相続税を支払う現金がない場合の延納と物納。条件や優先順位を紹介

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この記事の目次

  1. 税金を納める現金がなければ「延納」「物納」という方法もある

税金を納める現金がなければ「延納」「物納」という方法もある

相続税を支払いたいが、手元に現金がない……。こうしたケースは決して少なくありません。貯金が無いという人もいますが、土地や建物で相続したために、現金が無いという場合もあります。そんなとき、一定の条件を満たしていれば、「延納」「物納」という方法で支払うこともできます。

延納とは分割払いのことです。相続財産のうち、不動産の価額が4分の3以上を占める場合は、不動産等価額に対応する税額の部分は最大で20年間、それ以外は最大10年間の延納が認められます。ただし、年間0.8%の利子税が発生します。

このほか、不動産等の価額の占める割合により5年から20年の延納期限( 利子税は0.2~1.4% )が定められています。

一方、物納とは、物で支払うことです。延納でも相続税が支払えない場合に限って認められ、国債や不動産、美術品の一部、それもなければ、株式や社債で支払うことが可能です。

「延納」「物納」は、手元に現金がない場合の救済処置

物納

分割払いでも現金で納税できない場合に認められる。物納できる財産は、以下。財産の種類ごとに順位が決まっていて、原則的には1位か2位で支払う。

それらがなければ、3位で支払うことが認められる。金額の評価基準は、時価ではなく、相続財産を評価するときの基準と同じ

[物納できる財産の順位]

1位

国債、地方債、不動産、船舶

2位

社債、株式、証券投資信託の受益証券、貸付信託の受益証券

3位

動産(家財、貴金属、自動車など)

延納

以下の条件を満たす場合は、相続税を分割払いすることが認められる。認められる期間は、遺産に占める不動産の割合によって異なり、最長20年間。年間0.2~1.4%の利子税が発生する

条件1

遺産に不動産をはじめとする現金化しにくい財産が多く、現金で納めることが難しい

条件2

相続税額が10万円を超えている

条件3

担保を提供する(土地や建物、有価証券など。未分割の相続財産は不可。 ただし、延納税額が100万円未満で、延納期間が3年以下なら、担保不要)


■参照元
わかりやすい図解版 
身内が亡くなったあとの「手続」と「相続」
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2016年5月10日 第1刷発行
2018年2月20日 第6刷発行

監修者:岡信太郎(司法書士)、木村健一郎(税理士)、岡本圭史(社会保険労務士)
発行者:押鐘太陽
発行所:株式会社三笠書房
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