墓地の権利「永代使用権」とは?譲渡は可能?お墓を買うとは永代使用権を取得すること

立ち並ぶお墓

お墓の永代使用権とは?徹底解説

  • お墓を買う=墓地の使用権を得ること。
  • 使用権は契約によるもので法的権利ではない。
  • 使用権の譲渡・貸与には所有者の許可が必要。
  • 使用権は管理不履行で失うこともある。

「お墓を買う」とは、お墓の永代使用権を購入することを意味しています。
その永代使用権について詳しく解説します。

あなたにあったお墓を見てみる

お墓に関する4つの質問に答えるだけで、あなたにあったお墓を調べられます。

ぴったりお墓診断

4つの質問で見つかる!

Q. お墓は代々継いでいきたいですか?

希望エリアのお墓の購入費用を調べる

ライフドットでは全国8,700件以上の霊園・墓地情報を掲載しています。
地域別の費用相場や、詳しいお墓の費用を確認することができます。

エリアから探す

日本地図

エリア
から探す

北海道・東北

この記事の目次

  1. そもそもお墓を買うとは?
  2. お墓の永代使用権と永代使用料
  3. 永代使用権の譲渡、貸与はできない
  4. 永代使用権の消滅
  5. 墓地の使用規則は必ず確認しよう
  6. お墓を購入するときに重要視するポイント
  7. 監修者コメント

そもそもお墓を買うとは?

墓地所有者に申し入れて、代金を支払い、お墓を買うとします。
よく「お墓を買う」と言いますが、お墓を買う=お墓の永代使用権または墓地使用権を取得することです。

お墓の場合には、住宅用の土地を取得するように墓地となる土地の所有権を買い取ることはできません。
お墓の場合には、墓地の所有者と墓地を永久に使用する権利を得るという契約をします。
つまり、共同墓地の場合には、墓地の所有権は霊園を経営する側にあって、お墓を建てて所有している者は、土地についての使用権を有しているだけです。
そのため、永代使用権取得後も、継続的に管理費を支払う必要があります。

お墓の永代使用権と永代使用料

この墓地の所有者と契約して得る墓地として代々使用する権利は永代使用権と呼ばれ、その権利を得るために支払う代金を永代使用料と言います。
購入するのは、墓地の占有区域の土地そのものではないのです。
お墓を買うというのは、墓地のその占有区域の土地を代々にわたって使い続けていける権利を取得することです。

永代使用権という用語は、昔から慣習的に用いられている用語です。
そのため、契約内容や制限は、それぞれの墓地によって違いがあります。
永代使用権の契約にあたっては、契約内容をきちんと確認しましょう。

永代使用権とはどのような権利なのか?

ただ、気をつけたいのは、この墓地の所有者と申込者の間で契約される永代使用権は、法律で認められている権利ではありません。
永代使用権という用語は、民法にも、その他の公法、私法にも条文の上にはない用語です。

民法から考えると、永代使用権は、地上権とも貸借権とも、使用貸借権とも考えられそうです。
また、慣習上の特殊な権利と見ることもできます。

永代使用権を第三者に譲渡したり、霊園側に買い戻させたりする権利があるかどうかは、新しい霊園であれば、最初の契約や管理規定によることになります。
古い墓地であれば、個々の実情や慣習、規則を研究することになります。

なお、お寺の境内は宗教施設なので、宗教上の制約もあります。

永代使用許可書の発行

墓地所有者と永代使用権の契約が成立すると、永代使用許可書(墓地使用承諾書、使用権利書)が墓地所有者である寺院や墓地から発行されます。
これは埋葬や改葬、お墓を承継するときに提示するなどお墓にとってとても大切な書類です。

霊園の場合でも所有権を分譲できないのか?

