納骨堂のお供え物にNGはある?適した品物や正しいマナーをご紹介

【納骨堂 お供え物】 アイキャッチ画像

納骨堂のお供え物とは?徹底解説

  • 納骨堂のお供えは持ち帰るべき。食品や花などはスペースと清潔を考慮。
  • お供えは食べ物や花など適切なものを。納骨堂では量を抑え持ち帰りを心がける。
  • 納骨堂へのお供えは後片付けを考え、少量に。お寺へは扱いやすさを意識する。

一般的なお墓とは違い、納骨堂は屋内の施設です。そのため、お墓参りをする際のお供え物についても一般墓とは異なります。

この記事では、そんな納骨堂でのお供え物について、わかりやすくご紹介します。

この記事の目次

  1. 納骨堂にお供え物はOK!ただし基本は持ち帰る
  2. 納骨堂のお供え物に適したもの~お供えする時の注意点~
  3. 納骨堂でのお供えの「タイミング」と「場所」
  4. 納骨堂にお供え後の「お供え物」の取り扱い
  5. まとめ
  6. 監修者コメント

納骨堂にお供え物はOK!ただし基本は持ち帰る

仏壇へのお供え物の果物

納骨堂へはお供え物を持参しても構いません。ただしお供えをするのはお参りの時だけで、お供えしたままにせずに持ち帰るのが基本です。

納骨堂へのお供え物は持ち帰るのが基本

納骨堂へのお供え物は持ち帰るのが基本です。これには次の2つの理由が挙げられます。

  • お供えスペースに限りがあるため
    納骨堂は、限られたスペースの中でたくさんの人が利用できるように作られているため、屋外のお墓などと比べてお供え物を満足に置けるスペースがありません。納骨堂の中でもっとも主流なのはコインロッカーのような形状の「ロッカー型」ですが、遺骨を並べるだけで中はいっぱいになってしまいます。わずかにスペースの余裕があるとしても、お供え物よりも位牌や遺影を置く人が多いようです。
  • 清潔を保つため
    もう1つの大きな理由は、納骨堂の中を清潔に保つためです。納骨堂は屋内施設です。お花や食べ物や飲み物などの生ものをお供えしたままにしておくことで、それらが傷んで虫が発生し、悪臭が堂内にこもってしまいます。そのため、「仏壇型」や「自動搬送型」と呼ばれる比較的スペースに余裕のある納骨堂であっても、お供え物は持ち帰りが基本です。

最近では屋外のお墓ですら、生花以外の持ち帰りは基本とされているくらいですから、屋内施設である納骨堂ではなおのことです。

納骨堂について基本的な知識から確認したい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

【注意】位牌型・棚型の納骨堂はお供えできない場合あり

納骨堂にはさまざまなタイプがありますが、上に挙げた以外の「位牌型」や「棚型」の場合はお供えそのものができないことがあります。

位牌型とは、故人さまの位牌を堂内の棚にずらっと並べて供養をするタイプで、遺骨は一箇所に集めて保管するのが一般的です。また、棚型とは骨壷そのものを棚に並べて供養するタイプのことです。これらの場合、遺骨に対して個別に手を合わせる場所がないため、堂内の本尊に向かって礼拝します。仏さまへのお供えはできますが、位牌や骨壷に直接のお供えはできないのが通例です。

お供え物による取り決めはお寺によっても異なります。詳しくは納骨されているお寺へ直接お問い合わせください。

まずは、納骨堂へのお供え物は「持ち帰りが基本」ということがご理解できたかと思います。では、納骨堂へのお供え物にはどのようなものが選ばれているのでしょうか。 

納骨堂のお供え物に適したもの~お供えする時の注意点~

デメリットを考える男性
お供え物は、仏さまや故人さまへの供養や感謝の想いを形にして贈るものです。
特に決まりはありませんし、故人さまの好物だったものをお供えしたいものです。とはいえ、あわせて”納骨堂”という場所柄に合うものを選ぶことも大切です。

納骨堂に適しているお供え物で、ここでは以下の4つをご紹介します。

  • 食べ物
  • 飲み物
  • お花
  • 線香・ロウソク

ちなみに、上に挙げた4つは、仏教における基本的なお供え物の「五供(ごくう)」に基づいています。五供とは、「香」「花」「灯明」「水」「飲食」の5つのお供え物のことです。納骨堂に限らず、お寺や仏壇やお墓でもこれらの五供をお供えするのが慣例です。

