合祀墓では複数の遺骨が埋葬される!そのメリット・デメリット

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慰霊塔に合祀をする合祀墓

跡取りがいない人や、埋葬の費用を安く抑えたいという人のための受け皿として、合祀墓というものがあります。

合祀とは、他の人と同じ場所に遺骨を埋葬することで、個別に墓地や墓石を買う必要がないために手軽に安く供養ができます。

しかし、供養は遺された人の心の問題でもあるので、手軽さや安さを追い求めるあまりに生じるデメリットもあります。

この記事を読み進んでいただいて、みなさまにとって、合祀墓の利用が本当にいいのかどうか、考えるきっかけになれば幸いです。

「合祀(ごうし)」とは神道の用語

 「合祀(ごうし)」という言葉は本来、神道の言葉です。

ある神社の祭神を別の神社で祀ったり、複数の祭神を1つの神社で祀ったりした時に用いられた言葉です。

昨今用いられる「合祀」は、複数の人の遺骨を1つの場所でまとめて埋葬することを指します。
個別にお墓で供養できない場合、行き場を失った遺骨が合祀されます。 

合祀墓とは

合祀墓とは、合祀された埋葬地に建てられる石塔のことです。

同じ場所に埋葬された複数の人たちのために建てられる石塔ですので、当然カロート(埋葬する土中のこと)も大きく作られますし、その分石塔も大きくなります。

合祀墓の構造

合葬墓の基本的な構造は、一般的なお墓と同じです。つまり、地中に遺骨を埋葬して、地上に石塔を据え付ける、というもの。

ただし、一般的なお墓であれば、家族分の遺骨が納まればいいのですが、合祀墓となるとそうはいきません。
ひとつのお寺でたくさんの人の遺骨を受け入れ、合祀しますので、ほとんどの合祀墓は大きく作られます。

外から見るだけでは分からない合祀墓の構造を、カロート、躯体、石碑の3つに分けてご説明いたします。  

さまざまな規模の合祀墓

合祀墓も、さまざまな規模のものがあります。一番多い形態は、一般的なお墓を大きくしたものです。

筆者が実際に施工させていただいた合祀墓は、地上に総高さ約5メートルの石塔を据え付けしました。高さ約2メートルの躯体。この中に人が入れるような構造になっています。

そして、躯体の上に、礼拝の対象である観世音菩薩の石仏を安置したものです。
地下は約2メートル掘り下げ、基礎工事をし、カロートを据え付けしました。
寺院によっては、一般的な大きさのお墓を合祀墓とするところもあります。

また、大規模な寺院や霊園などでは、お墓というよりはもはや大きな構造物と呼んでもいいような規模のものもあります。

礼拝の対象部分こそ石塔や石碑ですが、納骨部分はもはや地下室と呼べるほどです。

カロートの2つの役割 遺骨を納め、石塔を支える地中の壁

カロートとは遺骨を埋葬する場所のこと指します。地中に作られた四方を壁に囲まれた空間、と思っていただければいいでしょう。

カロートには2つの役割があります。 

  • 遺骨を納める空間 大切な遺骨はカロートに守られます
  • 石塔の土台 カロートの真上に石塔が建立されます

地中のカロートは外からは見えませんが、遺骨を守り、石塔を支える、お墓にとって大切な基礎部分なのです。

さて、一般的なお墓は家族の遺骨だけが納まればいいのですが、合祀墓はそうはいきません。

何十、何百、場合によっては何千という遺骨を受け入れることもあるでしょう。そのためカロートも通常のものよりも相当大きなものでなくてはなりません。

躯体の内部では骨壺が並べられる 

合祀墓では遺骨を預かってすぐに土に還すケースと、一定期間は骨壺の状態で安置しておくケースがあります。

これは、受け入れる側の寺院や霊園の方針によっても異なりますし、費用で差別化しているところもあります。いずれにせよ、躯体の内部は骨壺が並べられるように棚が設えてあります。

また躯体内部の足下に地中への扉があり、最終的な合祀はそこから遺骨を土の中に埋葬されるという構造がほとんどでしょう。

礼拝の対象物 さまざまな石碑

礼拝の対象物には、次に挙げるようなさまざまなものが用いられます。

  • 仏様の石仏
  • 五輪塔や宝篋印塔などの仏塔
  • 文字を刻んだ石塔
  • 球体などのシンボリックな石碑

複数の遺骨が預けられるため、その数だけの家族や縁のあった者がお参りに来られます。躯体の前には共有の礼拝スペースが設けられます。

お花や線香やローソクが手向けられるようになっており、場所によってはお供えものやトーバ(故人の供養を祈願した木の板)を供えるところもあるでしょう。

合祀墓を利用するときの費用相場

合祀とは、その家の人が死者や先祖の供養をしないため、永代供養に含めて考えられます。

永代供養では、一定期間は個別に供養する方法と、個別供養をせずに合祀する方法と、大きく分けて2つあり、それによって費用が異なります。

一定期間の個別供養をする場合50万円前後

一定期間の個別供養を依頼する場合は、50万円前後でしょう。
一定期間とは、寺院や霊園によって異なりますが、多くは13年や33年など、区切りとなる年忌法要に設定します。

