墓前の読み方は「ぼぜん」!お線香の本数や常識的な墓前のマナー

【墓前】アイキャッチ

墓前とは?徹底解説

  • 「ぼぜん」はお墓の前を意味する。
  • お線香は宗派により1~3本が一般的だが、本数に規定なしも。
  • 供える花は故人好みや季節のもので、有害なものは避ける。
  • お供え物は故人の好物や旬の品を選び、五辛・肉・魚は控える。
  • 墓前法要は納骨式やお墓の建立・撤去時に行われる。

「お墓に関する作法などはよく分かっていないけど、お墓参りはしている」という人も多いのではないでしょうか。
お墓参りの際は、お線香やお花をあげたり、お供物をあげたりするなど、なにげなく行ってしまっていますね。

しかし、墓前で供える際にはさまざまな注意しなければいけないこともあるのです。
供養をしている故人の宗派が分かっているにもかかわらず、マナー違反の作法をしてしまうのは大変心苦しいこと。

歳を重ねるごとに弔事は増えていく傾向ですので、あいまいではなくハッキリとしたポイントは押さえておきたいものです。

そこで、本記事では「そもそも墓前とは何なのか」「宗派ごとのお線香の本数」「墓前で法要する時期」などについて解説していきます。
この記事を読めば、今まで何となく行っていた墓前の供養も、本当の意味を知ることより一層丁寧にできるようになるでしょう。

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この記事の目次

  1. 墓前(ぼぜん)とはお墓の前のこと
  2. 墓前に供える際の注意点!お線香やお花、お供物のポイント
  3. 墓前で供養(法要)をする時期
  4. まとめ
  5. 監修者コメント

墓前(ぼぜん)とはお墓の前のこと

黄の仏花が供えられているお墓

墓前は「ぼぜん」と読み、意味はお墓の前のことです。漢字の意味のままなので墓前という言葉を知らなかった人もイメージはしやすいでしょう。一般的に、お墓参りする際は必ず墓前へ足を運ぶことになります。
その際は、お線香やお花、お供物を持参する人がほとんどではないでしょうか。また、後述しますが墓前ならではの法要というものもあります。

墓前に供える際の注意点!お線香やお花、お供物のポイント

墓前にお線香やお花、お供物を供える際は注意したほうが良いポイントがあります。あまり意識せずにお墓参りしている人も少なくありませんが、ここでは、「お線香」「お花」「お供物」という3つの観点から掘り下げて解説していきます。

お線香の本数は宗派によって異なる

墓前にあげるお線香の本数は、宗派によって異なるため、供養するお墓の宗派はできるかぎり押さえておきましょう。ただし、地域などでも本数の目安は若干異なることも珍しくありません。
一般的には、1~3本を墓前にあげることが多い傾向です。そこで、ここでは宗派別にどのような決まりがあるのかを探っていきましょう。

宗派お線香の本数
浄土宗本数に決まりはない
浄土真宗本数に決まりはない
天台宗本数に決まりはない
曹洞宗基本は1本
日蓮宗1本もしくは3本
臨済宗1本もしくは3本
真言宗原則3本

浄土宗は特に決まりはない

浄土宗は、墓前にあげるお線香の本数に決まりはありません。そのため、お線香を1本あげれば問題ありません。墓前なら横向き、仏壇の前なら立ててお線香をあげましょう。

浄土真宗は特に決まりはない

浄土真宗も墓前にあげるお線香の本数に決まりがありません。おおむね1本~数本をあげるのが一般的です。ただし、浄土真宗はお線香を立てないことが大きな違いになります。墓前でお線香をあげる場合は、たいていのお墓がお線香を横にして香炉へ入れますが、仏壇の前でも横にしてあげることが浄土真宗の特徴です。
香炉の幅が狭いときは、適度にお線香を折って火が付いているところを参拝者から見て左になるよう寝かせます。

