これを読めばすべて分かる!お彼岸のお墓参りをどこよりも詳しく解説

忌中、喪中過ごし方

お墓参りのお彼岸とは?徹底解説

  • お彼岸は春秋の分の日を中心に7日間で先祖供養を行う期間。
  • お墓参りには掃除道具、供物、数珠が必要で、法要のお布施は3〜5千円が目安。
  • お墓参りは春秋分の日や週末に好まれ、午前中の訪問が推奨される。
  • お墓参りの際は普段着で、掃除しやすい服装が好ましい。

春と秋の年に2回あるお彼岸は、お盆と並んでお墓参りに行くべき時期とされています。
どうしてお彼岸にお墓参りなのか。

そんなお彼岸のお墓参りについて詳しい解説をさせていただきます。

みなさまのお墓参りで、ご先祖様も喜ばれ、みなさま自身の心も晴れやかになりますように。
この記事が、その一助になれば、幸いです。

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この記事の目次

  1. 年2回あるお彼岸の期間について
  2. お彼岸の時期と期間の決まり方
  3. 秋分の日はお墓参りの日
  4. お墓参りに必要な持ち物・お布施について
  5. お彼岸のお墓参りに選ぶ花の種類
  6. お彼岸におけるお墓参りに行くタイミング
  7. お彼岸のお墓参りの服装は普段着でもOK
  8. お彼岸のお墓参りに行けない時の対処法
  9. まとめ
  10. 監修者コメント

年2回あるお彼岸の期間について

お彼岸とは、季節の変わり目に行われる先祖や死者の供養をする期間のことです。
年に2回ある彼岸ですが、それぞれ、春分と秋分を中心にしています。

彼岸は昼と夜の長さが同じになる日

春分も秋分も、太陽が真東から昇り真西に沈む。
つまり、昼と夜の長さが同じになる日で、この日を境に、冬は春になり、夏は秋になっていきます。
長い冬を終えて春の到来に喜びを感じる春のお彼岸。
夏の暑さが和らぎ、田んぼの収穫と祭りの季節を迎える秋のお彼岸。

日本には四季があり、日本人は季節感に敏感だと言われていますが、季節の変わり目、その境目に死者と生者が交流するところに日本らしさを感じるのは筆者だけでしょうか。

春のお彼岸も秋のお彼岸もそれぞれ7日間

お彼岸は、春分と秋分の日を中心に行われます。
春分と秋分をそれぞれの「彼岸の中日」として、前後に3日ずつ、合計で7日間が彼岸です。

一番初めの日を「彼岸の入り」と呼び、最後の日を「彼岸の明け」と呼びます。
どうして7日かというと、彼岸の中日には自分の先祖の供養をし、その他の6日間では、「六波羅蜜(ろくはらみつ)」と呼ばれる、悟りの境地にたどり着くための6つの徳目を1日ずつ修める修業の期間とされているからです。

ちなみに、この悟りの境地こそが「彼岸」です。
迷いや煩悩の世界が此岸(こちら岸)であるならば、悟りの世界こそが彼岸(あちら岸)なのです。

六波羅蜜とは彼岸に行くための6つの行い

「波羅蜜」とは悟りの世界、つまり彼岸に行くことです。
そして、それを実現させるためには次の6つの修行をするよう説かれています。

  • 布施(ふせ)
  • 持戒(じかい)
  • 忍辱(にんにく)
  • 精進(しょうじん)
  • 禅定(ぜんじょう)
  • 般若(はんにゃ)

これらを1つずつ、ご説明いたします。

  • 布施(ふせ)
    布施とは、他人に施しをすることで、自分のことばかりでなく、相手の利益になることを考え実践することです。
    「施し」にもいろいろなレベルがありますが、お金や衣服などの金品の施し(財施)、仏の教えを周りの人たちに説くこと(法施)、災難や困難に遭っている人に寄り添い慰めること(無畏施)などがあります。

