樹木葬の手順をマスターしよう!納骨までの8つの手順
マスメディアなどで、終活情報が取り上げられる機会が増えてきました。
そのなかでも、「樹木葬(じゅもくそう)」という言葉を耳にしたことのある方はいませんか?
かつての墓石によるお墓とは異なり、自然のなかで供養できるなど、漠然としたイメージがあるかもしれません。
しかし、「樹木葬で供養してもらいたい」という気持ちがあっても、いざ詳しい手順を知っているかといわれると分からない方が多いでしょう。
この記事ではこのような疑問を解消!
- 樹木葬の具体的な手順を知りたい
- 樹木葬の種類を知りたい
- 樹木葬に申し込みをした人の口コミを聞きたい
そこで、今回は樹木葬を行う手順や口コミについて詳しく解説します。
樹木葬に興味があるけど、何から行えばよいのかさっぱり分からない人でも、しっかりと手順を把握しておけばスムーズに希望の樹木葬を探すことができますよ。
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この記事の目次
樹木葬は墓石ではなく樹木が目印のお墓
樹木葬とは、墓石の代わりに樹木を目印としたお墓のことです。
墓石のお墓の場合は、カロートと呼ばれる納骨スペースに骨壺ごと安置します。しかし、樹木葬の場合は多くが遺骨を骨壺から取り出し、布などに包んで土中に埋葬するのが特徴です。
墓地によっては、樹木葬でも骨壺ごと納骨するケースもありますが少ない傾向といえるでしょう。長い年月をかけて遺骨は土に還ることができるため、自然が大好きな方に人気があります。
樹木葬の基礎知識を知りたい人は「樹木葬のトラブルはある?メリットやデメリットを紹介」の記事をご覧ください。
【合計8手順】樹木葬の申し込みから納骨までの手順を解説
樹木葬の申し込みから納骨までの手順を8つに分けて解説します。
- 【手順1】樹木葬を行っているお寺や霊園の情報収集をする
- 【手順2】自分の足で現地へ見学する
- 【手順3】契約および入金をする
- 【手順4】墓地の使用許可証を受け取る
- 【手順5】納骨その1:死亡届を自治体に提出する
- 【手順6】納骨その2:火葬を行い、埋葬許可証をもらう
- 【手順7】納骨その3:納骨する日程を決める
- 【手順8】納骨その4:埋葬許可書を持参し、納骨をする
【手順1】樹木葬を行っているお寺や霊園の情報収集をする
樹木葬に興味を持ったときに、まず行うことは情報収集です。お寺や霊園によっては、樹木葬を行っていない墓地もあります。
そのため、インターネットなどを使って自分が希望する土地の樹木葬情報を収集してみましょう。「どこの墓地で樹木葬を選択できるのか」「どんな樹木葬の種類があるのか」など、自分の目的に合った墓地に目星を付けることがおすすめです。
多くの墓地では、無料で資料請求ができますので気になる樹木葬は資料を取り寄せてみましょう。
【手順2】自分の足で現地へ見学する
希望の樹木葬がある程度選定できた後は、自分の足で現地を見学しましょう。
資料請求をしたパンフレットでも、現地の雰囲気や外装などは知ることができます。
しかし、紙面上で見ただけだと、どうしても自分の先入観が異なるイメージを膨らませてしまうことも少なくありません。
そのため、現地に赴き自分の目で墓地全体をチェックすることが重要になります。
見学を行わないと、「イメージとは異なる部分があった」など、後悔する原因となりかねませんので必ず訪問してみましょう。
【手順3】契約および墓地の使用料の決済をする
実際に樹木葬を見学してみて納得した場合は、契約および墓地使用料の決済を行います。
ただし、見学に行ったときに即決する必要はありません。自分だけでなく、家族や親族などともじっくりと相談および検討してから契約するかどうかを決めましょう。
契約時に細かい内容を説明されてもすべて頭に入ってこない場合もあります。
その場合は、墓地管理事務所の担当者に契約書のコピーなどをもらい自宅でじっくり内容を読んで分からない部分をなくしてから契約するのが賢明です。
契約を交わした後は、墓地の使用料などを銀行振り込みなどで決済します。
【手順4】墓地の使用許可証を受け取る
契約と墓地使用料などの決済が完了した後は、墓地の使用許可証が発行されます。
この書類は実際に納骨する際に使用する大切な書類です。紛失してしまわないよう骨壺を入れてある箱などに埋葬許可証と一緒に保管しておくと安心でしょう。
ここまでは、樹木葬の申し込み手順でしたが、次からは実際に納骨をする手順を解説していきます。
【手順5】納骨その1:死亡届を自治体に提出する