霊園の場合には、法律上所有権を分譲できないわけではありません。
ただし、小さい面積をいちいち分筆する煩雑さを避けるためと、墓地として維持する管理上の必要から、個々の所有権にしない運用が一般的になっています。
行政上の許可条件もそのようになっていると思われます。

お墓は自分の土地でも建てることはできない

お墓は自分の土地であっても、墓地・埋葬等に関する法律(墓埋法)によって、自由に建てることはできません。

永代使用権の譲渡、貸与はできない

この使用権は、代々子孫に受け継ぐことができます。
ただし、勝手に第三者に売買したり譲ったりすることはできません。
第三者への譲渡・転売・贈与は、原則的に認められていません。

一般に、墓地の使用者が墓地に対して持っている権利は、所有権ではなく、使用権です。
そのため、使用権を勝手に第三者に譲ったり、貸したりすることは認められておらず、墓地所有者の寺院や霊園に無断で他人に売ったり、買ったり、プレゼントしたりすることは禁じられています。

また、自営業の人が使用権を持つ自分のお墓の占有区域に仕事用の資材を置き、裁判で争い、罷りならんと言い渡されたケースがありました。
つまり、お墓以外の目的での使用もご法度です。

改葬などで不要になったお墓は、墓石を建てる前の更地の状態に戻して、墓地の管理者に返還するのが基本です。
他人に譲ることはできません。
無断で使用権を他人に譲るなどした場合には、使用権を取り消すという規定を多くの墓地が設けています。

永代使用権の消滅

永代使用権は「永代」とあるため、この権利は子々孫々、末代まで保証されたものと思われがちですが、そうとばかりは言えません。

強制力や拘束力を伴う法律ではなく、単に墓地所有者との契約にすぎないので、契約解除、使用権取り消しも場合によってはありえます。
権利者が不明になったり、使用料が長期間未納になったりすると、権利は消滅します。

しかし、その場でも、墳墓そのものは勝手に排除することはできません。
改葬の手続きが必要となります。
また、墓地そのものの廃止についても、知事の許可が必要となります。

一般的な永代使用権が消滅するケース

墓地ごとに使用規定があり、多くの場合、その中に使用権の取り消しについての条項が記載されています。
使用権を取得した際には、確認しておくことが大切です。

墓地によって異なりますが、一般的には次のようなものがあります。

  • 使用承認を受けてから何の連絡もなく、既定の年数以上放置した場合
  • 使用名義人が住所不明になり、既定の年数以上経過した場合
  • 使用名義人が死亡してから既定の年数が経過しても承継する者がいない場合
  • 規定の年数以上管理料を納めなかった場合
  • 規定の目的以外に使用した場合
  • 無断で使用権を譲渡または転貸した場合
  • 使用許可を得るときに偽りがあった場合
  • 寺院墓地の場合、他の宗旨・宗派の方法で法要を行った場合
  • 寺院墓地の場合、名義人が改宗した場合

永代使用料は戻らない

お墓が何らかの事情で不要になり、墓地所有者に使用権を返すことになったとしても、永代使用料の返金はないと考えるべきです。
基本的に、いったん納めた使用料の返還はありません。

それだけに、使用権取り消しにあって損などしないように、くれぐれも注意しましょう。

永代使用権が消滅すると無縁墓になる

承継者との連絡ができなくなったり、管理者の未払い状態が続くと、墓地所有者からの公示後一定の期間をおいて、永代使用権が消滅してしまいます。

公示されたお墓は3~5年間承継者または縁故者が現れない場合は無縁墓となります。

墓地の使用規則は必ず確認しよう

墓地には、その墓地ごとの使用規則があります。
その規定に反した時は、永代使用権の取り消しの対象になります。

墓地は車などと違って、一度買うと簡単に買いなおすことはできません。
十分に使用規則などをチェックしてから契約しましょう。

使用規則で、お墓の承継者を三親等以内の親族に限るや、同じ姓を名乗る者に限定しているところもあります。

永代使用権の契約前というよりも、墓地選びの段階から、使用規則の取り消し条項を十分に注意して、これから先のこともある程度考慮した上で、検討することが肝心です。

使用規則の内容

使用規則には、次のような条項が定められています。

  1. 墓地使用者の資格と使用するときの規定
  2. 管理料
  3. 墓石の建立と墓石内の設備
  4. 墓地使用権の承継と取り消しの条項
  5. 墓地内の施設を利用するときの規定