    いまではお寺様に包む謝礼のことを「お布施」と言いますが、本来は、人としての生き方、悟りの世界にたどりつくための指針みたいなものだったのですね。

  • 持戒(じかい)
    持戒とは、「戒律(かいりつ)」と呼ばれる仏道の修行者としての生活規範を守ることです。
    「戒」は、自分を律する内面的な規範のこと。
    「律」は、僧団で守る集団的な規則のこと。
    律に定められた禁戒(〜してはいけないという決まり)を守ることが、出家者として大切なこととされています。

  • 忍辱(にんにく)
    忍辱とは、耐え忍ぶことです。
    どんな怒りやイライラにも心を波立たせないことです。とても難しいですよね。
    耐え忍ぶと言っても、ただいやなことを我慢するのではなく、憎まれても報復の心を起こさず(耐忍)、いい時も悪い時も常に心の状態を一定に保ち(安忍)、この世は全て「空」だと悟ることで安らかな心になれる(諦忍)と言われています。

  • 精進(しょうじん)
    精進とは努力することです。
    日本では「精進料理」などという言葉で有名ですが、悟りの境地にたどりつくための努力(=精進)をしている修行者は殺生したものを口にしてはならないことから、この言葉があてがわれています。

  • 禅定(ぜんじょう)
    禅定とは、心を静めて定めることです。
    禅定で一番連想しやすいのは「座禅」でしょう。足を組んでじっと座り、心を落ち着けます。
    座禅は主に禅宗における修行の方法ですが、それ以外にも天台宗の「止観」、真言宗の真言、浄土宗や浄土真宗の「南無阿弥陀仏」を称える称名念仏、日蓮宗の「南無妙法蓮華経」を称えるお題目なども、禅定に至るための修行だと言われています。

  • 般若(はんにゃ)
    般若とは、深い智慧のことです。
    これまでの5つの波羅蜜を成り立たせるための根拠となるものです。
    ちなみに、私たちに一番なじみ深いお経が「般若心経」です。
    わずか262文字で構成され、世界中で最も短いお経として有名で、その中に大乗仏教の神髄が込められていると言われているほどです。

お彼岸の時期と期間の決まり方

お彼岸の時期はいつで、期間はどのようにきめられているのでしょうか。

【2024年】お彼岸の時期

2024年の春分と秋分、ならびにお彼岸の期間は次のようになります。

  • 2024年春分:3月20日(水・祝) お彼岸の期間は3月17日(日)~3月23日(土)
  • 2024年秋分:9月22日(日・祝) お彼岸の期間は9月19日(木)~9月25日(水)

お彼岸の決まり方 

その年のお彼岸の期間は、春分や秋分を中心に決められます。
春分は3月20日から21日。秋分は9月22から23日ごろです。

毎年同じ日でなく、若干のズレが生じてしまうのは、地球が太陽の周る日数が365日ぴったりではないからです。
厳密にいうと、365.24219日だそうで、365日と6時間かけて、太陽の周りを一周する計算になります。

春分は春分点(太陽黄経が0度の地点)を通過する瞬間を含めた日に定め、秋分は秋分点(太陽黄経が180度の地点)を通過する瞬間を含めた日に定められているために、その年によって暦が変わるのです。

秋分の日はお墓参りの日

彼岸花

お彼岸にはお墓参りがつきものですが、秋分の日が「お墓参りの日」だということをご存じですか?
秋分の日は”国民の祝日に関する法律”の中で「祖先をうやまい、亡くなった人を偲ぶ」ことを趣旨としています。

ちなみに春分の日は、「自然をたたえ、生物をいつくしむ」とあります。
このことを受けて、石材関連の業界団体である日本石材産業協会が、日本記念日協会に申請し、2013年に制定されたのです。

このころになると、真っ赤な彼岸花が土手やあぜ道や墓地の傍に咲き誇ります。
秋のお彼岸はお盆とお祭りの間の季節でもあり、人々が一年の収穫をご先祖様に感謝する季節でもありました。
その名残はいまでも受け継がれ、一年で有数のお墓参りの時期とされています。

お墓参りに必要な持ち物・お布施について

お彼岸には、お墓参りをして、彼岸法要に参列します。
お墓参りやお寺へのお参りの時はどのようなものを用意すればよいのでしょうか。
それぞれに必要な持ち物をまとめました。

