折本タイプの過去帳記事アイキャッチ

葬儀や仏具について調べているとき、
「名前は聞いたことはあるけれども、実際にはどのようなものなのかわからない」
「まったく聞いたことがない単語」がしばしば登場します。

今回はそのなかから、「過去帳(かこちょう)」について取り上げます。

普段仏壇の前で手を合わせている人にとっては身近なものかもしれません。しかし、過去帳が何なのかを知らない人のほうが多数いらっしゃるでしょう。

この記事では、先祖代々の名前が記された過去帳が持つ意味や用途について紹介しています。

過去帳とは、先祖代々の戒名や生没年月日を記した帳面

「過去帳(「過去帖」と記されることもある)」とは、仏具の一種です。

この過去帳には、先祖代々の俗名(生きているときに使っていた名前のこと。「○山○子」など)と戒名(仏様の弟子になったときに与えられるもの。かつては生前にも与えられていたし現在も生前に賜ることがあるが、現在では多くの場合亡くなったときに与えられる)、亡くなった年月日や亡くなった年齢などを書き記されています。

これをさかのぼれば、自分が実際に会ったことのないご先祖様のことがわかるようになっています。

過去帳は仏壇に片付けられているものであり、本のような形になっているのが基本です。
普段は目につかなくても、引き出しなどを空ければそこに入っていることが多いことでしょう。
ただ「仏具とセット」と書かれている仏壇を購入した場合でも、過去帳がセットになっているとは限りません。

そのため「過去帳もほしい」ということであれば購入前にといあわせるか、もしくは通販などで買い求めることを考えた方がよいでしょう。

過去帳が持つ意味

過去帳は、先祖代々の生死の記録が書きつけられたものです。
しかしこの過去帳が持つ本当の意味を知るためには、過去帳ができた由来を知らなければなりません。

今でこそ信教の自由が認められている日本ですが、かつては「仏教を信仰し、必ず菩提寺(ぼだいじ。先祖代々の墓があり、仏事などでお世話になる寺院)を持ち、その檀家となること」が義務付けられていました。
江戸時代にはこの考え方も精査されて、より効率的に、よりきちんと管理がなされるようになりました(古いものだと1600年代のものもあります)。

「この檀家には何人の家族がいて、そしていつ亡くなったか」を菩提寺が確認するために出てきたのが「過去帳」です。
これは現在の戸籍のような役目も担っており、長く使われてきました。菩提寺には檀家の過去帳が製作されて保管されていますし、檀家の方でもまた個別で過去帳を持っています。

過去帳の歴史をさかのぼれば400年程度の歴史がある……となるのですが、「どこの寺・どこの家でも必ず400年分の過去帳がある」というわけではありません。
実際には、2回の大戦や火事、地震などの災害で過去帳が失われてしまったケースもあります。
 

過去帳を使って自分のルーツを調べるときの注意点

「自分のルーツについて知りたい」
「せっかくなので家系図を作っておきたい」

と考える人もいるでしょう。そんなときに、過去帳は頼りになります。
たとえ紛失や焼失したとしても、「消失・紛失した後からの記録」は残っている可能性はあるからです。

ただ、個々の家庭で、完全なかたちで過去帳が残っているかと言われれば必ずしもそうともいえません。
現在は宗教と家の結びつきが薄くなったといわれていますから、「失くした記憶もないが、つけた記憶もない」という家庭もあるでしょう。

「自分の先祖について知りたい。しかし自分のところの過去帳は明治時代以降からしかない。寺院の過去帳は現存しているはずなので、それを見せてもらいたい」と考える人もいるかもしれません。
実際、菩提寺にお願いすれば、自分の家のルーツをたどることは可能です。寺院では過去帳をしっかり保存しているからです。

ただし、寺院に過去帳があっても、個人の立場でそれを直接見せてもらうことは叶いません。過去帳は、言ってみれば「個人情報の塊」です。「過去帳は戸籍のようなもの」としましたが、過去帳にはほかのご家庭の情報もたくさんつまっているのです。

