お墓の相続でもめないために知っておきたい7つのポイント

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地蔵の前に供えられた仏花

お墓を誰が管理していくのか、これが大きな社会問題となっています。この問題で悩んでいる方は、実は結構多いのです。

その理由の一つが、「高度経済成長の時代に地方から都会にたくさんの労働人口が流れ込んだこと」にあります。血縁だけでなく地縁でもつながっていた一族が、日本中に散らばって暮らすようになったからです。

その結果、生活拠点が先祖のお墓から離れてしまい、お墓の管理できないという問題が発生したのです。

もう一つの理由は、「核家族化・少子化」です。家族単位で暮らすようになり、先祖代々の墓を守るという概念が揺らぎました。家族の墓を持つことが普通のことだ、と思う方が増えたのです。

しかも子どもが一人しかいない場合で結婚相手も一人っ子という場合、互いの親の墓をどうするのかという切実な問題が起きてしまうのです。

この記事で解消できる疑問

  • お墓の継承者はどうやって決めるのか
  • 相続放棄をしてもお墓は継ぐことができるのか
  • 無縁仏になったお墓はどうなるのか

このような場合に、誰がお墓を管理しなければならないのか、誰がお墓を相続するのかを明らかにしていきたいと思います。

お墓を相続する人「祭祀継承者(さいしけいしょうしゃ)」の決め方

お墓を管理・相続する人を、「祭祀継承者(承継者)」といいます。これは、民法という法律の第897条に次のような定めがあるからです。

「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、…(中略)…、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継」させると規定しています。

簡単に言うと、お墓を管理し祖先を敬う代表者(祭祀主宰者)は、慣習に従って決まるというのです。

祭祀継承者を決める慣習とは

古くからある慣習で一般的なのは、

  1. 長男
  2. 配偶者
  3. 存命の親
  4. その他の兄弟姉妹
  5. その他の親類

という順番でしょう。

その長男がいなければ主の配偶者が継ぎます。配偶者がいなければ主の親が存命であれば継ぎます。親もいなければ次男などの兄弟姉妹、兄弟姉妹がいなければ他の親類の中から選ぶという流れです。大黒柱である主が亡くなると、長男が承継するのが原則です。

子どもはいるが、男子がおらず長女などの娘しかいない場合は、次男と同じように四番目という扱いになります。このような慣習が根付いているならば、それに従って決めざるを得ないことになります。

このようにみてくると、ここにいう慣習というのは、家長制度を背景にしていることがうかがわれます。ですから、相当古いものなので、既に廃れてしまっている場合も多いはずです。

逆に今でもしっかりとその慣習を受け継いでいるケースもあるでしょう。特に地方では、いまだに根強くそのような慣習を守っているところもあるようです。

地域の慣習として、今ご紹介したものとは異なる慣習も当然存在しますので、先ほどの例はあくまで参考としての理解をお願いいたします。

慣習以外で祭祀継承者が決まる場合

慣習以外で決まる方法には三つあります。

慣習以外で祭祀継承者が決まる場合

  • 故人の指定
  • 裁判所による指定
  • 相続人全員での話し合い

慣習が存在しても、故人が遺言などで祭祀主宰者を指定していれば、その指定が優先されます。

慣習もなく、故人の指定もなければ、裁判所に決めてもらうことも可能です。「前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める(民法第897条第二項)。」

実際のところ、慣習が根強く残っていない場合には、相続人どうしで話し合って決めることが多いように思います。遺族が先祖代々のお墓と遠く離れて生活している場合には、親戚に管理費用を支払い、その費用で墓守をしていただくというようなケースは少なくありません。

生前にお墓を相続することができるのか

お墓について考える夫婦

一般的には親であることが多いと思いますが、祭祀主宰者が元気なうちに次の祭祀主宰者を決めておくことは、全く問題ありません。逆に、できればそうしておくことの方が、トラブルを回避することにつながります。

喜んで引き受けられない事情があるのならば、祭祀主宰者の生前にお墓を継承する条件交渉も十分に可能だからです。

たとえば次男がお墓を相続するならば、長男は祭祀に関しては一切口出ししないとか、次男には長男より多く遺産を相続させるというような話し合いが、父親を通して可能となるのです。

子どもが娘しかいないならば、お墓を相続することを条件に遺産を相続させるというような考えを伝えておくことも可能です。もしくはお墓を守るための信託契約を交わしておくというのも、一つの方法として考えられます。

このような話し合いが平穏にでき、解決策をスムーズに見出せるのは、やはり祭祀主宰者が元気でおられるからです。これが祭祀主宰者の亡くなった後ともなると、大いにもめる原因となり、いわゆる「争族」問題となってしまうこともあります。

お墓を相続したときにすること

慣習や故人の指定、裁判所の選任などにより、先祖代々のお墓を相続した人は、いったい何をすればよいのでしょうか。

先ずは親戚関係に、自分がお墓を相続・管理することを伝えるとともに、墓前にその報告をしましょう。

そして、お墓があるお寺や霊園に自分が相続・承継する連絡をします。
お墓を相続したからといって、この段階で大きな負担を負うことはありません。

問題は相続したのち、定期的なお墓参りや行事を執り行う必要があるということでしょうか。その都度親戚一同に連絡をする必要もあります。お寺へのお布施の負担も発生します。