天台宗は本数に決まりはない

天台宗は、お線香の本数に決まりがありません。そのため、1~数本を手に取り火を付けて香炉へあげましょう。お香の煙が故人の世界に行き渡って、故人だけでなく諸仏・諸菩薩の供養になるよう願いを込めてあげることが大切です。

曹洞宗は基本1本

曹洞宗は、基本的にお線香は1本です。仏壇の前の場合は、お線香をまっすぐに1本立てたあとに、おりんを3回鳴らします。

日蓮宗は1本もしくは3本

日蓮宗の場合、お線香の数は1本もしくは3本です。一般的には3本としているところも多いようですが、人数が多い場合などは1本というケースもあります。お線香の1本目は、お釈迦様の分、2本目はお釈迦様の教えの分、3本目が僧侶への分といった意味合いがあるので覚えておきましょう。1本の場合は、香炉のできるだけ真ん中に立てるようにします。

臨済宗は1本もしくは3本

臨済宗は、1本もしくは3本です。仏壇前でお線香をあげる際、仏具に3本足がついているときは3本といわれています。仏様や先祖に角が立たないよう、手前の真ん中に1本、奧に2本立てる逆三角形が基本です。ただ、同じ臨済宗でも1本という地域のお寺もあります。

真言宗は原則3本

真言宗のお線香の数は原則3本です。仏壇前でのお線香のあげ方は、参拝者から見て1本を奧の真ん中、残りの2本を手前の左と右におき、正三角形になるよう立てることが基本といわれています。

以上、宗教ごとの線香の本数についてご紹介しました。

お線香の本数は1~3本がほとんどのようですね。より丁寧に供養を行いたい場合は、地域差もあると思いますので、僧侶にたずねてみるなどしておくと賢明です。お線香だけでなくお供えの花もマナーがあるので次で見ていきましょう。

お供えの花におすすめなものと避けたほうが良いもの

色とりどりの仏花が供えられている墓前

お供えの花には、おすすめできるものと避けたほうが良いものがあります。墓前と仏壇前にかかわらず、お供えの花を持参することが多い傾向です。しかし、あまり「どの花が良くてどの花が良くない」ということまで考えたことがある人は少ないのではないでしょうか。
ここでは、お供えの花について解説していきます。

お供えの花におすすめなもの

基本的には、故人が好きだった花や、季節の花を供えるのがおすすめです。ただ、故人の好きな花が分からない場合などは、法要によってお供えの花を変えてみることも選択肢の一つといえるでしょう。

墓前のお供えにおすすめの花
お供えの花の基本故人が好きだった花や季節の花
初盆・新盆の場合白でまとめた色合いの花(キク、胡蝶蘭、カーネーションなど)
それ以外の場合白を基調とした淡い色の花(リンドウ、トルコキキョウ、スターチスなど)
初盆・新盆の場合

四十九日以降に迎える初盆・新盆の場合は、白でまとめた色合いのお花がおすすめです。例えば、白いお花としてはキクや胡蝶蘭、カーネーションなどになります。

それ以外の場合

それ以外の場合は、白を基調として全体が淡い色合いになるようなものを選ぶと良いでしょう。白いお花は上記にあげましたが、淡い色合いの花の例としてはリンドウやトルコキキョウ、スターチスなどもおすすめです。

お供えの花に避けたほうが良いと伝えられているもの

お供えの花には、避けたほうが良いと言われている花もあります。主に「毒があるもの」「トゲがあるもの」「花粉が多くない」「臭いが強くない」の4つです。しかし、あくまで「言われている」にすぎませんので、あまり気にすることもないでしょう。

  • 毒があるもの
  • トゲがあるもの
  • 花粉が多いもの
  • においが強いもの
毒があるもの

万が一お供えしている花の毒で誰かが被害を受ける可能性も否めません。有名な花としては、トリカブトやチューリップ、アネモネ、スズラン、ヒガンバナなどがあります。昔は野獣を避けるために毒のある花を近くに植えたという地域もあります。