このため、寺院の過去帳から情報を得るためには、寺院側が過去帳を確認して(なお寺院にある過去帳は「家庭ごと」に保管されているのではなく、「亡くなった日にち順」に記載されています)改めて紙に書き写していく以外の方法がありません。

ちなみに、この作業には膨大な時間がかかりますし、檀家側で保管している位牌や過去帳が必要になることもあります。すぐにできるものではありませんから、依頼したのならば気長に待ちましょう。

過去帳と宗教の関係

過去帳は仏具の一つではありますが、ほかの宗教でも似たような考え方の元で使われている宗教的な道具があります。

キリスト教は信徒籍台帳が代わりとなる

たとえば、キリスト教について見ていきましょう。
キリスト教の場合は、「信徒籍台帳(「信徒記録票」とも)」があります。これは住民票のようなものであり、「この人はここの教会に属していますよ」ということを表すためのものです。
信徒自身がこれを作成する必要はなく、教会側が作成してくれます。

日本でカトリック(伝統を重んじる傾向にある宗派。教会も豪奢で歴史を感じさせるものが多い)を信仰する場合、必ずどこかの教会に所属していなければなりません。
このあたりは、仏教の檀家制度に通じるものがあるかもしれません。

通常、教会で作成された信徒籍台帳はずっとそのまま保管されます。教会が取り計らってくれるものであるため、キリスト教の信者のなかでも、信徒籍台帳の存在を知らない人もいます。

ただ、なんらかの事情があって異動が必要になった場合は、「転出証明発行願い」「転出証明書」「転出信徒記録表送付願い」などを使って、新しい教会に転入するための手続きをしなければなりません。このあたりも、「住民票」に非常に似ているといえるでしょう。

神式の場合は過去帳を「霊簿」と呼ぶことがある

神式と仏式は「違う宗教」として扱うのが原則です。

しかしこの2つの宗教の歴史を紐解けば、一体化している考え方や風習も多く、完全に分けて考えるのは非常に難しいということがわかります。

それを示す言葉として「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」がありますし、実際日本の歴史においてはこの2つを明文化しない時代が非常に長く続いていました。このため、現在の冠婚葬祭のマナーや考え方、使われる道具などでも、共通している項目がたくさん見られます。

「過去帳」もまた、そんな「共通している項目」のうちのひとつです。
神式においても、過去帳にあたるものの存在が確認できます。ただし、神式の場合はこの過去帳を「霊簿(りょうぼ)」と呼ぶ場合もあります。

過去帳と霊簿の違い

霊簿と過去帳の解釈についてもう少し詳しく解説します。
「この2つは同じものである」とする考え方もあれば、「神式では霊簿、仏式では過去帳」とする考えもあれば、「過去帳は個人宅などで保管することを前提としたもの、霊簿は宗教施設(寺など)」に保管するものであり信者すべての記録をとったもの」とする考えもあります。

どれが間違っている・正しいということはありませんが、「過去を記すための物の呼び方」についても、このようなさまざまな解釈が出るのはなかなか興味深い話です。
なお、ここでは特に記さない限り、「過去帳=仏教を信仰する人の間で使われる、仏具のひとつ」という意味で使っていきます。

過去帳には製本形式の違う2種類がある

過去帳には、大きく分けて2つの種類があります。「製法」による違いであり、和綴じタイプ折本タイプに分けられています。

それぞれ解説していきましょう。

無地の和綴じ製本タイプ

過去帳 和綴じ

無地の紙を和綴じで綴じたタイプの過去帳です。
緑や赤色の表紙に金色の模様がちりばめられているものなどが多く、非常に豪奢です。
この和綴じ製本タイプのものは、主に寺院で使われています。