自治体へ死亡届を提出すると火葬許可証を交付してもらえます。
死亡届を提出する場所は、亡くなった場所(病院など)の自治体か、故人の本籍地または届出人の所在する自治体です。
死亡した事実を知った日から7日以内に届け出する必要があります。(国外で死亡した場合は3ヶ月以内)火葬許可証は、納骨当日に持参する重要な書類です。
これがないと火葬ができません。なぜなら、「墓地、埋葬等に関する法律」の第5条で市町村長の許可を得なければならないとされているからです。
【手順6】納骨その2:火葬を行い、埋葬許可証をもらう
故人の火葬が終わると、埋葬許可証がもらえます。多くの自治体では火葬許可証と埋葬許可証が1枚の書類になっていることが多い傾向です。
つまり、火葬許可証を火葬場の担当者へ渡し、火葬後に火葬許可証に火葬した日を押印したものが埋葬許可証になります。埋葬許可証は、納骨の際に必要になる重要書類です。
火葬場や葬儀業者の担当者が、書類を紛失しないように納骨した骨壺の箱に埋葬許可証を入れてくれるケースが多いといえます。
【手順7】納骨その3:納骨するスケジュールを決める
遺骨と埋葬許可証がそろったら、納骨するスケジュールを決めましょう。
「法事を行うのか」「納骨当日に誰を呼ぶのか」などについて決めておく必要があります。
法事の有無、納骨に呼ぶ親族などを決める
法事の有無や納骨式に親族をどこまで呼ぶかなどを決定しましょう。内容によって行うことも変わってきます。
法事を行う場合は、住職を手配することが必要です。親族のうち、どこまで呼ぶかも決めておかないとあとで「納骨する連絡が来なかった」などとトラブルにもなりかねません。
そのため、連絡漏れがないようしっかりと押さえておきましょう。
納骨する際は樹木葬の墓地管理者へ連絡をする
樹木葬へ納骨する際は、必ず墓地管理者へスケジュールを連絡しましょう。
樹木葬は、遺骨を土中に埋葬するだけですが、霊園によっても手順があります。
具体的にどのような納骨式を行うのかなど、細かい内容をしっかりと墓地管理者へ伝えておくことでスムーズな納骨ができるでしょう。
【手順8】納骨その4:埋葬許可書を持参し、納骨をする
一般的な墓石のお墓などでも同様ですが、納骨する際は墓地管理者へ埋葬許可証を提出することで納骨ができるようになります。
樹木葬の契約が完了しているからと勝手に埋葬を行うと、刑法第190条により死体遺棄となり、3年以下の懲役になる可能性があるので注意しましょう。
【要注意!】樹木葬の種類は大きく分けて2つ
樹木葬の種類は大きく分けると「里山型」と「都市型・公園型」2つになります。ここでは、それぞれの種類の大まかな費用や埋葬場所、メリットなどについて見ていきましょう。
里山型
地方などに多いのが里山型です。敷地が広いことが多かったり、山のなかを切り開いて作っていたりするのが特徴になります。
大体の費用
里山型の樹木葬の費用は、「個人区画なのか」「合葬なのか」で大きく異なります。
個人区画の場合
多くの霊園や寺院では、33年分(霊園によって年数は異なる)などの管理費と永代使用料で45万~100万円程度です。区画の面積によって異なります。
永代使用料とは、墓地を借りるための費用のことです。ただし、管理費が毎年発生する樹木葬もありますので注意しましょう。
合葬の場合
合葬の場合は管理費がないケースが多いです。永代使用料は約10万~30万円程度が目安になります。
埋葬場所
山を切り開いたなかに樹木葬を作っていることが多い傾向です。
周りが森林で囲まれており、大自然のなかでやすらかに納骨することができるでしょう。
合葬の場合は、円状など広い区画の真ん中に目印となる大きな木がそびえているのが一般的です。
都市型・公園型と比べてのメリット
都市型・公園が他に比べると地価が安いこともあり、費用が安い傾向であることが大きなメリットといえます。
都市型・公園型
都市型・公園型の樹木葬は、敷地が狭いことや、都心にあるためアクセスが比較的良いことが大きな特徴です。
大体の費用
都市型・公園型の樹木葬の費用は、「個人区画」「合葬」で異なる傾向です。
個人区画の場合
多くの霊園や寺院は、33年分(霊園によって年数は異なる)などの管理費と永代使用料で40万~100万円程度です。里山型同様に区画の面積によって異なります。
個人区画の場合は、管理料が永代使用料と別に5,000円前後かかることがあるので、永代供養を希望される人は毎年管理料がないタイプを選んだ方が良いでしょう。
合葬の場合
合葬の場合、永代使用料は約10万~30万円程度が目安です。里山型と比べてあまり費用が変わらない傾向といえます。
埋葬場所