お墓掃除のための道具

お墓参りをするにはまずはお墓をきれいに掃除します。
お墓掃除に必要なもの、あったら便利なものをまとめました。

  • スポンジ・タオル
    墓石を磨くためにスポンジとタオルは必須アイテムです。
    筆者のおすすめは、スポンジで汚れを落として、タオルで水気を拭き取る方法です。
    スポンジは水が切りやすいため、汚れ落としの効率が上がります。

  • 柄付きブラシ
    花立ての中を掃除するために使います。
    花の茎が納まる上に水の逃げ場がないために、水が汚れやすくなる箇所です。

  • 歯ブラシ
    文字の彫刻部分の内部は、指が入りづらく、掃除が難しいため、歯ブラシが便利です。
    先が細く、毛先が固いものがおすすめです。

  • バケツ
    掃除用の水と、お供えや水やり用の水は分けて使用しましょう。

  • ほうきとちりとり
    足下の落ち葉やごみを掃き取ります。

お墓へのお参りのための道具

数珠と

お墓の掃除が終わるとお供えをして手を合わせます。
お参りに必要なものをまとめました。

  • 数珠
    数珠は、祈りのための道具です。お墓参りの時は必ず持参しましょう。

  • 供花
    お墓参りの時にはお花を一対お供えします。墓花として組んであるものもありますし、気に入ったものを買ってその場で組んで供えてあげてもいいでしょう。

  • 供え物
    お供え物は、お参りの時だけ供えて、帰る時には一緒に持ち帰りましょう。
    鳥や動物が墓地を荒らしてしまう原因になります。
    お彼岸のお供え物といえば、「おはぎ」と「ぼたもち」です。
    秋に咲く萩の花と、春に咲く牡丹の花にちなんで、秋はおはぎを供えて、春はぼたもちを供えます。

  • 線香・ローソク
    線香とローソクを灯しましょう。これにお花を加えたものを「三具足」や「五具足」と呼び、仏教寺院でも仏壇でもお供えする大切な物とされています。
    ローソクで灯りを灯して、その火で線香を焚き、煙をくゆらせることでその場が浄化されていきます。
    心を鎮めて、手を合わせましょう。

  • 杓と桶
    お墓には必ず水を溜めるくぼみがあり、その中に水を供えます。
    これは、喉の渇きに苦しんで亡くなっていく死者が飲み水に困らないように作られたものだと言われています。

彼岸法要などのお布施

彼岸法要のお布施の額は、3,000円〜5,000円が相場でしょう。
もしも個別に供養をしてもらうのであれば、30,000円~50,000円前後が相場だと思われます。

彼岸法要とは、お寺の檀家や信徒が本堂に集まって、ともに供養をする法要です。
彼岸が「六波羅蜜」を修める修行の期間と考えられているため、あらゆる仏教寺院では法要が執り行われています。

お彼岸のお墓参りに選ぶ花の種類

お墓参りに持参するお花に決まりはありません。菊でも洋花でも構いません。
お店に行けば、すでに墓花として組んであるものもありますし、好みの花を買って自分で花を活けるのもよいでしょう。

年中お墓用の花として用いられているのは、菊やカーネーションです。
秋の季節の花でお墓のお供えに向いているのはトルコキキョウやリンドウなどもよいかもしれません。
秋の彼岸のお花と言えばヒガンバナですが、全国各地で不吉な花とされているため、お供えの花にするのは控えましょう。

お彼岸におけるお墓参りに行くタイミング

お彼岸のお墓参りのタイミングに決まりはありません。
お盆であれば、各地の風習が根強く残っているようですが、お彼岸はそうでもないようです。

彼岸の中日(春分や秋分)や彼岸期間中の土曜日・日曜日

最も好ましいのは彼岸の中日。春分の日や秋分の日です。
この日はカレンダーも祝日に当たるので、仕事や学校が休みという人も多いのではないでしょうか。

仏教的にも、7日ある彼岸の内の6日間は修行の日ですが、彼岸の中日は死者供養の日とされています。
また、彼岸の中の土曜日や日曜日にお墓参りする人が多いようです。

寺院の法要にあわせる

もしもお寺の彼岸法要にお参りされるのであれば、それにあわせてお墓参りするのもいいでしょう。
境内にお墓がある場合はもちろんのこと、そうでない場合も、お寺できちんとした供養をしてもらったあとのお墓参りもきっとご先祖様も喜ばれるのではないでしょうか。

