相続税の計算法から税額控除まで、順をおって解説!

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散らばったお札の上にある電卓

相続財産の評価額を計算し直す
土地や株式などは種類によって計算方法が異なる

相続税を計算するに当たり、最初にすべきことは、相続財産を改めて洗い出したうえで、それらの金額を評価し直すことです。遺産を分け合うときと、相続税を計算するときでは、財産の評価基準が異なることがあります。

たとえば、自宅の土地は、地域によって評価の方法が違います。市街地などの、路線価が設定されている土地は路線価から計算し、郊外などの、路線価の設定がない土地は、固定資産税評価額から計算するのです。

また、農地や駐車場なども評価の方法が自宅の土地と異なります。

また、株式も上場企業と非上場企業で評価方法が異なりますし、非上場企業でもその企業の規模によって評価方法が異なります。

ほかにも、投資信託などの金融商品や貴金属類などは亡くなった日の時価を調べることが必要です。

相続財産などの計算方法

主な相続財産とその評価方法

土地(宅地) 路線価方式か倍率方式
土地(農地) 倍率方式か宅地比準方式
土地(駐車場などの雑種地) 被相続人1 人につき1,200 円ぶん(収入印紙)+連絡用の郵便切手
建物(自宅) 固定資産税評価額×1.0
建物(貸家) 固定資産税評価額×70%
預貯金 亡くなった日の残高※
上場株式 故人が亡くなった日の終値か、その月(または前月、前々月)の終値の平均額で、もっとも低い額
非上場株式 原則的評価方式か特例的評価方式
投資信託 新聞等に掲載された基準価額
ゴルフ会員権 取引価格×70%(預託金がない場合)
宝石・貴金属 再購入金額
自家用車 亡くなった日の時価
絵画 亡くなった日の時価
借入金 要返済額

※普通預金の場合。定期預金や定期積金など、定期性の預貯金は利息をプラスして評価する

生前贈与の財産などを加える贈与は3年前までさかのぼる

相続税がかかる財産は、故人が亡くなった時点で所有していた財産だけではありません。「みなし相続財産」や「生前贈与財産」も含まれます。

「みなし相続財産」は、死亡保険金や死亡退職金などのことです。死亡保険金と死亡退職金は500万円×法定相続人の数までは非課税ですが、残りの部分は相続税の対象になります。

「生前贈与財産」は、故人が亡くなる前に相続人に贈与された財産のことです。3年以内に贈与された財産はすべて含まれます。また、相続時精算課税制度によって贈与された財産も含まれます。

相続税を計算するときには、これらを相続財産として加えることが必要です。

一方、相続財産からマイナスできるものもあります。借金などの債務や、墓などの非課税遺産、故人の葬式費用はその一例です。もれなく集計し、財産からマイナスすることで相続税の負担が軽くなりますので忘れないようにしましょう。

これらを増減して、算出した相続財産を「課税価格の合計額」といいます。

相続財産にプラスする財産、マイナスする財産

プラスする財産

生前贈与財産

故人が亡くなる前に相続人たちに贈与された財産のことを指す。
現金や建物、土地、有価証券などがその代表例。相続が発生した日から3年前までさかのぼる必要があるので、注意が必要。
相続時精算課税制度によって相続人たちに贈与された財産も含まれる

みなし相続財産

亡くなった時点で故人がもっていたわけではないが、実質的に、故人から相続人へと相続されたと考えられる財産を指す。
死亡退職金や死亡保険金がその代表例である。ただし、死亡退職金も死亡保険金も、それぞれ500万円×法定相続人数のぶんは非課税となる

