墓所の役割や意味を紹介!墓地や墓域との違いもわかる

墓所の役割や意味を紹介!墓地や墓域との違いもわかる

墓所とは?徹底解説

  • 墓所はお墓の区画で、墓地や霊園の一部を指すことも。
  • 使用者が墓所を、自治体や寺院が墓地を管理。
  • 寺院、公営、民営の墓所があり、選択には注意が必要。
  • 墓石設置や名義変更など手続きが必要、移転時は改葬が必須。

「墓所」という言葉は、その名のとおり「お墓」が建つ場所です。しかし「墓地」とどのように異なるのでしょうか。

この記事では、「墓所」の意味や役割について説明します。
混合しがちな「墓地」や「墓域」といった言葉との違いについてや、墓所の利用方法までがわかります。

お墓を建てようとする人にとって、知って損はない情報ばかりです。

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この記事の目次

  1. 墓所とは
  2. 墓所を管理するのは施主自身 墓地全体の管理者は自治体や寺院
  3. 墓所の選び方や決めるまでの流れ
  4. 墓所を決めた後にするべきこと
  5. 墓所の利用に関する手続きについて
  6. 引っ越しなどで墓所を変える必要が出た場合にすること
  7. まとめ
  8. 有名人の墓所について
  9. 監修者コメント

墓所とは

墓所とは、お墓を建てるために割り当てられた区域のことで、「ぼしょ」と読みます。
たとえば、あなたが◯◯霊園の1区1号という区画を割り当てられたとします。
◯◯霊園のことを「墓地」や「霊園」と呼び、1区1号のことを「墓所」と呼びます。

ただし、墓地や霊園のことを「墓所」と言うこともあり、定義はとても曖昧です。
このような呼び名はその言葉を使用する人によってさまざまななので、なにを指し示しているのかそのつど注意しましょう。

墓地・霊園などの違い

「墓所」と他の言葉の違いをまとめました。
似たような言葉がたくさんあって、混同しがちですが、細かく見るとひとつひとつ意味が異なります。

  • 墓所
    お墓を建てるために割り当てられた区画のことです。
  • 墓域
    「墓所」と同じ意味です。
  • 墓地
    お墓を建てるための土地全体のことを指します。土地登記でも「墓地」という言葉が用いられます。
  • 霊園
    「霊園」と同じ意味です。筆者の推測ですが、昭和23年に制定された「墓地、埋葬等に関する法律」以降に開発された墓地は「霊園」と呼ばれていることが多いように思われます。特に、公営霊園や民営霊園がそれらに当たります。

墓所を管理するのは施主自身 墓地全体の管理者は自治体や寺院

墓所を管理するのは、あくまでその墓所の使用者である施主自身です。
墓所内の清掃や改修などはすべて自分たちで行います。
その墓地全体の管理者は、墓地の経営者でが、厳密に見ていくと、墓地には「経営者」と「管理者」があります。

民営霊園などは、経営者は寺院ですが、管理者は民間業者であったりします。
これは、墓地経営が法律上、地方自治体、宗教法人、公益法人にしか認められていないからです。

公営霊園の管理者は自治体の首長

公営霊園の管理者はその自治体の首長です。
市営霊園だと市長。都営霊園だと都知事です。
窓口は、役所や霊園にある管理事務所になります。

民営霊園の管理者は寺院

民営霊園の管理者は、厳密には寺院などの宗教法人です。
「民営霊園」と聞くと、民間企業が墓地の経営管理をしていると思いがちですが、法律では営利目的に設立されている企業による墓地経営は認められていません。

そのため、経営を宗教法人、管理や販売を提携業者、という形をとっていることが多いようです。

寺院墓地の管理者は寺院

寺院の境内地に墓地がある場合、その管理者は寺院です。
境内墓地は原則的には檀家向けの墓地ですが、檀家非檀家を問わずに受け入れて墓地経営をする寺院もあります。

共同墓地の管理者は自治会長や管理組合

ここでいう共同墓地とは、自治会や村落単位で持つ墓地のことです。
管理は自治会や自治会内で設置された管理組合が行います。
共同墓地は自治会によって管理のシステムが独自のものがありますし、管理者がいないような状況もおこりえます。

墓所の選び方や決めるまでの流れ

墓所の種類は管理者によって

  • 寺院墓地
  • 公営墓地
  • 民営墓地

と3つに分かれます。

それぞれメリット・デメリットがありますので「探し方・決め方を知りたい!」という方は「【保存版】理想のお墓を建てる!墓地の探し方・決め方の手引き」をご覧ください。このページよりより具体的に紹介しています。

ちなみに、気に入った墓地があったとしても手に入るかどうかは分かりません。
なぜなら空きが無いこともあるためです。

人気の公営霊園などは抽選になり、倍率が10倍を超えるケースもあります。

一方で空きがあればすぐに購入することができますので、気になったら早めにチェックすると良いでしょう。

公営霊園の場合

公営霊園の場合は、空きがあればすぐに購入することができます。
空きがなければ、抽選になってしまいます。

抽選は通常年に一回、市報などを通じて告知されます。
必要な書類を持って、希望の墓所に応募します。

民営墓地、寺院墓地などの場合

民営墓地や寺院墓地の場合は、特に抽選などありません。
空きがあれば、すぐにその墓所を申し込みましょう。

墓所を選ぶ際のポイント

気に入った墓地に墓所を取得できたとしても、選ぶ墓所によってお墓参りのしやすいところもあれば、しにくいところもあります。
ここでは墓所を選ぶ際のポイントを挙げてみます。

