例年、お盆の時期になると日本中の人たちが故郷に帰省します。実家の仏壇やお墓へのお参りを通じて家族や親せきやご先祖さまとのつながりを再確認し、古い友人や同級生と再会するという人も少なくないでしょう。

しかし今年(2020年)は、コロナウイルスが猛威をふるい、感染食い止めのために長距離の移動をともなう帰省を控える傾向にあるようです。また、非常事態宣言下では収まりを見せたものの、お盆を直前にして再び新規感染者が増加しています。Withコロナの時代に、私たちはどのようにお盆を過ごせば良いのでしょうか。考えてみましょう。 

いまお盆を直前にして、都市部を中心に新規感染者数が増えていることにも触れてください。

コロナの影響でお盆に帰省する人は少ない?!

コロナウイルスの影響で、どれくらいの人がお盆の帰省を控えるのでしょうか。ライフドットを運営する株式会社エイチームライフスタイルで社内調査を行いました。

2019年お盆の帰省について 2020年お盆の帰省について

<調査概要>
・調査時期:2020年7月28日~7月30日
・調査対象:20代~40代の男女111名

20代から40代の男女111人にアンケートしたところ、昨年帰省した人が全体の55.89%だったのに対し、今年帰省する予定の人は、全体の35.38%に留まり、今年に関しては帰省しない人が多いようです。

また帰省をしないと回答した人の9割が、帰省しない理由として新型コロナ関連の理由を挙げています。

<帰省しない人の回答ピックアップ>
  • 公共機関の利用(新幹線・電車)をしたことで感染リスクが高まることを懸念しているため。自分が感染していた場合、家族に移したくないため。
  • コロナ感染の懸念があるため
  • 特に地方においては新型コロナによる他県来訪者に対して厳しく、来訪後に実家近所からの心証を悪くさせないため

帰省する家族の感染リスクだけではなく、帰省先家族への感染させてしまうのではないかという心配から、今年は帰省しないという選択をする人が多いようです。お盆の帰省に関しては政府関係者や都道府県知事でも見解が分かれ、例年にない夏を迎えました。

お盆の期間に行うこととその意味

お盆飾り

これまで私たちは当たり前のように、お盆の時期に帰省していましたが、そもそもお盆とは何を行うための行事なのでしょうか。まずはそのあたりをもう一度おさらいしてみましょう。

  • ご先祖様をお迎えする

お盆には、私たちのルーツであるご先祖さまをわが家にお迎えします。仏間には、お盆のときだけ設置する「精霊棚」を飾り、両脇には提灯を吊るし、その灯りをたよりにご先祖様が帰ってくると言われています。「迎え火」「送り火」「盆踊り」「地蔵盆」など、地域によってもお盆行事は実にさまざまですが、その奥にあるのは、亡き人やご先祖さまとともに過ごすことがこの世界に生きる私たちの幸せにつながるという、日本人特有の死生観です。

  • ご先祖様以外のさまざまな霊の供養をする

 実はあまり知られていないのですが、お盆にはわがやのご先祖さま以外のさまざまな諸霊の供養を行います。日本中のお寺ではこの時期に「施餓鬼法要」を執り行われますが、これは、生前の強欲の報いとして餓鬼道に堕ちた衆生を施して救い、その功徳を先祖供養に振り向けるための法要です。自宅の仏間でも、餓鬼へのお供え物として、蓮の葉の上に洗い米と夏野菜を刻んだものをのせる「水の子」(地域によっては「餓鬼飯」)を用意します。社会全体が他者に対してもやさしくなるのがお盆です。

  • 親族や地域の人たちとのつながりを再確認する

 お盆には多くの人が故郷に帰省をします。故郷には、自分たちのルーツであるご先祖さまの祀られるお仏壇やお墓があり、お参りを通じて、ふだん遠く離れている家族や親戚とのつながりを再確認できます。また、盆踊りや地蔵盆などの行事が地域社会の結束を強めてくれる側面もあります。みなさんの中でも、お盆の帰省で古い友人と会うという人も少なくないのではないでしょうか。生者と死者という縦のつながりと、今この世界を生きている人たちとの横とのつながりが交錯するのが、お盆という行事なのです。