お墓参りにおすすめの時間帯

時間帯にも決まりはありません。
霊園や墓地が開いている間であればどの時間でも構わないでしょう。
筆者がおすすめなのは午前中です。
午前中は日差しもすがすがしく、きれいな空気の中でのお墓参りはこちらの心も晴れやかにさせてくれます。

お彼岸のお墓参りの服装は普段着でもOK

お墓参りの服装は普段着で構いません。
葬儀や法事では礼服を着用しますが、お墓参りは儀式でもなければ喪に服すことでもありません。
むしろ、お墓掃除のしやすい服を着用することをおすすめします。

お彼岸のお墓参りに行けない時の対処法

お墓参りは行ける時に行くのが一番です。
お盆やお彼岸にお墓参りをするというのは、あくまでも社会全体で死者やご先祖様を大事にしようということではじまった風習だと考えます。
仕事やなにかの用事でどうしてもお墓参りできない人は、自分たちの行ける時にお参りしてあげましょう。

まとめ

いかがでしたか?
この記事を参考にしていただいて、ぜひともお墓参りに足を運んでみてください。
春であれ、秋であれ、お彼岸時期はお墓参りのしやすい季節です。

みなさまがお参りに来てくれるだけ、お墓の中におられる亡くなった人やご先祖様はきっと喜んでくださるはずです。
では最後にこの記事のまとめをさせていただきます。

この記事のまとめ

  • 彼岸は春と秋と年に2回ある
  • 春分の日、あるいは秋分の日を彼岸の中日として、前後3日間、合計7日間が彼岸の期間
  • 春分や秋分は太陽が真東からの昇り、真西に沈む日。昼と夜が同じ時間になる日
  • 「彼岸」とは悟りの世界を指し、反対に私たちが住む煩悩の世界を「此岸」という
  • 7日間あるうちはの中日は死者供養の日で、その他の6日間は「六波羅蜜」という、彼岸に行けるための6つの修行を行う日とされている
  • 2024年の春分は3月20日。お彼岸は3月17日~3月23日 
  • 2024年の秋分は9月22日。お彼岸は9月19日~9月25日
  • 春分や秋分は年によって日がずれるので、彼岸の期間もそれにあわせてずれる。
  • 秋分の日はお墓参りの日
  • お墓参りに必要なもの
    • 墓掃除の道具(スポンジ・タオル・柄付きブラシ・歯ブラシ・バケツ・ほうき・ちりとりなど)
    • お参りの道具やお供え物(数珠・供花・線香・ローソク・杓と桶)
  • 彼岸法要のお布施の相場は3,000円から5,000円。個別の供養の場合は30,000円から50,000円。
  • お墓に供えるお花に決まりはない
  • お彼岸のお墓参りのタイミングにも決まりはない。春分、秋分の日や土日がよい。時間帯は午前中がおすすめ
  • お彼岸のお墓参りの服装は普段着で構わない

監修者コメント

監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

お彼岸といえば、お墓参りをイメージする人が多いと思いますが、仏教ではこちらの世界(此岸)から、あちらの世界(彼岸)へ到達するための六波羅蜜という修業を実践するための仏教教化週間と位置づけられています。しかし、お墓参りをして寺院で法要を営むという過ごし方は日本独自の習俗であり、これは「暑さ寒さも彼岸まで」という風土と深く関係していると言えるでしょう。春には五穀豊穣を祈り、秋は収穫を感謝するタイミングとして、彼岸の考え方が次第にマッチングしていったのではないでしょうか。

お彼岸の食べ物といえば「おはぎ」ですね。漢字で書くと「お萩」となるので、秋に咲く萩の花にちなんで名づけられたと言われています。季節感をあらわすのであれば、春のお彼岸は牡丹の花にちなんが「ぼたもち」が適しているのだとか。