この期間は、遺骨は土の中に埋葬せずに躯体の中で大切に保管され、一定期間が過ぎると遺骨は壷から取り出され、土の中に埋葬されます。

故人の命日や、毎年の法要や慰霊祭で、寺院に手厚く供養していただけるので、永代供養に出す家族側は心理的にも安心できるでしょう。

また、個別供養の場合は寺院から戒名を授かりますので、その分費用が上乗せされています。授かった戒名は、躯体の側面や、付近に設置された墓誌に彫刻されます。

供養というのは、遺骨の処理だけでなく、故人様の死後の安寧を願う、遺された者の心を満たすためのものなので、多少費用がかかって、個別供養を依頼する人は多くいます。

個別供養せずに合祀の場合は、3~15万円

遺骨だけを預けて合祀する場合は、安くて3万円、高いところで15万円くらいでしょう。

遺骨を預けてどのタイミングで土に還すかは、寺院や霊園の判断によります。
1年近くは骨壺のまま安置しておくケースもあれば、すぐに土に帰すケースもあります。

もちろん、寺院の中で埋葬されるので、毎年の法要などで供養してもらえますが、個別に名前を読み上げてもらうようなことはないでしょう。
その分、費用が安価に済む供養の方法です。

合祀墓へ埋葬された人への供養の仕方

合祀墓に預けられた遺骨は、どのように供養されるのでしょうか。
寺院では、毎年恒例の法要というものがあり、そこで合祀された死者も供養されます。

よく知られたものでは、お盆時期に執り行われる「施餓鬼法要」や、春や秋のお彼岸に執り行われる「彼岸法要」です。

それ以外にも各宗派で大切にされている法要があり、浄土真宗の「永代経法要」や「報恩講法要」、日蓮宗の「御会式」などがそれに当たります。

このような法要では、檀家や信徒が寺院に集まり、その寺院で祀られている死者や先祖を一緒に供養しますが、そのなかで、合祀された死者の霊を一緒に供養する合同法要を兼ねて執り行われるのが多いようです。

民営霊園の合祀墓の場合、さまざまな宗教の人たちがいるために、「合同慰霊祭」などと呼び名を変えているのもしばしば見かけます。
また、個別供養をされている場合、合同法要とは別に個別の法事もできます。

「今年はおじいちゃんの7回忌だから」

「いちど親族が集まって一緒に供養する機会を作りたい」

このように考える人は寺院に相談してみましょう。きっと受け入れてくださるでしょう。 

合祀墓を選ぶメリット・デメリット

合祀墓に遺骨を納めることのメリット・デメリットについてみていきましょう。

メリット

  • 跡取りがいない人や墓守がいない人の供養の受け皿としての役割

継承者がいない人にとって、寺院の合祀墓は受け皿となり、安心できます。核家族化や少子高齢化など、現代社会は単身者が増加する状況にあふれています。
対象的に、お墓は故人の供養のシンボルだけでなく、イエ制度のシンボルでした。

つまり、世代が代々続いていくことこそが価値であり、その永遠性の象徴として、お墓が用いられたという側面があります。

親と子が違う場所に住むことが当たり前のこの時代の中で、お寺という場所は時代が変わってもずっとそこにい続けてくれる空間です。

預ける方も、預けられる方も、その先が寺院だからこそ、安心できるのです。

  • 費用を安く抑えられる

合祀墓を利用すると費用を安く抑えられます。葬儀にかかる費用の全国平均が190万円、お墓を建てる場合は170万円という調査結果があります。

人の死にあたって、それほどのお金をかけるというのは、死者を手厚く弔うことを意味しますが、現実的にそのような大金を用意できない人もたくさんいます。

合祀は、お金がない人たちにとっても受け皿となる供養の方法なのです。

  • 遺骨を預けたあとも自由な時間にお参りできる

合祀墓では複数の人の遺骨が同じ場所に埋葬されているため、共有の礼拝スペースが設けられています。お墓を建てることなく、いつどもお墓参りができるのです。

デメリット

  • 他の人と同じ場所に埋葬されてしまうことの違和感

合祀墓に抵抗を感じる人の一番の理由はこれです。他の方と同じ場所に葬ることで、死者を粗末に扱っていないかと考えてしまうのです。

人の死の問題は、複雑なもので、なかなか合理的に解決できるものではありません。なぜならそれは、供養がただの遺骨の処理の問題だけでなく、故人を悼む「心」の問題だからです。