などです。
墓地によっては、宗教(宗旨)、宗派などの規定も加わります。

重要事項が細かい文字で書かれていたりして、何ヵ所かの墓地の比較、検討の段階では見落としがちです。
熟読して、疑問点は質しておきましょう。

水はけなどのトラブルが生じたときのアフターケアなどの取り決めも忘れずに確認しましょう。

確認した後、墓地を決定、申し込み、契約を取り交わしましょう。

お墓を購入するときに重要視するポイント

メモリアルアートの大野屋のデータ

下記のデータは、メモリアルアートの大野屋が、関東・中部・近畿地方在住の40~60代の男女518名を対象に実施した2009年お墓に関する意識調査をもとにしたデータです。

お墓を購入するとき下記の項目をどの程度重要視しますか。(複数回答)

※実際に自分や家族のお墓を購入する(または永代供養墓に入る)予定がある方(59名)

項目とても重要重要普通あまり重要でない
価格・維持費57.6%37.3%9.6%0.0%
自宅からの距離42.4%51.8%15.7%3.6%
交通利便性35.6%48.2%21.7%4.8%
周囲の環境25.4%42.2%37.3%3.6%
管理体制32.2%51.8%20.5%1.2%
宗旨・宗派11.9%24.1%42.2%20.5%
霊園の規模0.0%12.0%49.4%26.5%
公営・民間等の経営形態5.1%19.3%55.4%18.1%
霊園のスタイル0.0%13.3%51.8%25.3%
継承者に関すること10.2%26.5%49.4%12.0%

このデータを見ると、お墓購入者予定者の実に約95%がお墓の価格・維持費が重要と考えていることがわかります。
また、同じく自宅からの距離も約94%の購入予定者の方が重要と考えています。

鎌倉新書のデータ

次は、霊園のポータルサイトを運営する株式会社鎌倉新書の調査データです。
※第7回 お墓の消費者全国実態調査より(調査日:2016年2月29日)

霊園を選んだポイントグラフ

お墓を購入する決め手となった理由の1位は、交通/アクセスです。
現在の居住地の近くや交通の便の良い場所をお墓を選ぶポイントにしていることがわかります。

2位以下は、園内の雰囲気価格/予算周辺環境管理状況と続きます。

お墓を選ぶ際に何をポイントにすべきか?

データにもあるように、自宅からの距離や交通、アクセスの利便性は、お墓を選ぶにあたって重視したほうがよいでしょう。
遠い、不便という印象をもった墓地や霊園は、候補から外してもよいでしょう。

また、注意したいのが、送迎ありと書かれている石材店のチラシです。
なぜなら、この送迎ありは、霊園が行う送迎ではなく、石材店が霊園見学からお墓を建てるまでは送迎するといった意味で、お墓を売るためのサービスの一環として、実施している場合があるからです。
このような送迎ありでは、確かにお墓が出来上がるまでは霊園と最寄駅の間の送迎をしてくれますが、お墓が完成して、石材店としての仕事が終わると、その後の送迎を行ってくれない場合があります。
肝心のお墓参りのときに、非常に不便になってしまいます。
事前に確認しておくようにしましょう。

監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

永代使用ということばは法律上の用語ではなく、祭祀承継者がいる限り期限を定めずに代々承継して使用できる、つまり永代にわたってという意味になります。永代使用権があることと、更新手続きの有無、更新料の支払い義務は別問題です。寺院墓地によっては更新という概念がない場合もあります。永代使用の具体的な内容については墓地・霊園との契約に定められた内容によって決まります。実際は、管理料が支払われなくなり、一定の手続きを経て永代使用権を失うことになります。このように永代の概念が明確ではなく、誤解を招くことから「墓地使用権」といったり、単に「使用権」とする墓地・霊園もあります。なお、墓地使用権は、管理規則等に規定がある場合はもちろん、規定がなくても第三者に貸したり売却することはできません。

関連記事