故郷に帰れなくても、自宅でできるご先祖様の迎え方

線香と仏花

コロナウイルスの感染防止のため、今年は長距離の移動を控える人が多いことが予想されます。毎年であれば欠かすことのないお仏壇やお墓へのお参りが今年に限ってはできないことを気に病む人も少なくありません。そんな人たちはどのようにお盆を迎えればよいのでしょうか。仏壇が家になくても、お墓参りに行けなくても、自宅にいながらできるご先祖様の迎え方をご提案いたします。

故郷に帰ることができなくても、わがやで迎え火と送り火を炊いてみてはいかがでしょうか。送り火や迎え火は玄関先やベランダで火をつけて煙が昇るだけで充分です。火を灯すためのおがらはホームセンターなどで売っていますし、受け皿も自宅にあるお皿で構いません。火をつけて、煙を上げて、ご先祖様に想いを馳せることに意味があります。

通常、迎え火は13日の夕方、送り火は15日か16日の夕方に灯します。ただし時期は地域によって異なりますので、故郷の慣習に則るのもよいでしょう。

  • ご先祖様へのお供え物を贈る・用意する

お仏壇のある実家にお供え物を贈ってあげてましょう。食べ物であれば、ジュースやビールなどの飲み物、そうめんや海苔などの乾物、ゼリーや焼き菓子などの食べ物などが好まれます。ポイントは、「日持ちがする」「あとにのこらない」「小分けにできる」という点です。もちろん故人様の好物だった食べ物や、少し上等のお線香を贈るのもよいでしょう。お供え物を贈ることがご先祖様への供養にもなり、家族親戚同士の交流にもなります。

また、お仏壇や祭壇がなくても、我が家の食卓でお供え物を用意することもできます。みなさんの食事を一人分だけ多く取り分けましょう。つまり、そこにご先祖様がいるものとして食卓を囲むのです。そこに故人さまやご先祖さまのお写真を飾ってみてもいいですね。ふだんより少しだけ贅沢なごちそうをご先祖様を感じながら楽しむ。こうした心配りが、ご先祖様の供養につながるはずです。

  • コロナ禍のお盆 お寺の対応

 お盆には、お坊さんによるお参り(棚経:たなぎょう)、あるいは檀信徒がお寺の本堂に集まる施餓鬼法要やお盆法要がつきものですが、今年に限ってはお寺によって対応が異なります。「自分のお寺はどうするのかな」と気になる人はまずは菩提寺に確認してみましょう。

 一部の寺院では、Withコロナにおける新たな供養のスタイルが模索されています。棚経や法要を中止にする代わりに、YouTubeなどを用いてオンラインで読経の配信をしたり、本堂での読経を電話でつないで檀家に聞こえるようにするなど、遠く離れていてもご先祖様を供養するさまざまな工夫が見られます。

まとめ

お盆のさまざまな慣習や行事を満足にできないこと帰省できないこと、また親戚同士が顔を合わせられないことを寂しく感じる人もいることでしょう。

しかし、お盆行事のもっとも大切な本質は、亡き人やご先祖さまとのつながり、そして家族や親族たちとのつながりを再確認することではないでしょうか。仮に帰省できなくても、お盆の本質に見合う行いをすることで、きっとご先祖様は喜んでくださるはずです。

今年のお盆はステイホーム。ゆっくりと、ご自宅の中で、ご先祖様との時間を過ごすのもよいかもしれませんね。

ご先祖さまの魂はひとつじゃありません。おじいさんおばあさんは、ご両親の中にもいるし、自分の中にもいる。だから、それぞれが迎え火を立てて、心の中でご先祖さまをお迎えしてあげてください。