相続財産からマイナスするもの

葬式費用

お通夜や告別式の費用、読経料(どきょうりょう)などのお礼、遺体の運搬、火葬・埋葬・納骨にかかった費用は差し引ける。香典返しや初七日法要の費用は差し引けない

非課税遺産

お墓、仏壇、生命保険金の一部(500 万円× 法定相続人の数)、死亡退職金の一部など。ただし、被相続人が生前に購入したお墓の未払代金は差し引けない

寄付金

国や地方公共団体、特定の公益法人への寄付金。相続・遺贈された財産で、申告期限までに特定の公益信託の信託財産として支出したものも含む

債務

故人が生前に借りていた銀行や消費者金融からの借金は、相続財産から差し引くことができる。ただし、延滞税や加算税は差し引くことはできない

基礎控除額と比べて相続税がかかるかどうかを判定する

これまでの計算法で「課税価格の合計額」が算出できたら、この金額と、基礎控除額を比べましょう。

基礎控除額は、課税対象となる財産の金額からマイナスできる額で、2015年1月より、下記の式で計算することになりました。この基礎控除額より、課税価格の合計額が多いと相続税がかかり、税務署への申告が必要です。

もし基礎控除額のほうが多い場合は、相続税がかからないので、税務署に申告する必要もありません。

2014年以前と比べて、控除額が4割も下がっているので、相続税の対象となる人は以前よりも増えています。実際には申告が必要なのに、計算間違いをして、申告しないでいると追徴税が発生する場合があるので、慎重に計算しましょう。

基礎控除額を超えるか超えないか微妙なときは、安全策として申告することを検討しましょう。

課税価格の合計額から基礎控除額をマイナスした金額は「課税遺産総額」といいます。これが相続税を計算するときの元となる金額です。

相続税がかかるかどうかを調べるには?

相続税がかかるかどうかを調べるには?

基礎控除額・早見表

法定相続人 1人 2人 3人 4人 5人
基礎控除額 3,600万円 4,200万円 4,800万円 5,400万円 6,000万円

4つのステップで個々の支払いぶんをはじき出す

これまでで算出した「課税遺産総額」を元に、いよいよ相続税額を算出します。以下の4つの手順を踏みます。一つひとつ解説します。

1.課税遺産総額を法定相続分で分ける

法定相続分とは、民法で決められた遺産相続の割合。

配偶者と子2人なら配偶者が1/2、子が各1/4などと決められています。遺産相続のときに、この法定相続分を使ったかどうかは関係なく、あくまで計算するための処置として、課税遺産総額を法定相続分で分けます。

例:法定相続人が、妻と子2人の場合。法定相続分は、妻は1/2、子は1/2を2人で折半して1/4を相続する。

課税遺産総額を 法定相続分で分ける

遺産総額8,800万円-基礎控除4,800万円=課税遺産総額4,000 万円

2.相続人ごとに相続税を計算する

法定相続分によって分けた金額を元に、相続人ごとの相続税を計算します。相続税は以下の表のような税率になっています。なお、平成27年1月から、6億円超の部分で税率が50%から55%に上がりました。

相続税の税率

法定相続分に応ずる取得金 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

例:課税遺産総額4,000万円を妻が2,000万円、子2人が各1,000万円ずつを相続すると仮定

相続税の税率

3.いったん、すべて足す

「2.相続人ごとに相続税を計算する」で算出した各相続人の相続税額を、いったん、すべて足します。

4.実際の相続分で分け合う

「3.いったん、すべて足す」で足した相続税の総額を、実際に遺産相続したぶんの割合で分配します。これが暫定的な負担額です。

例:実際には、妻が4/5、子2人が1/10ずつ相続した場合

※妻は配偶者控除の適用を受けることができます

相続税額・早見表

配偶者がいる場合

相続財産基礎控除額控除前の課税価格の合計額 子ども1人 子ども2人 子ども3人 子ども4人
6,000万円 90万円 60万円 30万円 0円
8,000万円 235万円 175万円 138万円 100万円
1億円 385万円 315万円 263万円 225万円
1億5,000万円 920万円 748万円 665万円 588万円
2億円 1,670万円 1,350万円 1,218万円 1,125万円
2億5,000万円 2,460万円 1,985万円 1,800万円 1,688万円
3億円 3,460万円 2,860万円 2,540万円 2,350万円
4億円 5,460万円 4,610万円 4,155万円 3,850万円
5億円 7,605万円 6,555万円 5,963万円 5,500万円
10億円 1億9,750万円 1億7,810万円 1億6,635万円 1億5,650万円