在家用で使われる折本タイプ

過去帳 折本

主に家庭で使われているのが「折本タイプ」の過去帳です。
折本とは、一枚の長い紙を蛇腹に折っていくことで完成させる帳面をいいます。
デザインはさまざまで、シンプルに1色だけでまとめたものもあれば、金襴のものもあります。
また、蒔絵で仕立てた過去帳もあります。
一般的に、折本タイプのものは和綴じタイプのものより安価であることが多く、購入しやすいのも大きなメリットです。

なお、「寺院では和綴じ製本タイプが、家庭では折本タイプがよく使われる」としましたが、これは「家庭では和綴じ製本タイプを使ってはいけない」ということとイコールではありません。
現在は「自分好みの過去帳を作りたい」と考え、オリジナルで和綴じの過去帳を作る人もいます。一生どころか子々孫々に至るまで引き継いでいくものですから、製本や紙のタイプにこだわって自分好みの過去帳を作るのもよいでしょう。

過去帳は仏壇の引き出しに保管する

過去帳は一部の宗派(浄土真宗)を除き、基本的には仏壇の中に片付けられていることが多いのです。
多くのご家庭で、仏壇の引き出し部分に入れてあることが多いと思われます。
普段はそのままにしておき、ご不幸事があったときは命日などに出すようにします。

さて、この「過去帳」ですが、「見台(けんだい)」とセットで用いられることが多いものです。見台とは、その名前の通り「見るために使うための台」を意味する言葉です。仏教用具として語られるときは、特に、「過去帳見台」とされることもあります。

見台にはL字型の台に足がついているものが多いといえます。L字の短編部分に過去帳を置けるようになっています。浄土真宗の場合は位牌を用いず過去帳に手を合わせるのが正式であるため、過去帳は閉じた状態でも置かれます。

しかしそれ以外の宗派の場合は、「先祖が亡くなった月命日(3月29日に亡くなった場合は、毎月の29日を指す。4月29日・5月29日など。

ただし、月命日ではなく、毎命日である3月29日だけでよいとする説もある)に、故人の名前が記されたページを開いて見台に置いておく」という使われ方をするのが一般的です。なお見台は仏像にかからないように注意してください。

過去帳と見台

過去帳にもたくさんの種類がありますが、見台にもさまざまな種類があります。黒と金で美しく仕立てられているものもありますが、赤色や茶色などもよく使われています。

漆で仕上げたものもありますが、ウォールナットなどで作られたものもあります。素材もさまざまで、足がついていないものも見られます。一目見ただけですぐに仏具だと分かる見台がある一方、非常にモダンで現代的な見台もあります。部屋全体のインテリアや仏壇、そして過去帳のデザインなども考慮して選ぶとよいでしょう。

過去帳と位牌の関係

「過去帳」は「仏具」のうちのひとつですが、同じように仏壇に置かれる「位牌」と非常に深い関係にあります。過去帳は「今まで亡くなってきた人のことを記す帳面」としての意味を持ちますが、位牌は「亡くなった人の魂が宿るものであり、個人の名前を彫りつけるもの」と考えられています。両方とも、「亡くなった人のことを記すもの」ではありますが、性質がまったく異なるのです。

この2つの関係について知る前には、まずは「位牌とは何か」から解説していかなければなりません。

位牌とは、亡くなった人の名前を記したものであり個人の魂が宿る

位牌とは、亡くなった人の名前を記した牌をいいます。
多くの場合、木材で作られておりその上から塗りを施して作られますが、現在ではさまざまな素材を用いた位牌を手に入れられるようになっています。
高級木材で作られており木目がそのまま出ている「唐木位牌」は有名ですが、クリスタル製の位牌などもあります。

位牌の表側には亡くなった人の戒名が彫られ、裏側には俗名が彫られます。
それ以外にも、亡くなった日や享年(きょうねん。亡くなった年齢)などが彫られることもあります。
位牌は当然個々人のためのものですから、作るまでには時間がかかります。このため、本位牌が届く前は、白木を使った位牌を使うことになります。本位牌は、四十九日までに用意されることが多いようです。