敷地が狭いため、どうしても里山型のような広大な自然のなかへ埋葬するということは難しい傾向です。
ただ、近年の人気にともない霊園の敷地内の一部に樹木葬スペースを作っている霊園も多いため、設備などはしっかりしている場所が多いでしょう。
里山型に比べてのメリット
里山型に比べて都市型・公園型の1番のメリットは、アクセスの良さです。
里山型は、山など交通の便が悪い場所が多いですが、都市型・公園型は公共交通機関からのアクセスが良い霊園もたくさんあります。
【種類別】樹木葬の3つの埋葬方法
樹木葬の埋葬方法は大きく分けると3つあります。ここでは、「個別型」「集合型」「合葬型」といった埋葬方法について見ていきましょう。
【個別型】各区間に1本ずつ樹木を植える埋葬方法
樹木葬の個別型は、区画が一人ずつ分かれており、その区画に1本ずつ樹木を植えることができる埋葬方法です。33回忌など、霊園や寺院が定める期間を超えた後は他の遺骨と合葬されます。
それぞれのメリット、デメリットについて解説します。
個別型のメリット
個別型のメリットは、区画が分かれているため一般的なお墓と同じように参拝することが可能です。なかには夫婦一緒に埋葬できる樹木葬などもあります。
自分の埋葬した場所を明確に分かりたい人にとってはおすすめです。
個別型のデメリット
個別型のデメリットは、樹木葬のなかで費用が一番高くなることです。自分専用の区画が確保できるため、敷地の面積に比例して永代使用料が高くなります。
また、一般的なお墓と同様に、33回忌まで(合葬されるまで)など一定期間は年間管理費が必要なケースが多いです。
墓守の負担などを減らすために樹木葬を選んだ場合は、毎年費用を支払っていくことになるのでデメリットといえます。
【集合型】目印の木の下に他の遺骨と埋葬される方法
樹木葬の集合型は、目印となる木の下に他の遺骨と一緒に埋葬される方法です。どんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
集合型のメリット
集合型のメリットは、他の遺骨と同じ敷地になるものの自分の遺骨と分けて埋葬することができることです。
大きな敷地に複数の遺骨を埋葬するという特徴は合葬型と変わりません。年間管理費もかからないことが多いこともメリットの一つでしょう。
集合型のデメリット
集合型のデメリットは、他に比べて自分の好きな樹木を植えるということができないことです。また、合葬型と似ている埋葬方法ですが、費用は合葬型よりも高い傾向です。
【合葬型】無宗教の方や費用を安くしたい方向けに
樹木葬の合葬型は、無宗教や費用を安くしたい方向けの埋葬方法です。広い敷地に目印となる木が植わっている点は、集合型と変わりません。
合葬型のメリット
合葬型のメリットは、樹木葬のなかで一番費用が安いことです。また、年間管理費も不要であることが多いため、お墓の後継者問題を気にしている方にとってもメリットが多い埋葬方法といえます。
合葬型のデメリット
合葬型のデメリットは、自分の納骨スペースを確保できないため他の遺骨と混ざってしまう可能性があることです。
ここまでは、樹木葬を申し込む手順について解説しましたが、次の段落からは樹木葬に申し込んだ方や、選ばなかった方の口コミなどをご紹介いたします。
樹木葬の口コミ
実際に樹木葬を行った方の口コミは、非常に参考になります。
樹木葬を検討している方は、良い口コミだけでなく、後悔したという口コミもしっかりとチェックしておくと安心です。
樹木葬にしてよかったこと
特に問題はない。共有のスペースなども良く手入れされている。庭園もよく整備されていて、春にはしだれ桜が美しい。
ライフドットから引用
都営の為霊園管理費も大変安く、管理もきれいに木は、手入れされています。管理事務所の方も丁寧な対応していただき満足しています。
ライフドットから引用
樹木葬なので、以前の墓のように、墓石を拭いたり、花を供えたり、お線香をあげたりがないので、気が楽です。暑い時や寒い時のお参りや草取りはとても大変だったので、手間いらずは本当に助かります。
ライフドットから引用
樹木葬を選んで後悔した理由
PR TIMESから引用
- 大きい区画にすれば良かった
- 別の区画にすれば良かった
- 違う霊園・寺にすれば良かった
樹木葬を行う際の流れや、樹木葬を選択して良かったこと・後悔したことの声も確認しました。自分一人で供養方法を決めてしまうと、あとで親族などと意見の食い違いでトラブルに発展することもあります。
そのため、次では樹木葬を選択する前に確認しておきたいことについて解説していきます。
樹木葬にしたいと思ったとき!家族や親族のお墓の価値観も共有する