配偶者がいない場合

相続財産基礎控除額控除前の課税価格の合計額 子ども1人 子ども2人 子ども3人 子ども4人
6,000万円 310万円 180万円 120万円 60万円
8,000万円 680万円 470万円 330万円 260万円
1億円 1,220万円 770万円 630万円 490万円
1億5,000万円 2,860万円 1,840万円 1,440万円 1,240万円
2億円 4,860万円 3,340万円 2,460万円 2,120万円
2億5,000万円 6,930万円 4,920万円 3,960万円 3,120万円
3億円 9,180万円 6,920万円 5,460万円 4,580万円
4億円 1億4,000万円 1億920万円 8,980万円 7,580万円
5億円 1億9,000万円 1億5,210万円 1億2,980万円 1億1,040万円
10億円 4億5,820万円 3億9,500万円 3億5,000万円 3億1,770万円

※配偶者は、配偶者控除が適用されていると考えています
※法定相続分どおりに相続した場合の金額です

配偶者や未成年者、小規模宅地など控除項目がないかチェックする

以上で算出した相続税額をすべて支払う必要があるかというと、そうとは限りません。相続税の負担が軽くなる、さまざまな控除が用意されています。

たとえば、配偶者の税額軽減です。配偶者は1億6,000万円か法定相続分のうち、どちらか多いほうの金額は、非課税で相続できます。この控除は大きく、配偶者は相続税がかからないことがほとんどです。

また、「小規模宅地等の特例」も控除額が大きく、自宅やお店などの土地は、一定面積まで評価額が5割か8割減額されます。いずれも、自動的に控除されるわけではなく、所定の書類を提出する必要があるので、忘れずに申告しましょう。

一方で、相続税の負担が重くなる例もあります。「相続税の2割加算」がそれ。配偶者や子ども、親といった1親等以外の人、たとえば亡くなった方のきょうだいや祖父母が遺産をもらった場合は、相続税は2割増しになります。

主な相続税の控除

小規模宅地等の特例

故人が自宅や事業などに使っていた土地は、一定の面積まで、土地の評価額が5割か8割、減額される。そのぶん、相続税額が下がる

贈与税額の控除

故人から相続開始前3年以内に贈与された財産は相続税の対象となるが、贈与されたときに納めた贈与税は相続税から差し引くことができる

未成年者控除・障害者控除

相続人が未成年者なら20歳になるまでは1年につき10万円、障害者なら85歳になるまでの年数×10 万円を控除できる(特別障害者なら20万円)。

控除額が大きく、未成年者や障害者の相続税額から差し引いても余る場合は、残りの金額を、その扶養義務者(配偶者や直系親族など)の相続税額から差し引ける

配偶者の税額軽減

配偶者は、1億6,000 万円か法定相続分、どちらか多いほうの金額までなら、相続税がかかることなく、相続することができる。配偶者の法定相続分は子と一緒なら1/2、父母なら2/3、兄弟姉妹なら3/4。課税価格の合計額のうち、この割合が非課税となる

相次相続控除(そうじそうぞくこうじょ)

10 年以内に2 回以上の相続があったら、1 回目に払った相続税の一部分を2回目の相続税からマイナスできる。1 回目と2回目の間の年数が長いほど、控除額は少なくなる


■参照元
わかりやすい図解版 
身内が亡くなったあとの「手続」と「相続」
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2016年5月10日 第1刷発行
2018年2月20日 第6刷発行

監修者:岡信太郎(司法書士)、木村健一郎(税理士)、岡本圭史(社会保険労務士)
発行者:押鐘太陽
発行所:株式会社三笠書房
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一口にお墓・霊園と言っても、豊かな自然を背景にしたり、規模や宗派だけではない様々な特色があります。
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