食べ物

お供え物といえば食べ物。故人さまが好物だったものをお供えしたいものです。お菓子や果物などがよく選ばれていますが、特に決まりはありません。ただし、納骨堂ではスペースに限りがあるため、何をどれくらい持参するかはその場にあわせて考えなければなりません。

個別にお供えする場所がないのであれば、礼拝の対象となる堂内の本尊に対してお供えします。菓子折りや果物カゴなど、体裁を整えてお供えをして、そのままお寺に差し上げることもできるため、包装やのしをつけるとなおのこと丁寧です。

食べ物のお供え物の具体例

食べ物のお供え物として選ばれるのはお菓子や果物です。お供えしたものはお寺に差し上げることもできますが、自宅に持ち帰るのが基本ですので、日持ちするものがおすすめです。

お菓子であれば、せんべい、まんじゅう、羊羹、カステラ、もなか、クッキー、焼き菓子、ゼリーなどが挙げられます。果物であれば、りんご、みかん、バナナなど、場所をあまりとらずに日持ちがするものがよいでしょう。

また、季節にあったお供え物もあります。お彼岸にお供えするぼたもち(秋のお彼岸ではおはぎ)や、お盆時期のきゅうりやナス、お正月を迎える時にはコンパクトな鏡餅をお供えする人もいます。

食べ物をお供えする時の注意点

食べ物をお供えする時には、お寺や他のお参りの方々へ迷惑にならないよう。次に挙げるポイントに注意しましょう。

  • においのきついものは注意
    においのきついものは、堂内に充満することで周りの人たちの迷惑になります。においがきつい食べ物には、キムチや納豆やニンニク、スナック菓子などが挙げられます。袋を開けないなど、周りの人たちに充分に配慮しましょう。

    また、仏教では古くから「五辛(ごしん)」と呼ばれる辛味や臭気の強い5種の野菜(にら、にんにく、ねぎ、らっきょう、あぎ)をとることを避けるべきとしていました。この名残から、お供え物にすべきでないとされています。

  • 堂内を汚す恐れのあるものは注意
    お供えをすることで堂内を汚す恐れがあるものも気をつけなければなりません。汁物やスープ類、タレやソースなどを用いたものは避けます。また、ゼリーや缶詰などもふたを開けることで中の汁がこぼれる恐れがあるので、ふたを開けずにお供えします。

  • いたみやすいものは注意
    お菓子や果物でもいたみやすいものの扱いは充分に注意しましょう。お菓子の場合はケーキやシュークリームや大福などの生もの、果物の場合は、桃やぶどうやいちごなどが挙げられます。

  • 大きいものはスペースの観点で注意
    限られたスペースなので、納まるかどうかを十分に考えましょう。たとえば故人さまがスイカやメロンが好きだったとしても、大きさによってはお供えできないこともあります。こうした場合は、小玉やカットされたものにしましょう。

  • 肉や魚など殺生したものをお供えする場合は配慮が必要
    納骨堂は寺院の中にあることがほとんどで、亡くなった人を偲ぶための公共空間です。そこに集まる人もさまざまな宗教観を持っています。そのため、露骨に殺生を連想させる肉や魚などのお供えはなるべく避けるようにしましょう。どうしてもお供えしたい場合も、周囲の人たちを不快にさせないよう、十分な配慮が求められます。

以上、食べ物をお供えする時の注意点をご紹介しました。

飲み物

食べ物と並んでお供えされるのが飲み物です。五供の中では「水」とされています。お寺の本堂や仏壇でも水を供えますし、墓石でよく見かけるくぼみもお供えの水がなくならないために作られているほどです。飲み物のお供えにも特に決まりがあるわけではなく、故人さまが好きだったものをお供えしてあげましょう。お茶やジュース、アルコールなどが挙げられます。

飲み物をお供えする時の注意点

飲み物をお供えする時には次の点に注意しましょう。

  • 液体がこぼれないように注意
    液体がこぼれて堂内を汚さないようにします。缶やビンやペットボトルに入ったものがおすすめです。栓やふたを開けずにお供えするのが望ましいのですが、中には栓やふたを開けることでお供えした気持ちになるという人もいます。その場合、くれぐれも飲み物をこぼさないよう充分に気をつけましょう。

  • アルコール禁止の納骨堂があるため注意
    納骨堂によってはアルコールの持ち込みを禁止しているところもあります。故人さまがお酒が好きだった場合にはお供えしたくなるものですが、納骨堂が定めたルールには従いましょう。

お花(造花・プリザーブドフラワー)

