納得できる遺言書を!騒動につながる6つのもと

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親に遺しておいてもらいたい「遺言」

ポイント:相続させる親の意思が反映され、相続する配偶者や子たち、みんなが納得できる遺言書を。

みんなが納得できる遺言書を

遺言書があればよいといっても、その内容が問題です。

被相続人としては決して悪意で書き残したものではないはずです。

しかし単純に「長男にすべて相続させる」などという遺言書を書いたりしたら、ほかの相続人は親から完全に無視されたと感じたり、ひどく不公平に感じたりします。そうなると、だれしも遺留分の主張をしたくなります。

ここから解決しがたい争いが起こることもあるのです。遺言書を作るにあたっては特別受益や寄与分、そして遺留分には慎重な配慮が必要です。

遺言書だけでは不十分

考え抜いた遺言書をつくればよいかというと、いま一歩です。というのは、被相続人としては万全な遺産分けを指示した遺言と思っても、所詮は自分の主観にすぎません。相続人の思惑を考慮してなかったり、逆に期待に反していることもあります。

自分の意思にしたがって遺産を相続させられないというのは悲しいことで、被相続人が自分の考えを相続人に押しつけることができて当然と考えるのもすべて間違いとはいえません。

とはいえ、遺言書をつくるに際しては、できるだけ配偶者や子どもなどの相続人の意思をいれて、遺言の内容を生前に相続人に納得してもらうのが最善です。

逆に、相続人側からは、親に子どもの全員が納得できるような遺言書を書き残しておいてもらうようにお願いするとよいでしょう。

こんな遺言は騒動のもと

①有効なのか無効なのか、すぐに判断できない自筆証書遺言

〈全文自筆で書く〉〈確定した年月日を書く〉〈署名・押印をする〉のは基 本中の基本だけれど……
○問題が起こりやすそうな遺言書
・コピーに押印してある遺言書
・本文に署名押印がなくて封筒に署名押印のある遺言書
・訂正に訂正を重ねて真意を判読しがたい遺言書
・不動産の指示が家族にしかわからない言葉で書かれた遺言書
・2人分の遺言書が綴じあわされた遺言書

②配分割合の辻褄が合わない遺言

〈妻に2分の1、長女に4分の1、長男に5分の2、次男に4分の1〉と書かれては計算が合わない。配分の考えかたに争いが生じる原因となりかねない。

③特別受益や寄与分が無視された遺言

バランスを考えずに相続人に不公平感をつのらせては、せっかくの遺言書が騒動を招く原因になってしまう。生前贈与や寄与の存在も考慮して。

④ひどく不公平な遺言

特別受益や寄与分の問題がないとしても、一部の相続人にのみ遺産を残すという遺言はやはり不公平感を強くする。実際に、「長男○○にすべての遺産を相続させる」という遺言は多く、紛争の火種となっている。

⑤相続人の思惑や生活実態にひどく反する遺言

家業である鉄工所を引き継いだ長男に、鉄工所の土地や建物を相続させないとしたら、相続人みんなが困ってしまう。遺言書を書いてから時間が経つにつれ、 書いたときの事情が大きく変化してしまうこともある。そうなったら遺言書を随時書き直すべき。

⑥解決を次世代に持ち越すような遺言

「兄弟仲良く」と思うあまり、賃貸中のマンションも家を出た次男の土地建物も自分の自宅も、それぞれすべて共有にするというのでは、相続人が共有関係の処理をまかされることになってしまう。本当に仲の良い兄弟でも共有関係の処理は大変。逆の場合には泥沼というケースも。


■参照元
改訂増補 親の葬儀とその後事典
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平成20年9月30日 旧版第1刷発行 
平成29年5月26日 改訂版第1刷発行

著 者:黒澤計男 溝口博敬
発行者:東島俊一
発行所:株式会社法研

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