親が眠るお墓を相続するような場合は、兄弟姉妹でどこまでの範囲で弔えばよいか相談し、お互いに無理のない範囲で見守っていけばよいと思われます。

お墓の土地は個人のものではない

お墓を相続するということは、具体的に何を相続することになるのでしょうか。
この問題を考えるにあたって、まずは「お墓を買う」ということについて先に確認しておかなければなりません。

「お墓を買う」とは

日常生活の中で、「お墓を買った」という発言を耳にすることがあるかと思います。また折り込みチラシ等に「一区画の販売価格〇〇万円」というような表現があることも事実です。

しかし実際のところ宅地とは異なり、この販売価格というのは、霊園やお寺の墓地の使用料に過ぎないのです。正確にいうと、「永代使用料」ということになります。つまり借りる費用です。

墓石代込みという販売価格表示もありますが、基本的に墓石代は別途石屋さんに支払うことになります。更に付け加えるならば、永代使用料の他に毎年の管理料を納めなければなりません。

「お墓を相続する」とは

「お墓を買う」とは、「お寺や霊園の一区画を使用する権利を得た」ということが理解できますと、「お墓を相続する」とは、その使用権利を受け継ぐことだとお分かりいただけたのではないでしょうか。

お墓を相続するということは、墓地・霊園の一画の所有権を得ることではないのです。永代使用できる権利を相続したに過ぎないのです。さらに権利と同時に年間の管理料を納める債務をも相続したことにもなります。

そのため、万が一お墓を相続する人(祭祀継承者)がいなくなってしまうと、管理料が納められないので、残念ながら無縁墓(むえんばか)となってしまい、その区画の使用権は消滅してしまいます。

お墓は「祭祀財産」だから相続に税金はかからない

相続、税金対象外

祭祀財産であるお墓は、相続税の対象にはなりません。

お墓を相続しても、そのお墓の土地の所有権を取得するわけではありません。あくまで永代使用権を相続するだけです。しかもお墓は、常時経済的な価値をもって取引されている純粋な「商品」とも性質が異なります。

あくまでも先祖を敬うためのものです。そのために、「祭祀財産」という分類をされ、相続財産には含めないということになっています。

税金がかからないから生前にお墓を買う人は増えている

金融資産や不動産をお持ちの方が、それらの財産を遺して亡くなると、場合によって相続税が発生します。たとえば5千万円の資産を持っている方の場合、場合によってその5千万円に対して相続税が課せられます。

しかし生前に高級墓地を1千万円で購入したならば、相続税の対象は4千万円だけとなるのです。そのために、生前に新たにお墓を購入して、相続税を少なくしようと考える方がおられます。

ただし純金の仏像などを購入したり、美術品としての価値を持つような仏具を手に入れたりすると、それらは祭祀財産ではなく経済的取引上の価値を持つ資産だと、税務署が判断する可能性がありますから、ご注意ください。

相続放棄をした場合にお墓を継承できるのか

相続放棄をしても、お墓は継承できます。

事情があって相続放棄をしなければならないという場合に、お墓はどうなってしまうのだろうと心配をされる方がおられます。

しかしお墓は祭祀財産であり、相続財産からは除外されておりました。つまり、相続放棄をしても、お墓を相続することは可能だということになります。

逆に相続放棄したからもう関係ないと思っていても、お墓の管理料を請求される可能性が出てきてしまいますので、そこはしっかりと確認しておく必要があります。

お墓を継承する人がいないときのお墓のゆくえ

子どものいない方や生涯独身で過ごされる方が増えてきたこともあり、お墓を継承する人がいなくなるという話が増えてきました。

このような場合には、無縁墓となり、合祀墓、合葬墓、共同墓などといわれる永代供養墓に移され、先祖代々のお墓はなくなってしまいます。

行政的な手続きを踏むだけではなく、相続人を探す手間をかけなければならないため、短期間でお墓が撤去されることはありません。官報に掲載し、更に、無縁墓の見やすい場所に一年間立札を置き、お墓に関する権利を持つ人を探すことが必要とされます。

明らかに相続人がいないことがはっきりとしているような場合を除いて、このように時間をかけなければ、お墓の撤去は簡単には行えないのです。

お墓が撤去ということになりますと、墓石は廃棄されます。行き場を失った墓石の墓場となっているような場所もあります。大変寂しい現実です。

墓じまいを自分で行う

お墓の継承者がいない(お墓を相続する人がいない)ことが分かっているならば、事前にその対応をしておけば、多少は気持ちが楽になるのではないでしょうか。

たとえば自ら墓じまい(永代供養墓に移す)を申し出て、きちんと閉眼供養をしてもらうという方法もあります。結果は同じでも、自ら手厚く供養するという点において、うしろめたさを感じずにすみます。

また年間管理料をまとめて数十年分支払っておくということも選択肢となります。

まとめ

お墓を相続するのは、故人が指定した人ということになりますが、その指定がなければ慣習により決まります。この慣習は家長制度をベースにしていることが多いので、長男が継ぐという発想です。

次男や娘たちは、長男がいないときに継ぐという位置付けです。

しかし、相続人同士でお墓の相続人(継承人)を話し合って決めたとしても、全く不都合はありません。次男や娘たちが継いでも大丈夫です。

お墓は祭祀財産ですから、相続放棄をしても継ぐことが可能ですし、相続税の対象にもなりません。しかし管理料を払い続けなければならいということは、知っておかなければなりません。

一口にお墓・霊園と言っても、豊かな自然を背景にしたり、規模や宗派だけではない様々な特色があります。
お住まいの地域・ご実家の近隣などで、どんな霊園があるかご覧になってはいかがでしょうか?

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