供養は、「死者を無事に向こうの世界に送ってあげた」という私たちの満足感のために行われます。合祀にすると安く済みますし、そのつど法事をしなくてもよいので、簡単です。

しかし、「安く」「簡単に」供養をすることで、遺された人の心満足にどう響くかは、一人ひとりが慎重に考えていただきたいものです。

  • 合祀をしたあとに、遺骨の返却ができないことがある

合祀で遺骨を預けてしまうと、返してもらえない可能性があります。なぜなら遺骨を土の中に埋葬され、他の人の遺骨と区別がつかなくなるからです。

寺院によっては、一定期間は埋葬しないということで、返却に応じてもらえることもゼロではないでしょう。ただし、一度埋葬してしまうと、返却は物理的に不可能です。

埋葬後に何らかの理由で遺骨を返してもらいたくても、すでに遺骨は土に還っているので、返却してもらうことはできません。

後から状況が変わって、何も知らされていなかった親戚から苦言を呈される可能性だってあります。

合祀墓を選ぶ人

合祀墓を選ぶ人は次のような人たちです。

  • 単身者で、子や孫などの跡取りがいない人
  • 子や孫はいるけれど、遠く離れているために迷惑をかけたくないと考える人
  • 葬儀や供養にかける費用を抑えたい人
  • 宗教心もなく、遺骨は土になればよいと考える人

複数人で埋葬される供養方法を知る

このほかにも複数人で埋葬される供養方法がいくつかあります。いずれも、最終的には永代供養にするというものがほとんどです。

世代が長く続かない、続いても同じ場所で住み続けない人たちのために、新たな供養方法が登場しています。そのためここに挙げたものは最終的には合祀される前提で作られています。

夫婦墓

夫婦墓は旧来からあるお墓の形です。江戸時代から戦前にかけてまであらゆる場所で見ることができます。

ただ、昔と違い昨今の夫婦墓は、世代が続かないために家墓(「〇〇家之墓」のように代々続いていくお墓)と異なり、夫婦が埋葬されて一定期間が経つとやがては永代供養にしなければならないという側面があります。

期限付き墓石

建立の段階で、期限を設けた墓地墓石のことです。

まだまだ普及しているとは言えませんが、跡取りはいないけれど自分たちが活きている間はお墓での供養を望むという人たちのために作られています。

主に寺院の境内で販売されています。33年などの期間が過ぎると、墓じまいまでを寺院が世話する条項が契約書に盛り込まれています。

納骨堂

納骨堂とは、堂内に設けられた納骨ができるスペースのことです。ロッカー型や仏壇型などいくつかのタイプに分けられます。

墓地を買い、墓石を建てると、ゆくゆくの墓守や墓じまいが大変だということで全国的に普及しています。

樹木葬

樹木葬とは、樹木を墓標としたお墓のことです。

里山型では墓石の建立が不要ですし、霊園型では極めて小型のカロートや石板が用いられるため、代々続くことは想定しておらず、跡取りのいなくなった樹木葬のお墓はゆくゆく合祀されるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。最後に合祀墓についてのポイントです。

合祀墓についてのポイント

  • 合祀墓とは、複数の人の遺骨を1つの場所でまとめて埋葬するお墓
  • さまざまなものがあるが、多くはカロート、躯体、石塔で構成されている
  • 一定期間の個別供養を希望する場合は50万円前後
  • 個別供養が不要の場合は3~15万円程度
  • 年に数回の合同法要や合同慰霊祭で供養してもらえる
  • あととりがいなくても寺院に供養してもらうえる
  • 他の埋葬方法よりも安く抑えられる
  • 遺族の心が満たされるかどうかははっきり言えない
  • 万が一のことがあっても遺骨が返却されない
  • 単身者やお金がない人、宗教心がない人が合祀墓を選ぶ
  • 納骨堂や樹木葬など、合祀を前提とした他の供養方法もある

 

一口にお墓・霊園と言っても、豊かな自然を背景にしたり、規模や宗派だけではない様々な特色があります。
お住まいの地域・ご実家の近隣などで、どんな霊園があるかご覧になってはいかがでしょうか?

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