのお別れ、そのときに行われることになる「葬儀」の意味について考えていきましょう。

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この記事の目次

  1. 葬儀の意味
  2. 人が亡くなってから行う儀式のそれぞれの意味
  3. 葬儀の一連の流れ
  4. 葬儀の費用相場とお金のかかる項目
  5. 参列者の規模と儀式に掛かる時間で変わる葬儀の形
  6. 一般葬を開かない場合に考えられるデメリット
  7. この記事のまとめ
  8. 監修者コメント

葬儀の意味

葬儀は、「亡くなった人を送り出すための儀式」をいいます。
死者を弔い、死者に敬意を払い、最後のお別れを行うための儀式なのです。

宗教によって死生観や葬儀の考え方は異なり、仏教では極楽(地獄)に行くとしています。
キリスト教では、善き人は神の元で永遠の安息を得ると考えます。

また、神道では先祖と一緒になって家を守る神様になるとしています。
宗派ごとによって違う考え方をしますが、おおむねこのような死生観を持っています。

どのような宗教であっても、また無宗教の葬儀であっても、「親しく付き合っていた大切な人を送り出すために行うこと」という点は同じです。

またこれは、単純に「亡くなった人のためだけに行うもの」ではなく、「遺された人が、亡くなった人との思い出と向き合い、その死を少しずつ受け入れていくための儀式」でもあります。

いわゆる「大往生」と呼ばれるものであっても喪失感は当然ありますし、突然の別れだとすればさらに辛い気持ちになるでしょう。

特に葬儀は、ご遺体の都合もあり、どんなに長くても1週間以内(通常は3日以内)でのお別れとなります。
このため、葬儀のときにはまだ茫然自失としており、涙も出ない……という人も多くいるものです。

しかし、そのような状態であっても、「きちんと送り出すことができた」という事実は、後々、悲しみが実感となって襲ってきたときに、心を支える手段となり得ます。
悔いのない葬儀には、遺された人がその後の人生をよりよく生きていけるようにという意味もあるのです。

人が亡くなってから行う儀式のそれぞれの意味

現在は、亡くなった人の送り方も多様化しています。
ただ、一般的なのは、「通夜を行い、葬式・告別式を行い、火葬を行う」というものでしょう。それぞれの儀式の意味について見ていきましょう。

なお、特段記載がない場合は、仏教式でのお見送りを想定しています。

通夜は故人のそばに夜通しいる儀式

通夜とは、夜通し故人の側にいることを指します。
今とは異なり、昔は「その人が本当に亡くなったかどうか」を確認するのは難しかったため、このような時間が設けられていました。

ちなみに、「火葬は死後24時間を経過してからではないと、原則として行ってはいけない」というのも、このような考え方に基づいているとされています。

ろうそくや線香を絶やさないようにして見守るのが基本です。
ろうそくや線香は魔除けのための道具として扱われており、また死臭などを紛らわす必要もあって通夜によく用いられていました。

なお、現在ではろうそくや線香は形式上のものとなりつつあるため、電気式のろうそくなどもよく用いられるようになりました。

半通夜とは現代の一般的な通夜のこと

「通夜は夜通し故人の側で過ごす儀式」というのが基本ではありますが、現在はこのような考え方・儀式の方法も変わってきています。

「半通夜(はんつや)」と呼ばれるものがあります。
これは、「夜通し行われるのではなく、日付がかわる前の段階、短い時間で参列者が辞する」というものであり、通夜よりも時間が短縮されているのが特徴でした。

かつては「通夜」と「半通夜」は明確に区別されていましたが、現在では「夜通し行う方の、元来の意味での通夜」はそれほどメジャーではなくなりました。

参加する人の負担が大きいこと、線香やろうそくなどの技術が発展して長くもつようになったこと、また火を使わないでも灯りをともし続けることができる電気式ろうそくが開発されたことなどから、、「夜通し行う通夜」の合理性が低くなったからだと思われます。

そのため、現在では、かつて半通夜と呼ばれていた「時間が短いもの」が「通夜」と呼ばれるようになりました。特に記載がないかぎり、「通夜とは(かつての)半通夜を指す」とされることが多くなっていったのです。