トゲがあるもの

トゲがある花も避けたほうが良いと言われていますが、こちらも野獣から守るために昔は近くに植えられていたことがあるとか。

花粉が多いもの

花粉が多い花は、墓石を傷めてしいまいます。ユリなど花粉が多い花は花粉を取ってからお供えしましょう。
万が一お供えしている花の毒で誰かが被害を受ける可能性も否めません。

においが強いもの

仏教でお供えされる樒はもともと匂いの強い植物です。また菊も同様、強い香りを放ちます。においが強い花はNGというのは、あまり根拠がない話です。

お花は、視覚だけでなく嗅覚も楽しめる植物ですが、墓前にお供えする場合は、においが強い花など避けたほうが良い花もいくつかあります。間違っても毒がある花を知らなかったと献花しないようにしっかりと把握しておくのが大切です。お線香とお花の後は、墓前に供えるお供物のマナーについてもチェックしておきましょう。

墓前のお供物におすすめなものと避けたほうが良いなもの

墓石の前のお供え物

お供物のなかでも、おすすめなものと避けたほうが良いものの2通りがあります。墓前まで持ってきて「しまった!」とならないように、基本的な内容を押さえておきましょう。

お供物におすすめのもの

お供物におすすめなものは、お花と重複しますが、故人が好きだった食べ物や季節に合わせた旬のフルーツなどの食べ物です。3月のお彼岸であれば、みかんやオレンジ、9月のお彼岸であればブドウや梨などもよいでしょう。

お供物に避けたほうがいいもの

逆にお供物で避けたほうがいいものは、「五辛(ごしん)」「肉や魚」です。これらがなぜ避けたほうがいいのかについて見ていきましょう。

五辛(ごしん)

五辛(ごしん)とは、「にら」「にんにく」「ねぎ」「らっきょう」「はじかみ(しょうが・さんしょう)」の5つの食べ物のことです。辛みやにおいがきつい食べ物は、仏教の教えで食べることを避けられています。なぜなら、仏教では古くからこれらの刺激が多い食べ物は色欲を刺激し心を乱すとされているからです。そのため、これらはお供物としてはふさわしくありません。

肉や魚

肉や魚はお供物として避けたほうがいいでしょう。なぜなら、肉や魚は殺生をイメージさせてしまうものだからです。また、肉や魚は墓前に置いておくと日光にさらされて傷みやすかったり、腐りやすかったりすることも避けたほうが良い理由の一つといえるでしょう。

墓前にお供物を供える際は、できるかぎり故人の好きだったものを供えてあげたいものです。しかし、避けたほうが良いものもしっかりと押さえたうえで他の参拝客に嫌な思いをさせないようにすることも心がけておきましょう。
また、供えたお供物はそのままにしないようにすることも重要です。

おすすめのお供物と避けたほうが良いお供物
おすすめのお供物故人が好きだったものや、季節の旬のもの
避けたほうがよいお供物五辛(ごしん)「にら」「にんにく」「ねぎ」「らっきょう」「はじかみ(しょうが・さんしょう)」
肉や魚

墓前に供えた食べ物は必ず持ち帰る

墓前に供えた食べ物は、帰宅する際に必ず持って帰りましょう。寺院や霊園によっては規則によって初めから持って帰るように定めているところもあります。なぜなら、食べ物をそのままにしておくと動物などにお墓を荒らされてしまう可能性が高まるからです。
また、食べ物は傷んだり腐敗したりしやすいということも理由の一つになります。「墓地管理者が片付けてくれるのでは?」といった甘い考えを持たず、マナーを守って他の参拝者も気持ちよく参拝できるようにしておきましょう。
 
墓前にお線香やお花、お供物をあげる際は、しっかりと避けたほうがいい行為をしてしまわないようにすることが大切です。いくら故人が好きなものだからといっても他の参拝者もあることなので、最低限の知識は押さえておくと気持ちよくお墓参りができますよ。
墓前では、お墓参りだけでなく法要を行うケースもあります。次では、どんな時期に墓前法要を行うのかについてみていきましょう。