仏壇やお墓で必ずお供えされるのがお花です。しかし生花の場合、時間が経つことで枯れて傷んでしまうだけでなく、お供えで用いる水も淀んで不衛生です。そのため納骨堂では取り扱いに慎重にならなければなりません。お寺によって対応が異なるので、まずは事前に確認してください。生花の取り扱いは主に次の3つに分けられます。

  • 持ち帰ることを条件にお供え可能
  • 直接お供えできないが、別の場所にお供えできる
  • 花の持ち込み自体が禁止

お花の種類に特に決まりはありません。もっともポピュラーなのは菊です。その他、百日草やカーネーションなどもよく選ばれています。季節のお花を混ぜてもよいでしょう。生花店やスーパーでは「仏花」としてお供え用にすでに組んであるものも販売されてますので、花立の大きさにあわせて購入すると、すぐにお供えができて便利です。その他、地域の慣習からシキミや高野槙などの常緑樹を供えるところもあります。

また、スペースに限りのある納骨堂では、生花ではなく、造花やプリザーブドフラワーをお供えする人も多くいます。水が不要ですし、なによりもお花が痛む心配がありません。特にプリザーブドフラワーは、その質感が本物のお花と見間違えるくらいに精巧にできているためおすすめです。

造花についてメリット・デメリットを知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

お花をお供えする時の注意点

納骨堂でお花を供える時には次の点に注意しましょう。

  • 生花禁止の納骨堂があるため注意
    納骨堂の中には生花のお供えを禁止にしているところもあります。必ず契約時に確認しておきましょう。

  • においのキツイ生花には注意
    においのキツイ生花は、周囲に迷惑がかかります。たとえばユリの花は、においがキツイだけでなく、花粉が多く落ちやすいために堂内を汚しかねません。

  • お供えに不向きな花
    納骨堂に限らず、お墓や仏壇など、お供えに不向きとされているお花もあります。傷みやすいお花としてカサブランカ、毒のあるトリカブトやキョウチクトウ、トゲのあるバラなどが挙げられます。

線香・ロウソク

お仏壇やお墓に手を合わす時に、線香やロウソクのお供えは欠かせないものです。ローソクの灯りであたりを明るく照らし、線香の煙でその場の空気に清らかにします。しかし、納骨堂は屋内施設であるために、万が一の火事の恐れがあるため、火の扱いには充分に気をつけなければなりません。

線香・ロウソクをお供えする時の注意点

納骨堂にはたくさんの納骨壇が並び、その数だけ火を用いるとなると大変危険です。線香やロウソクをお供えする時にはくれぐれも火の元に気をつけましょう。納骨堂によっては火の使用を禁止しているところもあるほどです。その代わりのものとして電池式のロウソクや線香がよく使われています。また、個別の納骨壇の前では火の使用ができないものの、共有の礼拝スペースではロウソクを灯し、線香を焚いても構わないお寺もあります。

納骨堂のお供えに向いているものや注意点について、ご理解できたかと思います。では、実際に納骨堂にお参りした時にどのようにお供えすればよいのか。次章ではさらに踏み込んで解説いたします。

身内だけでなく、友人として納骨堂のお墓参りに行きたい方はこちらの記事も参考にしてみください。

納骨堂でのお供えの「タイミング」と「場所」

武蔵陵苑のロッカー型納骨堂

納骨堂でのお供えは、いつ、どこに、どのようにすればよいのでしょうか。納骨堂に不慣れな人、一度も足を踏み入れたことのない人のために、お供えのタイミングと場所をわかりやすく解説いたします。

お供えするタイミング

納骨堂に到着して、手を合わせる前にお供えをしてあげましょう。

お供えする場所

お供えをする場所は人それぞれ異なります。仏壇型やロッカー型や自動搬送型のように、手を合わせる場所と遺骨が置かれている場所が同じであれば、その場にお供えをします。位牌型や棚型のように、手を合わせる場所と遺骨が置かれている場所が異なる場合は、手を合わせる場所(堂内のご本尊や共有の礼拝スペース)にお供えをすることが慣例です。

納骨堂にお供えするスペースがない場合

納骨堂は広さに限りがあるので、お供えのためのスペースがないケースも多々見られます。そのような場合はどのうようにすればよいのでしょうか。

納骨スペースの前に移動可能な机を持ってきてもらう

お寺によっては、納骨壇の前にお供え用の机を設けているところもあります。自由に使えるよう可動式になっているものもあるので、お寺に声をかけると貸してもらえるでしょう。

個別の納骨スペースがない場合はお寺に相談をする

個別の納骨スペースがなく、故人様に直接お供えできない場合はお寺に相談しましょう。手を合わせる場所へのお供えになるか、あるいはお寺で預かってもらえるかもしれません。