ここでも、特段の記載をしないかぎり、「通夜=かつて半通夜と呼ばれたもの」ということにしてお話していきます。

なお、通夜はもともと仏教や神式(神式の場合は特に「通夜祭」とも)の考え方でした。
キリスト教には、通夜の習慣はありません。しかし現在、日本に入ってきているキリスト教の場合は、日本の通夜文化と合わさるかたちで、通夜を行うことも多くなっています。

葬式・告別式は故人とのお別れの場

葬式・告別式は、故人とのお別れをするための時間です。
家族や親族、あるいは極めて親しい人などの場合は火葬場でもお別れの機会がありますが、一般弔問客の場合はこの葬式・告別式が最後のお別れの場面となります。

その後に会う故人は、写真であったり、遺骨であったりと、「肉体を持たない故人」になってしまいます。このため、非常に重要視されている儀式でもあります。

「葬式」と「告別式」の違いですが、「葬式とは、宗教的儀式も含むお別れの儀式」「告別式とは、宗教的な儀式を含まないもの」と解釈されることが多いといえます。

ただこれについては、明確な区分ができるものではありません。
葬式と葬儀については使い分けをしないところもありますし、葬式と告別式も明確に分けることは難しいため、専門家や専門サイトの間でも見解が分かれています。

特別な希望を出さない限り、仏教・キリスト教・神式のいずれの宗教であっても、「花を棺に入れる」という工程が挟まれます。

また、無宗教の葬儀であっても、棺を花で埋め尽くすのが基本のかたちです。
ただ、仏教の場合は焼香が、キリスト教の場合は献花が、神式の場合は玉串奉奠(たまぐしほうてん)が行われるなど、進行は宗教によって異なります(これらは通夜の場合でも行われます)。

葬式・告別式の後は出棺となります。
棺を霊柩車に乗せ、その霊柩車にご遺族(遺影や骨壺を持つ人。車のサイズによって乗れる人数には違いがあります)が同乗し、ご親族はマイクロバスなどで火葬場に移動します。

一般弔問客は手を合わせてその出棺を見守ります。
この後一般弔問客は解散します。

葬式・告別式は、特別の理由がない限り、通夜の翌日におこわなれます。
通夜や葬式・告別式は葬儀会社やご遺族の都合、あるいは火葬場の休みなどによって左右されますが、亡くなった翌日に通夜、そしてその次の日に葬式・告別式を行うのがもっとも一般的でしょう。

火葬の前に

火葬場につくと、「肉体を持つ故人との最後のお別れの儀式」が行われます。
火葬炉の前で僧侶による読経が行われ、焼香が行われるのが基本です。

棺の蓋を開けて(現在は顔だけが見えるように加工されている棺もあります)、故人との本当の最後のお別れをします。その後で、火葬をします。なお火葬炉のスイッチを押す役目は喪主が担当するケースもあるようですが、現在は火葬場の職員が押すのが基本のようです。

火葬は、すぐに終わるわけではありません。1~2時間ほどかかります。
その間は控え室で、お茶菓子などの軽食を取りながら待つのが普通です。

焼きあがったら火葬場の職員から案内がありますから、その案内に従い、収骨を行っていきます。
どこの部位から入れるか……は火葬場などによっても多少違いはあるようですが、最後には頭蓋骨で蓋をするのが一般的なかたちです。

この後には、会場に戻り、繰り上げ初七日法要と精進落としの食事をします。
初七日法要とは、「亡くなった人が、三途の川のところにたどり着くときに行われる法要」とされています。

仏教の考え方では、亡くなった方は四十九日間を掛けて旅をするとされています。
そのため、厳密には七日ごとに法要を行わなければなりません(ただし現在は、七日ごとに行うやり方はとらないご家庭も増えています)。

初七日はその四十九日のなかでも特に重要なものとされています。
かつては七日目に行われていましたが、現在の人は多忙であること、また遠方に住んでいる人も多いこと、何度も休みをとるのは難しいことなどから、火葬が終わったその日に「繰り上げ初七日法要」としてまとめて行う形式が増えています。

身内が亡くなったときは、「故人の旅が終わる四十九日まで、生臭類(魚や肉など)を食べない」とするのが仏教の基本的な考え方でした。この期間に振る舞われていたのが「精進料理」でした。

しかし現在では、四十九日が来るのを待たずに精進落としをするという考えが一般的になってきています。
そのため、繰り上げ初七日法要の後に、精進落としの食事がとられることも多くなってきました。