墓前で供養(法要)をする時期

カレンダーと時計

墓前では法要を行うことがあります。一体どんな時期に墓前で法要を行うのでしょうか。墓前で法要を行うことを墓前供養(法要)と呼びます。ここでは、墓前供養を行う3つの時期について解説します。

  • 遺骨を収める納骨式
  • 新しいお墓を建てたとき
  • お墓を撤去するとき
  • 墓前祭

遺骨を収める納骨式

故人の遺骨をお墓に収めるための納骨式のとき、墓前供養を行う場合があります。納骨式は、必ず墓前供養が必要なわけではありません。しかし、菩提寺などがある場合は、僧侶に墓前供養を依頼することが一般的です。

新しいお墓を建てたとき

新しくお墓を建てたときは、僧侶を呼んで魂入れと呼ばれる開眼供養(墓前供養)を行うことが多い傾向です。改葬で新しいお墓に入るときなども墓前供養は行います。

お墓を撤去するとき

お墓を撤去するときも墓前供養を行うことが多いです。いわゆる「墓じまい」の際は、今までお世話になったお墓から先祖の遺骨をすべて取り出します。その際に閉眼供養という墓前供養を行うのです。

墓前祭

墓前祭は、仏式ではなく神式の納骨式でのことです。別名、埋葬式などと呼ばれることもあります。仏式同様に納骨の際に供養を行いますが、住職ではなく神主が神道の儀式に沿って行うのが違いです。

まとめ

墓前でのマナーや供養方法をしっかりと理解することで、より一層丁寧なお墓参りができるようになるのではないでしょうか。お線香やお花、お供物など、あまり気にせずに行っていたことも意味合いを掘り下げることで、故人への思いも伝わりやすくなるでしょう。
この記事のポイントについて振り返っていきます。

  • 墓前とはお墓の前のこと
  • お線香は宗派や地域によって本数が異なる
宗派お線香の本数
浄土宗本数に決まりはない
浄土真宗本数に決まりはない
天台宗本数に決まりはない
曹洞宗基本は1本
日蓮宗1本もしくは3本
臨済宗1本もしくは3本
真言宗原則3本
墓前のお供えにおすすめの花
お供えの花の基本故人が好きだった花や季節の花
初盆・新盆の場合白でまとめた色合いの花(キク、胡蝶蘭、カーネーションなど)
それ以外の場合白を基調とした淡い色の花(リンドウ、トルコキキョウ、スターチスなど)
お供えの花に避けたほうが良い4つのもの
  • 毒があるもの
  • トゲがあるもの
  • 花粉が多いもの
  • においが強いもの
おすすめのお供物と避けたほうが良いお供物
おすすめのお供物故人が好きだったものや、季節の旬のもの
避けたほうがよいお供物五辛(ごしん)「にら」「にんにく」「ねぎ」「らっきょう」「はじかみ(しょうが・さんしょう)」
肉や魚
墓前法要を行う時期
  • 遺骨を収める納骨式
  • 新しいお墓を建てたとき
  • お墓を撤去するとき
  • 墓前祭

さまざまな細かいマナーや考え方がありますが、一番大切なことは故人を思い偲ぶ気持ちや行動です。墓前で定期的に故人や先祖の供養を行うことで、今の自分はたくさんの先祖がいたからこその存在だということがしみじみと伝わってくるでしょう。

監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

墓前といっても、お墓の形や地域によってさまざまです。例えば沖縄の伝統的な形のお墓の場合、墓前が広く、その前で食べ物を持ち寄り宴会が行われます。一方、最近よく目にする欧米型の芝生墓地の場合、隣との境界線がなく、墓前といっても花立が置いてあるだけ(一部香炉もある)のシンプルなものです。

お線香については、仏壇へのお供えと違い、本数等細かく気にする必要はありません。屋外だと燃えにくいため束であげるという人もいるでしょう。香炉の形によっても異なりますが、火が完全に消えるまで見届けた方が良いでしょう。最近はお墓に造花を置いている人も増えているため、引火してしまう危険性がないわけでもありません。