お供え物は、手を合わす場所に置きます。そして心静かに手を合わせます。
さて、お参りが済むと、お供え物は持ち帰るのが基本ですが、その後、お供え物をどのように取り扱えばよいのでしょうか。

納骨堂にお供え後の「お供え物」の取り扱い

この章段ではお供えした後のお供え物をどのように扱えばいいかをご説明します。方法は、主に次の二つが挙げられます。

  • 自宅に持ち帰る
  • お寺にお供えする

では順番に解説いたします。

お供え物は全て持ち帰るのが基本

お供え物は全て持ち帰るのが基本です。特に食べ物、飲み物、生花などはそのままにしておくとそれ自体が傷んでしまい、不衛生です。納骨壇にお祀りされている故人さまやご先祖さまのためにも、さらにはお寺や周囲の人たちの迷惑にならないためにも、お供えしたものはお参りを終えたら持ち帰りましょう。

お寺へのお供えする場合はお寺が困らないよう配慮する。

もしもお供え物を持ち帰らずに、そのままお寺へのお供え物としようとするのであれば、受け取る側のお寺があとで扱いに困らないように配慮しましょう。箱詰めされたもの、小分けにして配りやすいものがよいでしょう。食べ物だと日持ちのする菓子、飲み物など缶ビールなどの詰め合わせや一升瓶などが挙げられます。包装やのしをつけると、なおのこと丁寧です。

お供え物によって堂内を汚していないかを確認

納骨堂を離れる際は、必ずお供え物の周辺を確認して、堂内を汚していないか確認します。次のような点に気をつけます。

  • 食べ物や飲み物があたりを汚していないか
  • お花の花びらや葉っぱが落ちていないか
  • お線香の灰が香炉のまわりを汚していないか
  • 火の元の危険はないか

みんなで使う納骨堂です。利用者全員が気持ちよくお参りできるよう心がけましょう。

仏壇にお供えして「お下がり」として召し上がる

お供え物は、自宅の仏壇にお供えしなおしても構いませんし、最後は「お下がり」として召し上がりましょう。「供養」ということばは、「お供えもので養われる」と書きます。つまり、神仏やご先祖様へのお供え物をいただくことが、そのまま神仏やご先祖さまへの供養となるのです。おうちの人がお供えしたものを「おいしいおいしい」と食べる姿に、きっと故人さまやご先祖さまも喜ばれることでしょう。

ただ、どうしても口にすることに抵抗がある人は、無理をしなくても構いません。お供えされた食べ物や飲み物は、納骨堂でお供えされた時点でその役目を果たしています。どうしてもということであれば、ゴミに出しても構わないでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。納骨堂は屋内施設だからこそ、気をつけなければならないことがたくさんあります。しかし、ルールを守り、マナーに気を配ることで、満足いくお参りができることでしょう。では最後に、この記事のポイントを箇条書きでまとめます。

  • 納骨堂にお供え物をしても構わないが、基本は持ち帰る
  • 納骨堂は屋内施設のため、お供えスペースに限りがある
  • 食べ物のお供え物には日持ちのするお菓子や果物が好まれる。匂いのきついもの、堂内を汚すもの、いたみやすいもの、殺生したものなどは避ける
  • 飲み物はあたりをよごさないよう、なるべく栓を開けない
  • お花は、生花の扱いに気をつける。造花やプリザーブドフラワーなどの枯れないお花がおすすめ
  • 線香やロウソクは火の扱いに充分に気をつける
  • お寺へのお供えとする場合は、小分けにできるものや箱詰めのものなど、扱いやすいよう配慮する
  • お供えしたものは「お下がり」としていただく

監修者コメント


監修者
終活・葬送ソーシャルワーカー
吉川美津子

納骨堂のお供えについては、各納骨堂によって規約がありますので、そのルールに従います。花の種類は規約に沿っていれば基本的には何でもかまいません。花粉の多い花は花粉を取り除き、トゲのある花は怪我をしないようにトゲも取っておきましょう。ユリは西洋の花というイメージがありますが、実は日本はユリの原種が多いことでも知られる世界に誇るユリ王国。万葉集にも登場しているほどで、古くから愛され続けていますから、避ける理由はありません。
プリザーブドフラワーについては、劣化品は色落ちがしやすく長い間納骨堂に置いておくと漆が化学変化してしまうこともあるそうです。
食べ物をお供えするときは、置きっぱなしにせず、すぐに下げていただくようにしましょう。日持ちするものが良いとされていますが、その日のうちに口にするのであれば、賞味期限にこだわらなくても良いでしょう。