また、精進落とし自体も、「宗教的な儀式」だけでなく、「葬儀の労をねぎらうためのもの」という性格を持つようにもなりました。
加えて、現在では「通夜振る舞いの席でも、肉や魚を出す」とする地域・スタイル・ご遺族の考え方もあるため、昔ほど厳密な物ではなくなっています。

ライフドット推奨
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そのなかでも「お墓」は、一生に一度あるかないかの買い物ですね。

  • 自分のライフスタイルに合ったベストなお墓はどういうものなのか知りたい
  • お墓選びで複雑な手順を簡単に詳しく理解したい
  • お墓選びで注意するべきポイントを詳しく知りたい

など、数々の不安を抱えている方が多いのではないでしょうか。
お墓の購入に関しては、初めての方が多いため、不安や疑問を持つことは仕方のないことでしょう。
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葬儀の一連の流れ

葬儀の流れは、それぞれの葬儀によって異なります。
ただ、一般的な仏教の葬儀は以下のような流れを取ります。

逝去から通夜まで

1.病院などに葬儀会社がお迎えにくる

自分たちで故人をお連れすることも不可能ではありませんが、現実的には極めて厳しいといえます。
ご逝去後、葬儀会社に連絡し、故人を自宅にお連れします(葬儀会場に直接お連れする場合もあります)。

2.故人を安置する

北枕で寝かせます。枕飾りが行われます。

3.葬儀会社との打ち合わせ

葬儀会社と打ち合わせを行います。
いつ通夜を行うのか、喪主はだれが行うのか…などを決めていきます。
また、葬儀プランの大まかなところまでを決めます。
加えて、これに前後して、訃報を知らせる手続きを取ります。

通夜

1.受付が開始される

受付が開始されます。
このとき、ご遺族は早めに席につくように案内されますが、案内がされるまで受付付近や控え室でごあいさつをすることもあります。

2.式場への入場案内が開始される

葬儀会社のスタッフの案内で、式場へ入場するように促されます。

3.開式、僧侶が入場してくる

僧侶が入場してきます。
立って迎えるか座って迎えるかは葬儀会社によって異なりますが、案内に従えば問題ありません。

4.読経開始~焼香を行う

「どのタイミングで焼香を行うか」は、葬儀会社によって異なります。
ただ、読経の途中から焼香に立つ場合が多いでしょう。
焼香の順番は、ご遺族→ご親族→一般弔問客の順番です。

5.法話が行われる

焼香と読経が終わったタイミングで、僧侶の法話が始まります。
この「法話」は、仏教の死生観をわかりやすく説明するものであり、故人のエピソードなどが途中で差し挟まれることもあります。

6.僧侶が退場する

僧侶が退場します。
入場したときに起立して迎えたのならば起立した状態で、座った状態で迎えたのならば座った状態でお送りします。

7.喪主あいさつ~案内

喪主が、会葬のお礼を言うあいさつを行います
(まれに喪主ではない人間が担当するケースもあります)。
このあと、喪主もしくは葬儀会社のスタッフから、通夜振る舞いの案内や翌日の葬式・告別式の案内がなされることもあります。

8.通夜振る舞い

親族控え室などに食事とお酒がおいてあるので、そこに加わります。故人を偲んで行うものですから、一口は口をつけるようにしてください。ただ現在は、「車で来ているので」ということでお酒を辞するのは、失礼にはあたりません。

また、ご遺族・ご親族から「特に」と引き留められない限りは、ご負担にならないように、ある程度の時間で席を立つようにしてください。

葬式・告別式

葬式・告別式の流れは、基本的には通夜のそれと同じです。
違うところにだけ解説をしていきます。

  1. 受付が開始される
  2. 式場への入場案内が開始される
  3. 開式、僧侶が入場してくる
  4. 読経開始~焼香~弔電の紹介を行う
    弔電は、通夜では読まれず、葬式・告別式のときに読まれるのが普通です。焼香の前に弔電の紹介が行われるケースが多いようです。
  5. 法話が行われる
  6. 僧侶が退場する
  7. 喪主あいさつ~案内
  8. 出棺

葬儀会場を後にして、火葬場に行きます。かつてはご遺族・ご親族の男性がかつぎあげて霊柩車に運ぶのが一般的でしたが、現在はストレッチャーなどを利用するケースも多く見られます。