位牌には故人の魂が宿るとされています。そのため、供養の使う道具のなかでもっとも大切なものだと考えられています。位牌は1人につき1個あるものであり、江戸時代から徐々に庶民にも広がっていったといわれています。またこの「位牌文化の普及」には、過去帳同様、「人は必ず菩提寺を持たなければならない」という檀家制度が関わっているといわれています。

位牌には故人の魂が宿るが、過去帳は記録の意味が強い

位牌にしろ過去帳にしろ、「故人の記録をとどめるもの」という性質を持ちます。
位牌も過去帳も、故人の俗名と戒名を記しますし、亡くなった日や年齢を入れ込むのも同じです。しかしこの2つは、性質が大きく異なります。

位牌は「故人(個人)の魂が宿っているもの」「亡くなってしまった人そのもの」を意味するものです。
また、故人が「浮かばれますように」「無事に成仏できるように」と、残された家族が祈りを捧げる(追善供養・ついぜんくよう)ための依代(よりしろ。魂が宿る場所)としても位牌は使われています。

しかしながら過去帳は、あくまで「過去の記録」としての性質に留まります。過去帳はたしかに大切なものではありますが、位牌のように「故人」を感じさせるものではありません。過去帳は家系図的な意味を持つものであり、「魂が宿るもの」ではないのです。

位牌を飾らない浄土真宗では過去帳を仏壇に飾る

しかし、同じ仏教であっても宗派によって仏具や供養具に関する考え方は違います。
そのなかでも、「位牌」「過去帳」の考え方が大きく違っているのは「浄土真宗」です。

浄土真宗の場合、「即身成仏(そくしんじょうぶつ)」の考え方をとっています。
これは、「仏様を信じ、尊び、拝むと決めたのであれば、その時点でその人は仏になることができる」というものです。

つまり、遺族による追善供養は必要がないと考えるのです。加えて、故人はすぐに仏様になるのだから魂もなく、位牌に入れるものがないと考えるのです。

そのため、浄土真宗において位牌は必要ありませんし、原則として使いません。
ただ、「先祖の痕跡がなくなるのは辛い」と感じる人もいるでしょう。そのような気持ちに寄り添うものとして、過去帳や法名軸(ほうみょうじく。亡くなった人の名前や、亡くなった年月日を書く)があります。これを位牌の代わりにして仏壇に飾ってもよいとされています。

ただし、過去帳や法名軸はあくまで「記録」のためにあるものです。信仰やお祈りの対象となるものではありません。
浄土真宗における信仰の対象はあくまで仏様であって、過去帳や法名軸ではありません。
そのためこの2つを仏壇に置く場合も、本尊が隠れるようにして過去帳などを置いたり、並べて置いたりしてはいけないとされています。

なお、「浄土真宗では位牌を使わない」としましたが、現在では「基本的には置く必要のないものだが、絶対に置いてはいけないというものでもない」と考える僧侶もいます。
浄土真宗の場合は過去帳を位牌の代わりに使えばよいのですが、「どうしても位牌を置きたい」と考えるのであれば、菩提寺の住職などに相談してみるとよいでしょう。

【書くときに確認!】過去帳の書き方と表書き

過去帳は「記録をしていくためのもの」です。

そのため、多くの文字がおどることになります。過去帳の書き方と表書きについて解説していきます。

【書き手】過去帳は誰が書いても良い

家族が亡くなって過去帳に記入をする場合、「だれに頼んだらよいか」と迷う人もいるかもしれません。

実のところ、過去帳はだれが記入しても構わないものです。家族の手で書いてもなんの問題もありません。
故人との思い出を懐かしみながら筆をとるのも、ひとつの供養のあり方かもしれません。自分で書く場合は、墨がもっとも適しています。