  • 駐車場から墓所までの距離
    墓所までの距離が遠いと足腰が悪くなったあとのお参りもとても不便になります。距離は近いに越したことはないでしょう。
  • 水場やごみ箱
    水場やごみ箱は、近くにあると便利でよいという意見と、遠くにあると静かでよいという意見があります。
  • 樹木
    樹木が近くにあることで、夏のお盆のお参りの時には日を遮ってくれますが、落ち葉などで掃除が大変になります。
  • 景観
    墓所に立った時の景観。直感的に気に入るかどうかも大切にしましょう。

墓所を決めた後にするべきこと

 

墓所を決めてしまうと、その墓所はあなたのものになります。永代に渡り使用する権利を取得します。
(※ただし、気を付けなければならないのは、取得したのはあくまでも「使用権」で土地そのものではありません。)
その後にするべきことは、お墓の建立です。

希望の形や石の種類などを石材店とともに決めていきましょう。
墓石の建立は、以下の点に気をつけましょう。

  • 墓石の建立期限が定められている(墓所取得後〇年以内など)
  • 指定石材店が決められている。この場合、その業者でなければお墓の建立ができません。

墓所の利用に関する手続きについて

墓所を利用する際にはさまざまな手続きが必要です。

墓所の取得

墓所を取得する際には、それぞれの墓地の規定に従って申し込みをします。まずは管理者(墓地の管理事務所やお寺の住職)に訊ねてみましょう。

民営霊園などでは、墓所と墓石のセット販売も行われているので、お墓の形などもすべて決めたうえで契約というケースもあるようです。

使用者の承継(名義人の変更)

墓所の使用者(つまりその墓所の名義人)が亡くなった場合、承継の手続きをとらなければなりません。
次の墓守の人の署名とサインがあればいい、というほど簡単ではありません。

なぜなら、墓所やお墓は「祭祀財産」であり、資産などと違って分割することができません。
そのため、他の法定相続人全員からの同意が必要なのです。

埋葬

遺骨をお墓に埋葬する際は、管理事務素に「埋火葬許可証」を提出しなければなりません。
この書類は霊園で管理され、その人の遺骨がたしかにこの墓所に埋葬されたことを証明してくれます。

引っ越しなどで墓所を変える必要が出た場合にすること

引っ越しで遺骨を移すことを「改葬」と呼びます。
改葬は二つの墓地が絡むので、手続きが少し厄介です。
ここでは、名古屋市のA霊園から、東京都世田谷区のB霊園へ引っ越すものとして、以下のような流れになります。

  1. 世田谷区のB霊園に「受入証明書」を発行してもらう
  2. 名古屋市役所から「改葬許可申請書」を入手。必要事項を記入する
  3. 「改葬許可申請書」を持って、名古屋市のA霊園に行き、管理者の署名と押印をもらう
  4. 名古屋市に完成した「改葬許可申請書」と「受入証明書」を提出して「改葬許可証」をもらう。
  5. 墓石を移設・A霊園の墓所は墓じまい
  6. 世田谷区のB霊園に改葬許可証を提出し、移設する

改葬の手続きは、自治体によって異なることもありますので、まずはいま現在お墓のある自治体に問い合わせてみましょう。

まとめ

いかがでしたか?
墓所とは墓地全体の中で割り当てられた区画のことです。
墓所を利用の際にしなければならないことたくさんあります。

  • 墓地墓石の契約
    まとまった費用の用意と、必要書類の準備をしなければなりません。
  • お墓の工事
    施工工事や改修工事や文字彫刻の工事に入る時は、事前に管理者に申し出ましょう。
  • 書類などの申請
    納骨するとき、名義変更するとき、改葬するときなど、これらは所定の公文書とともに申請しなければなりません。

それ以外でも利用の上で困ったことがあれば、そのつど墓地の管理者に訊ねてみましょう。

有名人の墓所について

江戸時代の「掃苔」 いまは「墓マイラー」

江戸時代の風雅な趣味として「掃苔(そうたい)」というものがあります。
「苔を掃きとる」転じて「お墓参り」の意味です。
最近は有名人のお墓参りが人気で、お墓参りする人のことを「墓マイラー」なんて言われています。

この掃苔の是非。
「お墓はプライベートのものだからあまりするべきでない」 という声が一定数あるようです。
有名人とはいえ、他人のお墓へのお参り。 よいものなのでしょうか?

お墓のよいところは、誰もがお参りに行けるところ

ここからは筆者の個人的な考えになります。
仏壇と違って、お墓は野外に据えられるものです。
ですから、ある程度の公共性を持っていると考えられます。

お墓のよいところは、誰でもお参りに行けるところ。
お仏壇に手を合わすとなると、その家にお邪魔して、靴脱いで…とこれはかなり煩雑です。
受け入れるが分からしても、どこの誰か知らない人をいきなり「私、夏目漱石先生の大ファンですから」と言われたって、拒絶しますよね。

でも、お墓であればそれも可能なのです。
野外にあるお墓だからこそ、いつでも、どこでも、誰もがお参りすることができます。
どんな人にも弔う権利があり、弔われる権利があります。
それを叶えてくれるのが、お墓なのです。

お墓は遺族のもの 最大限のマナーを

しかし同時に、お墓は遺族のものでもあります。

また、公営霊園や民営霊園であればよいのですが、お寺の境内は住職やその家族の生活空間でもあります。
有名人のお墓参りは「他人へのお墓参り」です。
迷惑がかからないよう、最大限のマナーと配慮をしましょう。

監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

お墓とは、死者の遺体が納められている場所、死者を祀る場所およびその装置のことをいいます。現代の日本は99.97%火葬のため、遺骨を納める装置という意味になり、明治以降はひとつのシンボル石塔にカロートに遺骨を納める家墓が多く建てられるようになりました。近年まで遺骨を放置したり散骨するなどして墓地をつくらない地域も近畿・中国地方の一部に存在していたようです。