出棺までは葬儀・告別式の一連の流れのなかで行われるのが基本です。
そのため、火葬場に行かない一般参列者は、棺やご遺族を乗せた霊柩車及びご親族が乗った車(多くの場合バスです)を、合掌して見送るかたちになります。

なお、火葬場に行くのは、ご遺族・ご親族・僧侶のみが基本です。
ただ、ご遺族などから「参加してほしい」と言われた場合は、一緒に行くようにします。

火葬場での流れ

火葬場に到着した後の流れについて解説していきます。

1.最後のお別れをする

火葬場の炉の前で、最後のお別れをします。
僧侶が読経をするので、ご遺族・ご親族が焼香を行います。
これが、「生前の肉体を保っている故人との最後の別れ」の場となりますから、悔いのないようにお別れをしたいものです。

2.炉に火を入れる~控え室へ移動する

棺が入れられ、炉のスイッチが入れられます。
炉のスイッチは火葬場の職員が押すのが一般的ですが、喪主が押すケースもあるようです。
焼き上がりには1時間~2時間ほどかかるので、控え室に移動して軽い飲食を行います。

3.収骨をする

収骨は、「骨上げ」とも呼ばれます。
火葬が終わった後のお骨を骨壺に入れていくものです。
骨を入れる順番は、足から行い、頭蓋骨で蓋をするようにするのが基本ですが、地方などによって多少異なります。

また、収骨する際は、2人1組で箸を使って入れていきます。
なお余談ではありますが、食事のときに「1人が箸でつかんだものを、もう1人が箸でつかむ」という「箸渡し」がバッドマナーとされているのは、火葬のときにこのようなやり方をとるからです。

4.会場に戻り、初七日法要を行う

初七日法要は本来ならば亡くなって7日後にやる法要です。
しかし現在では、「繰り上げ初七日法要」ということで、火葬が行われたその日のうちに済ませてしまうかたちも一般化してきました。
「なかなか休みがとれない」「遠方からきている人も多いので」という配慮で、このようなやり方になったと考えられます。

5.精進落としの食事をとる

精進落としも、本来ならば四十九日が終わってから行われるものでした。
しかし現在は繰り上げ初七日法要の後に行われることも多くなりました。

また、地域やご遺族の考え方などによっては、通夜ぶるまいの席などでも肉や魚を使うこともあり、「宗教的儀式」であると同時に「労をねぎらうための場」という性格も持つようになっています。

なお、会場は、飲食スペースを持っている葬儀会場ならばそこで行われることが多いようです。ただ、ご遺族の希望、あるいはスペースの都合などがある場合は、ほかのお店などでとられることもあります。

6.解散する

喪主のあいさつののち、解散となります。
この際、ご親族には引き出物を渡すケースもよく見られます。
(精進落としの席の下に入れられていることもあります)

葬儀の費用相場とお金のかかる項目

葬儀の費用は、実にさまざまです。
現在は「お金をかけずに行うことのできる葬儀」も増えています。

「本当に信頼性のあるデータかどうか」の議論はされていますが、葬儀における平均費用として「200万円」という数字が出ています。

「母集団が少ない」などのようにいわれることもありますが、この金額はそれほど常識外れの金額ではありませんので、ここではこの数字を使って話を進めていきます。

200万円のうちの50パーセントは、「葬儀一式にかかる費用」です。
これは「祭壇料」などのように言われることもあります。
会場を借りたり、祭壇に飾る花を用意したり、交通費を計上したり……と、ほとんどの項目がここに含まれます。

残り100万円のうちの半分、50万円は宗教者へ渡す費用だと考えてください。
「寺院費用」「お布施」などのような言葉で呼ばれることもあります。

そして残りの50万円は、飲食費用です。
通夜ぶるまいで振る舞われる桶であったり、精進落としのときに食べられる御膳だったりが、ここに分類されます。

これは一つの目安となる数字です。そのため、実際の割合などは葬儀ごとに変わります。

なお、葬儀会社が出している「一式プラン」というのは、特別な断り書きがない限り、「葬儀一式にかかる費用」だけです。
このため、「20万円」などのように打ち出されていても、実際にはここに宗教者への渡す費用や飲食費が加わることになります。

なぜ一式プランしか提示しないのか、についてはさまざまな議論があります。「安いように見せかけているのだ」と思う人もいるでしょう。

しかし実際のところ、葬儀会社が明確に提示できるのは、葬儀一式にかかる費用だけだという現状があります。
宗教者へお渡しする費用については、ある程度の「相場・目安」はあるものの、あくまで「お心の問題です」という態をとっているため、明確に記せるものではありません(現在は一律30000円、などのようにしているところもありますが、少数派です)。