ただ、過去帳に記入しなければならない項目として「戒名」などがあります。普段まったく書きなれていない漢字がでてくる(しかも非常に難解なものである可能性もある)ことがありますし、失敗もできない……ということで緊張する人も多いかと思われます。そのため、自分で書く自信がないのであれば、ほかの人に頼むのがよいでしょう。

過去帳の記載をお願いする場合、2通りの選択肢があります。

  1. 業者にお願いする方法
  2. お寺に依頼する方法

それぞれについて、詳しく紹介します。

業者に頼む場合

「過去帳を注文してくれれば、2霊まではうちで抱えている職人に書かせて送らせる」としているところや、「定額料金で過去帳の書きこみを行う」としているところなどがあります。また、「家系図を遡って(業者ごとでどこまでさかのぼれるかは違いがある)すべて記載する」としているところもあります。

金額は業者によって異なります。だいたい1霊あたり1000円くらいの業者が多くみられますが、700円~としているところもあります。また、家系図を遡って書いてもらう場合は10万円~20万円程度が相場となります。

なお、「過去帳」というと手書きのイメージがあるかもしれませんが、印刷で入れてくれるサービスもあります。すべてのサービスを調べたわけではありませんが、印刷の場合でも手書きの場合と値段はあまり変わらない傾向にあるようです。

お寺に依頼する方法

お寺に依頼をして書いてもらうこともできます。
戒名をつけてもらう際に一緒にお願いするのであれば、「過去帳を記載するためのお布施」は特に用意しなくて構いません。ただ、「すでに戒名はつけてもらっているが、改めて過去帳の記載をお願いしたい」という場合は別途お布施をお渡しした方がよいでしょう。

現在はお布施に関しても明瞭化が進んでいるので、直接「いくらくらいお渡しすればよいか」と聞いても問題ありません。
ただ、「お布施の金額を答えるかどうか」は寺院ごとによって考え方に違いがみられます。「お気持ちだけで」と言われたのならば、5000円~10000円程度をつつむようにするとよいでしょう。

基本的には、業者に頼む方が安く仕上がります。また、現在は郵送による過去帳記帳に対応しているところも多くみられます。

【表記】過去帳の表書きには「○○家過去帳」「過去帳」と書く

過去帳の表書きは、単純に「過去帳」とする場合もあれば、「○○家過去帳」とする場合もあります。また、「○○家先祖代々」などのようにすることもあります。

なお、表紙が蒔絵などで仕立てられている装飾性の強い過去帳もあります。これらの過去帳も、希望をすれば文字入れをしてもらえる場合があるので、「家の名前を入れたい」「過去帳ということを分かりやすくしたい」などの希望があるのなら文字入れ対応可としているものを選ぶようにしてください。

なお、デザインによっては文字数に制限が出たり、別途料金がかかったりする場合もあります。ちなみに、「手持ちの過去帳があるのであれば、そこに文字入れをする」というサービスもあります。

過去帳は、自分自身の一生だけでなく子孫にまで受け継いでいくものです。
長い年月を耐えうるもの、長く置いておけるデザインのものを選ぶようにするとよいでしょう。

過去帳は仏壇店やネットで購入可能

過去帳は仏具のひとつであるため、仏壇店などで購入することができます。また現在はネット通販も行われているため、これを利用するのもよいでしょう。

さまざまな種類、さまざまな材質(表面)のものが販売されており、選ぶ楽しみがあるのも魅力です。また、自分でオーダーして作ってもらうこともできます。

過去帳の値段は、商品によって大きく異なります。安いものは1,000円台と大変リーズナブルですが、材質などにこだわったものだと20,000円を超えるものもあります。

仏具は自分の心を表したり先祖に対する慰霊の気持ちを表したりするためのものです。
そのため、「値段が安いものはだめ、値段が高いものがよい」と言うことはできません。ただ、安い過去帳と高い過去帳では見た目が大きく異なります。