実際に樹木葬を希望するときには、必ず家族や親族との価値観を共有しておきましょう。
仮に自分が葬儀の喪主であっても、お墓に対する価値観は人それぞれに異なります。
自分の親や兄弟、子どもという近い存在でも樹木葬に対してどのような価値観を持っているか分かりません。そのため、一人ですべてを決めてしまわず、よく相談して価値観を共有しておくことが重要です。
家族と相談するときに用意しておきたい!樹木葬以外の選択肢2つ
樹木葬について家族と相談したけど、あまり同意を得られなかった……という場合に考えておきたいのが別の選択肢です。
ここでは、樹木葬以外で永代供養を選べる2つの供養方法について解説します。
【海洋散骨】自然重視なあなたにぴったり!大海原で供養する
海洋散骨とは、遺骨をパウダー状に粉骨して海へ撒くという供養方法です。
散骨業者などに船をチャーターしてもらい、合同で散骨したり個別に散骨したりすることができます。
費用を重視する人には、遺骨を業者へ郵送し散骨を委託するということも可能です。
樹木葬同様に、自然を重視する方が選択することが増えてきている人気の供養方法になります。費用相場は内容によりますが、5万~20万円程度で行えるでしょう。
【納骨堂】管理の負担を減らしたいあなたにぴったり!管理をお任せする
納骨堂は、コインロッカーのような納骨スペースに遺骨を安置することができる場所です。30年、50年安置できる長期納骨堂や、10年程度安置できる短期納骨堂があります。
一般的な墓地と異なり、年間管理費などがないため、管理の負担を減らしたい方にとってはおすすめの供養方法の一つです。
霊園やお寺によっては、一口に納骨堂といってもさまざまなタイプがあります。
例えば、夫婦一緒に安置できるタイプや、屋外にあるタイプ、お線香や献花ができるような仏壇タイプなど。
参考先:ライフドット
まとめ
樹木葬の手順や、種類、メリット・デメリットなどについて解説してきました。
今まで分からなかった樹木葬のことがより一層身近に感じることができたのではないでしょうか。これまで見てきた内容を簡単におさらいしていきましょう。
- 樹木葬とは、樹木などを目印としてその下に遺骨を埋葬する供養方法
- 【手順1】樹木葬を行っているお寺や霊園の情報収集をする
- 【手順2】自分の足で現地へ見学する
- 【手順3】契約および入金をする
- 【手順4】墓地の使用許可証を受け取る
- 【手順5】納骨その1:死亡届を自治体に提出する
- 【手順6】納骨その2:火葬を行い、埋葬許可証をもらう
- 【手順7】納骨その3:納骨する日程を決める
- 【手順8】納骨その4:埋葬許可書を持参し、納骨をする
- 樹木葬は一般的なお墓よりも費用が安いことがメリット
- 樹木葬のデメリットは、埋葬後の引っ越しはできないこと
- 樹木葬を契約する前に必ず家族や親族と相談する
樹木葬など、一般的なお墓以外の選択をする際はさまざまな分からないことや不安なことがでてくるものです。
しかし、しっかりと樹木葬のメリット・デメリットを把握したうえで家族や親族との価値観も共有しておけば、気持ちよく選ぶことができますよ。
監修者コメント
監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子
墓石のかわりに樹木をシンボルとする樹木葬墓地は近年人気を集めています。「自然に還れる」「大自然に抱かれる」等のイメージを持つ人が多いのですが、実際は樹木葬墓地によって異なり、骨壺ごと納骨するところや、一定期間が経過すると取り出すところ、樹木とは名ばかりで石がメインのところなど、さまざまなタイプがあります。
例えば東京都の樹木葬墓地の場合、遺骨を管理棟に預けるだけで、実際の納骨時に立ち会えるわけではありません。このように、樹木葬といっても見た目、納骨方法等に違いがありますので、必ず確認するようにしましょう。
ライフドット推奨
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- お墓選びで複雑な手順を簡単に詳しく理解したい
- お墓選びで注意するべきポイントを詳しく知りたい
など、数々の不安を抱えている方が多いのではないでしょうか。
お墓の購入に関しては、初めての方が多いため、不安や疑問を持つことは仕方のないことでしょう。
しかし、お墓購入後に後悔することだけは避けたいですよね。
そのためにも複数の霊園・墓地を訪問して実際に話を聞き、しっかりと情報収集することをオススメします。
情報収集するために、まずは気になる霊園・墓地の資料請求をしてみましょう。