また、飲食費用も、何人くらいの人がくるのか、どのような料理にするのかで金額が異なってきます。
このため、「一式プラン」というかたちで計上することは極めて難しいわけです。

葬儀会社が提示する「一式プラン」は、実際には提示金額以上の料金になるのは当たり前です。
それを踏まえたうえで、見積もりを出してもらいましょう。
見積もりの段階で「○人を精進落としの席に呼ぶ」などのように明確に告げれば、飲食費用を含んだ見積もりが出てくるはずです。

なお、宗教者にお渡しする費用については、「お心の問題」とされてはいますが、目安は存在します。
わからなければ、葬儀会社のスタッフに聞いてください。
現在は葬儀会社のスタッフも、ある程度具体的な金額を提示するように教育されていることがほとんどです。

参列者の規模と儀式に掛かる時間で変わる葬儀の形

葬儀のかたちは、非常に多様化しています。

「参列者に来ていただいて、ある程度大きな会場で行い、通夜と葬式・告別式をやり、火葬後帰ってきて繰り上げ初七日法要を行い、その後に精進落としの食事をとる」というのが「一般葬」の基本です。

しかしそれ以外にも、さまざまな葬儀のかたちがあります。
今回は特に「規模」に注目して、ほかのかたちを紹介していきます。

親族や親しい知人だけで開く家族葬

現在、非常に人気を博しているのが「家族葬」です。
一般葬とは異なり、家族葬の場合は一般の参列者を原則として受け入れません。

訃報を入れるのは、職務上・手続き上必要なところ(忌引きを取得するために連絡しなければならない会社など)と、葬儀に参列してほしい人のところだけに限られます。

また、職務上・手続き上必要なところに訃報を入れる場合は、「葬儀は内々で行います」と伝えるようにします。このときに、香典や供花などの受け入れについても伝えておくとよいでしょう。

家族葬は、一部の特例(「非常に顔が広い人であったため、一般の葬儀ともなると1000人近くの人が訪れるかもしれない。

そのため、故人が希望していた友人100人程度にまで声を掛ける」など)を除き、一般の葬儀よりもずっと小さいものとなります。どこまで声を掛けるかは人それぞれであるため、50人ほどの人が集う家族葬もあれば、2~3人で送ることになる家族葬もあります。

特段の記載がない限り、「家族葬」は「通夜と葬式・告別式の両方を、小規模に行うもの」と考えておいてください。

すべての儀式を一日で行う一日葬

一日葬とは、通夜を行わずに、葬式・告別式のみを行うやり方です。
一日葬でも一般の参列者を受け入れるかたちにすることは不可能ではありませんが、一般的に「一日葬」というと「家族葬から通夜を抜いたもの」のようなかたちになることが多いようです。

宗教者が来る日も1日だけで済むため、家族葬よりも小さい葬儀になることが一般的です。
また、拘束される時間も少なくて済みます。

火葬のみを行う火葬式・直葬

一日葬の場合は、通夜はないものの、葬式・告別式はあります。
しかし火葬式(直葬とも呼ばれます)の場合は、葬式・告別式も行いません。
火葬だけを行います。
宗教者を呼んでお経をあげてもらうこともできますが、無宗教での送り出しとなることも多いのが特徴です。

無宗教での火葬式・直葬の場合、ほかの葬儀と比較しても「もっとも安い葬儀」になるのが基本です。
そのため、
「とにかく簡素にしてほしい、というのが故人の要望だった」
「血の繋がりこそあるが、もう50年ほども会っていない遠い人だ。直系家族もいないから、甥である自分が喪主となったが、近所の人よりも交流が薄い」
「喪主も非常に高齢であり、長い葬儀には対応できない」
などのような場合には、火葬式・直葬が選びやすいでしょう。

一般葬を開かない場合に考えられるデメリット

どれだけ簡素にお見送りをしたいと考えても、「納棺」「出棺」「火葬」「収骨」の手順は絶対に必要です。
また、一般の参列者を呼ばないかたちの葬儀にした場合、さまざまなデメリットが生じる可能性もあります。