また、百年以上にわたって使い続けていくものですから、こだわって選ぶのもよいものです。

過去帳を購入する前に知っておくとよいこと

過去帳の形式は、「こうしなければならない」という決まりがあるわけではありません。

浄土真宗の場合だけ多少考え方に違いがみられる「過去帳」ですが、それ以外は基本的には宗派による違いもなく、形や綴り方が厳密に定められているわけでもないので、好みで選んでしまって構いません。

ただ、以下のような点に気を付けるとより選びやすくなるでしょう。

  • 過去帳との大きさのバランスをとる
  • 仏壇のデザインとの親和性を考える
  • 綴じ方で選ぶ

過去帳との大きさのバランスをとる

ただ、過去帳は見台とセットで使うことになるため、「過去帳の大きさと見台のバランス」はきちんと考えて選んだ方がよいでしょう。一般的に、見台は過去帳よりも少し小さ目のサイズで選ぶとよいとされています。

仏壇のデザインとの親和性を考える

また、現在は見台のデザインも多様化しています。見台と過去帳のデザインの方向性を合わせること、また仏壇のデザインとの親和性を考えて過去帳(と見台)を選んでいくと、調和のとれた仏壇となるでしょう。そのため、一度自分の目で見てみることをおすすめします。

綴じ方で選ぶ

一般的には、家で用いる過去帳は折本タイプのものです。和綴じ製本タイプは主に寺院で使われます。
しかし、「一般家庭の場合は和綴じの過去帳は使ってはいけない」などの制限があるわけではありません。「和綴じタイプを使いたい」と思うのであれば、それを採用しても問題はありません。

特にこだわりがないということであれば、折本形式で、過去帳自体に日付が入ったものを使うとよいでしょう。この方が命日をたどりやすいからです。なお、日付のない過去帳の場合は、自分で(あるいは業者や寺で)日付を書き入れる必要があります。

まとめ

過去帳とは、先祖代々の名前や亡くなった日などを書き記した帳面のことです。
菩提寺にも保管されていますし、自宅でも保管されています(紛失や焼失があった場合を除く)。家で保管される場合は、主に仏壇の引き出しに入れられています。

過去帳には、「和綴じ製本タイプ」と「折本タイプ」があります。家で使うのは基本的には後者のタイプではありますが、和綴じ製本タイプを使ってはいけないという決まりはありません。

過去帳は通販や仏具店で手に入れられます。1000円程度のものもありますが、20000円を超えるものもあります。デザインもさまざまで、大きさにも違いがみられます。
見台(過去帳を置いておく台)と合わせて使うことになるので、見台のサイズやデザインとよく調和のとれるものを選びましょう。

過去帳は、だれが書いても構いません。ただ、間違いを避けたいのであれば、業者や寺院にお願いした方が安心です。表書きは「○○家過去帳」などとされます。

位牌もまた、過去帳と同じく、故人の名前や享年、亡くなった日が書かれています。
位牌の場合は「故人の魂が宿る」「追善供養のためのもの」という性質を持っていて、過去帳は「記録をするために使うもの」という性質を持っています。このため、この2つは目的が大きく違います。ただし、浄土真宗は宗教的解釈により位牌は原則として持ちません。そのため、過去帳を仏壇に日常的に置いておく場合もあります。

過去帳は仏具のひとつです。しかしながら、ほかの宗教でも過去帳と似た性格を持つものがあります。
キリスト教(カトリック)では「信徒籍台帳」と呼ばれる信者の住民票のようなものがあります。また仏教と一緒になっていた時代の長い神式の場合でも、過去帳(「霊簿」と呼ぶこともあります)が存在します。

過去帳は、自分が息を引き取った後も子孫に受け継いでいくものです。値段の安い・高いによってその価値がかわるわけではありませんが、長年の使用・保管に耐えうるものを選びましょう。

一口にお墓・霊園と言っても、豊かな自然を背景にしたり、規模や宗派だけではない様々な特色があります。
お住まいの地域・ご実家の近隣などで、どんな霊園があるかご覧になってはいかがでしょうか?