現在は「安く済ませられる葬儀」が注目を浴びていますが、リスクがあることも把握しておくべきでしょう。

弔問客の対応に追われることがある

一般の参列者を受け入れないタイプの葬儀を選択した場合、その後で家に弔問客が訪れる可能性も高くなります。

これはとてもありがたいことなのですが、同時に、弔問する方も家族も時間を割く必要が出てきます。
また、「家族葬ということで、香典返しを用意していない」という場合は、また後で香典返しのことを考えなければならなくなります。

ちなみに、家族葬であっても、一般の弔問客の方が葬儀に訪れた場合は、受け入れるのが基本です。

納骨が断られる可能性がある

葬儀を無宗教で行った場合(特に火葬式・直葬)、菩提寺から埋葬を断られる可能性もあります。
このことも考慮しておかなければなりません。また、「寺院費用を節約するため、30,000円などでお経をあげてくれるところにお願いする」という場合も注意が必要です。

「どうしてもこの日でなければ葬儀が行えない。しかし菩提寺の住職はすでに予定が入っている」などのようなケースの場合はまだ理解が得られやすいでしょうが、そうではない場合は、後々でもめることにもなりかねません。

もっとも現在は、納骨堂などの、「お墓以外の納骨場所」の選択肢も豊富に存在しています。
このため、「菩提寺のお墓に入れること」にこだわりがないのであれば、「納骨場所がなくて困る」ということにはなりにくいでしょう。手元供養をしても構いません。

ただ、「やはり、先祖代々が眠る墓に入れてあげたい」ということならば、事前にしっかり菩提寺の住職と話し合うことが必要です。

周囲の理解を得られず、トラブルになることも

家族葬や一日葬、あるいは火葬式・直葬は、ご遺族や故人が決めた人にしか声を掛けずに行うものです。そのため、「最後のお別れをしたかったが、声が掛からず、お別れができなかった」という不満を抱く人も出てくるでしょう。

また、「簡素な式を挙げること自体」が、反対の理由となることもあります。
「最後くらいきちんと送ってほしいのに、喪主が料金を出し惜しみした」などのようなことが原因となって、根深い隔絶を生む可能性もゼロではありません。

無宗教の葬儀を選択した場合は特にこのような不満が出る可能性が高く、配慮が必要です。
必ず事前に家族・親族間で話し合いをして決めるようにしてください。

この記事のまとめ

葬儀は、亡くなった方を見送るための儀式であるのと同時に、遺された人が自分の気持ちを整理していくためのものでもあります。

  • かつては夜通し行われていた通夜が、今では数時間の儀式になった
  • 昔は七日目にやっていた初七日法要、四十九日のタイミングで行われていた四十九日法要が、火葬当日に繰り上げで行われるようになった
  • 家族葬や一日葬、直葬などの考え方が出てくるようになった
  • 精進落としも、「労をねぎらうためのもの」という性格を持つようになった

など、かつての葬儀の意味や解釈とは異なるやり方・考え方が出てきましたが、それでも、葬儀が「気持ちに整理をつけるために行うもの」であることには変わりありません。
納得のいく葬儀を行うためには、家族・親族で話し合いを持つことが重要です。

だれもが心が過敏になっているときに行われるのが「葬儀」ですから、「簡素な式にした」「自分は呼ばれなかった」「菩提寺に相談せずに無宗教の葬儀にした」などのようなことで、後々まで尾を引くトラブルが起きる可能性もあります。

葬儀には、平均で200万円という多額のお金がかかります。
金額面でも心情面でも納得のいく葬儀を行えるように、葬儀会社ともしっかり打ち合わせをしていきたいものですね。


監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

人類の弔いの歴史は、ネアンデルタール人の頃からだと言われています。ネアンデルタール人の遺骨の周りに花粉が発見されたことから、死を悼む感情がすでにあり、花を手向けたのではないかという説があるのです。

それが真実かどうかは別として、有史以来、人類は死に対して弔いの儀式を何かしらの形で世界中で行われていました。
それが今日まで脈々とカタチを変えながら引き継がれているのはそこに意味があるからなのだと思います。

日本でも、現在はほぼ100%近い火葬率を誇っていますが、昭和15年までは55.7%と半数ほどにすぎません。
今ではペットの火葬率も上がっていますので、弔いに対する意識の変化は、現代でも急速に変わっていることがうかがえます。


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  • 自分のライフスタイルに合ったベストなお墓はどういうものなのか知りたい
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